SUPER GT 2022 Round.3
第3戦鈴鹿、”復活”のCRAFTSPORTS MOTUL Zが優勝!
5月29日、三重・鈴鹿サーキットにおいてSUPER GT第3戦の決勝が行われ、予選3番手スタートのNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)が、スタート直後からトップを奪取、荒れたレースをものともせず、シーズン初優勝を果たした。
連日、好天気に恵まれた鈴鹿サーキット。ただ、気温は前日よりもさらに上がり、夏日の中で激しいバトルが繰り広げられた。
午後1時10分からウォームアップ走行が始まり、決戦に向けての最終確認が行われる中、残り8分の時点で1台の車両がデグナーカーブ2つ目、立体交差先で激しいクラッシュ。これにより赤旗が提示されセッションがストップ。決勝目前ということもありこのまま終了扱いとなった。また、このアクシデントを受け、その後のレーススケジュールも10分遅れで進行されることとなった。
午後2時40分からのフォーメーションラップを経て、レースはスタート気温30度、路面温度50度とタフな条件の中、52周の戦いは初っ端から激しい鍔迫り合いを展開する。まず、スタート直後に予選2番手のNo.37 KeePer TOM’S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋組)をパスした予選3番手のNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)。その勢いのまま130Rの飛び込みでインを取ってNo.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)からトップを奪取し、早くもオープニングラップでトップに躍り出た。一方、7番手スタートのNo.12 カルソニックIMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)にトラブルが発生。逆バンクでクルマを止めてしまう。なお、この12号車を移動するため、レースはFCY(フルコースイエロー)の介入があり、3周目から4周目に渡りレースがコントロールされた。さらにレース再開も束の間。今度はトップが10周目を走行中に、GT300車両の1台がシケインでクラッシュ。セーフティカーがコースインした。またこれとほぼ時を同じくしてNo.38 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組)のエキゾーストから白煙が上がり、スロー走行。S字でクルマを止めてしまう。38号車は、前日の公式練習中に車両トラブルが発生。燃料漏れのトラブルから消化作業を伴い、結果としてエンジンの置換等大掛かりな作業を強いられており、作業時間は深夜まで及んだという。だが、決勝でも再びトラブルに見舞われてしまい、散々な第3戦になってしまったと言える。
18周終了の時点で、早くもルーティンのピット作業を始めるチームが現れる。その後、周回毎にピットインが続き、上位陣としては3番手につけていたNo.17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治組)が真っ先にコースイン。するとトップの3号車も21周終わりでピットに帰還し、30秒フラットという見事な作業時間でコース復帰を果たした。逆に2位で周回を重ねていた37号車は19周終わりでピットインするも、ライバルに対してピット作業で5秒ほど遅れてしまい、コース復帰後は17号車に先行されてしまった。
レースは27周時点で2度目となるFCYが導入。2分ほどで解除されたが、この時にコース上では接触等が発生。荒れ模様の続く展開だったが、それでもなおトップ3号車のまったく揺るぐことなく周回を重ね、後ろの17号車に対して16秒強のリードを築く走りを披露した。
そんな中、39周目を迎えるS字で左タイヤが外れたクルマが停止、ドライバーがクルマを離れた。これを受け、3回目となるFCYが導入。するとヘアピンでは、前方でスローダウンしていたGT300の車両にGT500車両が追突するアクシデントが発生し、セーフティカーランへと切り替わることに。今回のレースでは、FCY導入に絡む接触事故が度重なり、後味の悪さが残ることとなってしまった。
マージンを築いていた3号車にとっては、改めて勝利へのプレッシャーが大きくなることになったが、43周終わりでのリスタートを完璧に決めて17号車の猛追を許さず。隙のない戦いを最後まで見せつけて、トップチェッカーを受けた。3号車にとってはシーズン初優勝。千代、高星の二人にとってもGT500でのうれしい初勝利であり、今シーズンから導入されたNissan Z GT500の1勝目を達成。そして、日産勢としては鈴鹿での4連勝を果たすという、記録づくしの結果となった。
一方、GT300クラスはGT500と異なり、平穏な幕開けを迎える。トップスタートを切ったNo. 7 Studie BMW M4(荒 聖治/近藤翼組)は安定したペースでトップをキープ。これにNo.96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一組)、No.56 リアライズ 日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)が続き、最初のFCY、そしてSCランを終えた。一方、SC中にピットレーンがオープンすると、タイヤ交換だけを行うチームが出始める。さらにはその後のルーティンのピットインではタイヤ無交換を敢行するチームも出始め、各自がライバルに対して揺さぶりをかけた戦略を披露した。そんな中、トップ7号車は20周終わりでピットイン。リヤ2本のみタイヤ交換してコースに復帰、2回目のFCYを過ぎても2番手に6秒強の差をつけて周回を重ねていった。
ポジション争いに動きが出始めたのは、3回目のFCYからSCへと切り替わった後。総合43周目にレースがリスタートすると、7号車は問題なく加速してポジションキープしたが、ピット戦略が奏功して予選17番手から2番手まで浮上していたNo.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組)はシケインで痛恨のオーバーラン。ポジションを大きく下げてしまう。これに代わって2番手に上がったのが予選6番手のNo. 5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(冨林勇佑/平木玲次組)。こちらはタイヤ無交換が味方した。さらに、3番手には”百戦錬磨”のNo.56 リアライズ 日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)が続き、レースは終盤を迎える。
タイヤのマイレージが厳しくなった5号車に対し、7号車は徐々に差を開きながら、独走体制へ。最後は10秒近く差を開けてチェッカー! ドライバーのひとり、荒聖治はGT500での優勝経験はあるものの、GT300では初となる勝利を手にした。なお、今年投入されたBMW M4 GT3も初勝利を挙げることになった。2位の5号車も今シーズン初表彰台を獲得。そして、3位の56号車は今回のポイント獲得により、ダントツのランキングトップに立っている。
第3戦鈴鹿 決勝結果 各クラストップ3
GT500
1.No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)1:55’50.895. 52Laps
2.No.17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治組)+4.549
3.No.37 KeePer TOM’S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋組)+4.832
GT300
1.No. 7 Studie BMW M4(荒 聖治/近藤翼組)1:57’34.344 49Laps
2.No. 5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(冨林勇佑/平木玲次組)+9.612
3.No.56 リアライズ 日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)+9.883