SUPER FORMURA 2021 Round.6 - イベント・レースレポート

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SUPER FORMURA 2021 Round.6

2021年10月18日

大津弘樹がポールから自身初勝利。年間タイトルは野尻智紀が決める!


10月18日、栃木・ツインリンクもてぎにて開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦決勝。ウェット路面からのスタートを経て、刻々と変化する難しいコンディションに、荒れ模様のレースとなったが、自身初のポールポジションからスタートを決めたNo.15 大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)が冷静なレース運びを見せて、待望の初優勝を飾った。また、このレースでチャンピオン獲得に王手をかけていたNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)は5位でフィニッシュ。ライバルの脱落も味方し、自身初のシリーズタイトルを手にしている。
 

決勝を迎えたツインリンクもてぎは、前夜からの雨が残り、午前中のフリー走行は完全なウェットコンディションで行われた。だが、午後からの決勝を前に、天候が回復する予報が出ていたため、どのようなセットアップを用意すべきか、ドライバーやチームは頭を悩まされることになった。実際、雨はサポートレース中も降り続き、気温も15度に満たない状態。しかし、徐々に雨が少なくなり、午後2時からのスタート前チェックとして行われた8分間のウォームアップ走行が始まると、完全に雨が上がる。だが、この時点で日差しもなく、冷たく強い風が吹いており、コースコンディションは依然としてウェットのまま。結果、全車がウェットタイヤ装着の形で午後2時45分に35周の戦いの火蓋が切って落とされた。
 

ポールスタートの大津は若干出遅れ、2番手スタートのNo. 1 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)に1コーナー進入で並ばれたが、なんとか押さえてトップを死守。一方、3位スタートの野尻はタイヤの発動が悪く、防戦一方。次々と襲いかかるライバルに対抗しきれず、7番手までポジションを下げてオープニングラップを終えている。これに対し、3位浮上を果たしたのがNo. 3 山下健太(KONDO RACING)。続く4番手にはNo.39 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)が上がり、その勢いで山下とのバトルに持ち込み、8周目の3コーナーで逆転を果たした。また、翌周にはスタートで予選11番手から大きくポジションアップしたNo.51 松下信治(B-MAX RACING TEAM)が山下を攻略。山下はウェットタイヤでの走行継続が難しいと判断、チームメイトのNo. 4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)も9周終わりでピットインし、ライバルより早いタイミングでスリックタイヤに交換した。だが、そのアウトラップでフェネストラズがスピン、コースアウトを喫して5コーナーでストップ。これを見て、トップの大津はじめ次々とタイヤ交換のためにピットへと舞い戻ってきた。
 

そのタイミングとほぼ同時にコースへはセーフティカー(SC)が導入されることになり、各車は好判断が奏功。逆に山下は集団後方に沈むこととなった。レースは14周にリスタート。この頃になると天候が回復、上空から日差しが降り注ぐようになり、路面の徐々にドライアップし始める。そんな中、最初のSCのタイミングでステイアウトしたことで暫定トップに立っていた山本とNo.20 平川 亮(carenex TEAM IMPUL)が16周終わりでピットイン。再び大津がトップに立ったが、翌周には1台のクルマが2コーナー先でクラッシュ。2度目のSC導入を招いた。21周目にはリスタートを迎えたが、この際、周回遅れながら上位グループに挟まれるように走っていたNo.64 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)が走行ラインを譲るために3コーナー付近でスローダウン。だがこの状況が混乱を招いたか、ポジション争いをしていた後続の車両がコースアウトや接触するなど、アクシデントが立て続けに発生。結果、No.38 坪井 翔(P.MU/CERUMO・INGING)が単独スピン、そして山本と平川が接触してコースサイドでスタックしてしまう。これがまたSC導入に繋がり、レースは24周終了時周に3度目のリスタートを迎えた。度重なるアクシデントによって、レースは周回数ではなく、70分の時間制レースになる可能性もあったが、再開後はクリーンな数々のバトルを繰り広げた。

