スーパーフォーミュラ2014 Round.6 - イベント・レースレポート

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スーパーフォーミュラ2014 Round.6

2014年9月29日

スーパーフォーミュラ第6戦SUGO、ルーキー野尻智紀が劇的勝利を飾る


9月28日、宮城・スポーツランドで開催された全日本選手権スーパーフォーミュラ第6戦決勝レース。1周約3.7kmのショートコースを68周にわたって繰り広げられた戦いの末、勝利の美酒に酔ったのは、予選2位からスタートを切った野尻智紀(No.40 DOCOMO DANDELION M40T SF14)。今季スーパーフォーミュラへとステップアップを果たしたルーキーが、ついにシリーズ終盤で勝利することになった。

 

前日同様、秋の行楽日和となったこの日、サーキットには1万1000人の観客が訪れ、波乱含みの攻防戦の行方を見守った。朝のフリー走行の時点から前日よりも強い日差しが照りつけたSUGO。このセッションでも勢い余ってコースアウトする車両が出るなど、今回は、ドライバー自身がヒートアップするシーンが幾度となく見られることになった。なお、前日の予選Q1で3番手の好タイムをマークしていた小暮卓史(No.32 NAKAJIMA RACING SF14)だったが、セッション途中でまさかのエンジンブロー。エンジン交換を余儀なくされ、決勝に向けてもポジション降格の痛手を負っている。

 

午後3時、ついに決勝レースが幕を開け、まずはそのスタートにすべて注目が集まる。ポールポジションの山本尚貴(No.1 TEAM 無限 SF14)はスタートを失敗。山本のアウト側にいた野尻はスムーズにダミーグリッドを離れ、1コーナーへとマシンを滑らせる。これに続いたのが、予選4番手のジェームス・ロシター(No.3 フジ・コーポレーション KONDO SF14)。この二人がトップ争いをしながらコーナーを駆け抜けていった。一方、ロケットスタートを得意とするアンドレ・ロッテラー(No.36 PETRONAS TOM’S SF14)はスタート直後に失速し、万事休す。それだけではなく、アウト側からイン側に攻め込んできたジョアロ・パオロ・デ・オリベイラ(No.19 Lenovo TEAM IMPUL SF14)と接触。オリベイラの車両にロッテラーが乗り上げるような形となり、さらにその後続から行き場を失った伊沢拓也(No.34 DRAGO CORSE SF14)が先の2台を飛び越えていくような形で宙を舞う惨事に。一瞬にして3台が戦列を去ることになり、レースはセーフティカーがコースイン。バトルが一旦お預けとなる。

 

レース再開後は各車ともスピードアップ可能なオーバーテイクシステムを乱発。だが、上位のポジションに変動はなく緊迫した戦いが続いたが、今度は塚越広大(No.10 HP SF14)がクルマの挙動を乱して最終コーナーでコースアウト。これで2度目のSCランとなった。するとこのタイミングをもってピットインする車両が続出。タイヤ前後2本、あるいは全4本を交換、給油を済ませてコースへと向うシーンが多くみられた。そんな中、まずは4台の車両がステイアウト。また給油のみ行い、タイヤ無交換をしたクルマも現れるなど、異なる戦略の末にポジション変動が出る。

 

トップ2台はステイアウトを選んだ国本雄資(No.39 P.MU/CERUMO・INGING SF14)と中山雄一(No.18 KCMG Elyse SF14)。3番手には左リアのみ交換した野尻、4、5番手に給油のみ&タイヤ無交換の中嶋一貴(No.37 PETRONAS TOM’S SF14)とロイック・デュバル(No. 8 Team KYGNUS SUNOCO SF14)が続き、逆にロシターは給油とタイヤ4輪交換を行った末に、6番手へとポジションを後退させてしまった。

 

