スーパーフォーミュラ2019 Round.5
SF第5戦もてぎ、平川亮が待望のSF初勝利!
8月18日、栃木・ツインリンクもてぎにおいえ全日本スーパーフォーミュラ第5戦の決勝が開催された。レースは予選2位スタートのNo.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が23周目にトップを奪取、そつなくレースをまとめトップでチェッカー。自身初となるスーパーフォーミュラでの優勝を果たしている。
レースウィークを通じて猛暑に見舞われたもてぎ。決勝レースではNo. 1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)ダミーグリッドでエンジンストール、フォーメーションに自力で走行できず、レースでのピットスタートを選択した。さらにフォーメーションを終えた残る19台のうち、2台がグリッド上でエンジンストール。これにより赤旗が出され、再度フォーメーションラップが行われたことで、レースは当初の52周から51周へと減算される。
シグナルレッドからグリーンへと変わり、好スタートを決めたのはポールポジションスタートのNo.64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)。これに予選2、3番手が続く一方、4番手には7番手スタートのNo.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)が浮上する。今回のもてぎは変則ピットストップが可能となるサーキットということもあり、各チームがどのような戦略を採るのかも見どころのひとつ。オープニングラップを終えてすぐにピットインするクルマや、タイムアップしづらいミディアムタイヤでの周回数を極力減らすため、また、タレやすいソフトタイヤをうまく用いるために、2ピット作戦を採るチームもあるなど、レースの流れがなかなか読めない状況となった。
そんな中、トップ争いの2台に変化が訪れたのは、23周目。ペースが思うように上がらなかったパロウを2番手No.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がダウンヒルストレート過ぎ、最終コーナーで逆転に成功。そのまま平川は後続を引き離しにかかった。ルーティンのピット作業後も平川は順調に周回。だが2番手に下がったパロウはピット作業後からペースが思うように上がらず、終盤になると4番手へとポジションを下げてしまう。
代わって2番手に浮上したのは可夢偉。ミディアムタイヤで怒涛の追い上げを見せ、トップ平川との差を着実に削り取っていき、見どころを作った。しかしながら、盤石の走りを見せる平川はそのままトップチェッカー。自身初となるスーパーフォーミュラでの勝利を実現させることとなった。2位の可夢偉に続いたのは、No.37 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)。予選12位と出遅れたが、レース開始3周後にピットイン、以後、ソフトタイヤで48周をハイペースで走破したことで3位を掴み取った。なお、チャンピオン争いでは、もてぎ戦を前にトップにつけていたNo. 1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が9位ノーポイントに終わったこともあり、キャシディが1ポイント差ながら暫定トップに立つこととなった。
■第5戦ツインリンクもてぎ 決勝結果(TOP6)
1.No.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1:22’51.411 51Laps
2.No.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)+2.972
3.No.37 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)+9.771
4.No.64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)+16.314
5.No. 5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+18.668
6.No.38 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)+28.439
スーパーフォーミュラ第5戦、A.パロウが連続ポール獲得!
台風10号が西日本に上陸、その余波で酷暑のコンディションに見舞われた栃木・ツインリンクもてぎ。8月17日には全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦の予選が行われ、前回、富士大会でポールポジションを手にしたNo.64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)が再びポールポジションを獲得している。
1時間の専有走行が行われた金曜日。午後1時15分からの走行は厳しい暑さの中でスタート。高い路面温度でのミディアム・ソフト両タイヤのコンディション確認を行いつつ、翌日からの予選、決勝に向けての準備を進めた。また、迎えた土曜日のフリー走行では、路面温度が46度まで上昇する厳しい状況下となったが、ソフトタイヤを着けたパロウがアタックシミュレーションでトップタイムをマーク。午後からのノックアウト予選に向けて弾みをつけた。
午後2時30分、Q1がスタート。この時点で気温38度、路面温度49度と体感的にも厳しい暑さが先行するコンディション。Q1はミディアムタイヤだけのアタックとなるが、このミディアムタイヤで好タイムを出すことに腐心するドライバーが多く、結果的にNo.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)やNo. 4 国本雄資(KONDO RACING)などチャンピオン経験のあるドライバーがノックアウトされる。ソフトタイヤ装着が可能となるQ2、Q3では高い路面温度をいかに味方につけるかが難しいところ。その中でタイミングよくコースインし、存分なアタックを見せたのがパロウだった。Q2こそクリアラップを確保したNo. 5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がトップタイムをマークしたが、3番手だったパロウとの差はわずか0.086秒差。Q3ではコースインのタイミングをギリギリまで延ばし、ワンラップアタックに挑んだパロウが1分31秒442というコースレコード更新のタイムを持ってトップに君臨! シーズン2度目となるポールシッターの座についた。
予選2番手を手にしたのは、金曜日の専有走行でトップに着けたNo.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。今シーズンまだ入賞を遂げておらず、今大会での飛躍に期待がかかる。3番手は福住が続いた。一方、ポイントランキングで現在トップのNo. 1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は8番手スタートとなる。シリーズ争いの行方も気になる今大会。ポイントランカー上位のドライバーが予選で中段グループに留まることとなっただけに、ランキング3位のパロウが再び勝利すれば、さらにチャンピオン争いが激化するのは言うまでもない。決勝は18日、午後2時15分にスタートを迎える。
■第5戦 ツインリンクもてぎ 予選結果(TOP6)
1.No.64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)1’31.442
2.No.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1’31.641
3.No. 5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’31.764
4.No.50 ルーカス・アウアー(B-Max Racing team with motopark)1’31.804
5.No.38 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)1’31.931
6.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’31.942
SUPER FORMULA第5戦ツインリンクもてぎ プレビュー
いよいよ後半戦、混戦必至の戦いに!
