SUPER GT 2022 Round.6
第6戦SUGO、急変の天候に左右される中でCRAFTSPORTS MOTUL Zが今季2勝目達成!
9月18日、宮城・スポーツランドSUGOにおいてSUPER GT第6戦の決勝レースが行われ、不安定な天候を味方につけたNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)が優勝。予選11番手から大きく躍進し、今シーズン2勝目を達成した。
九州地方へ接近中の台風14号の影響を受けてか、決勝日のSUGOは前日よりも湿気の高い蒸し暑い朝を迎えた。しかしながら、決勝を前にしてにわかに天候が急変。鉛色の空が広がり、フォーメーションラップ前には少し雨が落ちはじめた。
そんな中、午後2時に84周のレースが号砲。ポールポジションスタートのNo.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)はタイヤの温まりが遅いのか、予選2番手のNo.38 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組)に4コーナーで先行を許し、さらにはその背後にいたNo.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)にも逆転され、3番手に。一方、後方のGT300クラス同士が接触したことを受け、レースは早くもセーフティカー導入という展開を迎えた。
3周終了のタイミングでレースは再開、するとこのチャンスを逃すまじと中盤グループでは激しい攻防戦が繰り広げられた。そんな中、11周が過ぎると雨が降りはじめ、あっという間にウェットコンディションへと変貌。この急展開を好機にすべく、まずNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一組)がピットイン。ウェットタイヤへと交換した。すると、これに続けとばかり翌周には9台が続々ピットへ。この時点でステイアウトは5台だったが、1台、また1台とのちにピットイン。最終的に3台が暫しそのまま周回を重ねた。
そんな中、18周目にGT300車両がハイポイントコーナーでコースアウト。FCY(フルコースイエロー)導入となったが、この直前に暫定トップのNo.16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹組)、その背後にいたNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)が揃ってピットイン。だが、予選アタックが果たせず、最後尾スタートだったNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井 翔/ジュリアーノ・アレジ組)は、ピットインを前にFCY導入がなされたため、コースに留まるしかなかった。
FCYが解除された時点で、トップに立ったのはNo.38 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組)。予選2位スタートを活かして2位との大差をつけて周回していたが、ウェットタイヤのパフォーマンスに秀でた23号車が38号車へ急接近。さらに23号車と同じタイヤを装着する3号車も38号車を逆転し、ミシュランタイヤがワン•ツーを構築する。
レースは折り返しを前に本来のルーティンワークとしてのピットインが始まる。濡れた路面に、どのチームもほぼ引き続きウェットタイヤを選択したが、43周目に発生したGT300の車両同士の接触を見て、即座にピットへ戻った23号車はドライバー交代を行うと同時に再びウェットタイヤを装着。だが、その直後からGT300車両がスリックタイヤを選択しはじめるなど、路面状況が改善した。そしてこの状況を味方につけたのが3号車。一度は23号車と同じタイミングでピットインすることも考えたが、チームはステイアウトを敢行。難しいコンディションを耐え忍び、コースがドライアップしはじめた55周目にピットへ。ここでドライバー交代を行い、足元にはスリックタイヤを装着してコース復帰を果たすと、23号車に対して30秒ほどの大差をつけることになった。実のところ23号車はウェットタイヤでの走行継続が厳しいと判断、54周終わりでピットインしてスリックタイヤへと交換したことを受け、大差が着くことになった。
タイヤ交換のタイミングに左右され、2位にポジションを落とした23号車だったが、怒涛の追い上げでこの大差を確実に削り取り、最終的には10秒前後まで3号車を追い詰めた。だが、”時すでに遅し”となり3号車が連勝を達成。同時にポイントランキングでもトップへと上り詰めた。2位の23号車に続いて3位に入ったのは16号車。上位2台とは異なるアプローチながらミスなく着実な走りを達成したことで、3位を獲得、チームとしてシーズンベストの結果を手にしている。
GT300クラスもピットインのタイミングと戦略を最大限活かしたチームが躍進した。予選トップのNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)を追う形でNo.87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3(松浦孝亮/坂口夏月組)とNo.88 Weibo Primez ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥組)が順調に周回を重ねていたが、雨脚が強まる中で、87号車がハイポイントコーナーでコースオフ。結果としてFCY導入を招くことになった。その一方で、上位争いを展開する車両は、濡れる足下に最大の注意を払いつつ、スリックタイヤのまま周回。ルーティン作業のタイミングに合わせてウェットタイヤへと交換するチームが多く見られた。
そんな状況下で実力を見せつけたのがNo. 2 muta Racing GR86 GT(加藤寛規/堤 優威組)。雨の降りはじめでウェットタイヤへと交換を済ませていたが、逆にそのままルーティン作業のタイミングを他車より大幅に先へと伸ばす戦略を採る。ライバルと競合しないアプローチが奏功し、トップに立つと49周終わりでピットイン。コースも乾きはじめていたため、満を持してスリックタイヤを装着すると、コース復帰後もそのまま堂々クラストップをキープした。
2号車は独走の形で周回を重ねていたが、その後方では雨を味方に安定した速さを武器にしたNo.11 GAINER TANAX GT-R(安田裕信/石川京侍組)とNo.10 TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき組)が僚車同士による激しいバトルを展開。また、レース終盤には再びしっかりとした雨が降りはじめて不安定な状況へと変化したが、2号車のトップは変わらず。11号車が2位でチェッカーを受け、10号車がそのまま3位で続いた。
ランキング上位の車両が重いサクセスウェイトを感じさせない力走を見せた結果、4位でレースを終えたNo.56 リアライズ 日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)が依然としてランキングトップをキープしている。
第6戦SUGO 決勝結果 各クラストップ3
GT500
1.No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)1:58’41.824 84Laps
2.No.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)+9.114
3.No.16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹組)+46.72
GT300
1.No.2 muta Racing GR86 GT(加藤寛規/堤 優威組)1:59’15.748 79Laps
2.No.11 GAINER TANAX GT-R(安田裕信/石川京侍組)1Lap
3.No.10 TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき組)1Lap