SUPER GT 2022 Round.1
2022年の初戦、ENEOS X PRIME GR Supraがポール・トゥ・ウィン!
4月17日、岡山国際サーキットにおいて2022年SUPER GTの第1戦決勝が行われ、ポールポジションからスタートを切ったNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)が2度に渡るFCYもものともせず、トップでチェッカー。2年連続で開幕戦を制することに成功している。
連日、朝の冷え込みは厳しかったものの、燦々と降り注ぐ眩しい日差しの恩恵を受け、次第に気温が上昇した岡山国際サーキット。予選日同様、午前中には2年ぶりに復活したピットウォークが開催され、新型コロナウイルス感染防止対策に努めながらもファンとの交流の機会が増え、場内の熱気も高まった。また、決勝レースを前には、サーキット上空で航空自衛隊のF-2戦闘機がデモフライトを披露。轟音とともに迫力のフライトパフォーマンスで魅了した。
午後2時、2周のフォーメーションラップを経て、82周の戦いが号砲。ポールポジションの14号車がホールショットを奪う一方、3番手スタートのNo.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)が、早速2番手のNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一組)を猛追。だが、すぐには攻略できず、逆に背後から様子を伺っていたNo.38 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組)に逆転を許してしまう。さらに、38号車は22周目のバックストレートエンド先のヘアピンで39号車をパス、2番手をダッシュした。
激しい2、3番手争いの隙にトップ14号車は20秒近いギャップを構築。単独の走りに持ち込む、そんな中、残る上位陣は29周終わりでルーティンのピットインを開始。すると14号車も31周終わりでピットに戻ったが、ライバルに対し、およそ5秒近く時間を要することに。幸い潤沢なタイムギャップに守られ、後続の先行を阻止する。GT500車両は52周までに全車がルーティンのピットインを完了。改めて14号車がトップに立つと、そのうしろには予選7番手からNo.12 カルソニックIMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)が大きくポジションアップ、38号車が3番手に続いた。
その後も14号車の速さは後続の追随を許さず。逆に2番手12号車からうしろは残る表彰台をかけて激しい鍔迫り合いを重ねることに。そんな中、まず39号車がペースダウンし、後退。また、GT300車両がGT500車両を追突した上に、その後、1コーナー先のグラベルで停止したことから、FCYが導入されてレースがコントロールされたが、解除後はギャップが詰まった12号車、38号車そして100号車によるポジション争いが熱を帯びた。すると72周目のヘアピンではスリーワイドのガチバトルを展開。そこから100号車が頭ひとつ抜け出し、2番手に浮上した。その後は38号車、12号車がともにポジションを下げてしまい、代わってNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)が3番手まで上昇。選択したタイヤによって予選こそ9番手に甘んじたが、レースでは次第にペースアップを見せた。
レースは14号車の独走という形でチェッカー。昨シーズンに続き開幕戦の岡山を制し、幸先良いスタートを切ることとなった。2位には100号車、そして3位に23号車が続き、3メーカーが仲良く表彰台を分け合っている。
一方、GT300クラスは激しいポジション争いでクラッシュを引き起こす展開になった反面、レース序盤にクラストップを奪ったNo.56 リアライズ 日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)にとっては、申し分のないレース運びが結実した。
着実に攻めの走りを見せ、23周目のリボルバーコーナーでクラスポールのNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)を逆転トップに立つと、その後も圧巻の走りに徹した。逆に61号車は先んじてルーティンのピットインを行うも、再スタート時にエンジンがストール。コース上の走りでは取り返せないほどのタイムロスで大きくポジションを落とした。
のちに2回にわたって導入されたFCYは、ともにGT300クラス同士によるポジション争いを巡って起きた接触などによるもの。全車がペースダウンを強いられ、後続との差は縮まったものの56号車の独走に変わりはなく、このままチェッカーを受け、GT500の14号車同様、2年連続で開幕戦のクラスウィナーに輝いた。
第1戦岡山 決勝結果 各クラストップ3
GT500
1.No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)1H58’54.464 82Laps
2.No.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)+1.798
3.No.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)+3.478
GT300
1.No.56 リアライズ 日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)1H59’46.884 77Laps
2.No.18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/太田格之進組)+14.734
3.No.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗組)+18.112
2022年開幕!岡山戦はENEOS X PRIME GR Supraがポール獲得!