その後、レースは大きな変動もなく、しかしながらトップの国本は依然としてハイペースでの周回を続けていく中でピットインの予定があるのか否か、レースの行方が気掛かりな状態となる。結果、国本は後続との差を可能な限り広げることに尽力するも、耐え切れずに59周終わりでピットイン。補給のみを行ってレースに復帰したが、11位までドロップアウト。この時点で自身初優勝は脆くも潰えた。となれば、代わってトップに浮上した中山のコンディションが気になるもの。チェッカー6周前に自己ベストタイムをマークし、このままチェッカーを受けるのでは、と思われたのだが…。結局はガス欠症状が現れ、やむなくピットイン。優勝はモチロンのこと、上位入賞の夢をも諦めることになったが、最後まで勝利を信じて果敢に攻めたことに観客も興奮しきりだった。

 

イレギュラーな戦略を採った2台が上位を去り、野尻がトップに立ったのは65周目になってから。今季は予選でトップ3に食い込む働きを見せてはいたが、決勝での結果には繋がらず、ここまでノーポイントだった野尻。最後は集中力を保てなくて大変だった、と反省しきりだったルーキーは、粘りの末に培った後続との差を守り切り、参戦1年目にして掴んだ初勝利を心から喜んだ。2位にはチームとしての総合力で好成績を引き寄せた中嶋。タイヤ無交換は、ひと足先にピットワークを終えたデュバルの様子を見て敢行したと言い、してやったりの表情を見せた。3位はデュバル。第2戦富士の第1レース以来となる表彰台に立っている。

 

ランキングでトップ争いをしていたオリベイラとロッテラーが奇しくも絡むアクシデントとなり、オープニングラップ早々に戦列を立ったことで、最終戦を前に暫定トップの座についたのは中嶋。これにオリベイラが続き、僅差でロッテラー、そして同ポイントで並ぶことになったデュバルが顔を揃えたチャンピオン争いは、最終戦鈴鹿の2レースを経て終止符を打つことになる。

 

■第6戦SUGO 決勝結果(TOP6)

1.No.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40T SF14)68Laps
2.No.37 中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)+1.870
3.No. 8 ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO SF14)+5.506
4.No. 3 ジェームス・ロシター(フジ・コーポレーション KONDO SF14)+16.075
5.No.31 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING SF14)+16.784
6.No.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)+17.513

 

記事・写真:島村元子/ TEXT&PHOTO : Motoko SHIMAMURA

 

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  • 2014年9月29日

    スーパーフォーミュラ第6戦SUGO、山本尚貴が連続ポールポジション獲得!


    9月27日、宮城・スポーツランドSUGOにおいて全日本選手権スーパーフォーミュラ第6戦の予選が行われた。秋晴れの中、ディフェンディングチャピオンの山本尚貴(No.1 TEAM 無限 SF14)が最速タイムをマーク、前戦オートポリスに続き、今シーズン2度目のポールポジションを獲得している。

     

    大詰めを迎えた今シーズンのスーパーフォーミュラ。第6戦の舞台は、シーズン初のSUGO。アップダウンが多く、また比較的1周の距離が短く、コース幅も狭いコンパクトなサーキットはチャレンジングなコースとして多くのドライバーが好む場所としても知られている。しかしその一方で、ちょっとしたミスが大きなアクシデントを誘発することも多く、比較的荒れた展開になりやすいというイメージも先行する。

     

    そんな中、予選を前に行われた午前中のフリー走行では、トップタイムをマークしていた山本尚貴が、赤旗後の再スタート直後に3コーナーでクラッシュ。コース縁石に乗ってガードレールに接触、クルマにダメージを追うというハプニングが発生した。これに対し、確実に速いタイムを刻んできたのが、シリーズタイトルを僅差で2番手につけるアンドレ・ロッテラー(No.36 PETRONAS TOM’S SF14)、そしてSUGOを得意とするロイック・デュバル(No. 8 Team KYGNUS SUNOCO SF14)、そしてジェームス・ロシター(No. 3 フジ・コーポレーション KONDO SF14)ら外国人ドライバー。予選では、彼らをはじめ、ノックアウト方式のタイムアタックをいかにマネージメントするのか、注目が集まった。

