スーパーフォーミュラ2015 Round.4
石浦宏明が、ポール・トゥ・ウィンで今季2勝目を達成!
8月23日、栃木・ツインリンクもてぎにおいて、全日本選手権スーパーフォーミュラの第4戦決勝レースが行われ、予選でポールポジションを獲得した石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)がスタート直後から後続との差を築き上げ、完勝。自身2勝目を達成し、シリーズランキングでも首位の座をキープしている。
第4戦の決勝日。朝のフリー走行は薄曇りの中で行われたが、午後からの決勝を前ににわかに雨が降りはじめ、およそ1時間近くもてぎのコースを濡らし続けた。雨量はさほど多くはなかったものの、これで路面状況はウェットとなり、ドライバーたちはレース直前にレインタイヤを装着してスタート前チェックの走行を行うことになった。一方、路面はコースアウト側から乾きはじめていたものの、イン側にはまだ水が残っており、決勝グリッドでイン側につけたドライバーたちにとっては幾分アンラッキーな幕開けとなる。
そんな中、今シーズン2度目となるポールポジションからの戦いを迎えた石浦。ダミーグリッドからフォーメーションラップに向けてスタートを切る際、なかなかその場所を離れることができないというトラブルが発生。ギアのスイッチの入れ忘れが原因だったが、一瞬ひやりとする場面もあった。
グリッド降格という最悪のシナリオを回避できた石浦は、このハプニングを逆手に取ったようにクリアスタートを決めると、ホールショットも奪取。あっという間に後続との差を広げながらの周回を重ねていった。そしてその石浦に続いたのが予選5番手だった中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)。自身はアウト側のグリッドから文句ナシのスタートを決め、また一番アウト側のラインを取って前にいた車両を料理する。さらには予選3位の小林可夢偉(Team KYGNUS SUNOCO SF14)。絶妙のタイミングでスタートを決めたものの前が詰まってしまい、行き場を失った結果の3番手だった。
レースはハイペースで逃げる石浦、そして石浦よりもやや遅いペースで追いかける中嶋と小林という形で周回を重ねていく。これはちょうど12年前、同じステップアップカテゴリーで戦っていたという3人が、時を経て日本のトップフォーミュラで再び優勝争いを展開するという光景でもあった。
逃げる石浦に対し、中嶋以降の車両はじわりじわりと差をつけられることになり、パッシングが難しいもてぎならではのレース展開を見せていたが、ルーティンワークのピットインで動きが見えはじめる。多くのドライバーが52周のレース折り返し前後にピット作業を行う中、トップ3台はレース後半になって実施。その中でまず小林が32周終わりでピットイン。タイヤ4本交換、給油というセオリー通りの作業をして送り出す予定だった。ところが右リアタイヤのホイールナットが緩むというまさかのハプニングに見舞われて、大きくタイムロス。あっという間にポジションダウンを強いられた。
続くピットインは中嶋。彼もまたタイヤ4本交換と補給のフルサービスで16秒を要し、他車よりもやや長めの時間を費やすことになったが、2番手キープでコースに復帰する。そしてしんがりは石浦。こちらはフルサービスながら14.8秒と申し分のない作業を終了。当然のことながらトップのままでレースを再開させた。終盤に入っても石浦の安定したハイペースに陰りは見えなかったが、一方では2番手中嶋のペースが格段に上がり、一時は7秒以上あった2台の差が次第に縮まっていく。
中嶋はチェッカーまで残り5周を切った時点で、トップ石浦との差を4.6秒まで縮めるファステストラップを叩き出す力走。抜きどころが少なくとも逆にワンミスがポジション入れ替えにつながるもてぎの特性を活かし、トップ2台がそれぞれの思いを持って駆け引きを繰り返した。だが、これ以上のドラマは見られず。結果、石浦が今季2勝目を挙げ、同時にシリーズランキングのポイントリーダーをも死守。2番手に入った中嶋は、前回富士戦と同じ結果を手にすることとなった。3位は予選4番手スタートのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)が手にしている。
■第4戦もてぎ 決勝結果(TOP6)
1.No.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)1:23’44.456