4月16日、岡山国際サーキットにおいて2022年SUPER GTが開幕。この日は第1戦の予選が行われ、No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)が最速タイムをマークし、シーズン最初のポールポジションを手にした。
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、場内では様々な対策が引き続き行われる中、予選日のサーキットは朝から冷たい風が吹いたが、雲の切れ間から強い日が差し込むレース日和となった。まず、午前9時20分からの公式練習には全42台が次々とコースイン。気温13度、路面温度18度からスタートし、その後、気温は16度、路面は26度まで上昇した。
時間とともに変化するコンディションに合わせるかのように、各車はセットアップやタイヤ選択などそれぞれのメニューを進めていく。その中で、GT500クラスは終了間際にアタックシミュレーションを行ったNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)が、そしてGT300クラスではNo, 9 PACIFIC hololive NAC Ferrari(ケイ・コッツォリーノ/横溝直輝組)がそれぞれトップタイムをマークした。
午後2時にスタートしたノックアウト予選。まずGT300クラスのQ1(A、B組)をへてGT500クラスQ1が行われた。気温は17度、路面は28度まで上昇。10分間のセッション後半にタイムアップラッシュとなり、うち上位4台をGR Supraが占める結果となる。これに、新型Z、2022年型NSX-GTが続く一方、午前にトップタイムを叩き出した23号車や昨シーズンは最終戦までチャンピオン候補に名を連ねたNo. 8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組)がQ2進出を逃す結果になった。
上位8台によるQ2は午後3時24分にスタート。Q1とさほど変わらないコースコンディションの下、セッション残り1分半を切った頃から激しいポジション争いが始まる。コロコロとターゲットタイムが変わる中、各車はチェッカーを受けながら自己ベストタイムの更新を果たしていくが、最後の最後にトップタイムを叩き出したのはNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)。1分17秒251は2番手に続いたNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一組)に対し、0.136秒という差をつける好タイムだった。アタックを務めた大嶋にとっては自身通算6回目のポールポジション。2016年7月、第4戦SUGO以来の記録更新となった。
GT300クラスは、Q1を突破した計14台がQ2に進出。残り時間3分の時点で、No.96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一組)がトップに立つと、さらに翌周アイムアップを果たす。だがその直後、ディフェンディングチャンピオンのNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)がこれを上回る1分24秒286のタイムをマーク。このままタイムアップとなり、61号車の山内は自身通算9回目となるポールポジションを手にしている。
初戦の決勝は日曜日、午後2時に号砲。前年に続き、ドライバー交代時4本のタイヤ交換が義務付けられている。戦略の幅が狭まる中、各チームがどのようなアプローチをしてくるか、楽しみな開幕レースになることだろう。
第1戦岡山 予選結果 各クラストップ3
GT500
1.No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)1’17.251
2.No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一組)1’17.387
3.No.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)1’17.544
GT300
1.No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)1’24.286
2.No.96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一組)1’24.368
3.No.10 TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき組)1’24.418
SUPER GT第1戦岡山 プレビュー
開幕の岡山にはF-2戦闘機のウェルカムフライトも!
3月中旬以降、次々と国内モータースポーツがシーズンスタートを切るなか、ついにSUPER GTの初戦が岡山国際サーキットで開幕戦を迎える。ニューマシン、ルーキードライバーにとってデビューレースとなる岡山だが、なんと決勝を前に航空自衛隊のF-2戦闘機がサーキット上空でウエルカムフライトを実施するというビッグなサプライズもあるようだ。
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岡山からシーズンがスタート
依然として続く新型コロナウイルス禍。とはいえ、国内のモータースポーツは例年どおりのスケジュールが編成され、次々とレースが開幕している。いよいよ2022年シーズンが幕を開けるSUPER GTの初戦は「OKAYAMA GT 300km RACE」。12台のGT500クラス、そして27台のGT300クラス、合計42台の布陣で号砲を迎えることになる。すでに岡山や富士での公式テストを終えて着々と岡山への戦いに準備を進めている各チームだが、新しいシーズンにニューマシンを投入する、あるいは新たなドライバーを迎えるなどそれぞれ状況が異なる中、ライバルよりも先んじて岡山では好成績を狙っていきたいと思うのは、どのチームにも言えることだろう。
