SUPER GT 2020 Round.8
SUPER GT第8戦富士 プレビュー
コロナ禍で開幕がおよそ3ヶ月遅れた今シーズンのSUPER GTも、いよいよ最終戦を迎える。開幕後は第4戦まで無観客開催が続いたものの、シーズン後半戦に突入した第5戦以降からファンを迎え入れ、毎戦ドラマチックな展開を繰り広げてきた。大混戦の中、最後の富士戦で笑うのは、いったいどのチームになるのだろうか。
類まれなる僅差のタイトル争い
年間8戦でチャンピオン争いを展開するSUPER GT。通常、北は宮城・スポーツランドSUGOから南は大分・オートポリスまでの6サーキット、そして海外戦の1戦を加えて実施されている。だが、今シーズンは新型コロナウィルス感染症拡大防止策に則り、栃木・ツインリンクもてぎおよび三重・鈴鹿サーキットで各2戦、そして残る4戦は静岡・富士スピードウェイで開催するという変則スケジュールが導入された。この”イレギュラー”のスケジュールが影響しているかどうかは定かではないが、今シーズンは各車が拮抗した戦いを繰り広げており、シリーズチャンピオンを巡る戦いが極めてシビアな状況におかれている。
現在、ドライバーランキングトップはNo.17 KEIHIN NSX-GTの塚越広大/ベルトラン・バゲット組。2番手はNo.37 KeePer TOM’S GR Supraの平川亮が同ポイントで続く。同ポイントで2位というのは、優勝1回の37号車に対し、17号車が2度優勝を遂げているためだ。なお、37号車は前回からドライバーがニック・キャシディから山下健太にスイッチされており、タイトル獲得の権利は平川のみが保有している。続く3番手はトップと2点差のNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rの松田次生/ロニー・クインタレッリ組。そして23号車と同ポイントながら、今季まだ優勝がないNo.100 RAYBRIG NSX-GTの山本尚貴/牧野任祐組が4番手となり、5番手はトップに3点差のNo.8 ARTA NSX-GTの野尻智紀/福住仁嶺組。そして6番手がトップと4点差のNo.14 WAKO’S 4CR GR Supraの大嶋和也/坪井翔組が続いており、6番手まで自力タイトルの可能性がある。ただ、14号車に関しては、予選でポールポジションを獲得して1点を計上することが必須条件。というのも、仮に14号車がポールを獲らずに優勝した場合、合計67点になる一方、もし17号車がポールから2位でレースを終えた場合は16点が計上され、合計67点で同点となる。ところが、17号車は今季すでに2勝を挙げていることが”切り札”となって、タイトルを手にすることができるというわけだ。
これまでも最終戦の結果によって逆転を果たし、チャンピオンに輝いたチームは数知れない。だが、条件こそあれど上位6チームによるタイトルを巡る決戦を繰り広げることは極めて稀なケースだと言えよう。とりわけ、今シーズンはトヨタ勢がニューマシンのGR Supraを投入、まだホンダ勢もエンジン搭載位置をミッドシップからフロントへと変更したNSX-GTをリリース。シーズン中はコロナ禍でテストも実施されず、例年よりもタフな条件であったはず。にも関わらず、各車が毎戦秀でたパフォーマンスを披露した結果、最後の最後までしびれるような混戦を繰り広げてきたのではないだろうか。SUPER GTならではの”ウェイトハンディ”がレース結果によって課せられる中でも各車がつねに存分な実力を発揮したことは、SUPER GT車両のポテンシャルの高さを象徴しているとも言えるだろう。
決戦の舞台は、今季4度目の富士
さて、最終戦の決戦は富士スピードウェイ。今シーズンは今回で4度目となる。7月の開幕戦で勝ち名乗りを挙げたのは、37号車。続く8月の第2戦は17号車がFRエンジン搭載車として初の優勝を飾った。だが、10月に行われた第5戦は、No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraが優勝。結果、車種別の勝ち星ではSupra2勝、NSX-GT1勝となり、また、開幕戦でトップ5をSupraが独占した事実を踏まえると、Supraに有利かと思われる。だが、ウェイトハンディが厳しくなる中での戦いを見てもわかるように、ハンディを物ともせず毎戦毎戦着実にピントを計上し、僅差でしのぎを削っている各車のポテンシャルを考慮すれば、富士だからといってSupraがリードできるという保証はもはやないと言っても過言ではないだろう。
Supra、NSX-GTを追随する日産勢も黙ってはいないだろう。今季は23号車が劇的な勝利で2勝を挙げており、現在のランキングは3位。他のGT-Rは唯一No.12 カルソニックIMPUL GT-Rの佐々木大樹/平峰一貴組が表彰台に立っただけに留まっているが、条件が揃えばGT-R勢の反逆にも期待が高まる。いずれにせよ、集大成となる最終戦ではどのドライバー、どのチームにとってもシーズンを締めくくる重要な一戦だけに、今シーズン一番の好成績で大団円を迎えたいというのが本音に違いない。
GT300も混戦模様。条件次第で逆転もありうる
GT500クラスに負けじと劣らず、GT300クラスも熾烈なタイトル争いを繰り広げている。現在ランキングトップはNo.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rの藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組。第5、第7戦での勝利によって大きくジャップアップし、タイトル獲得に王手をかけている。2番手のNo.65 LEON PYRAMID AMGの蒲生尚弥/菅波冬悟組との差は5点。65号車はポール・トゥ・ウィンで2018年以来のタイトルが実現する(18年は黒澤治樹/蒲生尚弥組)だけに、是が非でも勝ちたいところだろう。
3番手以降もチームにも、逆転タイトルの可能性は残されている。だが、優勝が必須条件はもちろんのこと、自分たちよりも上位にいるライバルの結果次第。しかもその条件がかなり厳しいことから、まずはレースの展開を味方につけ、勝ちを狙っていくことになる。いずれにせよ、レースは水もの。チェッカーを受けるまで何が起こるかわからない世界だけに、どのような戦いになるのかその結末を楽しみに待ちたいものだ。
現時点でレースが開催される富士スピードウェイ周辺の天気は晴れ模様とのこと。だが、寒暖の差が大きくなっている中、日中も日差しに恵まれなければ気温が大きく下がる可能性が高い。そうなってくると、タイヤと路面のコンディションを上手に見極め、低くなるであろう路面温度をうまく味方につけて戦う必要がある。さて、シーズンを締めくくる最後の一戦、どのようなドラマが待ち受けているのだろうか。期待が膨らむ。
主なスケジュール
たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE
11月28日(土)
09:00〜10:25 公式練習(GT300+GT500)
10:25〜10:35 公式練習(GT300専有)
10:35〜10:45 公式練習(GT500専有)
13:15〜13:25 公式予選Q1 GT300 A組
13:33〜13:43 公式予選Q1 GT300 B組
13:48〜13:58 公式予選Q1 GT500
14:08〜14:18 公式予選Q2 GT300
14:26〜14:36 公式予選Q2 GT500
11月29日(日)
09:15〜09:35 SGTドライバートークショー
10:20〜10:40 ドライバーアピアランス
11:30〜11:50 ウォームアップ
11:50〜13:00 スタート進行
13:00〜 決勝 300km RACE(66周)