2.No. 1 中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)+1.742
3.No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)+24.775
4.No. 2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM’S SF14)+25.630
5.No.64 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING SF14)+45.071
6.No.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELIAN M40S SF14)+50.211

スーパーフォーミュラ第4戦もてぎ、石浦宏明が今季2度目のポール
8月22日、栃木・ツインリンクもてぎにおいて、全日本選手権スーパーフォーミュラ第4戦の予選が行われ、現在、ランキングトップにつける石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)がQ2、Q3で連続トップタイムをマーク。第2戦に次いで、今季2度目のポールポジションを手にしている。
お盆が過ぎ、厳しい暑さが幾分和らぐかと思われた土曜日のツインリンクもてぎ。サーキット近郊はほぼ終日薄曇りの天気となったが、一方で湿度が高く、蒸し暑さが先行する一日となった。まず朝のフリー走行では不安定な路面状況の中、前回第3戦富士で今季初優勝を飾ったジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)がトップタイムをマーク。自らもてぎのコースを得意とする実力派ドライバーが貫録を見せるセッションとなった。
迎えた午後の予選。今回は全日本ロードレースとの併催イベントのため、通常よりもやや早めの時間帯でセッションがスタート。まず午後1時15分にノックアウト方式のQ1が行われた。ここでトップタイムをマークしたのが、小林可夢偉(Team KYGNUS SUNOCO SF14)。自身、もてぎの出走は12年ぶりながら、うまくタイミングを合わせて最速ラップをマーク。国内戦復帰後初となるポールポジション獲得に向けていい流れを作ったかに見えた。
しかしながら、続くQ2では今シーズン安定した速さを誇る石浦がタイムアップ。Q1のアタックではタイムが思うように出せず、不安もあったというが、次第に路面コンディションが改善すると読み、辛抱強く好機を待ったのが奏功する。結果、その勢いをもってQ3もアタック。計測2周目で、まず野尻智紀(DOCOMO DANDELIAN M40S SF14)が1分32秒677の好タイムで暫定トップに浮上する。しかしその直後に石浦が0.02秒上回るタイムでトップを奪い取ることに成功した。このあと、他ドライバーのタイムアップにも注目が集まったが、この2選手を上回るタイムはマークされず、このままトップ2台が確定。3番手には最後のアタックでタイムを削った小林が続くこととなった。
■第4戦もてぎ 予選結果(TOP6)
1.No.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)1’32.657
2.No.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELIAN M40S SF14)1’32.677
3.No. 8 小林可夢偉(Team KYGNUS SUNOCO SF14)1’32.935
4.No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)1’33.022
5.No. 1 中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)1’33.105
6.No.20 アンドレア・カルダレッリ(Lenovo TEAM IMPUL SF14)1’33.124

SUPER FORMULA第4戦もてぎ プレビュー
今シーズンの折り返しは、ストップ&ゴーのもてぎが舞台
今シーズンの全日本選手権スーパーフォーミュラの前半戦を締めくくった第3戦富士戦からおよそ1ヶ月。前回は、チャンピオン経験を持つJ.P.デ・オリベイラが遅ればせながら今年初優勝を果たした一戦だった。今回はシーズンの折り返し戦に当たる戦いため、より一層激しい優勝争いが繰り広げられそうだ。舞台となるのは、栃木・ツインリンクもてぎ。ストップ&ゴーのレイアウトで知られる個性的なコースをいち早く攻略するのは果たしてどのドライバーになるのか? 夏休みにふさわしい盛り上がりある戦いが期待できそうだ。
