SUPER GT 2022 Round.1
SUPER GT第1戦岡山 プレビュー
開幕の岡山にはF-2戦闘機のウェルカムフライトも!
3月中旬以降、次々と国内モータースポーツがシーズンスタートを切るなか、ついにSUPER GTの初戦が岡山国際サーキットで開幕戦を迎える。ニューマシン、ルーキードライバーにとってデビューレースとなる岡山だが、なんと決勝を前に航空自衛隊のF-2戦闘機がサーキット上空でウエルカムフライトを実施するというビッグなサプライズもあるようだ。
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岡山からシーズンがスタート
依然として続く新型コロナウイルス禍。とはいえ、国内のモータースポーツは例年どおりのスケジュールが編成され、次々とレースが開幕している。いよいよ2022年シーズンが幕を開けるSUPER GTの初戦は「OKAYAMA GT 300km RACE」。12台のGT500クラス、そして27台のGT300クラス、合計42台の布陣で号砲を迎えることになる。すでに岡山や富士での公式テストを終えて着々と岡山への戦いに準備を進めている各チームだが、新しいシーズンにニューマシンを投入する、あるいは新たなドライバーを迎えるなどそれぞれ状況が異なる中、ライバルよりも先んじて岡山では好成績を狙っていきたいと思うのは、どのチームにも言えることだろう。
年間8戦で開催されるシリーズ戦。残念ながら今シーズンも海外での開催は見送られ、国内6サーキットでの開催となる。岡山で幕が上がると、ゴールデンウィーク真っ只中には富士スピードウェイで第2戦を実施。同じ5月末には鈴鹿戦を迎える。その後、6、7月はレースがなく、8月上旬から第4戦富士が始まり、11月上旬のモビリティリゾートもてぎにおいて最終戦となる。一方、ここ2年はコロナ禍でレース距離を300km前後に設定していたが、今シーズンは第2戦、第4戦の富士、そして第5戦の鈴鹿では450kmと”延長”が決まった。その他のレースは通常の300kmで争われる。シーズン序盤、そして中盤しかも夏場のレースで通常よりも長い距離での戦いが行われるため、年間を通して2基のエンジンで戦わなければならないGT500クラスとしては、どのタイミングでエンジンをリフレッシュするか大いに頭を悩ますことになりそうだ。
GT500、新たなコンビの活躍に注目
岡山戦にはこれまでどおり15台がエントリーしたGT500クラス。今シーズン、新たにGT500のシートを掴んだルーキーはふたり。まずはNo.36 au TOM’S GR Supraに乗るジュリアーノ・アレジ。スーパーフォーミュラとともにフル参戦が叶い、躍進が期待できる。一方、顔ぶれは同じでもチーム移籍があちこちで見られた。長らくKONDO RACINGで活躍してきた高星明誠がNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zへ。昨シーズンまで3号車でステアリングを握っていた平手晃平が高星とスイッチする形でKONDOへ加入した。一方、驚きの移籍となったのは松下信治。昨シーズンはTEAM IMPULでSUPER GTフル参戦を果たし、平峰一貴とともにチームへ勝利を献上する働きを見せたが、なんと今シーズンは日産からホンダへとスイッチ。彼にとっては”古巣”となるホンダからシーズンを戦う。チームはAstemo REAL RACING。ベテラン塚越広大とともに速さ・強さを見せてくれることだろう。そして松下と入れ替わるようにIMPULへと加入したのが、ベルギー人ドライバーのベルトラン・バゲットだ。今シーズン、日産勢は車両をGT-RからZへと変えており、デビューイヤーとなる。日産勢の各チームは真っ先にZでの勝ち名乗りをあげようとそのチャンスを伺っているだけに、バゲットの即戦力にも注目が集まる。そして、昨シーズンは最終戦において劇的な逆転でタイトルをつかんだ関口雄飛もチームを移籍。今シーズンはNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraをドライブ、”優勝請負人”としての活躍が見ものとなるだろう。