スーパーフォーミュラ2019 Round.4
SF第4戦富士、雨のレースをA.パロウが制す!
7月14日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の決勝レースが静岡・富士スピードウェイにて行われ、ポールポジションスタートのNo.64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)が独走。本降りの雨で不安定なコンディションながら、レースを見事にコントロールし、ポール・トゥ・ウィンを達成している。
レースウィークを迎えた当初、決勝日は大荒れの天候になるのではと懸念されていたが、予選日の雨はごく最小限のものに留まり、また決勝日に至っては朝のフリー走行中がウエットコンディションとなったものの、その後だんだん天候が回復して路面も次第にドライへと変わっていった。これに併せ、各車慌ただしくクルマのセッティング変更を迫られるなど、いつも以上に落ち着きのない様子がピットで見受けられた。
ところがレース直前のウォームアップ走行が始まる頃には天候が一転。急に灰色の雲からぽつりぽつりと雨粒が落ち始め、瞬く間にコース上が濡れてくる。結果、コースへと向かうクルマのほとんどがウエットタイヤへと交換。さらにダミーグリッド上ではメカニックたちが再びセッティングをウエットコンディションに見合うものへと変更する作業に終われた。
降り続く雨の中、レースは通常のスタンディングスタートではなく、セーフティカー先導のスタイルに変更。全20台がSCラン3周を終え、4周目から実質的な戦いが幕を開けた。その中、ポールポジションスタートのNo.64 アレックス・パロウが良好な視界を味方に早速後続のクルマを引き離していく。2、3番手も予選順位をキープするが、その後方では激しいポジション争いがあちらこちらで展開された。
ウエットコンディションのもと繰り広げられるレースは、タイヤ交換義務がないため、戦略的に大半のドライバーがノーピットを選択。ゆえに燃料セーブを意識した走行を強いられたことから、その駆け引きによってレース折返しを過ぎると明暗が分かれ始める。トップをひた走るパロウも後続を10秒以上広げてはいたが、ときにコースアウトするなどひやりとする場面も見受けられた。またレースは39周を迎えようとする中で、規定の55周完了ではなく95分間のタイムレースでの成立を優先することが決定。これにより、残り22分間での戦いへと変更がなされた。
残り15分、3位から2位を狙ってプッシュしていたNo.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がピットイン、給油を済ませてコースに復帰。トラブルかと思いきや当初から予定していた作業だったようで、戦略が惜しくも裏目に出る結果になってしまう。これで3位に浮上したのがNo.37 ニック・キャシディ。予選5番手からレース開始直後に4位を奪取。やはりセーブモードでの周回を続けていたが、終盤に入って猛追を開始、2位をひた走るNo.39 坪井 翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)を攻め立てた。ときに1秒を切る攻防戦となったが、逆転には至らず、このままチェカーを受けている。
トップを守り切ったパロウは、今シーズンからスーパーフォーミュラに参戦するルーキー。もちろん自身初の勝利を挙げただけでなく、所属するチームに2010年開幕戦以来となる優勝をもたらしている。レースは上位4台がほぼ同じポジションでの結果を手にすることとなったが、その後方、5位以下はレース終盤になっても抜きつ抜かれつの激しいバトルを繰り広げていた。中でも5位入賞のNo.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)は予選16番手から、さらに6位に続いたNo.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)に至っては予選18番手スタートだっただけに、経験豊富な両ドライバーによるアグレッシブなパフォーマンスは見どころ多いものだった。
早いものでシーズン中盤戦を終えた今シーズンのスーパーフォーミュラ。現時点のシリーズランキングはNo. 1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がキープしているが、2位につけるキャシディとの差が5点に縮まった。そして今回のウィナーであるパロウがキャシディに次ぐ3番手に浮上。以下10番手までが僅差で続いている。
■第4戦富士スピードウェイ 決勝結果(TOP6)
1.No.64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)1:36’27.150 53Laps
2.No.39 坪井 翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)+13.359
3.No.37 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)+14.680
4.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)+50.575
5.No.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)+51.333
6.No.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)+52.448
スーパーフォーミュラ第4戦、A.パロウが初ポール!