まず、25周目には4番手のNo.19 関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)がNo. 6 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)をロックオン。さらにこの2台に野尻が大接近する。しかし、牧野は後続よりも目の前の阪口をターゲットに攻め立て、また阪口もトップの大津に詰め寄る。トップ3台はファステストラップを次々と塗り替える速さで優勝争いを見せる。だが、大津はオーバーテイクシステム(OTS)を使って猛追するライバルに対し、OTSなしで応戦。隙を与えない。すると、この展開を見た関口が、OTSが使えなくなった前の2台に対し、OTSで反撃。28周目の3コーナーで牧野を仕留める。その後、チェッカーまで5周を切ってなお、トップ3台はそれぞれ1秒に満たない僅差での激しいポジション争いのバトルになっていたが、この状況でも大津はファステストラップを更新する強さを披露。次第に2位阪口との差が広がった。
 

レースはこのまま大団円を迎えるかに思われたが、33周目の最終コーナー立ち上がりで関口が痛恨のオーバーラン。後続の牧野との差が詰まり、翌周はともにOTSを使っての攻防となり、3コーナーで牧野が先行。タフなレースで初勝利を完勝を果たした大津、2位を守りきった阪口に続き、牧野がギリギリのところで粘りを見せて3位をもぎ取った。そして、4位関口に次いで5位チェッカーを受けたのが、野尻。レース前にまだタイトル獲得の可能性があったライバルがひとり、またひとりと脱落。結果、このレースをもって野尻のシリーズチャンピオンが確定。なお、野尻にとっては、参戦8年目でスーパーフォーミュラチャンピオンを獲得したことになる。
 

第6戦ツインリンクもてぎ・決勝結果 トップ3

1.No.15 大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)1:09.37.200・35Laps
2.No.39 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)+1.706
3.No. 6 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+5.267



2021年10月17日

スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ、大津弘樹が自身初ポールを獲得!


10月16日、栃木・ツインリンクもてぎにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦の予選が行われた。曇天模様から霧雨に変わっていく難しいコンディションの中、No.15 大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)がただ一人、スリックタイヤで最速タイムをマーク。スーパーフォーミュラで自身初となるポジションを掴み取った。
 

スーパーフォーミュラでは、第5戦まで新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、日本への入国が厳しく規制されていた外国人選手の参戦が叶わない状態だったが、このほど規制緩和とスポーツの公益性が認められ、特別措置によってようやくNo.4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)が入国に至った。一方、世界耐久選手権(WEC)での海外レース参戦によって、帰国/入国後の日本でのレース活動に制約が設けられることが多かった小林可夢偉、中嶋一貴、さらにタチアナ・カルデロンの3選手もエントリー。ついにこのもてぎでレギュラードライバー19名が勢揃いすることとなった。
 

予選を前に、フリー走行は午前9時10分にスタート。灰色の雲がサーキット一面に広がり、セッション中は気温、路面温度ともに大きく変化することはなく、また終盤になってから霧雨が時折降る不安定なコンディションに見舞われる。その中でトップタイムをマークしたのはNo. 5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。条件次第ではシリーズチャピオン獲得の権利がある福住は、大きくポイントでリードするランキングトップのNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)を牽制、プレッシャーを与える結果を残した。また、同じく条件によってタイトル獲得のチャンスがあるNo.20 平川亮(carenex TEAM IMPUL)が2番手に続き、トップランカーの野尻は3番手につけた。
 

ノックアウト予選は午後1時35分からスタート。まずQ1・A組に9台が出走する。そろそろニュータイヤでのアタックが始まろうとしたとき、No. 7 小林可夢偉(KCMG)が90度コーナー進入時に左リヤタイヤがわずかに縁石に乗ってしまい、スピン。態勢を崩してセカンドアンダーブリッジ内のアウト側に設置されたクラッシュバリアに激しく接触し、フロントウィングがバリアの下に潜り込んでしまった。このアクシデントでセッションは赤旗が出され、6分近く中断した。その後、残り時間3分での再開となったが、大半のドライバーがこれを機にニュータイヤを装着。ワンアタックに挑んだ結果、福住がトップ通過を果たし、続いてNo.64 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、大津のホンダエンジンユーザーがトップ3を独占。トヨタエンジンユーザートップは4番手のNo. 3 山下健太(KONDO RACING)となった。続くmQ1・B組は当初より6分遅れでスタート。懸念されていたかなり細かな霧雨が降り始めた。この段階でウェットタイヤを装着することはなく、野尻がトップでこのセッションを終了。これにNo.51 松下信治(B-MAX RACING TEAM)、No. 6 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が続いた。
 

