SUPER FORMURA 2021 Round.6
スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ、大津弘樹が自身初ポールを獲得!
10月16日、栃木・ツインリンクもてぎにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦の予選が行われた。曇天模様から霧雨に変わっていく難しいコンディションの中、No.15 大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)がただ一人、スリックタイヤで最速タイムをマーク。スーパーフォーミュラで自身初となるポジションを掴み取った。
スーパーフォーミュラでは、第5戦まで新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、日本への入国が厳しく規制されていた外国人選手の参戦が叶わない状態だったが、このほど規制緩和とスポーツの公益性が認められ、特別措置によってようやくNo.4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)が入国に至った。一方、世界耐久選手権(WEC)での海外レース参戦によって、帰国/入国後の日本でのレース活動に制約が設けられることが多かった小林可夢偉、中嶋一貴、さらにタチアナ・カルデロンの3選手もエントリー。ついにこのもてぎでレギュラードライバー19名が勢揃いすることとなった。
予選を前に、フリー走行は午前9時10分にスタート。灰色の雲がサーキット一面に広がり、セッション中は気温、路面温度ともに大きく変化することはなく、また終盤になってから霧雨が時折降る不安定なコンディションに見舞われる。その中でトップタイムをマークしたのはNo. 5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。条件次第ではシリーズチャピオン獲得の権利がある福住は、大きくポイントでリードするランキングトップのNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)を牽制、プレッシャーを与える結果を残した。また、同じく条件によってタイトル獲得のチャンスがあるNo.20 平川亮(carenex TEAM IMPUL)が2番手に続き、トップランカーの野尻は3番手につけた。
ノックアウト予選は午後1時35分からスタート。まずQ1・A組に9台が出走する。そろそろニュータイヤでのアタックが始まろうとしたとき、No. 7 小林可夢偉(KCMG)が90度コーナー進入時に左リヤタイヤがわずかに縁石に乗ってしまい、スピン。態勢を崩してセカンドアンダーブリッジ内のアウト側に設置されたクラッシュバリアに激しく接触し、フロントウィングがバリアの下に潜り込んでしまった。このアクシデントでセッションは赤旗が出され、6分近く中断した。その後、残り時間3分での再開となったが、大半のドライバーがこれを機にニュータイヤを装着。ワンアタックに挑んだ結果、福住がトップ通過を果たし、続いてNo.64 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、大津のホンダエンジンユーザーがトップ3を独占。トヨタエンジンユーザートップは4番手のNo. 3 山下健太(KONDO RACING)となった。続くmQ1・B組は当初より6分遅れでスタート。懸念されていたかなり細かな霧雨が降り始めた。この段階でウェットタイヤを装着することはなく、野尻がトップでこのセッションを終了。これにNo.51 松下信治(B-MAX RACING TEAM)、No. 6 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が続いた。
Q2もA、Bの2組に分かれての実施。その中で、A組ではタイトル獲得の可能性が残されていた平川、さらには福住のふたりがタイムを伸ばすことができず、揃って敗退が決定。波乱の展開となった。結果を左右したのはタイヤ選択。開始とともに全車スリックタイヤでコースに向かったが、アウトラップを終えた2台がウェットタイヤへと交換。実は、セッション開始から3分後にウェット宣言が提示されていたため、交換が可能となっていた。このあと平川も追ってピットインしたが、結果的に戻るタイミングが遅れることとなり、ウェットタイヤで走行できたのはアウトラップのみ。それでも自己ベストタイムを更新して暫定3番手につけていた。ところが、最後の最後までスリックタイヤで粘りのアタックを続けた2選手が自己ベストタイム更新に成功。結果、平川は5番手に後退し、残念ながらQ3進出は果たせなかった。一方、トップ通過のNo. 3 山下健太(KONDO RACING)はウェットタイヤ選択が奏功、今シーズン初のQ3進出を決めた。Q2・B組は、さらにタイヤ選択に悩むドライバーが多く見られ、すでにウェットでコースインする選手や、ピットの中でウェットからスリックへと戻してコースに向かう選手の姿があった。だが、アウトラップ後にウェットへと交換する選手が続き、結果としてQ3進出を果たした4台すべてがウェット装着車に。なお、トップ通過はNo.19 関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)。これに野尻が続き、No. 1 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)は3番手に入り、今シーズン初のQ3進出を果たした。
迎えたラストアタックのQ3。上空が赤ルックなり、雨量もかなり減っていたが、このセッションでは全車がウェットタイヤ装着でのアタックかに思われたが、さにあらず。大津だけがスリックを選択してコースに向かった。序盤はウェットタイヤでのタムが圧倒的に速さを見せたが、終盤、残りおよそ2分の時点でタイムアップし始めた大津は全セクターで全体ベストをマーク。1分33秒463とライバルを大きく引き離し、トップへと躍り出た。この時点でウェットタイヤ勢トップの2番手山本のタイムは1分36秒847。大津のポールポジションはほぼ確定していたが、さらにアタックを続け、1分32秒317へとタイムを削る走りを披露。クルマの状況を確認するための走行だったと会見で明かした。2番手山本に続いたのは、野尻。セッション後半に戻り、新たなウェットタイヤで再度アタックに臨み、自己ベストタイムを更新。8番手から3番手へとポジションアップを果たす意地を見せた。この躍進によって、野尻は予選3番手に与えられる1ポイントを計上。タイトル獲得に向け、より可能性を高いものとしている。
明日の決勝も不安定な天候になるといわれる第6戦決勝。ウェットタイヤでの戦いとなるのか、スリックタイヤが混在する中でのバトルとなるのか、チャンピオン決定の可能性もある一戦は、多くの不確定要素の中で繰り広げられそうだ。
第6戦ツインリンクもてぎ・予選結果 トップ3
1.No.15 大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)1’32.317
2.No. 1 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)1’36.847
3.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’37.141