スーパーフォーミュラ2019 Round.7
SF第7戦岡山、野尻智紀が今季初勝利! 王座はキャシディの手に!
10月27日、三重・鈴鹿サーキットにおいて全日本スーパーフォーミュラ第7戦の決勝が行われ、予選2位スタートのNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が手堅いレース運びを見せて戦いを牽引。ミスのない力強い走りで待望の今季初勝利を手にした。また、シリーズタイトルを巡る戦いは、予選6番手からスタートを切ったNo.37 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)が2位でフィニッシュ。参戦3年目でシリーズチャンピオンに輝いた。
金曜日は本降りの雨で、思うように練習走行ができなかったスーパーフォーミュラ最終戦。決戦の場所となる鈴鹿サーキットは開幕戦以来の2度目の舞台とあり、マシン開発やタイヤへの理解度が高まる各チーム、ドライバーともシーズンの集大成を見せるべく、予選から熱戦が繰り広げられた。そして迎えた決勝日。朝のフリー走行中はやや薄曇りの天候だったが、次第に日差しが出始め、気温23度、路面温度26度とコンディションか好転することになった。
午後2時、43周の戦いがスタート。まずポールのNo.64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)が好スタートを見せ、これに野尻、さらに予選5位から山本がロケットスタートを決めて3番手へと浮上した。この中でミディアムタイヤを装着していたのは、トップのパロウと山本。一方、野尻はソフトタイヤを選択しており、早めのタイミングでパロウを逆転すべくタイミングを狙うが、そのチャンスが訪れないまま周回を重ねることになった。なお、パロウ、山本とともに王座獲得の可能性を持つキャシディ。ソフトタイヤでスタートし、3周目には3番手の山本を逆転する躍進を見せた。
前回の岡山大会に続き、今回の鈴鹿戦もレース中の使用タイヤについて特別規則が適用され、トップが7周を過ぎた時点からピットインしてタイヤ交換を行うことができるため、ポジション争い中の上位3台はステイアウト。7周を終えて真っ先にピットインしたのは、ミディアムタイヤを装着し、4番手にいた山本だった。一方、上位のミディアム装着車にあたるパロウとNo. 5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が8周終わりでピットインしたことで、ついに野尻がトップに立ち、キャシディがおよそ3秒の差で野尻に追随する。なお、ミディアムからソフトへと交換し、パロウを追う上位の中では、福住が申し分のない走りとピット作業を決めたことで、チームメイトでもある山本へのアンダーカットに成功。スタート直後の逆転にリベンジを果たした。
レースは折り返しを前にして、早くもソフトタイヤのパロウが苦戦。タイムが思うように伸びず、17周目の130Rで福住に逆転を許すと、さらにはあろうことか山本にまで先行されてしまう。これを気に、パロウは次々と後続に追い抜かれ、ポジションダウン。存分なペースを確保できないため、たまらず28周終わりでイレギュラーのピットイン。再度ソフトタイヤに交換し、コースに復帰した。これにより、実質、パロウによる逆転チャンピオンの可能性は消滅。残るはキャシディと山本による一騎打ちとなった。
レースは終盤を迎え、野尻が依然としてトップをキープ、あとはどのタイミングでルーテインのピットインを行うかがカギとなる。2番手のキャシディはミディアムでのペースが良く、野尻に対してプレッシャーをかけながらの走行。気になる山本との差はあったが、キャシディの背後に迫ってくるのが山本のチームメイトでもある福住であったことから、この2台が終盤にかけて激しい攻防戦を繰り広げた。これを尻目にトップの野尻は33周終了時にピットイン。ミディアムタイヤで残り10周へと向かっていく。さらに、翌周はキャシディがピットイン。両者共、落ち着いたノーミスのピット作業を済ませてチェッカーを目指した。
40周を過ぎ、トップ野尻と2番手キャシディとの差は3秒5弱。3番手福住は2秒前後でキャシディを猛追するも、逆転はならず。一方、5番手の山本も目前のNo.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)を追ったが、上位陣に比べあと一歩スピードが足りず、逆転劇に持ち込むには至らなかった。結果、キャシディが2位、山本が5位でチェッカーを受けたことから、最終的に3ポイント差でキャシディが山本を逆転し、2019年シーズンのシリーズチャンピオンに輝いた。シリーズ2位の山本に次いで同3位となったパロウは、19位と残念な結果でレースを終えたが、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得している。なお、最終戦で優勝を飾った野尻は、シリーズ2勝目を達成。2014年SUGO戦以来となる5年ぶりの美酒に寄うこととなった。
全戦で異なるウィナーを生み出した2019年のスーパーフォーミュラ。レース中の展開、戦略次第で結果が大きく左右する戦いも珍しくなかった。その中で、最後は正攻法によるレースが繰り広げられ、真っ向から勝負に挑んだキャシディがシリーズタイトルを手にしている。
■第7戦 鈴鹿サーキット 決勝結果(TOP6)
1.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)1:14’24.627 43Laps
2.No.37 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)+2.532
3.No. 5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+3.883
4.No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)+6.254
5.No. 1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+18.744
6.No.38 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)+22.129
■2019年 シリーズランキング(TOP6)
1.No.37 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)36P
2.No. 1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)33P
3.No.64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)26P
4.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)24P
5.No. 3 山下健太(KONDO RACING)21P
6.No.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)19P