SUPER GT 2020 Round.3
SUPER GT第3戦鈴鹿 プレビュー
今季初の鈴鹿戦。新たな展開に期待!
第2戦からわずか2週間という短いインターバルで迎える2020年SUPER GTシリーズ第3戦。待ちわびた開幕から、レースは2戦連続静岡・富士スピードウェイでの開催となったが、戦いの舞台がようやく三重・鈴鹿サーキットへと移る。一方、今夏は豪雨が続いた梅雨が明けた途端、例年以上の厳しい暑さが続いており、第3戦の戦いはクルマ同士の激しいバトルだけでなく、様々な”敵”を相手に挑まなければならない一戦になりそうだ。
■かつて”鈴鹿1000km”だった真夏の一戦
”真夏の祭典”鈴鹿1000kmという伝統のレースが長らく開催されていた鈴鹿サーキット。かつては単独イベントとして国内外のプロ&アマチュアドライバーが集い、戦うお祭り的なレースでもあった。初開催は1966年と古く、過去にはオイルショックの影響で開催が中断したり、世情を反映し、1000kmではなく700kmや500kmへと距離を短縮する形を採りながらも2017年まで「1000kmレース」としての開催を継続させてきた歴史あるイベントでもあった。
一方、この1000kmレースがSUPER GTのシリーズに組み込まれたのは2006年のこと。これにより、SUPER GTの規定に伴う車両のみが出場可能なイベントになり、2017年までSUPER GTの一戦として実施された。だが、2018年からは「鈴鹿10時間耐久レース」と名称も変わり、SUPER GTのシリーズ戦からも外れる形を取ったため、2018年シリーズにおける鈴鹿戦は5月へと移動し、レース距離も300kmで競われることになった。
真夏から初夏へと変わった鈴鹿戦だったが、今シーズンはコロナ禍でレーススケジュールの変更が余儀なくされたことから、思わぬ形で”真夏の祭典”が復活。灼熱の太陽の下、奮闘するドライバーとともに厳しい暑さの中で声援を送ったことがあるレースファンにとっては懐かしく、また見どころの多い一戦であることは百も承知だろう。第1、第2戦に続き、今大会も無観客開催になってしまうのはとても残念なことだが、TVなどのリモートメディアを最大限活用し、応援してもらいたいものだ。
■高速サーキットからテクニカルコースへ
序盤の2戦は高速サーキットの富士スピードウェイが舞台であったことから、ストレートスピードに自信のあるGR Supra勢が速さと強さを遺憾なく発揮した。一方で、今シーズンからFRとなった搭載する”新たな”NSX-GT勢も予選で速さをしかとアピール。No.8 ARTA NSX-GTがポールポジションを手にしたことは記憶に新しい。決勝では同じNSX勢のNo.17 KEIHIN NSX-GTが躍進し、その勢いをキープしたまま初優勝をさらっただけに、8号車にとっての今大会はリベンジ戦という位置づけになると思われる。
加えて8号車、17号車の活躍に対し、やや遅れを取っている感じがするのがNo.100 RAYBRIG NSX-GT。今シーズン、新たに牧野任祐を迎え入れ、公式練習やノックアウト予選での速さはすでに披露しているものの、予選や決勝でのアピールが今ひとつパンチ不足という状態だけに、この鈴鹿戦でライバル達に引けを取らない活躍をしたいところだ。いずれにせよ、NSX-GT勢にとってはホームサーキットである鈴鹿での戦い。これまでNSX-GT勢は夏場に苦戦すると噂されてきたが、それはミッドシップ時代に冷却系が不安要素のひとつであったからだと言われている。FRになった今シーズン、その心配要素もなくなり、思う存分、ライバルとのバトルを繰り広げてくれるのではないだろうか。
一方、悲痛なファンの声が聞こえてきそうなのが、日産GT-R勢だ。GR Supra、NSX-GTの後塵を拝する形が続いており、厳しい結果を突きつけられている。とはいえ、第2戦ではGT-R勢最速のNo.12 カルソニック IMPUL GT-Rが予選4位を獲得し、レースでも粘りあるバトルを披露していた。終盤、激しいポジション争いの末にGT300車両と接触したことによるペナルティに泣き、結果こそ残せなかったが、序盤の2戦で好成績を得て搭載するハンディウェイトの影響が出始める今大会こそ、GT-R勢の大逆襲になるやもしれない。試合巧者のNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rのパフォーマンスも気になるところだ。
■GT300、今大会からタイヤ交換義務は白紙に
第2戦では参加車両唯一のミッドシップのマザーシャシーであるNo.2 シンティアム・アップル・ロータスが粘りの戦いでシーズン初優勝を果たしたGT300。ベテランドライバーふたりによる”これぞSUPER GTの戦い方”というテクニカルな戦略が実を結んだ結果でもあった。鈴鹿ではいったいどんな展開を見ることができるのだろうか。
なお、ノックアウト方式の予選では、今大会でもA、B組に区別してQ1を実施。第2戦までの戦歴をもとにクラス分けして実施される。Q1は各15台ずつが出走、上位8台がQ2へ進出できるのだが、この組み合わせがチームによって明暗を分ける可能性もあるため、レースファンにとっては新たな”お楽しみ”になっているとも言われている。JAF GT勢やマザーシャシーの底力にも期待が高まる第3戦鈴鹿は、GT500以上に混戦模様になる可能性も高い。第2戦で導入されたタイヤ交換義務は今大会から白紙になったが、戦略含め、厳しい暑さをどうマネージメントし、ライバルを上回る結果を残すか。あらゆるポテンシャルを最大限に引き出すことが、勝利への近道になりそうだ。
■主なスケジュール
2020スーパーGT第3戦 SUZUKA GT 300km RACE
8月22日(土)
10:00〜11:25 公式練習(GT300+GT500)
11:25〜11:35 公式練習(GT300専有)
11:35〜11:45 公式練習(GT500専有)
14:30〜14:40 公式予選Q1 GT300 A組
14:48〜14:58 公式予選Q1 GT300 B組
15:03〜15:13 公式予選Q1 GT500
15:23〜15:33 公式予選Q2 GT300
15:41〜15:51 公式予選Q2 GT500
8月23日(日)
09:40〜10:00 SGTドライバートークショー
10:30〜10:50 ドライバーアピアランス
10:55〜11:25 ウォームアップ
11:40〜13:00 スタート進行
13:00〜決勝 300km RACE(52周)