スーパーフォーミュラ2019 Round.6
SF第6戦岡山、SF参戦3年目の山下健太が初優勝!
9月29日、岡山・岡山国際サーキットにおいて全日本スーパーフォーミュラ第6戦の決勝が行われ、予選2番手スタートのNo. 3 山下健太(KONDO RACING)がレース序盤に入ったセーフティカーを味方につけ、スーパーフォーミュラ参戦3年目にして自身初めてとなる優勝を飾った。チームにとっては昨年第4戦以来の勝利となる。
今回、岡山大会では決勝でのタイヤ交換義務について言及。「レース開始10周回目以降にタイヤ交換義務を果たさなければならない」という特別ルールを設けた。薄曇りとは言え、気温30度、路面温度37度と蒸し暑さを感じる中、午後3時5分にレースはスタート。ポールポジションのNo.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)はトップの座を死守するためにソフトタイヤでスタートしたが、予選2番手のNo. 3 山下健太(KONDO RACING)は、ミディアムタイヤをチョイス。逆転勝利に賭けた。続く3番手のNo. 4 国本雄資(KONDO RACING)はソフト、4番手のNo.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)はミディアム、さらに5、6番手のNo. 5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)およびNo.38 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)はソフトを選択。蹴り出しの良いソフトタイヤで国本はトップ平川に迫る戦略を立てたが、クラッチトラブルによる出遅れでまさかの失速。さらにオープニングラップ中に福住と石浦にそれぞれ接触し、9番手まで後退した。
装着したタイヤによってポジションの上下が起こり、落ち着きのないスタートとなったが、その流れは依然として継続。まず8周目に福住がアトウッドカーブでブレーキロックし、コースアウト。左リヤのホイールが損傷しており、これがパンクチャーを招いたとされる。これを受け、セーフティカーがコースイン。車両回収の作業が始まる。そんな中、レースは10周目に突入。特別ルールに準じてピットインが可能となったことから、ミディアムを装着していた車両が続々とピットイン。スタートでソフトを選んだ車両に先行され、6番手に甘んじていた山下を先頭に、中嶋、No.65 牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)、No.64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)、No.51 ハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing team with motopark)に加え、ソフトスタートでポジションを上げていたNo. 1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、No.17 塚越広大(REAL RACING)らもピットになだれ込んだ。すると、作業のタイミングによって混雑したピットレーンで接触事故が発生。ピットを離れてコースに向かおうとしていた牧野がピットに戻ろうとするNo.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と接触。牧野は左フロントタイヤを、また関口は右フロントウィングの翼端板をそれぞれ損傷。牧野のタイヤはサイドウォールを傷めてしまい、態勢を崩して1コーナーでコースアウト。翌周再びピットインを強いられた。また、関口もフロントウィング交換のため、2周連続でピットイン。両者は大きくポジションを落とし、また牧野に対してはのちにドライブスルーペナルティが科せられた。なお、ソフトからミディアムへと交換したドライバーたちは、1周の走行だけで再びピットイン。再びソフトを装着して2種類のスペックタイヤの使用義務を完了。改めて戦いへと戻っていった。
レースは13周目からリスタート。タイムで劣るミディアムをいかに最小数で留めるかを考え、各チームが見出した戦略により、前半はポジションが大きく変動したが、スタートからソフトで周回を重ねる上位陣はタイヤをいたわりつつ周回を重ねており、先にタイヤ交換を済ませて追い上げる”見えない敵”との戦いがレース後半での鍵を握ることになる。
そんな中、2番手にいた石浦が1コーナー付近で失速。右フロントタイヤを傷めてピットに戻ったが、レーススタート時の国本との接触でホイールを破損していたことが原因だった。これで2番手に浮上したのは、現時点でシリーズランキングトップのNo.37 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)。前を走る平川との差を確実に縮める猛追を見せ、57周目のヘアピンで鮮やかに逆転を果たす。
