SUPER GT 2024 Round.1
快晴の下、au TOM’S GR Supraが独走勝利達成
4月14日、岡山国際サーキットにおいて、2024年SUPER GTシリーズの開幕戦「OKAYAMA GT300km RACE」の決勝レースが行なわれ、予選ポールポジションからスタートしたNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)がライバルを圧倒する速さを武器に、独走。開幕戦を制した。
まだ桜の花が残るなか、気温上昇で初夏のような好天気に恵まれた開幕戦のレースウィーク。朝から燦々と日差しが照りつける陽気になり、決勝直前のウォームアップ走行が始まる頃には気温26度、路面温度は37度まで上昇した。
午後1時30分、岡山県警の白バイ先導のパレードランが始まり、続いてフォーメーションラップを経てレースが号砲。ポールシッターの36号車には坪井が乗り込み、早速後続との差を広げていく。予選2位のNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)も決勝での速さに自信を見せていたが、36号車はこれを意に介さずに”我が道”を進み、31周を終えてピットインを行なった。逆に39号車はこれより1周先にピットイン。関口から中山へとスイッチし、第2スティントに向けてチャンスを伺ったようだ。これに先立ち、3位争いには展開が。No.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)は、牧野が思うようにペースアップせず、予選4番手のNo.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)の大湯が猛追。大湯が18周目のアトウッドカーブで逆転に成功。その勢いで39号車にも迫る走りを見せた。
レースは3分の1を前に、早くも36号車が2位以下に対してリードを構築。10秒強の大差でひとり旅の状態となった。これを見て動いたのが残る表彰台を繰り広げる38号車と100号車の2台だった。ともに28周を終えてピットイン。だがそこで38号車はタイヤ交換時にミスが発生。コース上で先行を許した100号車は、ピット作業での逆転で再びポジションを取り戻すこととなった。
第2スティントに入ると、36号車は序盤に築き上げたマージンを有効活用。ペース配分をしっかりと行ない、後続の動きを読むように”クルージング”。終盤に入るとやや後続との差が縮まったが、余裕あるペース配分でレースを完全掌握。レースは序盤のセーフティカー導入や、終盤のFCYなど突発的なアクシデントも発生したが、その影響も受けることなくひとり旅を堪能し、82周を走破。坪井と山下による新コンビで初戦の岡山を制することとなった。
一方の2位争いは、第2スティントになって佳境を迎える。ペースアップした3番手の100号車山本が、じりじりと39号車中山の背後に迫り、逆転のチャンスを伺う走りを見せ続けた。GT300クラス車両が入り乱れるなか、中山は落ち着いて山本の動きを読み切り、完全防御。スキのない走りで山本を封じ込めることに成功した。
結果、予選でのトップ3そのままに、決勝が終了。4位に38号車が続き、5位には、今シーズンからブリヂストンタイヤを装着することになったNo.23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/ロニー・クインタレッリ)がニッサン勢トップの結果を残している。
GT300クラスでは、タイヤマネージメントがレース戦略にも大きな影響を与えたようだ。予選でポールポジションを手にしたNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)は順調にクラストップの走りを見せていたが、予選2位スタートのNo. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)がつねに背後から強烈なプレッシャーをかけ続ける。近づくピットインを前に、両車がどういう戦略を採るのかが見どころとなった。
32周終わりで先に2号車がピットイン。なんと給油のみの作業でタイヤは交換せずにコースに復帰する。わずか23.5秒という最短時間で走行を再開した2号車。逆に65号車は第1スティントを引っ張る戦略で49周まで走行。タイヤ交換は免れず、作業を済ませてコースに戻った。65号車は2号車の先行だけでなく、No.52 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太)にも先を越されたが、64周に導入されたFCYを味方につけて前の52号車との差を縮めていく。フレッシュタイヤでの速さを活かし見事逆転を果たし、改めて2号車を追ったが、その差はすでに10秒以上開いており、優勝を手にすることはできなかった。
昨シーズン、タイトル争いに敗れ悔し涙を流した2号車だが、今シーズンは最高のスタートを飾ることに成功したといえる。そして、65号車に次いで3位に入ったのは、No. 7 Studie BMW M4(荒聖治/二クラス・クルッテン)。最終盤、タイヤが厳しくなった52号車を攻め立て、逆転。SUPER GTデビュー戦となる7号車のクルッテンがベテランの荒とともに表彰台に上がることとなった。
次戦は戦いの舞台が富士スピードウェイに移るSUPER GT。3時間の時間制レースでの一戦となる。
第1戦岡山 決勝結果 各クラストップ3
GT500
1.No.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)
2.No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)
3.No.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)
GT300
1.No. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)
2.No.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)
3.No. 7 Studie BMW M4(荒聖治/二クラス・クルッテン)
2024年シーズン、開幕戦岡山のポールはau TOM’S GR Supraがゲット!
