SUPER GT 2022 Round.5
SUPER GT第5戦鈴鹿 プレビュー
夏休み最後の週末、鈴鹿に再びSUPER GTが帰ってくる__8月27、28日、三重・鈴鹿サーキットにおいて開催されるSUPER GT第5戦。シーズン中盤戦の最後を締めくくる一戦は、チャンピオンタイトルを争う意味でも天王山の一戦になる。ここのところ不安定な天候が続き、今週末の天候もまだまだ先を読むのが正直難しい。だが、季節ならではの厳しい暑さになっても、万が一、ウェットコンディションになっても、タフな勝負になることには違いない。
前戦同様、450kmの戦いに!
8月上旬、富士スピードウェイで行われた前戦は、真夏の暑さではなく薄曇りが続き、霊峰・富士山も終始”雲隠れ”して姿を拝む機会がなかった。予想よりも低い気温、路面温度に見合うタイヤ、セッティングを引き出せたチームが上位を占め、レースは終盤までトップ3争いがもつれ、ルーティンのピット作業で勝負の明暗が分かれるという展開となり、最後の最後まで見どころの多い名勝負となった。1度のピット作業では見られない駆け引きの裏には、走行中のドライバーはタイヤマネージメントや高度な燃費走行が求められるなど、緻密な戦略が結果に大きな影響を与えていたといえる。
GR Supra、Nissan Z GT500、NSX-GTの実力が拮抗、そこにタイヤメーカーによる激しいポテンシャル争いも加わり、予選での速さがレースでの強さに必ずしもつながるという保証もなく、予想不可能な展開も多いだけに、今回の鈴鹿戦も筋書きのないドラマが繰り広げられそうだ。一方で、鈴鹿でのレースは5月に第3戦として開催済み。つまり、今シーズンのコンディション下でのデータは収集済みであるため、そこをベースに今の気候や各車のサクセスウェイトを加味したクルマ作りが進んでいるはずだ。また、7月に鈴鹿でのテストをしたタイヤメーカーもあるようで、そのデータを取り入れることにより、さらに混沌としたレース展開になるのではないかという期待も募る。なお、レースは前回の富士戦に続き、通常の1.5倍に該当する450kmでの戦い。夏の強い陽射しが鈴鹿に戻って来れば、極めてタフなレースになることは間違い無いだろう。
勢いを増すGR Supra、ライバルはどう対抗!?
今シーズン、デビューを果たしたNissan Z GT500。シーズン序盤から、比較的安定した速さとレースでの強さを見せており、GT-R以上にオールラウンダーとしての存在感を増している。第2戦富士ではトップ争いをしていたNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)が大クラッシュを喫するも、続く第3戦鈴鹿でポールポジションを獲得、さらには優勝をもさらうという衝撃の復活劇を披露した。そして前回の富士では、No.12 カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)がピット戦略を味方につけて2位表彰台。また、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平組)は予選でフロントロウを取るなど、総体的に高いパフォーマンスを見せているという印象が強い。それだけに、昨年まで苦戦が続いたGT-Rで鈴鹿2勝を挙げた日産のエースカー、23号車を駆る松田次生とロニー・クインタレッリのベテランコンビの動向が気になるところ。なにしろ開幕戦での3位以降、若干覇気がなく上位争いに名を刻んでいないのだ。真夏の一戦で足元を固めるミシュランタイヤとのコンビネーションがハマれば、一気にトップ争いに名乗りを上げることもあると思われるので、ここは鈴鹿での躍進に期待したい。
また、NSX-GT勢もやや”停滞気味”というイメージが残る。予選でやや出遅れても、決勝でしっかりとポジションアップすることを得意とするNo.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)も、開幕戦で2位表彰台に上がったものの、それ以降は入賞止まり。第2戦富士は、大クラッシュの影響を受け、赤旗中断によるハーフポイントとなり、ここではNo. 8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組)が勝利する形となったが、ドライバー二人にとっては必ずしも本意ではなかったはずだ。今回の鈴鹿はホンダにとってホームサーキットでもあるだけに、終盤の戦いに向けてこの辺りで勢いを取り戻したいと思っていることだろう。
そして、現在ポイントランキングトップにつけるNo.37 KeePer TOM’S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋組)はじめ、安定感あるレース運びを続けるNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)が2番手と、GR Supraにとっては、今シーズンは比較的いい流れを構築している。中でも予選での速さは圧巻。No.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)が第2戦以降、3戦連続でポールポジションを獲得。ただし、鈴鹿未勝利という大きな壁が彼らの前に立ちはだかっているのも事実。これまでのいい流れを持って今大会を制することができるのか、大きな”難問”に立ち向かう様子を見守りたい。
“黒船”強し!? それとも!?
GT300クラスでは、No.56 リアライズ 日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)が100kg近くのサクセスウェイトにも屈せず、強い戦いを継続。前回の富士ではタイヤマネージメントに苦しみ、ピットインのタイミングが前倒しになったことで理想の戦略を敢行できずに終わったが、それでも6位チェッカーを果たし、さらなるポイントを計上。まさに隙を見せない試合巧者巧者といえる。また、勝負強さというポイントから見れば、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)も忘れてはならない存在。予選の速さだけでなく、決勝で確実に結果を残すしぶとさが備わり、2年連続タイトル獲得に向けて粛々と計画を進めているようにも思えるほどだ。
一方、前回の富士ではトップを走りながらも、最後の最後、タイヤトラブルによって勝負権を失ったNo. 4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)の存在は、今回の台風の眼になるやもしれない。鈴鹿におけるBoPの影響もなくはないが、ライバルたちがサクセスウェイトを積む中、4号車はわずか12kgにとどまるため、好成績を狙えるチャンスは存分にある。富士での悔しさをぶつける戦いに注目が集まることだろう。また、勝利を渇望するのは、4号車だけでなく、一足早く戦列を去ってしまったNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗組)とて同じこと。ポールポジションスタートからトップを快走するも、やはりマシントラブルによって戦線離脱を余儀なくされているだけに、まさにリベンジ戦の鈴鹿となるはずだ。
シーズン中盤を迎えて搭載するサクセスウェイトによって、各車のコンディションが大きく異なる中で迎える今大会。さらに長距離レースだけにチェッカーを受けるまで何が起こるかわからないという、不確定要素も多いはず。果たして手に汗握る展開になるか、それとも思いもよらないストーリーになるか。最後の最後まで盛り上がることを期待したい。
主なスケジュール
FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450km RACE
8月27日(土)
09:25〜10:50 公式練習(GT300+GT500)
10:50〜11:00 公式練習(GT300専有)
11:00〜11:10 公式練習(GT500専有)
12 : 35〜13 : 25 ピットウォーク
15:00〜15:10 公式予選Q1 GT300 A組
15:18〜15:28 公式予選Q1 GT300 B組
15:33〜15:43 公式予選Q1 GT500
15:53〜16:03 公式予選Q2 GT300
16:11〜16:21 公式予選Q2 GT500
17:50〜18:20 キッズピットビューイング
8月28日(日)
09:25〜09:45 ドライバートークショー
09:50〜10:35 ピットウォーク
12:30〜12:55 ドライバーアピアランス
13:10〜13:30 ウォームアップ
13:30〜14:30 スタート進行
14:30〜決勝 450km RACE(77周)