スーパーフォーミュラ2014 Round.7
スーパーフォーミュラ第7戦鈴鹿、レース2の勝者・中嶋が今季王者に!
今シーズン、有終の美を飾るレース2は午後3時にスタート。決勝直前のダミーグリッドでは雨もほとんど降っておらず、ミストの状態。結果、多くのドライバーが溝の浅いレインタイヤを装着してコースを離れた。
レース1では後方のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL SF14)に先行を許したトムスのふたり(中嶋一貴、アンドレ・ロッテラー)だが、このレースではポールポジションからスタートを切った中嶋がホールショットをキープ。ペースも良く、2位走行中の僚友、ロッテラーとの差を着実に積み上げていった。
逃げる中嶋に対し、追うロッテラーは3番手を走るロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO SF14)の猛プッシュを受けて苦戦。さらに後方でも攻防戦を繰り広げるシーンがいくつも見られたが、大きなポジション変動になるまでには至らず。結果、終盤には2位との差を10秒近くまで広げた中嶋が手堅くトップチェッカー! ポイントを重ねてSF14による2014年のシリーズチャンピオンを手にすることになった。
全日程を終えた今シーズンのスーパーフォーミュラ。自身2度目のタイトルを手にした中嶋は「2度目のビッグタイトルとはいえ、プレッシャーはありました」とタフなシーズンを振り返っている。
■第7戦富士 レース2 決勝結果(TOP6)
1.No.37 中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)28Laps
2.No.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM’S SF14)+8.831
3.No. 8 ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO SF14)+9.409
4.No.19 ジョアロ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL SF14)+10.819
5.No. 7 平川 亮(Team KYGNUS SUNOCO SF14)+22.056
6.No. 1 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)+34.204
記事・写真:島村元子/ TEXT&PHOTO : Motoko SHIMAMURA

スーパーフォーミュラ第7戦鈴鹿、レース1のウィナーはオリベイラ!
今シーズンの最終イベントを迎えた全日本選手権スーパーフォーミュラ。その舞台、鈴鹿サーキットは朝から雨模様。結果的に2レースともウェットコンディションでの争いになった。前日から決勝日の雨を想定していたチームも多く、その一方で、シーズン初のウェットスタートでもあったため、いつになく緊張感高まるスタートを迎えることとなった。
20周のスプリントレースはピットインなしのガチンコバトル。スタート直前のダミーグリッドで伊沢拓也(DRAGO CORSE SF14)がマシントラブルからエンジンストールを誘発。これでレースが仕切り直しとなり、19周で再スタートを切った。
チャンピオン争いを繰り広げるフロントローのアンドレ・ロッテラーと中嶋一貴を抑え、ふたりの間からスルリと最前線に躍り出たのはジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL SF14)。絶妙のタイミングでトップを手にしたオリベイラは、最速のラップタイムを刻み続け、後続との差を少しずつ築き上げていった。一方のフロントロー組は中嶋が一歩先んじてオリベイラを追随。逆にロッテラーは4番手につけたロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO SF14)の猛追の応戦に追われた。
レースは小康状態でスタートした雨が次第に本降りとなり、さらには折り返しを迎えた頃に小暮卓史(NAKAJIMA RACING SF14)が130Rでコースアウト、タイヤバリアに接触した末に転覆するアクシデントが発生する。これを受け、コースにセーフティカーが出動、14周目に解除されるまでに各車の差が詰まり、再び緊迫した状況が訪れた。
しかし、速さでライバルを上回っていたオリベイラはその後も力強い走りを披露。粘り強くプッシュする中嶋一貴からのプレッシャーを跳ね除け、トップでチェッカー。今季3勝目を挙げた。また、レースは2位中嶋、3位ロッテラーのオーダーで終わり、王者獲得の可能性を残す選手がこの3選手に絞られた。
■第7戦鈴鹿 レース1 決勝結果(TOP6)
1.No.19 ジョアロ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL SF14)20Laps
2.No.37 中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)+3.846
3.No.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM’S SF14)+5.577
4.No.39 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING SF14)+14.111
5.No.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)+17.401
6.No. 3 ジェームス・ロシター(フジ・コーポレーション KONDO SF14)+20.698
記事・写真:島村元子/ TEXT&PHOTO : Motoko SHIMAMURA

スーパーフォーミュラ第7戦鈴鹿、レース1はロッテラー、レース2は中嶋一貴がトップタイム!
