2016年7月19日
スーパーフォーミュラ第3戦富士、デ・オリベイラが待望の今季初勝利
7月17日、静岡県・富士スピードウェイにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦の決勝レースが55周に渡って行われ、予選3番手からスタートを切ったNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がレース終盤のバトルを制して、逆転。待望の今季初優勝を遂げた。
レースウィークに入り、ウェットコンディションが続いた今大会。ようやく決勝日の日曜日になって薄曇りながら雨の心配がなくなった。朝のフリー走行こそハーフウェットのコンディションが残り、レインタイヤを装着して走行する形で幕を開けたが、終盤はスリックタイヤへと交換、決勝に向けての準備作業が可能となった。
決勝を控えた午後を迎えると、路面は完全にドライコンディションへと改善。日差しはなかったが、気温25度、路面温度27度迄上昇し、蒸し暑さを感じる中で午後2時にレースがスタートした。前日の予選でポールポジションを手にしNo.41 ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だったが、レースウィーク初のスリックタイヤでのスタートにやや出遅れた。一方、予選2番手のNo.1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)、No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラが迫ったことから、そのプレッシャーなのか、1コーナーへのアプローチでブレーキをロックさせてしまった。結果、コースオフしてポジションダウン。さらに直後にいた石浦もこれにつられるようにコースアウト。これでトップに立ったのがオリベイラだった。
2番手に浮上したのは、予選6番手だったNo.37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)。3番手にはNo.65 ベルトラン・バゲット(NAKAJIMA RACING)が続き、ポールスタートだったバンドーンが4番手となった。トップのオリベイラは後続との差を広げたいところだったが、逆に4周目の最終コーナーで体勢を崩してオーバーラン。これを機に中嶋がトップを奪った。レースは16周目に入り、1コーナーの進入でスピンした車両がそのままストップ。自力で動けなくなったことでセーフティカーが導入されるた。これを見た各車はすぐさまピットインへと動く。この時点でトップについていた中嶋、そしてその後方で追っていたオリベイラに留まらず、大半のドライバーが続々とピットイン。幸い、大きな混乱もなく、ほぼ変わらぬポジションでコース復帰を果たした。
レースはマシン回収後、19周を終えてリスタート。ここでもまた1コーナーでの逆転を目指し、激しいポジション争いが見られることになったが、中嶋がトップを死守、オリベイラ、バゲット、バンドーン、そしてNo.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がこれに続く。さらにこの関口を逆転しようとプレッシャーをかけてきたのがNo.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)。チャンピオン経験者で試合巧者のロッテラーだが、関口攻略には手を焼いたようで、一度はクールダウン、後半での勝負へと切り替えた。
一方、トップ中嶋の安泰にも暗雲が立ち込めた。ラップタイムを比較しても次第にオリベイラが上回るようになり、その差がジリジリと縮まっていく。こうしてトップ2台が優勝争い、次いでバゲット、バンドーンというベルギー人同士による“同郷対決”、その後ろで関口とロッテラーによる攻防という形だったが、ペースアップする関口はロッテラーだけでなく、バゲット、バンドーンの攻防戦に加わる勢いを見せた。
結果、4台が入り乱れての激しいバトルは、まず関口がバンドーンを逆転。さらにロッテラーもがバンドーンをパス。バゲットは新たなライバルとの攻防戦を強いられ、徐々にポジションを下げてしまう。これで3位以降は、関口、ロッテラー、バンドーン、そしてベルトランという形となり、我慢比べのようなタフな戦いが続いたが、その中から最初に脱落したのがバンドーンだった。あろうことか、1コーナー手前で突然ブレーキトラブルを発症し、スピンしてコースアウト。戦列を去った。
慌ただしい展開が終盤になっても続いたが、レースはさらに残り5周を迎えてなおもヒートアップする。まず、トップを死守していた中嶋に対し、一旦距離を置いていたオリベイラが急接近。互いにオーバーテイクシステムを利用して攻防戦を展開。ついに51周目の1コーナーでオリベイラが逆転に成功した。これを機に、スピードアップしたオリベイラが逃げ切り、チェッカー。今季待ちわびた初優勝を達成した。また中嶋は2位に甘んじたものの、今季初表彰台に上がった。そして3番手でチェッカーを受けたのは、関口。トップ2台がバトル中、トラブル発症でピットインしたバゲットに代わり3番手に浮上すると、最後まで続いたロッテラーからの激しいプッシュにも耐え忍び、待望の表彰台を獲得。ロッテラーはあと一歩でトップ3の座を逃している。
第3戦富士 決勝結果(TOP6)
1.No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1:25’12.917 55Laps
2.No.37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)+2.836
3.No.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)+28.542
4.No.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)+31.889
5.No. 3 ジェームス・ロシター(KONDO RACING)+38.349
6.No. 1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)+43.344

2016年7月17日
スーパーフォーミュラ第3戦富士、S.バンドーンが初ポール!