なお、ちょうどその頃、レースは当初の予定であった68周チェッカーから、90分の時間レースになることが決定。セーフティカーランが長引いたことが原因だったようだ。そして59周終わりで平川、さらに60周終わりでキャシディが満を持してピットイン。ミディアムでの終盤を迎えた。すでにタイヤ交換を終えている中でのトップ、山下との差を広げたいキャシディはハイスピードで周回。しかし、その追い上げの最中、62周目にNo.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)と激しい攻防戦を展開し、リボルバーコーナーでまさかの接触を喫し、スピン。この間に後方の車両に先行を許してしまった。また、平川もミディアム装着後は思うようにタイムが伸びず、ポジションダウン。結果、まだピットインしていないNo.50 ルーカス・アウアー(B-Max Racing team with motopark)が64周を終えた時点でようやくピットイン。レース時間として残り2分2秒という状況でついに山下がトップに立った。終盤、山下は背後の中嶋に何度か詰め寄られるも、しっかり車間をコントロール。難しいレース展開を制し、待望のスーパーフォーミュラ初勝利を手にした。2番手には中嶋。チャンピオン経験のあるドライバーながら、今季初優勝を実現させている。3位に続いたのは、ニューウェイ。そつのない走りが3位へと導くこととなった。
予選で後方に沈みながらも、決勝で不意をついたような戦略とSCコースインのタイミングを味方につけた山本。シリーズタイトル争いで再びキャシディをリード。1点差で最終戦の鈴鹿を迎えることになる。
■第6戦岡山国際サーキット 決勝結果(TOP6)
1.No. 3 山下健太(KONDO RACING)1:30’52.967 66Laps
2.No.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)+2.340
3.No.51 ハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing team with motopark)+4.045
4.No.64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)+5.311
5.No.50 ルーカス・アウアー(B-Max Racing team with motopark)+11.174
6.No.15 パトリシオ・オワード(TEAM MUGEN)+12.532
スーパーフォーミュラ第6戦、平川亮が今季初ポールポジション!
下り坂の天候になると言われながらも、雨をしっかりと回避した岡山国際サーキット。9月28日に開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦の予選は、ノックアウト予選Q1の方式が変更されたことが呼び水となったか、見どころの多いアタック合戦を繰り広げることとなった。その中で、トップタイムをマークしたのは、前大会もてぎで自身初の優勝を飾ったNo.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)だった。
予選日の前日、1時間の専有走行が行われ、薄曇りの中、安定した速さを見せていたNo.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がトップタイムをマーク。翌日の予選に向けて自信を見せていた。一方、予選日の朝に実施されたフリー走行でトップタイムをマークしたのは、No.65 牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)。だが、予選に入るとライバル勢も加勢し、波乱の展開へと展開する。
通常、20分のセッションとなるQ1。今回はA、B2組に分けて各10分のセッションで実施。時間を考えるとまさにワンチャンスのアタックの中、まずタイトル争いで2番手につけるNo. 1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がまさかの敗退となった。続くQ2ではアタックチャンスを他車によってフイにされたNo.37 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)も、Q3進出を逃した。
さらに、Q3では終盤に次々とトップタイムが入れ替わる目まぐるしさ。その中で最速タイムを刻んだのが平川だった。続く2番手には、No. 3 山下健太(KONDO RACING)。さらにNo. 4 国本雄資(KONDO RACING)と続き、ミディアムタイヤでのアタックが懸念材料だったKONDO RACINGがその課題を克服。決勝に向けて好機を掴む形となっている。
なお、決勝では、特別規則が導入されルーティンのタイヤ交換義務において「先頭車両が10周回目第1セーフティカーラインを交差した時点から、先頭車両が最終周回に入るまでに完了しなければならない」と定められているため、チームによる戦略の違いも見どころのひとつとなるかもしれない。
■第6戦 岡山国際サーキット 予選結果(TOP6)
1.No.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1’12.700
2.No. 3 山下健太(KONDO RACING)1’12.780
3.No. 4 国本雄資(KONDO RACING)1’12.880
4,No.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)1(12.884
5.No. 5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’12.890
6.No.38 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)1’12.969
第6戦岡山国際サーキット プレビュー
セミファイナル戦、リードを奪うのは誰!?