Q2もA、Bの2組に分かれての実施。その中で、A組ではタイトル獲得の可能性が残されていた平川、さらには福住のふたりがタイムを伸ばすことができず、揃って敗退が決定。波乱の展開となった。結果を左右したのはタイヤ選択。開始とともに全車スリックタイヤでコースに向かったが、アウトラップを終えた2台がウェットタイヤへと交換。実は、セッション開始から3分後にウェット宣言が提示されていたため、交換が可能となっていた。このあと平川も追ってピットインしたが、結果的に戻るタイミングが遅れることとなり、ウェットタイヤで走行できたのはアウトラップのみ。それでも自己ベストタイムを更新して暫定3番手につけていた。ところが、最後の最後までスリックタイヤで粘りのアタックを続けた2選手が自己ベストタイム更新に成功。結果、平川は5番手に後退し、残念ながらQ3進出は果たせなかった。一方、トップ通過のNo. 3 山下健太(KONDO RACING)はウェットタイヤ選択が奏功、今シーズン初のQ3進出を決めた。Q2・B組は、さらにタイヤ選択に悩むドライバーが多く見られ、すでにウェットでコースインする選手や、ピットの中でウェットからスリックへと戻してコースに向かう選手の姿があった。だが、アウトラップ後にウェットへと交換する選手が続き、結果としてQ3進出を果たした4台すべてがウェット装着車に。なお、トップ通過はNo.19 関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)。これに野尻が続き、No. 1 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)は3番手に入り、今シーズン初のQ3進出を果たした。
 

迎えたラストアタックのQ3。上空が赤ルックなり、雨量もかなり減っていたが、このセッションでは全車がウェットタイヤ装着でのアタックかに思われたが、さにあらず。大津だけがスリックを選択してコースに向かった。序盤はウェットタイヤでのタムが圧倒的に速さを見せたが、終盤、残りおよそ2分の時点でタイムアップし始めた大津は全セクターで全体ベストをマーク。1分33秒463とライバルを大きく引き離し、トップへと躍り出た。この時点でウェットタイヤ勢トップの2番手山本のタイムは1分36秒847。大津のポールポジションはほぼ確定していたが、さらにアタックを続け、1分32秒317へとタイムを削る走りを披露。クルマの状況を確認するための走行だったと会見で明かした。2番手山本に続いたのは、野尻。セッション後半に戻り、新たなウェットタイヤで再度アタックに臨み、自己ベストタイムを更新。8番手から3番手へとポジションアップを果たす意地を見せた。この躍進によって、野尻は予選3番手に与えられる1ポイントを計上。タイトル獲得に向け、より可能性を高いものとしている。

明日の決勝も不安定な天候になるといわれる第6戦決勝。ウェットタイヤでの戦いとなるのか、スリックタイヤが混在する中でのバトルとなるのか、チャンピオン決定の可能性もある一戦は、多くの不確定要素の中で繰り広げられそうだ。
 

第6戦ツインリンクもてぎ・予選結果 トップ3

1.No.15 大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)1’32.317
2.No. 1 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)1’36.847
3.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’37.141



2021年10月14日

SUPER FORMULA 第6戦もてぎ プレビュー


連戦のもてぎ、王者確定の可能性もある一戦に

 

前回の戦いからおよそ1ヶ月半。いよいよ今シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権も終盤戦となり、佳境に入る。長らく新型コロナウイルス感染拡大防止の対策によってレース参戦を控えることを強いられたドライバーたちも復帰を果たし、その一方でチャンピオン争いを巡る戦いも盛り上がりを見せる中での一戦だけに、大いに盛り上がりを見せてくれそうな気配がする。
 

レギュラードライバーの4名が復帰!

