8月21日、栃木県・ツインリンクもてぎにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の決勝レースが行なわれ、52周の戦いをほぼ独走体勢で走り切ったNo.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がポールポジションから優勝を達成。今季からスーパーフォーミュラに参戦するルーキーがついに初勝利した。
前日の予選では、今大会で導入されたミディアムとソフトのスリックタイヤを巧みに使うことに成功した関口。ノックアウト方式の予選では、ただひとり新品のソフトタイヤを残す戦略を成功させ、文句ナシにポールポジションを手にすることとなった。念願叶い、今シーズンから日本国内のトップフォーミュラに参戦する関口だが、そのステップアップを果たしたのが遅かっただけで、ミドルフォーミュラを含め、すでに豊富なキャリアを誇るドライバーでもある。それだけに、彼自身はルーキーという意識もなく、まずは早く1勝を挙げたい、とシーズン前半から果敢な走りを見せてきた。
その流れが見えたのは、前回の富士戦。決勝で3位表彰台に上がると、日増しに充実するチームとのコミュニケーション力を味方につけ、セットアップが難しいとされるこのもてぎでも揺るぎない速さを見せた。決勝では苦手なスタートも克服。ライバルを抑えてトップのまま1コーナーに飛び込むと、あとは絶対的な速さを武器に2位以下を序盤から引き離しにかかった。
一方、その後方では予選2番手のNo. 1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)がスタートに失敗。さらに予選3番手スタートのNo.40 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は電気系トラブルに見舞われ、早々に戦列を去る。彼らに代わって関口の背中を追ったのは、予選4番手のNo.36 アンドレ・ロッテラー、そして石浦。上位3台はソフトタイヤでスタートを切っていたので、義務付けられたミディアムタイヤへの交換は、戦いの後半に盛り込まれることに。まずピットが動いたのは、トップの関口。15秒で作業を終えると、次はロッテラー。最後に石浦がピット作業を行なうも、いずれもスムースにコースへ復帰。ポジションをキープした。ただ、ピット作業次第で順位が変動する可能性もあったロッテラーと石浦の勝負は、タイヤ交換後のロッテラーが驚異のアウトラップを見せて、自身のポジションを死守することに成功している。
トップ関口は、その後もペースを緩めることなくひとり旅を続行。参戦4戦目のルーキーであることをまったく感じさせない力強さで勝利を掴み取ることとなった。なお、今回の勝利で渾沌とするシリーズランキング争いにもトップへと躍り出ることとなった関口。今大会は、シーズン後半戦に向けて、「台風の目」が誕生した一戦でもあったといえる。
■第4戦もてぎ 決勝結果(TOP6)
1.No.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1:25’17.584 52Laps
2.No.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)+6.127
3.No. 1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)+6.708
4.No. 2 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)+21.326
5.No. 3 ジェームス・ロシター(KONDO RACING)+31.996
6.No.41 ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+35.761
