SUPER GT 2022 Round.2
SUPER GT第2戦富士 プレビュー
450kmレース、各チームの戦略に注目!
開幕戦で繰り広げられた好バトルの興奮冷めやらぬ中、早くもシーズン2戦目を迎えるSUPER GT。次なる舞台は、静岡・富士スピードウェイ。恒例となるゴールデンウィーク中のイベントだけに、大勢のファンで賑わうこと、必至だ。今大会は450kmと長距離戦、しかもこれまでと異なるフォーマットが導入されるとのこと。これまでとひと味もふた味も違ったドラマが展開されそうだ。
三つ巴の戦い、ますます激化!
4月16、17日に開幕した今シーズンのSUPER GT。岡山での戦いは予選、決勝ともに気温が上がり、強い日差しが照りつけた。そんな中、各チームは決勝で装着するタイヤコンディションを考慮し、予選アタックでのタイヤ選択に頭を悩ませることにもなった。実際、ノックアウト予選でポールポジションを手にしたNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)は、ライバルたちと異なるタイヤ選択をしていたこともあり、路面温度が上がった決勝ではタイヤのタレ具合を気にしながらのスタートになったという。幸い、14号車においては想定以上にタイヤが保ったといい、2位以下に大差をつけてルーティンのピットインを果たすことになった。
一方、予選と決勝では異なるパフォーマンスを見せたチームもある。それがNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)だ。ミシュランタイヤを装着する23号車。ミシュランはもともと岡山戦での結果が他のサーキットと比べて芳しくなく、メーカーとしては新たな一手を意識したタイヤ開発を進めてきた。加えて、日産勢は今シーズンからZを新たに投入。ミシュランとしては、タイヤそのものの開発だけでなく、戦闘車両とのマッチングも含めて多くのミッションに取り組んできたことになる。結果、23号車は予選日の朝に実施される公式練習でトップタイムをマークしたものの、午後からの予選に入るとタイムを伸ばすことができず、僅差でのQ1敗退という苦汁をなめ、9番手スタートに。だが、決勝に入ると本領発揮。GT500全車両がルーティンのピットインを終えた時点で8番手走行だったが、終盤に入ると徐々にペースアップ。終盤、最初のFCY解除後には5番手まで浮上し、その後も攻防戦でライバルを逆転する力走を見せて3位でチェッカー。ニューマシンを開幕早々に表彰台へと送り込む圧巻のパフォーマンスを見せた。松田&クインタレッリというチャンピオン経験豊富なベテランドライバーふたりの力はもちろんだが、Zとミシュランタイヤのポテンシャルの高さも一因であることは明白だ。また、そのZを駆る他のチームでは、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平組)の躍進が目についた。昨シーズンまでパッケージとしての強さを思うように発揮できず、苦しい戦いを強いられてきた24号車。だが、Z勢唯一のヨコハマタイヤを装着するチームは、オフシーズンにこなした精力的なテストによって、多くのデータを収集。その結果がまず予選で表れ、Z勢最上位の5番手を獲得するに至った。決勝では終盤にGT300クラスの上位争いに絡む形でアクシデントに泣くこととなったが、さらにタイヤ開発が進めば、ライバルたちとの攻防戦に名乗りを上げてきそうな存在といえる。
開幕戦の予選を見る限り、GR Supraの速さがライバルよりもやや優勢の様子だったが、蓋を開けてみればトヨタ、ホンダ、日産が仲良く表彰台を”シェア”。昨シーズンの終盤までタイトル争いに残った実力あるチームが今シーズンもその勢いを保持しているようだが、初戦を終えただけでは真の実力は未知数。そんな中、今回行われる第2戦が、シーズンの流れを占う中での指標になってくるのではないだろうか。
450kmレースの”戦い方”
昨シーズンの第2戦富士大会は500kmレースだったが、今シーズンは450kmに。なお、今シーズンは全8戦のうち、通常の300kmが5戦、450kmが3戦となる。実のところ450kmのレースを行うにあたり、SUPER GTをプロモートするGTアソシエイション(GTA)が見据えるのは、タイヤのロングライフ化。すでにメーカーには主旨を伝えており、来シーズンはタイヤの持ち込みセット数を制限したいとしている。そのために今シーズンは3大会で450kmレースを”実験場”代わりに、さまざまなトライを促している。
一方、その流れを受けたものと思われるのが、今大会のブルテン(シーズン途中で特別規則書に変更が生じた場合や、ある大会に限定した規則を追加したいときに発行されるもの)に記されてある。それが、ピットインについてだ。昨年の大会では「決勝レーススタート後(フォーメーションラップを終了し、スタートラインを通過した後)、 ドライバー交代を伴う最低2回のピットインが義務付けられる」とあったが、今大会では「決勝レーススタート後(フォーメーションラップを終了し、スタートラインを通過した後)、最低2回の給油が義務付けられる」と変更されている。そう、『ドライバー後退を伴う』の文字が削除されているのだ。給油作業のために2回のピットインは義務付けるが、その都度ドライバー交代の義務は撤廃された。とはいえ、もともとひとりのドライバーがレース距離(周回数)の3分の2を越えてドライブすることはルール上認められていない。だが、ピットインの際に給油等のピット作業はしても、ドライバーは継続してドライブすることが可能となる。その先の作業を短時間に済ませる内容にすれば、ピットでのロスタイムを少なくできるというわけだ。となると、チームとしてどのような戦略を立て、ライバルにプレッシャーをかけるのか、あるいは相手を出し抜くのか……。スタートしてからでないとわからない”駆け引き”も、今大会の醍醐味になることだろう。
GT300クラスにおいては、第3ドライバー登録をしたチームも見受けられる。また、開幕戦を欠場したNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞組)も今大会から参戦を開始。合計28台による戦いが行われる。開幕戦ではあちこちで激しいポジション争いを展開したことを考えれば、実力伯仲のGT300の拮抗具合がよく分かるだけに、今大会でもその流れは変わらないはずだ。
決勝レースは5月4日、午後2時30分に号砲。100周の争いに注目だ。
主なスケジュール
FAV HOTEL FUJI GT 450km RACE
5月3日(火・祝)
09:00〜10:25 公式練習(GT300+GT500)
10:25〜10:35 公式練習(GT300専有)
10:35〜10:45 公式練習(GT500専有)
12 : 30〜13 : 10 ピットウォーク
15:00〜15:10 公式予選Q1 GT300 A組
15:18〜15:28 公式予選Q1 GT300 B組
15:33〜15:43 公式予選Q1 GT500
15:53〜16:03 公式予選Q2 GT300
16:11〜16:21 公式予選Q2 GT500
5月4日(水・祝)
09:25〜10:05 ピットウォーク
11:45〜12:00 ドライバーアピアランス
12:15〜12:30 オープニングセレモニー
13:10〜13:30 ウォームアップ
13:30〜14:30 スタート進行
14:30〜決勝 450km RACE(100周)