コロナ禍で昨シーズンから様々な規制を設けてきたスーパーフォーミュラ。今シーズンは、海外レース_世界耐久選手権(WEC)にレギュラー参戦中の小林可夢偉(KCMG)、タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)、中嶋一貴(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)の3名が参戦のたびに日本政府の入国における水際対策の一環として日本でのレース参戦を見送らなければいけない状況となっていた。一方、昨シーズンはフル参戦したものの、シーズン終了後に”里帰り”で日本を離れていたサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)は入国ビザの発行が叶わず、長い間渡日を果たせなかった。それが9月末をもって緊急事態宣言が解除され、様々なハードルが下がったことも追い風となってフェネストラズも無事に日本へ舞い戻ってきた。待ちわびた日本でのレース活動が再開され、ようやくこのもてぎ大会でシーズン初レースを迎えることになる。所属チームは変わらないものの、今シーズンからチーフエンジニアが変わっているため、正直なところ短期間でどこまでコミュニケーションが確立できるか未知数の部分も残されてはいるが、チームのバックアップを味方に、今大会そして最終戦の鈴鹿でアグレッシブなパフォーマンスを披露してもらいたいものだ。
 

なお、小林、カルデロン、中嶋の3選手だが、今シーズンの参戦は残念ながら今回のもてぎが最後となる。というのも、最終戦の鈴鹿大会とWEC第5戦(バーレーン)のレース開催日が重複しているのがその理由だ。このため、中嶋は開幕戦以来、カルデロンは第2戦以来、そして小林は今シーズン”最初で最後”の出走となってしまうが、国際レースで活躍する3選手の勇姿を目の当たりにできる絶好のチャンスと受け止め、その戦いぶりに注目したい。
 

タイトル争いは佳境に

残り2戦となった今シーズンの戦い。コロナ禍で昨シーズンに続いてシリーズ選手権のポイントシステムは「有効ポイント制」が導入されている。結果、合計ポイントの上位5大会の総合計で争うことになっているが、第5戦終了時点での暫定トップは野尻智紀(TEAM MUGEN)。予選での速さ、決勝での強さの双方で見事な走りを披露、ライバルを圧倒する戦いを見せており、まさに勢いに乗って自身初のタイトル獲得に王手をかけている状態だ。シーズン3勝をマークし、ポイントリーダーでもある野尻は現時点で76ポイントを獲得。ランキング2位の大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)は41ポイント、同3位の関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)が39.5ポイントで続いている。しかし、今大会が第6戦に当たるため、ドライバーによっては、有効ポイント制に基づき、たとえ成績を残してもこの先カウントされない得点もあるわけで、結果としてランキングに変動が起こる可能性も出てくる。コツコツと毎レースポイントを加算しているドライバーにとっては、この有効ポイント制が恨めしい状況になってしまうかもしれない。
 

一方、野尻自身は、今大会で戴冠実現という可能性もある。予選、決勝で計12ポイント以上を獲得すれば、ライバルの活躍は関係なしでタイトル獲得が叶う。予選&決勝3位で計12ポイントになることから、野尻は予選で上位3番手までに入り、決勝でも表彰台に上がれば念願のチャンピオンを決めることができる。今シーズンは第5戦、第6戦でもてぎが連戦になった(当初予定されていた第6戦岡山大会の代替)が、その第5戦で文句なしのポール・トゥ・ウィンを飾っており、野尻そしてチームが”もてぎでの勝ちパターン”を見つけていることを考えれば、最終戦を待たずしてタイトル獲得を決めることも充分に考えられるだろう。
 

前大会はまだ夏の暑さがしっかりと残っており、タイヤにもドライバーにもタフな一戦であったが、今週末の一戦は秋の訪れを感じる中での戦いになるはず。天候次第では、タイヤの扱いが難しくもなる。また、もてぎ特有のストップ&ゴーのコースレイアウトゆえ、ブレーキに厳しく、抜きどころの少ない戦いになることから、予選での好位置確保がレースに向けての重要課題になることは間違いない。シーズン終盤となり、タイトル争いからは遠ざかってしまったドライバーにとっても、今後の戦いに向けてベストパフォーマンスを見せなければならない一戦でもある。各ドライバーの熱心な”仕事ぶり”をしっかりと見届けたい。
 

■主なタイムスケジュール


・10月16日(土)
09:10 – 10:40 フリー走行
13:35 – 公式予選(ノックアウト方式)
13:35 – 13:45 Q1(A組→上位7台がQ2へ)
13:50 – 14:00 Q1(B組→上位7台がQ2へ)
14:10 – 14:17 Q2(A組→上位4台がQ3へ)
14:22 – 14:29 Q2(B組→上位4台がQ3へ)
14:39 – 14:46 Q3
 

・10月17日(日)
10:50 − 11:20 フリー走行
14:00 – 14:45 スタート進行
14:45 –  決勝(35Laps)





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