厳しかった残暑からもすっかり解放され、気がつけばもう9月下旬。前回第5戦からもおよそ1ヶ月半が経った今週末、いよいよ全日本スーパーフォーミュラ第6戦が、岡山・岡山国際サーキットでの一戦が幕を開ける。爽やかな秋空の下でバトルを見たいところだが、チャンピオン争いだけでなくあいにく天候の行方も気になるところ。願わくば、ドライコンディションでの激戦を見届けたいが、いかなる状況でも、タイトルを巡る戦いはより一層ヒートアップするのは言うまでもない。
■ランキング争いは僅差に
今シーズン、開幕の鈴鹿を制したのは、No.37 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)。今シーズン、チーム移籍を果たしたキャシディはSUPER GTでもタッグを組むTEAM TOM’Sとのコミュニケーションをフル活用し、厳しいレースを戦い続け、シリーズ争いをリードしている。その表れは、獲得ポイントを見てもわかる。開幕戦から第5戦まで、ただひとり、すべての戦いで入賞を果たし、ポイントを着実に積み上げているのだ。SUPER GTと違って、スーパーフォーミュラはウェイトハンデなど皆無。毎戦毎戦がガチバトルであるため、誰よりも1ポイントでも多く獲得することが、チャンピオン獲得のためのセオリーとなる。キャシディはそれを実行し、苦しい戦いになってもポイントを掴み取る戦いを続けてきた。たかが1点、されど1点というレースを争う中での”怖さ”を考えれば、内容の濃いシーズンを過ごしていることがわかる。
一方、ランキング2番手につけるのは、ディフェンディングチャンピオンのNo. 1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。こちらも昨シーズン、タイトルを獲得後、心機一転でチーム移籍を果たす中、第3戦SUGOでシーズン初優勝。開幕、第2戦と連続2位入賞を果たし、第2戦からランキングトップのまま第5戦もてぎの戦いを迎えていた。だが、そのひとつ前の第4戦オートポリス、そして第5戦とノーポイントでレースを終了。思わぬ結末となり、キャシディにランキングトップの座も奪取されてしまった。とはいえ、その差はわずか1ポイント。残る2戦の結果次第で存分に逆転の可能性もあり得る。それだけに、このふたりが激しい戦いを繰り広げるのはもちろんだが、ライバル達もただそれを黙って見ているはずはない。なにしろ、今シーズンは全レースにおいて覇者が異なるからだ。展開次第で今季初ウィナーになるチャンスが多くのドライバーにあると考えれば、今大会もより盛り上がりを見せるだろう。
■岡山のコースを味方につけるが勝ち!?
他のサーキットと比べても全長が短い岡山のコース。ユニークなコースレイアウトによってセットアップが難しいという声も聞く。また、抜きどころも決して多くはない。となると、まず予選で好位置を手に入れることが、今大会の重要ポイントになると言っていい。そして、今シーズン、多くのドライバーから聞くのはQ1突破の難しさだ。ミディアムタイヤでのアタックが義務付けられているスーパーフォーミュラだが、このミディアムタイヤをうまく走らせられるかが、大きなポイントとなり、決勝に向けての流れを左右することになる。ミディアムタイヤを味方につけ、そしてコース上でのトラフィックをうまく回避し、Q2へと進出できれば、もうあとは存分なアタックを行うのみだ。
幸い、今シーズンはQ1でのクラス分けが実施される。全20台を2グループに分け、各10台ずつの出走になるのはドライバーには朗報となる。だが、その一方で走行時間は通常の20分から半分の10分に短縮される。与えられた時間では途中にピットインしてセッティングの変更を行う時間など皆無といえるため、一発勝負でアタックに挑むことが求められる。張り詰めた空気を感じる中、ドライバーたちはそのプレッシャーを跳ね除けてアタックに挑むことになる。
チャンピオンを意識するドライバー、勝てそうで勝てずにいるドライバー……、それぞれ目指す”高み”を目指して戦う岡山大会。今シーズンのセミファイナル戦は、いつも以上にシビアな決戦になりそうだ。
■主なタイムスケジュール
・9月28日(土)
09:20 – 10:20 フリー走行
11:05 – 11:50 ピットウォーク
14:25 – 公式予選(ノックアウト方式)
14:25 – 14:35 Q1_A組(10台→6台)
14:45 – 14:55 Q1_B組(10台→6台)
15:05 – 15:12 Q2(12台→8台)
15:22 – 15:29 Q3
17:20 – 17:55 キッズピットウォーク
・9月29日(日)
09:05 – 09:35 フリー走行
12:20 – 13:10 ピットウォーク
15:05 – 決勝(68Laps)