SUPER GT 2020 Round.8
SUPER GT第8戦富士、RAYBRIG NSX-GTが悲願の今季初勝利&年間王者に!
深秋の中、静岡・富士スピードウェイで迎えた2020年最後のシリーズ戦。決戦を迎えたサーキットは前日よりも気温が下がり、日差しこそあれど肌寒さを感じる中で号砲となった。僅差のチャンピオン争いは、優勝したチームがタイトルを手にするというシンプルな構図の中で展開されたが、最終周の最終コーナー手前で事態が急変。No.100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)が逆転優勝を遂げ、同時にシリーズチャンピオンにも輝く結果となっている。
例年稀に見る激戦の中で迎えた最終決戦。SUPER GTならではのウェイトハンディも最終戦には全廃。”勝てばチャンピオン”というガチバトルだけに、ノーウェイトでの容赦ない攻防戦は見どころたっぷりの展開となり、レースは序盤から丁々発止、熱いバトルがあちらこちらで繰り広げられた。
午後1時にフォーメーションラップがスタート。11月下旬の開催ということもあり、2周のフォーメーションが設けられるも、気温9℃、路面温度17℃という状況を受けてさらに1周が追加され、レースは1周減算の65周で幕を上げた。スタートダッシュを見せたのは、ポールポジションのNo.37 KeePer TOM’S GR Supraの山下健太。ところが、予選6番手のNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rのロニー・クインタレッリが怒涛の追い上げを見せる。なんと1周目で1台、また1台と逆転を果たし、4位へ。すると、ダンロップコーナーで接戦中だった3台のGR Supraを一気にパス。結果、オープニングラップでトップを奪取する。だが、逃げようとする23号車を37号車が追い、6周目から7周目のストレートでトップを奪還。その後は後続を一気に引き離しにかかった。
リードし始めた37号車に対し、23号車はNo.36 au TOM’S GR Supraのサッシャ・フェネストラズに逆転を許し、さらにはNo.17 KEIHIN NSX-GTのベルトラン・バゲットをかわした100号車の牧野にも後塵を拝すとその後ズルズルと後退。今度は36号車と100号車による2番手争いへと様相が変わった。激しくポジションを入れ替えながら周回していた2台だったが、22周終わりで100号車がまっ先にルーティンワークのピットインを実施。山本へと交代する。ところが、同一周回でピットインしていたNo.14 WAKO’S 4CR GR Supraがなんと100号車より先にコースへ復帰。ピットイン直前は5番手だった14号車だが、タイヤ無交換を敢行して逆転を目論む戦略を選択していたのだ。一方、トップの37号車もその翌周にピットイン。作業後、山下に代わってコースに復帰した平川は2番手に14号車の坪井を従える形でレースを再開する。
27周終わりの時点で全車がルーティンのピットインを完了。28周目から37号車がトップに復活したが、その後ろでは再び激しポジション争いが勃発する。その中で2番手につけていた14号車だが、30周目の1コーナーで36号車の関口と鍔迫り合いとなり、接触。この影響で車両にダメージを受け、加えて電装系のトラブルが発生。2度のピットインの末に戦線離脱の結末を迎えた。なお、このバトルを味方にしたのが100号車。”漁夫の利”で36号車に先行。15秒近くある37号車への猛追が始まった。一方、3番手争いは36号車を17号車の塚越が追う形となったが、周回を重ねるごとに2台のギャップが広がり、次第に単独走行へと変化した。
レースは終盤に入り、トップ37号車と2番手100号車の差に変化が出始める。15秒以上あった差が10秒を切り、1周ごとに1秒ずつ削り取られていくことに。ラップタイムで上回る100号車の追撃により、とうとう62周目には2台の差が2.092秒まで縮まる。だが、残り周回数3周になると今度は37号車の好タイムをマーク。2台の差が再び開いた形でファイナルラップを迎え、メインストレートにはチェッカーフラッグが用意される。
だが、最終コーナー手前のGR Supraをコーナーで37号車が急激に失速。ウィニングランにはまだ早すぎるタイミングでのスローペースに背後の100号車が追いつき、逆転! なんと37号車は最終コーナーを息も切れ切れの状態で立ち上がってなんとかチェッカーを受けたものの、100号車がすでに逆転勝利のフィニッシュラインを通過。劇的な幕切れによって今シーズン初勝利を上げた100号車が今シーズンのドライバータイトルおよびチームタイトルの両方を手にする結果となっている。
レースは100号車、37号車、36号車が表彰台を獲得。一方、ドライバータイトルは100号車に続き、37号車が2位、そして第7戦終了時点でランキングトップだった17号車が3位という結果になっている。
GT300クラスは、予選でポールポジションを手にしたNo.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組)が決勝でも力走を披露。スタート直前は予選2番手のNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)がトップを奪取。ともにタイトル獲得には優勝が必須の2台は激しいバトルを繰り広げ、52号車が再びトップに返り咲き、レースを牽引した。
ルーティンワークを真っ先に敢行したのはタイトル争いに絡むNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟組)。お決まりの”タイヤ無交換”で逆転勝利を目論む。加えて逆転勝利のために52号車も無交換を選択した。レースは40周を過ぎた時点で、トップ52号車は2番手の65号車に対し、35秒という大差を構築。一方、ランキングトップで最終戦を迎えたNo.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)は4番手まで浮上、タイトルを手にするためにさらなるポジションアップが必要な56号車はペースアップを始め、3位のNo.6 ADVICS muta 86MC(阪口良平/小高一斗組)へ急速に近づいていく。ハイペースで攻める56号車は52周目に逆転を決めて3位へと浮上。その勢いで今度は55周目の1コーナーでペースが優れない65号車をもパス。チャンピオンが約束された2番手で残る周回を重ねていく。
トップを快走する52号車と56号車との差は40秒強。さすがに逆転には至らなかったが、このまま2位でチェッカーを受けた56号車がドライバーおよびチームタイトルの獲得を果たしている。一方、トップチェッカーを受けた52号車はポール・トゥ・ウィンを達成。開幕戦に続く今季2勝目を挙げ、ドライバーランキングでも2位を掴み取っている。
・第8戦富士 決勝結果 各クラストップ3
GT500
1.No.100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)1:40’38.010 65Laps
2.No.37 KeePer TOM’S GR Supra(平川 亮/山下健太組)+5.940
3.No.36 au TOM’S GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組)+16.060
GT300
1.No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組)1:42’00.517 61Laps
2.No.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)60Laps
3.No.6 ADVICS muta 86MC(阪口良平/小高一斗組)60Laps