     

    予選Q1では、クラッシュしたクルマをスタッフが懸命に作業し、修復を終えた山本がトップタイムをマーク。早速ライバルを牽制する働きを見せる。そしてQ2ではセッション後半に出された赤旗後の出走を見送った複数の上位陣を一掃したルーキーの野尻智紀(No.40 DOCOMO DANDELION M40T SF14)が再アタックでトップを奪取。周囲を驚かせた。そして最終アタックとなるQ3は、一目散にアタックへと向った山本が再びトップタイムをマーク。コースインのタイミングがライバルとは大きくことなり、一瞬躊躇したというが、その逆境をも跳ね除けて見事にポールポジションを獲得。クラッシュの修復作業に尽力したチームスタッフを労う値千金のアタックを披露した。そして、2番手にはQ2の勢いをキープした野尻が、そして3番手には安定した速さのアタックラップを見せたロッテラーが続いている。

     

    なお、このSUGOと最終戦の鈴鹿での参戦を表明した新規チーム、DRAGO CORSE。かつてドライバーとしてフォーミュラ・ニッポンにも参戦していた道上龍が監督を務め、ドライバーには今シーズンGP2に参戦中の伊沢拓也を招へい。そのパフォーマンスに期待がかかるも、フリー走行の走り出しでエンジントラブルが発生。最終的にエンジン置換作業を行ったため、予選順位から10グリッド降格が決定。レースでは最後尾からのスタートを切ることが確定している。

     

    ■第6戦SUGO 予選結果(TOP6)

    1.No. 1 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)1’05.894
    2.No.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40T SF14)1’05.986
    3.No.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM’S SF14)1’06.058
    4.No. 3 ジェームス・ロシター(フジ・コーポレーション KONDO SF14)1’06.096
    5.No.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)1’06.150
    6.No.37 中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)1’06.370

     

    記事・写真:島村元子/ TEXT&PHOTO : Motoko SHIMAMURA

     

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  • 2014年9月24日

    SUPER FORMULA第6戦 SUGO プレビュー


    いよいよシリーズ終盤に向けてのラストスパートが切られた全日本選手権スーパーフォーミュラ。9月は上旬に行われた九州・オートポリスと今回の舞台、本州最北端のサーキットでもあるスポーツランドSUGOの2戦が行われるため、大詰めを迎えたシリーズ戦をより一層落ち着かない状況に導いているような気もする。そして今回は、チャンピオン争いもさる事ながら、もうひとつ気になる出来事がSUGOの戦いに関与。気になるトピックスが満載の一戦となりそうだ。

    ■フォーミュラOBドライバーが監督に! 新チームが参戦

    今シーズン、日本を離れてヨーロッパでGP2に参戦中の伊沢拓也。昨シーズンまで日本最高峰のフォーミュラレースで腕を磨いてきたが、このたびSUGOおよび最終戦鈴鹿に緊急参戦することになった。2012年にはシリーズランキング3位を獲得している実力派ドライバーが、SF14での初レースをいかに戦うのか。テクニカルなSUGOでの奮闘に注目が集まりそうだ。

    なお、伊沢が参戦するチームもこのSUGO戦がデビューレースとなる。監督を務めるのは、道上龍氏。昨シーズンまでSUPER GT・GT500クラスにフル参戦していたキャリア豊富なドライバーとして知られており、現在は、同・GT300に参戦するTEAM 無限のエグゼクティブアドバイザー。また後進の育成を精力的に行っていることでも知られている。すでに全日本カート選手権においては自身でチームを運営しているため、今回のフォーミュラチーム結成は、次なるステップへと続くものとも見て取れる。「自分がチームを起こしてスーパーフォーミュラに参戦するなら、まず伊沢に乗って欲しかった」と道上氏がいうように、この新チーム「DRAGO CORSE(ドラゴ コルセ)」がその名前の如く、龍のように勇ましい戦いを見せるかどうか、楽しみが広がる。