年間8戦で開催されるシリーズ戦。残念ながら今シーズンも海外での開催は見送られ、国内6サーキットでの開催となる。岡山で幕が上がると、ゴールデンウィーク真っ只中には富士スピードウェイで第2戦を実施。同じ5月末には鈴鹿戦を迎える。その後、6、7月はレースがなく、8月上旬から第4戦富士が始まり、11月上旬のモビリティリゾートもてぎにおいて最終戦となる。一方、ここ2年はコロナ禍でレース距離を300km前後に設定していたが、今シーズンは第2戦、第4戦の富士、そして第5戦の鈴鹿では450kmと”延長”が決まった。その他のレースは通常の300kmで争われる。シーズン序盤、そして中盤しかも夏場のレースで通常よりも長い距離での戦いが行われるため、年間を通して2基のエンジンで戦わなければならないGT500クラスとしては、どのタイミングでエンジンをリフレッシュするか大いに頭を悩ますことになりそうだ。
GT500、新たなコンビの活躍に注目
岡山戦にはこれまでどおり15台がエントリーしたGT500クラス。今シーズン、新たにGT500のシートを掴んだルーキーはふたり。まずはNo.36 au TOM’S GR Supraに乗るジュリアーノ・アレジ。スーパーフォーミュラとともにフル参戦が叶い、躍進が期待できる。一方、顔ぶれは同じでもチーム移籍があちこちで見られた。長らくKONDO RACINGで活躍してきた高星明誠がNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zへ。昨シーズンまで3号車でステアリングを握っていた平手晃平が高星とスイッチする形でKONDOへ加入した。一方、驚きの移籍となったのは松下信治。昨シーズンはTEAM IMPULでSUPER GTフル参戦を果たし、平峰一貴とともにチームへ勝利を献上する働きを見せたが、なんと今シーズンは日産からホンダへとスイッチ。彼にとっては”古巣”となるホンダからシーズンを戦う。チームはAstemo REAL RACING。ベテラン塚越広大とともに速さ・強さを見せてくれることだろう。そして松下と入れ替わるようにIMPULへと加入したのが、ベルギー人ドライバーのベルトラン・バゲットだ。今シーズン、日産勢は車両をGT-RからZへと変えており、デビューイヤーとなる。日産勢の各チームは真っ先にZでの勝ち名乗りをあげようとそのチャンスを伺っているだけに、バゲットの即戦力にも注目が集まる。そして、昨シーズンは最終戦において劇的な逆転でタイトルをつかんだ関口雄飛もチームを移籍。今シーズンはNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraをドライブ、”優勝請負人”としての活躍が見ものとなるだろう。また、WEC(世界耐久レース)へのフル参戦が決まり、SUPER GTを”卒業”した平川 亮に代わってNo.37 KeePer TOM’S GR Supraをドライブするのは宮田莉朋。パートナーのサッシャ・フェネストラズは、昨シーズンはコロナ禍で来日が叶わず、フラストレーションの貯まるシーズンを過ごしたが、今シーズンは宮田とともにフレッシュなパフォーマンスを見せてくれるものと思われる。そして宮田の抜けたNo.19 WedsSport ADVAN GR Supraでフル参戦するのが、阪口晴南。すでにGT500はスポット参戦済み、しかも昨シーズンの岡山戦でいきなりポールポジションを手にした”ツワモノ”でもある。念願のGT500にステップアップを果たして迎える岡山では、またさらに飛躍しそうな気配がする。
GT500は空力開発が解禁へ
GT500では、2020年から22年まで空力開発を凍結していた。しかしながら、今シーズンはNissan Z GT500の登場。これに合わせ、空力開発が事実上”解禁”。トヨタはGR Supraを大幅に改良し、岡山での公式テストにおいてNo.36 au TOM’S GR Supraがトップタイムをマークする結果を得ている。また、ホンダはNSX-GTのベース車両をタイプSにスイッチ。ホンダは「22年新型NSX」としてニューマシンを”開発”。進化した車体は全長が45mm伸び、フロントマスク、つまり外観も前年までのモデルと様相が変わった。一方、肝心の空力セットに関しては、よりマイルドな仕上げとなっているようで、どのサーキットでも高いポテンシャルを披露しそうだ。昨シーズン、チャンピオン候補にありながら、最終戦ではGT300車両との接触によってまさかのチャンス喪失で涙を飲んだNo.100 STANLEY NSX-GT。チームを創設し、これまで総監督を務めていた高橋国光氏が先月中旬に急逝されたこともあり、今シーズンは弔い合戦としてタイトル奪還に向けてリベンジの戦いを目指すのは言うまでもない。
GT300もニューマシンが登場
年々シビアな戦いが増えているGT300クラス。今シーズンは岡山でデビューする車両のパフォーマンスに注目してみてはどうだろう。まずはTOYOTA GR86。GT300規定に沿って完成した車両は2台。名門のaprが手掛けている。一方、HOPPY team TSUCHIYAではポルシェからGR Supraへとスイッチ。若手エンジニアやメカニックらが”創意工夫”を凝らしてライバルと群雄割拠の戦いを繰り広げるのではないだろうか。一方、GT3勢としては、BMW Team Studie x CSLがBMW M4 GT3を新たに投入。なお、昨シーズンから導入されたGT300クラスにおける予選の組分けは今シーズンも継続される。一方、今シーズンも岡山戦では、GT300、500両クラスにおいて、決勝レースのドライバー交代時に4本のタイヤ交換を義務付けることになった。シーズン初戦は不確定要素も多く、どのような展開になるか予想することも難しいが、そんな中でも実力あるチームは粛々と好成績を手にすべく準備に余念がないはず。開幕戦は各チームのポテンシャルを見極める、またとない好機とも言えるだろう。
主なスケジュール
OKAYAMA GT 300km RACE
4月16日(土)
09:20〜10:45 公式練習(GT300+GT500)
10:45〜10:55 公式練習(GT300専有)
10:55〜11:05 公式練習(GT500専有)
12 : 40〜13 : 15 ピットウォーク
14:00〜14:10 公式予選Q1 GT300 A組
14:18〜14:28 公式予選Q1 GT300 B組
14:33〜14:43 公式予選Q1 GT500
14:53〜15:03 公式予選Q2 GT300
15:11〜15:21 公式予選Q2 GT500
4月17日(日)
10:20〜11:05 ピットウォーク
11:35〜12:00 ドライバーアピアランス
12:15〜12:30 オープニングセレモニー
12:40〜13:00 ウォームアップ
13:00〜14:00 スタート進行
14:00〜決勝 300km RACE(82周)