7月16日、静岡・富士スピードウェイにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦の予選が行われ、今シーズンからこのカテゴリーに参戦するベルギー人のNo.41 ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が1分40秒778をマークし、自身初となるポールポジションを手にしている。
公式イベント前日、15日の午後に行なわれた1時間の専有走行。濡れた路面でウェットタイヤを装着しての走行が続き、不安定なコンディションにコースアウトする車両が続出。セットアップが難しい様子だった。明けた土曜日は、本降りの雨こそなかったが、気まぐれに降ったり止んだり、霧雨の状態が長く続き、終始ウェットコンディションの一日となった。
そんな中、朝のフリー走行から安定して上位に名前を刻んでいたのが、バンドーン。今年はF1のマクラーレンチームのリザーブドライバーとしてチームに帯同。一方で、日本のスーパーフォーミュラにデビューし、話題をさらった。開幕戦の鈴鹿で早速3位に入り、その実力の片鱗をアピール。今回もイギリスGP後の日本への長時間フライトとなったが、その疲れも見せず、初走行の富士で大躍進を遂げた。
一方、徐々にポジションアップしてきたのがNo. 1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)。Q2でコースインするタイミングを外しながらもトップタイムをマークしたことから、Q3に向けては万全の体制で待機。真っ先にコースインすると、どのドライバーよりも1周多くアタックすることでタイムアップを狙った。石浦の最終アタックラップを前に、トップに立っていたのがバンドーン。周りのドライバーはすでにみなアタックを終えていたが、石浦は自己ベストラップを更新、だが刻んだタイムは1分41秒050と、バンドーンのタイムに0.272秒足りず、悔しい2位に終わった。3位に続いたのは、No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。翌日の決勝はドライコンディションでの一戦になる可能性が高く、そうなると全車が初めてドライコンディションでの富士を戦うことになる。しかも足下のヨコハマタイヤは今シーズンから供給が始まったばかり。天候が安定したとしても、タイヤという不確定要素がどのようなレース展開を生むのか。また新たなドラマが生まれる可能性もありそうだ。
第3戦富士 予選結果(TOP6)
1.No.41 ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’40.778
2.No. 1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)1’41.050
3.No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1’41.132
4.No.65 ベルトラン・バゲット(NAKAJIMA RACING)1’41.210
5.No.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1’41.238
6.No.37 中嶋 一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)1’41.240

2016年7月17日
SUPER FORMULA第3戦富士 プレビュー
シーズン3戦目を迎えた今年のSUPER FORMULA。とはいえ、前回の岡山は悪天候で僅かな周回、しかもセーフティカーランのみでレースが終了。ドライバー的には、戦わずして終わった一戦として受け止めても不思議ではない戦いだった。そんな中で迎える第3戦の富士は、今シーズン序盤の締めくくりとして、是が非でも善戦したいと気持ちも高揚しているはず。夏休み目前の週末、ハイスピードコースでの激戦に注目したい。
ハイスピードコースとヨコハマタイヤの相性は?
