9月25日、宮城県・スポーツランドSUGOにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦の決勝レースが行なわれた。清々しい秋の空が広がる中、残暑のような強い日差しが照りつけたサーキットで繰り広げられた68周の戦いは、今季2度目のポールポジションからスタートを切ったNo.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が、ハプニングをものともせず、今季2勝目を達成。大混戦の今年は、毎戦勝者が異なっていたが、ようやく2勝目を挙げるドライバーが現れることになった。
前日の予選アタックで、着実なアプローチを見せ、今季2度目のポールポジションを手にした関口。2番手のNo.37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)がスタートを得意としており、「僕はなんとか普通にスタートを切り、1コーナーで前を被せてトップを守りたい」と一貴を牽制。だが、その一貴は予選アタック時にファストレーンにいたNo. 8 小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS)に接触、そのペナルティで3番手スタートに降格していた。とはいえ、やはり一貴がとびきりの好スタートを見せ、2番手のNo.40 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)をかわして2位浮上を決めると、その勢いでトップの関口に迫ったが、1コーナーは関口が死守。以下、野尻、No.64 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)、No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と続いた。
6周目、2番手を走行中の一貴が急激にペースダウン。前周の最終コーナーからスピードが乗らず、あっという間に8番手までドロップ。これは3速ことが原因だったが、策を講じた一貴はほどなくしてペースを戻し、追い上げを再開させた。一方、全19台の中で真っ先にピットインしたのは、No.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)。9番手スタートと不甲斐ないポジションからの浮上を狙った作戦であり、タイヤ無交換、ガス補給だけでコースに戻った。このあと、10周終了から複数の車両がピットインを開始、はやり同様にタイヤを換えず燃料補給だけを行なった。
レースは19周目に入る中、まだ18周目のSPコーナーを走行していたオリベイラ選手がSPアウトコーナーでコースアウト。これを受け、セーフティカー(SC)が導入された。だが、すでに2位以下に15秒強のマージンを築き上げていた関口は、すでに20周を終えてメインストレートを通過。さらに関口の目の前でSCがコースインするというとても不利な条件を抱えてしまった。一方、まだ最終コーナーからメインストレートに向かおうとしていた車両の中で、ピットインを済ませていなかった車両が続々とピットイン。合計7台が有利な状態でガソリン補給を済ませ、コースに復帰している。コース上に残る17台のうち、ピットインを済ませていないのは、トップの関口のみ。一瞬にしてマージンを喪失し、さらにはこれからピットインを行なわなければならないという、まさに最悪の事態となった悔しさを走行中にもアピールするほどだった。
レース再開は22周終了時。ここで関口は素晴らしい再スタートを披露。それからというもの、あっという間に後続車との差を着実に構築。文字通り、他を寄せ付けない圧倒的な速さは、これまでの悔しさをぬぐい去ろうとする意思表示とも見て取れた。時には、オーバーテイクシステムの機能を単独走行中に使う姿もあったが、これも、マージンを作り上げるため。結果、ピットイン後も、トップの座をキープしたまま周回を重ねるには、後続に対して32秒近い差をつけることが必至だった。55周目、2位の大祐に対し、35秒強のマージンを積み重ねた関口がついにピットイン! 待ちかまえたスタッフも、緊迫した状況下ながら給油をミスなく済ませ、大祐の前で関口をコースへと送り出すことに成功! トップを守り抜いた関口は、その後も手をゆるめることなくなおもハイペースの走りを続けて、チェッカー。今季2度目の勝利を飾り、獲得したポイントを加え、ついにシリーズランキング暫定でもトップへと躍り出るという、完勝を果たすことになった。2位には大祐、3位に野尻が入り、ふたりは共に今季初の表彰台獲得を実現させたが、関口の圧倒的なパフォーマンスに歯が立たなかった悔しさを強くにじませていた。
■第6戦SUGO 決勝結果(TOP6)
1.No.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1:22’26.480 68Laps
2.No.64 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)+14.278
3.No.40 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+18.885
4.No.37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)+19.331
5.No.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)+20.255
6.No.41 ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+23.101