11月8日、三重・鈴鹿サーキットにおいて全日本選手権スーパーフォーミュラ第7戦の予選が行われた。シリーズの最終戦となる今回は2レースでの戦い。秋深まる薄曇りの一日となった鈴鹿では、いつもと変わらぬQ1、Q2、Q3のノックアウト方式予選が行われた。
今回、2レースの予選グリッドは、Q1のタイムがレース1に、そしてQ3のタイムがレース2の予選結果として採用されるため、Q1から全20台の車両がしのぎを削るタフなタイムアタックが繰り広げられた。
最終戦を前に、シリーズチャンピオンを手にする可能性があるドライバーは7名。近年稀な激戦だ。重圧のかかる中、まずはセットアップを進めるべく朝のフリー走行が行われる。ここで序盤から安定した速さを見せていたのは、アンドレ・ロッテラー(No.36 PETRONAS TOM’S SF14)。これにロイック・デュバル(No. 8 Team KYGNUS SUNOCO SF14)や中嶋一貴(No.37 PETRONAS TOM’S SF14)といったチャンピピオン候補が続き、安定した速さを披露した。
迎えた午後の予選。薄曇りの空から束の間の日差しが照るものの、気温や路面温度はさほど変化しない。開幕戦でスーパーフォーミュラのファステストラップが更新されたこともあり、この最終戦ではさらに最速ラップが生まれるのでは、という期待もあったが、フタを開けてみればさにあらず。僅かなコンディションの変化によってレコード更新は来シーズンへと持ち越されることになった。
まず20分間のQ1では、20台がコースイン。レース1のグリッドはこの結果を反映することになる。さらにここで上位14台に残らなければ、Q2、そしてレース2のグリッドとなるQ3への出走が果たせない。我先にと続々コースへとなだれ込み、セットアップの確認を済ませた車両がセッション中盤に一旦ピットイン。ニュータイヤを装着して、アタックを開始した。セッション終了直前にトップタイムを更新したのが、ロッテラー。そしてチェッカードフラッグが振られた後に飛び込んできた中嶋一貴も自己ベストタイムを更新。あろうことか、そのタイムは僚友ロッテラーがマークしたタイムと同じ1分38秒085だった。まったく互角の戦いを見せたふたりに続いたのは、国本雄資(No.39 P.MU/CERUMO・INGING SF14)。4位にはタイトル争いをするひとり、ジョアロ・パオロ・デ・オリベイラ(No.19 Lenovo TEAM IMPUL SF14)が入り、デュバルは5番手となった。
Q2を経て、いよいよQ3の最終アタックがスタート。7分間で8台がレース2のポールポジションを目指して文字通り一発勝負に挑む。Q1、Q2ともコース開始とともにピットを離れたドライバーたちも、このセッションでは出るべきタイミングを見計らっている模様。オリベイラが先陣を切り、以後、続々と控えるドライバーたちがコースへとなだれ込んで行った。
このセッションでポールポジションを手にしたのは中嶋一貴。Q1では同タイムながら、先にアタックしたロッテラーにポールポジションとその対価として与えられる貴重な1ポイントを奪われた悔しさを心のうちに秘めていた中嶋。自ら納得のいくアタックで手にしたポールの座を手放しに喜んだ。2番手にはデュバル、そしてロッテラーは3番手となり、2列目スタートに甘んじた。
明日の決勝レースは、レース1がピットストップなしの20周、そしてレース2はタイヤ4輪交換が義務付けられた28周で行われる。一触即発状態の緊迫したコンディションとなった一方、気になるのは下り坂の天候。雨ともなればさらに不確定要素が増える戦いとなるだけに、またひと波乱、ふた波乱の展開となっても不思議ではない。いずれにせよ、明日の2レースをもって今シーズンのチャンピオンが決定する。
■第7戦鈴鹿 予選結果(各TOP6)
●レース1
1.No.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM’S SF14)1’38.085
2.No.37 中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)1’38.085
3.No.39 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING SF14)1’38.231
4.No.19 ジョアロ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL SF14)1’38.248
5.No. 8 ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO SF14)1’38.418
6.No. 1 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)1’38.474 ※
(※ エンジン置換により、山本は決勝で10グリッド降格)
●レース2
1.No.37 中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)1’37.507
2.No. 8 ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO SF14)1’37.671
3.No.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM’S SF14)1’37.717
4.No.39 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING SF14)1’37.862
5.No.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)1’37.900
6.No.19 ジョアロ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL SF14)1’38.000
記事:島村元子/ TEXT : Motoko SHIMAMURA
SUPER FORMULA第7戦 鈴鹿 プレビュー
ついに今週末、シリーズチャンピオンが決定する全日本選手権スーパーフォーミュラ。舞台となる三重・鈴鹿サーキットは腕のあるドライバーが好んでやまないテクニカルコースだけに、このサーキットで繰り広げられるタイトル争いはいつになく熾烈なものとなりそうだ。というのも、現時点でチャンピオンの可能性があるドライバーは7人! 秋深まる週末、日曜日の決勝は2レースにて実施することもあり、大いに盛り上がりを見せてくれることだろう。
■ニューマシンSF14での最強ドライバーは誰に?