7月13日、静岡・富士スピードウェイにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の予選が行われ、今シーズンからこのカテゴリーに参戦するルーキーのNo.64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)がポールポジションを手にした。Q1からQ3まで行われるノックアウト方式のアタック合戦は、全セッションでウエットタイヤを装着するレインコンディション。不安定な状況を味方につけたパロウにとって、自身初となるスーパーフォーミュラでのポール獲得でもあった。
金曜日の専有走行はドライコンディション。各車ユーズドのソフト、ミディアム両タイヤでの走行を重ね、翌日の予選に向けてセッティングの確認を進めていた。また、土曜日の朝を迎えても雨の心配はなく、気温22度、路面温度24度の中で1時間のフリー走行を行い、午後からの予選に備えていた。
しかし、正午を前に行われたサポートレースが始まるとぽつりぽつりと雨が落ち始め、スーパーフォーミュラのノックアウト予選Q1を迎えた午後2時45分を前にウエット宣言が出された。第2戦オートポリスの予選でもレインタイヤを装着するセッションはあったものの、存分な走行はなされておらず、そういう意味では今大会が初のレインタイヤでのアタック合戦になる。それだけに、セッションが始まると、各車一斉にコースへと向かい、クルマのフィーリングを確認する作業に入った。
新しいレインタイヤを装着し、アタックを開始する各車。タイヤの温めはもちろんのこと、ウェットコンディションでのセットアップが大きく左右したのか午前中に好タイムをマークしていたドライバーたちがQ1で姿を消すなど、波乱の展開に。そんな中でつねに安定して上位につけていたのがパロウ。Q1で2位、Q2で3位につけるとQ3ではまるで”水を得た魚”のようにトップタイムをマークし、ポールポジション獲得を果たした。2番手にはNo.39 坪井 翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が続き、ルーキーがフロントローを独占することとなった。3位にはNo.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が続いたが、現時点でポイントランキングトップであるNo.1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)はQ2止まりの9番手に甘んじる結果となった。
翌日の決勝も雨模様になる可能性が高い第4戦富士。今シーズン2勝目をあげるドライバーが現れるのか。
決勝は午後1時45分に号砲となる。
■第4戦富士スピードウェイ 予選結果(TOP6)
1.No.64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)1’39.167
2.No.39 坪井 翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)1’39.252
3.No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1’39.311
4.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’39.890
5.No.37 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)1’40.021
6.No.38 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)1’40.051
SUPER FORMULA第4戦富士スピードウェイ プレビュー
天候の行方がカギを握る!? シーズン中盤戦は富士から
空梅雨続きだった日本列島。しかしながら、今週に入り急な雷雨などぐずついた天気に見舞われている。そんな中で迎える全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦。その舞台は静岡・富士スピードウェイとなるが、この地もまた天候の変化の影響を受けやすい場所だけに、戦いの流れを左右するようなことがあるのだろうか。
■テスト済みのコースで繰り広げる予選アタックに注目
第3戦SUGOでのノックアウト予選。通り雨の影響を受けたもののウエットコンディションまでには至らなかったQ3でのアタック合戦は、コースインのタイミングで明暗を分けた。赤旗中断を経て、セッション終了という後味の悪い結果だったが、遡ってQ2は見応えのあるセッションだった。ウェット宣言下ながら、スリックタイヤでの見事なアタックでコースレコードを大きく塗り替えたのはディフェンディングチャンピオンの山本尚貴。進化するSF19のポテンシャルを引き出す圧巻の走りだったといえる。
そして迎える今回の富士戦。実のところ、このコースは今年3月に公式テストが行われた場所でもある。前回のSUGOはそのテストがなかったサーキットながらドライバーたちはSF19の素質を大きく引き出すパフォーマンスを披露していただけに、データが揃っている富士でのアタック合戦は大きな見どころになるのではないだろうか。参考までに、そのテストでのトップタイムはやはり山本がマークした1分21秒742。さらにテストに参加したドライバーのうち、トップ山本から18番手までのベストタイムが1秒以内に収まったという。近年のトップフォーミュラでの”1秒差”はもはや僅差ではなく、大差であることをおわかりいただけるのではないだろうか。Q1、Q2、Q3と駒を進めるうちに、100分の数秒差がスタートグリッドのポジションを巡る戦いに泣き笑いを生む可能性がとても高くなるのではないだろうか。
その中で気がかりなのは、やはり天気の行方。セッション途中の降雨ともなればもうお手上げとしか言いようがない。全20台が出走するQ1は20分間という十分な時間があるため上空の天候をにらみながらのアタックも可能だろうが、終盤に引き起こしやすいトラフィックを考慮する必要はある。そしてQ2、Q3ともなれば与えられた時間はわずか7分。雨の心配が不要のドライコンディションであれば、満を持してのコースイン、というドライバーの姿はすでにお馴染みながら、天候が少しでも不安な状態であればどのタイミングでコースインするかが難しくなる。ファンにとっては、見どころあるアタックの瞬間を雨の心配なしに見届けたいところだろうが、こればかりはどうすることもできないことだけに、まさに”運を天に任せる”しかないだろう。
■新たなるウィナーが待たれる!?
激戦が続く今シーズンの展開は、その結果にしかと反映されている。第3戦を終えて、また2勝を挙げたドライバーがいないのだ。鈴鹿、オートポリスの序盤2戦は、緻密な戦略を味方にしたN.キャシディと関口雄飛がそれぞれ勝利し、SUGOではポールポジションのメリットを最大限引き出し、さらには速さを武器にした山本が雄叫びを上げた。3選手ともスーパーフォーミュラでの勝利経験者という立場からSF19を攻略し、勝利を手にした”試合巧者”であるともいえる。
一方で、今シーズンはルーキーたちが速さを引き出す走りを見せていることにも注目したい。抱負な経験値が別の意味でジャマをしているベテランドライバーを横目に、SF19というモンスターマシンをわずかなテストを経てモノにしているように思える。とはいえ、そのパワフルなマシンにときに翻弄させられるのか、思わぬタイミングでのコースアウトやクラッシュなどもないわけではない。しかしシーズン中盤を迎えた今大会はテストでの実走経験もある場所だけに、そろそろ数字として残る結果を出してきてもおかしくないだろう。
もちろん、抱負な”引き出し”を駆使してそろそろ上昇気流に乗らねば、と思う中堅ドライバーやベテランドライバーが面目躍如を果たしたい一戦にも位置づけられるため、高速サーキットとしての見どころを持つ富士の戦いは、これまで以上にヒートアップするのではないだろうか。それだけに、願わくば少しでも恵まれたコンディションでのレースが見たいものだ。
■主なタイムスケジュール
・7月13日(土)
09:05 – 10:05 フリー走行
10:50 – 11:30 ピットウォーク
14:45 – 公式予選(ノックアウト方式)
14:45 – 15:05 Q1(20台→12台)
15:15 – 15:22 Q2(12台→ 8台)
15:32 – 15:39 Q3
17:05 – 17:35 キッズピットウォーク
・7月14日(日)
08:40 – 09:20 フリー走行
10:40 – 11:20 ピットウォーク
13:45 – 決勝(55Laps)