SUPER GT 2020 Round.6
SUPER GT第6戦鈴鹿 プレビュー
シリーズ第6戦を迎える2020年SUPER GTシリーズ。戦いの舞台は三重・鈴鹿サーキット。コロナ禍で開催カレンダーが大幅に変更された今シーズンは、富士スピードウェイ、ツインリンクもてぎ、そして鈴鹿で複数回レースを実施するという変則的なスケジュールが適用されているが、今季2度目の鈴鹿戦は待望の有観客レースとなり、前回とはひと味もふた味も異なる様相を見せると思われる。タイトル争いに向けて正念場の戦いにもなるだけに、いっそう緊迫した展開になるやもしれない。
■初回と季節が異なる中での第6戦
前回、鈴鹿サーキットでの開催は8月中旬。ほぼ2ヶ月前のタイミングでの一戦は、厳しい暑さが印象的だった。新型コロナウイルス感染対策の観点から、レースではさまざまな”ニューノーマル”のルールが適用されており、前回の鈴鹿戦では灼熱の太陽が照りつける中でマスクを着用しながらの戦いを強いられることに。ドライブ中はマスクを外すことが認められたが、関係者はさにあらず。厳しい暑さにも関わらず、マスク姿で作業に取り組んだスタッフはさぞや過酷な環境であったと思われる。今回は秋本番の中での一戦につき、その心配はないものの、最近は不安定な天候で気温が急激に下がることも珍しくはなく、今週末の天候もどう動くのか気になる。中でも、タイヤマネージメントを考えれば、気温や路面温度をうまく味方につけたいところだけに、できれば秋晴れのレース日和の中で、一戦を迎えたいものだ。
さて、この鈴鹿戦。全8戦で実施されるシリーズ戦を3つに分けた場合、前半、中盤を終えたことになり、今大会はシーズン後半戦の初戦に位置づけされるとも言える。そして、これまでの戦いで好成績を挙げてきたチームにとっては、その”証”であり、また”足かせ”でもあるウェイトハンディが最上限課せられるラウンドでもある。この鈴鹿をどう戦い、どんな結果を残すかによって、残り2戦に向けて、つまりシリーズタイトルに向けての”立ち位置”が大きく変わるため、とにもかくにも”落とせない”一戦になることは言うまでもない。つまり、現実味を帯び始めるチャンピオン争いを占う戦いなのだ。
■各チームによって、異なる目標
この鈴鹿で優勝争いのチャンスが高いのは、ウェイトハンディが軽い、あるいはまだ結果が出せていないチームであることは明確。過去の戦いで速さを見せつつも不運などに見舞われ、涙を呑んできたチームに大量ポイント獲得のチャンスが巡ってくるのではないだろうか。中でも、第2戦、第5戦と今シーズン2度のポールポジションを手にしながら、決勝では不運が続いていたNo.8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組)。前回の第5戦でようやく3位表彰台に上がったが、現時点のランキングはGT500全15台の11位。まだ存分に本領発揮できていないという思いを形に変える絶好の機会になるのではないか。同様に、第4戦で久々に表彰台を獲得したNo.38 ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明組)、また序盤に3連続表彰台を果たすも、その後2戦連続でノーポイントに終わっているNo.36 au TOM’S GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組)も、タイトル争いの上位グループに加わるため、鈴鹿では1ポイントでも多く計上したいところだろう。もちろん、第3戦、同じ鈴鹿の覇者であるNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)にもそのチャンスがある。なにしろ、2018年第2戦富士以来となる、GT-Rの勝利を前回達成しているだけに、その勢いを今回も発揮したいところ。お世辞にもウェイトハンディが軽いとは言えないが、条件が揃えば百戦錬磨のベテランドライバーふたりが見どころある戦いを見せてくれるかもしれない。
SUPER GTでは、獲得ポイントに合わせてウェイトハンディが課せられるルールを適用するが、燃料流量リストリクターの口径サイズを下げることで、この搭載ウェイトを”相殺”するシステムが採用されている。よく”1リスダウン、2リスダウン”という表現を目にするかと思うが、これはリストリクターのサイズを通常より小さくする変わりにウェイトを軽減できるというもの。エキストラのウェイトが軽減される分、加速時には存分なパワーを確保しづらくなるものの、ドライバーによる巧みなドライビングテクニックで後続車両の猛追をシャットアウトし、ポジションキープしやすい状況を手に入れることも可能なだけに、チームとしての総合力を最大限活かしたいところだ。
■ハンディをものともしないGT300勢だが…
前回のもてぎ戦は上位ランキング車がウェイトハンディをものともせずに活躍。だが、その結果として今大会でのウェイトがさらに増えたことで、上限の100kgを超えるクルマが5チーム、さらに90kgを超えるのが2チーム存在する。さすがにこれらのチームがこの鈴鹿でも猛威を振るうとは考えにくいため、ようやく彼らの時点につけるチーム、あるいは様々な条件に苦しんできた実力派チームに、光明が見えてくるのではないだろうか。特に今シーズンは、予選での速さはあるものの、決勝での結果にうまく繋ぎきれないチームが多い。今季2度ポールポジションを獲得しているNo.6 ADVICS muta MC86(阪口良平/小高一斗組)もそのひとつ。新しいチームで結果を出すことが何よりも求められる中、この鈴鹿でのパフォーマンスに注目が集まりそうだ。
終盤戦に向けて最後の難関に挑む各チーム、ドライバーの激しい戦いはますますヒートアップするものと思われる。前回から有観客開催となったSUPER GT。サーキットで、そしてTVなどの観戦で存分に戦いの行方を味わえることだろう。
■主なスケジュール
FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE
10月24日(土)
09:20〜10:45 公式練習(GT300+GT500)
10:45〜10:55 公式練習(GT300専有)
10:55〜11:05 公式練習(GT500専有)
14:00〜14:10 公式予選Q1 GT300 A組
14:18〜14:28 公式予選Q1 GT300 B組
14:33〜14:43 公式予選Q1 GT500
14:53〜15:03 公式予選Q2 GT300
15:11〜15:21 公式予選Q2 GT500
10月25日(日)
09:00〜09:20 SGTドライバートークショー
10:50〜11:10 ドライバーアピアランス
11:40〜12:00 ウォームアップ
12:00〜13:00 スタート進行
13:00〜決勝 300km RACE(52周)