また、WEC(世界耐久レース)へのフル参戦が決まり、SUPER GTを”卒業”した平川 亮に代わってNo.37 KeePer TOM’S GR Supraをドライブするのは宮田莉朋。パートナーのサッシャ・フェネストラズは、昨シーズンはコロナ禍で来日が叶わず、フラストレーションの貯まるシーズンを過ごしたが、今シーズンは宮田とともにフレッシュなパフォーマンスを見せてくれるものと思われる。そして宮田の抜けたNo.19 WedsSport ADVAN GR Supraでフル参戦するのが、阪口晴南。すでにGT500はスポット参戦済み、しかも昨シーズンの岡山戦でいきなりポールポジションを手にした”ツワモノ”でもある。念願のGT500にステップアップを果たして迎える岡山では、またさらに飛躍しそうな気配がする。
GT500は空力開発が解禁へ
GT500では、2020年から22年まで空力開発を凍結していた。しかしながら、今シーズンはNissan Z GT500の登場。これに合わせ、空力開発が事実上”解禁”。トヨタはGR Supraを大幅に改良し、岡山での公式テストにおいてNo.36 au TOM’S GR Supraがトップタイムをマークする結果を得ている。また、ホンダはNSX-GTのベース車両をタイプSにスイッチ。ホンダは「22年新型NSX」としてニューマシンを”開発”。進化した車体は全長が45mm伸び、フロントマスク、つまり外観も前年までのモデルと様相が変わった。一方、肝心の空力セットに関しては、よりマイルドな仕上げとなっているようで、どのサーキットでも高いポテンシャルを披露しそうだ。昨シーズン、チャンピオン候補にありながら、最終戦ではGT300車両との接触によってまさかのチャンス喪失で涙を飲んだNo.100 STANLEY NSX-GT。チームを創設し、これまで総監督を務めていた高橋国光氏が先月中旬に急逝されたこともあり、今シーズンは弔い合戦としてタイトル奪還に向けてリベンジの戦いを目指すのは言うまでもない。
GT300もニューマシンが登場
年々シビアな戦いが増えているGT300クラス。今シーズンは岡山でデビューする車両のパフォーマンスに注目してみてはどうだろう。まずはTOYOTA GR86。GT300規定に沿って完成した車両は2台。名門のaprが手掛けている。一方、HOPPY team TSUCHIYAではポルシェからGR Supraへとスイッチ。若手エンジニアやメカニックらが”創意工夫”を凝らしてライバルと群雄割拠の戦いを繰り広げるのではないだろうか。一方、GT3勢としては、BMW Team Studie x CSLがBMW M4 GT3を新たに投入。なお、昨シーズンから導入されたGT300クラスにおける予選の組分けは今シーズンも継続される。一方、今シーズンも岡山戦では、GT300、500両クラスにおいて、決勝レースのドライバー交代時に4本のタイヤ交換を義務付けることになった。シーズン初戦は不確定要素も多く、どのような展開になるか予想することも難しいが、そんな中でも実力あるチームは粛々と好成績を手にすべく準備に余念がないはず。開幕戦は各チームのポテンシャルを見極める、またとない好機とも言えるだろう。
主なスケジュール
OKAYAMA GT 300km RACE
4月16日(土)
09:20〜10:45 公式練習(GT300+GT500)
10:45〜10:55 公式練習(GT300専有)
10:55〜11:05 公式練習(GT500専有)
12 : 40〜13 : 15 ピットウォーク
14:00〜14:10 公式予選Q1 GT300 A組
14:18〜14:28 公式予選Q1 GT300 B組
14:33〜14:43 公式予選Q1 GT500
14:53〜15:03 公式予選Q2 GT300
15:11〜15:21 公式予選Q2 GT500
4月17日(日)
10:20〜11:05 ピットウォーク
11:35〜12:00 ドライバーアピアランス
12:15〜12:30 オープニングセレモニー
12:40〜13:00 ウォームアップ
13:00〜14:00 スタート進行
14:00〜決勝 300km RACE(82周)