■特徴あるコースでのカギは予選の速さ
第4戦の戦いは、ユニークなレイアウトをもつツインリンクもてぎ。真夏の一戦でもあり、タフでハードなレースが展開されそうだ。進化を続けるSF14をいかに手なずけ、加減速が激しいコースでどのようにタイヤをマネージメントするか…。速さだけでなく、強さも求められる総合力での戦いになるのは必至。
一方で、もてぎはパッシングポイントが少なく、勝負をかけにくいコースでもある。となれば、予選での順位が戦いの行方を握るポイントになるわけで、タイムアタックから好ポジションを狙っていくことが肝心になる。まずはチームが事前にしっかりとクルマのセットアップを合わせ込み、土曜日朝のフリー走行で好タイムをマークすることに照準を合わせてくるのは明らか。毎戦見られる僅差での順位争いを考慮すれば、現地で大きな変更、調整をしているようではライバルに先んじることは難しい。これは、スーパーフォーミュラがハイレベルの戦いをしている証でもある。
■もてぎのコースで問われるものは
パッシングポイントが少ないコースゆえ、予選の順位が大事と先に述べたが、それはストップ&ゴーのレイアウトにも起因する。直線とタイトなコーナーが複数組み合わさって構成されたコースを走行する場合、通常クルマへの負荷が大きくなる。まずはブレーキ。ストレートでスピードが乗った矢先にしっかりとブレーキングしてコースを回る。いわゆる加減速の差が大きいコースのため、ドライバーの操作も増え、負荷がかかりやすい。また、負荷という意味ではブレーキ、そしてタイヤにも同じようなことが当てはまる。ドライバーは攻める走りの中でもブレーキやタイヤをコントロールするマネージメントスキルが求められるというわけだ。
一方でこの季節は暑さとの戦いも加わるため、より過酷な条件でのバトルになるのは間違いないだろう。250Kmの決勝レースでは、ドライバーの体力比べにもなりかねない。充分な集中力が問われるが、まずは充分な体力を備えていることが大事。体力の低下が集中力を削ぐことになり、結果思わぬハプニングが起こる可能性もある。油断もスキもない息詰まるバトルが待ち受けることだろう。
■ランキングを意識した上位陣の戦い
前回の富士でベテランのオリベイラが今季初優勝を果たし、ランキング2位へとジャンプアップ。去年同様、シーズン中盤にかけて勢いに乗りそうな気配はたっぷり。一方で、第2戦岡山で自身トップフォーミュラにおける初勝利を達成した石浦宏明は、ランキングトップをキープ。オリベイラとの差はわずか2ポイントとはいえ、彼にとっては申し分ない形だといえる。また、このふたりを追うのが、シリーズチャンピオン経験のある中嶋一貴とアンドレ・ロッテラーだ。ロッテラーは開幕戦を制したが、中嶋はまだ今季未勝利。5月のWEC(世界耐久選手権)参戦中に負傷したことで、第2戦を欠場した影響が今後響いてくるのかどうか…。そのためにも中盤戦でまず勝利したいというのが本音だと思われる。さらには、表彰台の真ん中が少しずつ見えはじめた小林可夢偉のパフォーマンスにも注目だ。もてぎでのトップフォーミュラレースは初ではあるが、F1でのキャリアを活かし、どのような走りっぷりを見せてくれるのか。ファンも楽しみなはずだ。
レースウィーク中のサーキットでは、Enjoy Hondaも併催。さらにサーキット内では、おなじみのピットウォークやキッズウォークに加え、オールスタースペシャルサイン会が実施される。一方、施設内のホンダコレクションホールでは、「POWERED by HONDA〜1000馬力ターボ回顧録〜 カウルレス展示編」の企画展や、ホンダコレクションホール所蔵全F1マシンの特別展示を実施中。中でも、全F1マシンが揃うのは、ホール会館以来初のこと。ぜひ、来場者は足を伸ばしていただきたい。
■主なタイムスケジュール
・8月22日(土)
08:30〜09:30フリー走行
09:40〜09:55 サーキットサファリ
11:25〜11:55ピットウォーク
13:15〜 公式予選(ノックアウト方式)
13 : 15〜13 : 35 Q1(19台→14台)
13 : 45〜14 : 52 Q2(14台→ 8台)
14 : 02〜14 : 09 Q3
17:20〜17:50キッズピットウォーク
・8月23日(日)
09:50〜10:20フリー走行
12:00〜12:40ピットウォーク
15:00〜 決勝(52Laps)