2014年の王者を決めるスーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿。今年はタイトルを巡って激しい戦いが期待できそうだ。振り返ってみれば、昨シーズンの最終戦を迎えた鈴鹿はやや物足りなさを感じる一戦だった。というのも、チャンピオン争いの渦中にあったアンドレ・ロッテラー、そしてロイック・デュバルの2選手がレギュラー参戦する世界耐久選手権(WEC)と日程が重なり、鈴鹿を欠場。見えないライバルとの戦いの末、山本尚貴がニューチャンピオンに輝いた。
だが、今シーズンは全ドライバーが顔を揃えて最終決戦へと挑む。しかも、チャンピオンの可能性を持つドライバーは7選手! 参戦選手のおよそ3分の1がビッグタイトルを手にする権利があるのだ。となれば、その戦いはすでに予選から始まっているといっても過言ではないだろう。モチロン、その予選を最速でアタックできるようにするため、事前のフリー走行から互いに火花を散らしているに違いない。
一方で、チャンピオンタイトルの権利はなくとも、最終戦でひと花咲かせようと果敢に攻めてくるドライバーの存在も忘れてはならない。シーズンを通してSF14を操ってきた成果を、惜しみなく発揮する日がやってくるのだから。
■久々の「JAFグランプリ」開催へ!
11月8、9日に行われる最終戦は、「第13回JAF鈴鹿グランプリ選手権」として開催される。鈴鹿サーキットではなんと28年ぶりのJAFグランプリレースだ。当時のJAF鈴鹿グランプリは、シリーズ中でも格式の高い一戦として位置づけられていた。というのも、シリーズ戦にフル参戦するドライバーに加え、海外から強豪チーム・ドライバーがスポット参戦していたため。当時はヨーロッパと同じシャシーでのレースを開催していたことから、鈴鹿での共演が可能だったのだ。
シャシーが変更された後も、このレースは特別な意味を持つ年に一度の熱き戦いとして注目を浴び続けた。誰もがこの一戦で勝利することを目標に、また海外の強者と一戦を交えることに心血を注いだといってもいいだろう。
それがこのたび鈴鹿の最終戦で復活。海外からの“刺客”はいないが、名誉ある一戦での優勝を目指し、レギュラー参戦のドライバー同士による手に汗握る一戦が見られることには違いない。
■ポテンシャルアップされたSF14の驚異のタイムに着目せよ!
昨シーズン同様、最終戦は2レース制で開催される。予選はシーズンを通して同じくノックアウト方式が採用されているが、レース1のグリッドはQ1の順位で、そしてレース2のそれはQ3での順位で決まる。1イベント1レースでは、Q1、Q2とノックアウトさえ免れればQ3での一発狙いもあった。だが、今回はどのセッションも重要になるため、いつも以上に気合が入りそうだ。なお、レース1は20周のノンストップレース。ピットインの義務は伴わない。一方でレース2はフルコースを27周し、その間にピットインしてタイヤ交換(4輪とも)することが義務付けられている。レース1は最速決戦、そしてレース2はチームの総合力も求められる一戦となる。
そして予選のタイムアタックでの見どころは、コースレコードの更新だ。今シーズンの開幕戦となった4月の鈴鹿でも既存のレコードが更新されているが、1年を経てさらに熟成が進んだマシンでのアタックにはさらに期待がかかる。現在のレコードは1分36秒996。果たして35秒台への突入は可能なのか? 新たな領域へと向うスーパーフォーミュラの驚異の速さから目が離せない。
現在のランキングトップ、中嶋一貴を筆頭に、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ、アンドレ・ロッテラー、ロイック・デュバルと上位4ドライバーはタイトルホルダー経験者が占める。チャンピオンになるための強さ、タフさを持ち備えた実力派ばかりだ。それを追うのが、3年ぶりの復帰となった石浦宏明、そして今年フル参戦を果たしたジェームス・ロシター、さらに3年目の若手・国本雄資となる。最終戦での2レース両方をポール・トゥ・フィニッシュで飾ったときに手にできるポイントは18点。昨シーズンも大量加算を果たして逆転チャンピオンが誕生しているだけに、今年もどのようなドラマが待ち受けるのか、誰もわからない。だからこそ、この戦いの行方をぜひ見守って欲しい。
■主なタイムスケジュール
・11月8日(土)
09 : 15 ~ 10 : 15 フリー走行
10 : 30 ~ 10 : 45 サーキットサファリ
12 : 10 ~ 12 : 55 ピットウォーク
13 : 30 ~ 公式予選(ノックアウト方式)
13 : 30 ~ 13 : 50 Q1(20台→14台)
14 : 00 ~ 14 : 07 Q2(14台→ 8台)
14 : 17 ~ 14 : 24 Q3
15 : 30 ~ 16 : 00 キッズピットウォーク
・11月9日(日)
10 : 10 ~ レース1(20周)
12 : 05 ~ 12 : 50 ピットウォーク
15 : 00 ~ レース2(28周)
16 : 15 ~ シーズンエンドセレモニー
記事:島村元子/ TEXT : Motoko SHIMAMURA