4月10日、岡山県・岡山国際サーキットにおいて、2016年SUPER GT第1戦決勝レースが行なわれた。春先らしい柔らかな日差しがところどころ差し込む薄曇りの中、82周のレースを逆転劇で勝利したのは、予選3位からスタートを切ったディフェンディングチャンピオンのNo.1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)だった。
前日の予選とほぼ似通ったコンディションとなった決勝日。若干、気温が低くなったものの終始ドライコンディションでの戦いが繰り広げられた。ポールシッターのNo.37 KeePer TOM’S RC Fはジェームス・ロシターがスタートドライバーを担当。ローリングスタート活かして後続との絶妙な差を築き、10周もしないうちに2番手との差を5秒近く広げた。だが、予選から僅差の戦いを展開する今シーズンは、トップの独走を許さない。引き続き拮抗したポジション争いとなり、ワンチャンスでの逆転が要所要所で見られることとなった。
中でも着々と前車に詰め寄っていたのが、No.1 GT-Rのクインタレッリ。28周目、バックストレートエンドで鮮やかにNo.6 WAKO’S 4CR RC Fのアンドレア・カルダレッリを逆転すると、今度はトップのNo.37 RC Fのロシターへと襲いかかる。が、2台のバトルは、37号車のレース折り返し前のピットインで水を差すことになり、バトルはお預けとなった。暫定トップとなった1号車はマージンを築くべく見えない敵に向ってハードプッシュ。さらに37号車のピットインから3周後に行なったピットワークでは、待ち受けたメカニックたちがライバルより8秒速いスピーディな仕事でクルマをコースへと送り出した。これにより、1号車は37号車に対して9秒近い大差をつけ、レース後半への戦いに突入する。
トップを快走するのは、1号車の松田次生。以下、37号車の平川が続き、3番手争いは逃げるNo.6 WAKO’S 4CR RC F大嶋和也とそれを追うNo.46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代勝正。No.6 RC Fの大嶋をプッシュするNo.46 GT-Rの千代は今季GT500にステップアップしたルーキー。昨年は海外レースに主軸を置き、GT300にスポット参戦していたが、GT500の晴れ舞台でいきなり大役を任されることになった。6号車の千代は緩急をついたプッシュで6号車との差を詰めて52周目のコース後半の複合セクションで見事な逆転劇を披露。これで表彰台獲得の可能性がグンと広がった。
チェッカーまで残り30周を切る頃には、トップ1号車と2番手の37号車との差は16~18秒という大差へと広がり、ほぼ1号車の独創状態。逆に37号車は3位に浮上した46号車からの猛追に苦しめられるハメに。ラスト10周ともなれば2台の差は1秒を切り、テール・トゥ・ノーズ状態。だが37号車の平川は冷静に後方からのプレッシャーを跳ね除け、逆転を許さない。最後の最後まで続いたこの攻防戦では37号車に軍配が上がることとなった。結果、2位同士の激しいバトルを尻目に、トップ1号車は後続に15秒3という大差をつけてチェッカー。ディフェンディングチャンピオンが新たなシーズンにおいて最初の勝ち名乗りをあげ、その一端を担った松田は、自身が持つGT500通算最多勝記録(タイ)を更新。17勝へと数を伸ばし、単独での保持者になっている。
一方のGT300。今年はFIA GT3の新車が上位に台頭。予選ではNo.25 VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允組)が最速タイムをマークし、マザーシャシー勢の意地を見せたが、レースが始まるや、予選2位のNo.65 LEON CVSTOS AMG-GT(黒澤治樹/蒲生尚弥組)が終始背後に迫る攻防戦となる。しばし沈着状態の上位争いではあったが、そのほとんどが後半のピットワーク以降からドラマが始まることになった。まず、25号車と65号車との首位争いは、先に作業を終えて万全の体制で25号車の動きを注視していた65号車が、作業直後でタイヤが冷えている25号車を逆転! 25号車はその後も後方からペースアップしてきたライバルの先行を許し、ポジションを下げてしまった。代わって2位に浮上したのは、No.4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)。さらにNo.7 Studie BMW M6(ヨルグ・ミュラー/荒聖治組)が続き、FIA-GT3車両のニューマシンが表彰台を独占する形でレースを終えている。
■第1戦岡山 決勝結果
・GT500(TOP6)
1.NO.1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)1:56′22.730 82L
2.No.37 KeePer TOM’S RC F(ジェームス・ロシター/平川亮組)+15.334
3.No.46 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲/千代勝正組)+15.756
4.No.6 WAKO’S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組)+54.581
5.No.12 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)+54.825
6.No.38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組)+1’03.303
・GT300
1.No.65 LEON CVSTOS AMG-GT(黒澤治樹/蒲生尚弥組)1:56’28.292
2.No.4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)+12.929
3.No.7 Studie BMW M6(ヨルグ・ミュラー/荒聖治組)+26.901