梅雨明け後はうだるような厳しい暑さが席巻する日本列島。そこに超大型の台風10号がかなりのスロースピードで北上を続けている中で迎えるのが、全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦。週末の天気の行方はこの台風の影響を受けて激しい風雨となる可能性もあるが、現時点で予測するのは難しい。とはいえ、戦いの舞台となる栃木・ツインリンクもてぎでの一戦は、そろそろ終盤となる夏休みのさなかに行われる決戦だけに、夏らしいコンディションの下でより盛り上がってもらいたいものだ。
■今季2勝目を挙げるのは誰?
前回、富士戦のプレビューでも記したが、激戦続きの今シーズンは第4戦を終えたにも関わらずまだ2勝目を挙げるドライバーが現れていない。開幕戦から第3戦までは優勝経験のあるドライバーが戦いを制してきたが、前回の富士戦ではルーキードライバーがついに初優勝を果たしている。予選を含め、”速さ”という角度から見れば、ニューシャシーSF19の登場により、ニュースペックが用意されたタイヤはじめ、様々な条件が変わっていることもあってか、毎回ドライバーたちによる戦いはより混沌としたものとなっている。その結果、ルーキーがポールポジションを手にする可能性も高くなった。だがしかし、ピット作業を含む戦略によって成り立つ決勝の高度な組み立てを考慮すれば、スーパーフォーミュラが速さや勢いだけで優勝できるものでないことも明らか。そこで各チームは、速いクルマをいかに扱うか、そしてどのような戦略でライバルたちに先んじるかを全精力を注いで挑んでいる。
ストップ&ゴーというユニークなコースレイアウトはもてぎならでは。当然ブレーキには負荷がかかりやすく、またこの酷暑となればさらに条件が厳しくなるのは言うまでもない。さらに抜きどころが少ないため、コース上での接戦で無駄にタイヤやブレーキを使わないためにも、やはり重要となってくるのが予選で好位置を確保することになるだろう。ところで、このもてぎはSF19になってから初走行となるサーキット。完成度の高いレースウィークを構築するために、まずは金曜日の専有走行でクルマをしっかりと作り上げることが必須となる。
とはいえ、走行はわずか1時間。できうるメニューには正直限度がある。これまでの実戦データをもとに準備した持ち込みのセットアップがどこまでもてぎに見合うものなのかどうかで、その後の作業にも影響は出ても不思議ではない。この専有走行で様々なメニューに着手できるのであれば、予選、そして決勝を想定した確認事項を進めていくだけだが、それでもなお天候等のコンディションを意識した微調整が必要となる。仮に走り出しでつまづいてしまうと、準備する戦略の幅を広げるのが難しくなるだけに各チームは万全の準備をもってもてぎに乗り込んでくると思われる。
■SF19ならではの決戦に注目
SF19の登場に合わせ、今シーズンはタイヤスペックも新たなものが用意された。中でも開幕戦以降、高いパフォーマンスを見せるのがソフトタイヤだ。ドライコンディションの場合、サーキットのコースレコードを更新するケースも多く、今大会でもドライでのタイムアタックが実現すれば最速タイムをマークする可能性も存分にある。またこのソフトタイヤはミディアムタイヤよりもSF19との相性に優れることから、ソフトタイヤをいかに用いてレースを組み立てるかが戦略のカギを握ることにもなる。
なお、決勝レースではタイヤ交換の義務付けが伴う。そして装着するタイヤはミディアムとソフトの双方を使わなければならない。それぞれのタイヤをどの程度使用するのか、またどのタイミングでピットインして交換するのかなど、各チームによってというよりも、むしろ予選で手にしたポジションによってその作戦が異なってくると考えられる。予選順位による作戦の違いを比較するのも、観戦の楽しみのひとつになることだろう。また、もてぎならではの戦略が見られる可能性も高い。さて、どのドライバーがさまざまな条件を味方につけてトップチェッカーを受けるのか。できれば台風一過の空の下、暑さを上回る”熱戦”を繰り広げてもらいたい。
■主なタイムスケジュール
・8月17日(土)
09:40 – 10:40 フリー走行
10:50 – 11:35 ピットウォーク
14:30 – 公式予選(ノックアウト方式)
14:30 – 14:50 Q1(20台→12台)
15:00 – 15:07 Q2(12台→ 8台)
15:17 – 15:24 Q3
17:00 – 17:30 キッズピットウォーク
・8月18日(日)
10:00 – 10:30 フリー走行
10:45 – 11:30 ピットウォーク
14:15 – 決勝(52Laps)