岡山の一戦からほぼ2ヶ月。長い小休止を挟み、7月16-17日に第3戦が富士スピードウェイで開催される。小休止と書いたが、チームスタッフやドライバーがすっかり休んでいたわけではなく、この富士をいかに戦うか、そのアプローチは水面下で着々と進んでいる。とりわけ開幕戦、そして雨に翻弄された岡山で実力発揮とならなかった関係者は、とにかくこの富士で挽回を、といっそう気合いが入っていることだろう。
7月中旬の一戦だけに、気になるのは天候。まだ梅雨明けには少しばかり時間を要する中、ギラギラとした日差しが照りつける厳しい暑さが先行するのか、はたまた曇天模様の空からぐずぐずと雨が降ってくるのか…。シーズン中でも一番推測しにくい時期かもしれない。となれば、まず先手を打つような戦いが必須条件となり、それができなければライバルに先を越されてしまう。セットアップはもちろんのこと、今シーズンはとりわけタイヤをいかに使うかが、戦いのカギにもなっているだけに、セットアップとの兼ね合いにも大きな影響を与えそうだ。
今シーズンから搭載されているヨコハマタイヤだが、オフリーズン中は富士でのタイヤテストが実施されていない。つまり、各チームはこれまでの他メーカーの富士データと、今シーズンからの鈴鹿や岡山でのテスト、あるいはレースウィーク中のデータをフル活用し、周到に準備を進めてくるはず。高速サーキットとして知られる富士はタイヤへの荷重が高く、またこの季節は天気次第で高温下での走行が求められる。一方でドライバーはこの3つが揃った条件での走行は未体験。エンジニアはドライバーへの負荷を軽減するためにも、まずは仕込みの段階で最善のセットアップを見つけることが重要であり、またサーキットでの走行が始まれば、タイヤがしっかりとグリップするよう、方向性をしっかりと定めなければならない。すべての要点がバシッとはまるタイミングがより早ければ早いほど、ライバルを出し抜くことができるといえよう。
シーズン中盤戦に向けての足がかりとなるか
第3戦の戦いとはいえ、ドライバーの心境としては、開幕戦の鈴鹿はもとより、続く岡山戦は戦ったという気持ちが皆無かもしれない。だからこそ、今回の富士戦はドライコンディションでしっかりと戦ってもらいたいのだが、天候だけは誰もコントロール不可能。まさに「神のみぞ知る」世界ではあるが、納得のいくレースをすることが、どのドライバーにとっても第一目標となるだろう。
特に一気に躍進を狙ってくるのがベテラン勢だと思われる。これまで選手権の王者としての経験を持つドライバーたち…、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)をはじめ、アンドレ・ロッテラーや中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)の3名は、開幕戦から続く、流れの悪さをしっかりと払拭したいところ。ポイント的にはまだまだ挽回可能ではあるだろうが、近年シビアな戦いを繰り広げるトップフォーミュラだけにいつもギリギリの戦いを展開しており、油断などもってのほか。すべての要因がキチンと同じ方向性を向いてこそ、初めて強くて速いクルマが手に入るというハイレベルな戦いを制するには、一切の妥協も許さない。それが今シーズンのSUPER FORMULAの姿でもあるのだ。
天候、タイヤ、セットアップ……。さまざまな要素をうまく操り、富士の戦いを制するのはどのドライバーか。久々のスタートを迎える一戦から目が離せない。
主なタイムスケジュール
・7月16日(土)
09:15~10:15 フリー走行
11:20~12:00 ピットウォーク
14:45~ 公式予選(ノックアウト方式)
14 : 45~15 : 05 Q1(19台→14台)
15 : 15~15 : 22 Q2(14台→ 8台)
15 : 32~15 : 39 Q3
17:35~18:05 キッズピットウォーク
・7月17日(日)
08:45~09:15 フリー走行
11:05~11:45 ピットウォーク
14:00~ 決勝(55Laps)