    ■SF14での初レースを迎えるSUGO

    前回のオートポリス同様、今回の舞台、SUGOもSF14で戦う初めてのレースとなる。山間部にあるサーキットは1周3.7kmほどあり、アップダウンを含むテクニカルコースとして知られ、外国人をはじめ、多くのドライバーがチャレンジングなコースだと、声にする。特徴豊かなコースだけに、クルマのセットアップにもポイントが多くあるようで、ドライバーとエンジニアによる互いのコミュニケーション能力が、戦いの行方を左右する可能性も出てくるだろう。

    他のサーキットに比べ、SUGOはコース距離も比較的短めであり、レイアウト的にはハイスピードコースとなるため、攻防戦になるパターンが多い。むろん、完璧なクルマの仕上がりでポールポジションからスタートを切れば、独走体勢…ということにも成りかねないが、決勝レースは周回数が68周と多く、混戦になる確率も自ずと高くなる。また、前回のオートポリスでは燃料補給を実施しないルールだったが、今回は義務ではないものの給油、ピットイン、タイヤ交換は可能。つまりは、チームの戦略次第で展開に変化が現れると見ていい。

    ■SUGOでも見られるか? コースレコード更新

    今シーズンは各サーキットでコースレコードの更新が続くSF14でのタイムアタック。ノックアウト方式による予選は今回も同じ。Q1で出走台数の上位14がQ2に駒を進め、Q2ではQ3進出目指し、上位8台のシートを巡って激しいタイムアタックバトルが繰り広げられる。ショートコースのSUGOでは、どのタイミングでアタックに出ていくか、そのあたりがポイントになるとも言える。自身が満を持してピットで待機している間に、他車がクラッシュして赤旗にでもなれば、リズムが崩れ、集中力にも多少影響が出てくるはず。速さだけでなく、あらゆる外的要因に対しても強さを見せつけてこそ、ポールポジションを手にすることができるのだ。

    しかしその一方で、難コースであるSUGOを得意とするドライバーも少なくない。ル・マン24時間の怪我から復帰するも、前回のオートポリスでは不運に泣いたロイック・デュバルは、ここSUGOを得意とするドライバーのひとり。現在、ランキング4位とチャンピオン争いの渦中にあって、やや微妙な順位にいるが、まだまだチャンスも残っている。確固たる自信をもってこのSUGOでの反撃に挑んでくることだろう。これに対し、現在シリーズランキング暫定トップの座にいるジョアオ・パオロ・デ・オリベイラは、このSUGOとの相性がさほど良くない。苦手意識うんぬん…のレベルではないだろうが、ここはチーム一の総合力でSUGOでの一戦をうまくマネージメントしたいところだろう。このオリベイラを2.5点差で追うアンドレ・ロッテラーはある意味、今勢いのあるドライバー。安定した速さ、勝負強さをうまく形にすれば、SUGOでの勝利もあり得る。それぞれの思惑がどのような結果となって現れるのか。その行方を見守りたい。

    ■主なタイムスケジュール

    ・9月27日(土)
    08:00 ゲートオープン
    09:00~10:00 フリー走行
    11:55~12:25  ピットウォーク
    13:10~ 公式予選(ノックアウト方式)
    13:10~13 : 30 Q1(20台→14台)
    13:40~13 : 47 Q2(14台→ 8台)
    13:57~14 : 04 Q3
    16:50~17:20 キッズピットウォーク

    ・9月28日(日)
    07:00     ゲートオープン
    09:15~09:45  フリー走行
    09:45~09 : 55 スタート練習
    11:00~11:35  ピットウォーク
    15:00~     決勝 68Laps

     

    記事:島村元子/ TEXT : Motoko SHIMAMURA





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