4月13日、岡山国際サーキットにおいて2024年SUPER GTが開幕。初戦は、穏やかな日差しが降り注ぐ中でまず予選が行なわれ、昨シーズンのシリーズチャンピオンであるNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)が総合トップタイムをマークし、ポールポジションを手にしている。
サーキット周辺の桜がまだ咲き誇るなか、ついにシーズンインとなったSUPER GT。前身の全日本GT選手権から今年で30周年を迎える記念すべきシーズンでもある。予選日は初夏を感じさせるほどの陽気となり、訪れたファンにとっては絶好の観戦日和だったが、今シーズンから新たなレギュレーションにそって予選を戦うチーム、ドライバーにとってはなかなかタフな一日となったようだ。
午前中の公式練習は、気温20度、路面温度26度のコンディションでスタートしたが、終了時にはそれぞれ26度、32度まで上昇。午後からの”新方式”の予選に向けて、各チームは粛々と準備に取り組み、GT500クラスでは、No.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)がトップタイムをマークした。
午前2時の予選を迎えると、気温、路面温度はさらに上昇。それぞれ27度、36度のなかでいよいよセッションが幕を開けた。なお、今シーズンからは「タイム合算方式」による予選を実施するため、全ドライバーがQ1もしくはQ2に出走することになる。どのドライバーも予選アタックをすることになる一方、予選Q1から決勝スタート前に装着できるするタイヤはたった1セット。Q2を担当するドライバーはユーズドタイヤでアタックしなければならない。ガラリと変更された予選で各ドライバーがどんなアタックを見せるのか見どころではあるが、”タイヤにやさしい”走りが必要となるだけに、その”さじ加減”にも注目が集まった。
Q1でトップタイムをマークしたのは、No.23 MOTUL AUTECH Zの千代勝正。今シーズンから新たにニッサンのエースカーを託されたプレッシャーを跳ね除けるかのようなパフォーマンスをしてみせた。GT300クラスの予選をはさみ、Q2にも全15台が出走。そのなかでユーズドタイヤでのアタックをうまくコントロールしてみせたのは、36号車の坪井翔。アタック中、走行ラインが乱れタイムロスしながらもライバルに0.2秒の差をつけてトップタイムをマーク。Q1とQ2タイム合算により、36号車がシーズン最初のポールポジションを手にしている。2番手にはNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)が続き、3番手には今シーズンからニューマシンのシビックを投入したホンダのNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)が入った。
参加台数が多いGT300は、各セッションを2組に分けて出走を行なった。Q1の2組上位8台、計16台はQ2のグループ1に、残り10台がQ2のグループ2に分けてアタックを実施。そのなかでトータルトップタイムをマークしたのは、No.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)。昨シーズン、最後までチャンピオン争いに残るも夢が叶わなかったNo. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)が、トップと0.067秒差という僅差で2番手に続いた。3番手はNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)。昨シーズンからつねに上位争いに食い込む実力あるチームがトップ3を占めた。
決勝日も予選日と同じような天候になると言われているだけに、予選をアタックしたタイヤでスタートを切る開幕戦は、序盤から荒れ模様となるのか。例年よりもさらに筋書きが読めないレース展開となりそうだ。
第1戦岡山 予選結果 各クラストップ3(Q1、Q2合算タイム)
GT500
1.No.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)2’35.561
2.No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)2’35.787
3.No.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)2’35.883
GT300
1.No.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)2’52.198
2.No. 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)2’52.265
3.No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)2’52.513
SUPER GT第1戦岡山 プレビュー
24年シーズン開幕! 初戦を制するのはどのチーム?
ここ数日、冷たい雨に見舞われた日本列島だが、2024年のSUPER GTが開幕を迎える今週末の岡山は、穏やかな春の陽気に包まれる模様。新車参戦、レギュレーションの変更そして、新しいコンビによるチームが見せるパフォーマンスを見逃す手はない。ウェイトハンディもなく、”まっさらな”コンディションで繰り広げられる一戦を堪能しよう!
GT500は新コンビがいっぱい!
GT500クラスは参戦チーム全15台のうち、10台が新コンビに。なかでもシビック・タイプR-GTで新シーズンに臨むホンダ系チームは5台のうち4台のコンビが一新されている。新しいクルマで新たなパートナーと戦うとなれば、どのチームよりもいち早くしっかりとしたコミュニケーションを取りたいところ。そんな中で、いくつか注目したいチームを紹介しよう。まず、No. 8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8。ARTAの絶対的エースのような存在である野尻智紀と松下信治が新コンビを結成。松下は、昨シーズンまでホンダ系のリアルレーシングに在籍していたが、レースで速さ・強さをしっかりアピールできる実力派ドライバーであることは証明済み。さらに、ふたりは松下が幼少時代からの知り合いで、ともにカート時代からつきあいがある。どんなレースをするのか、どういう考えで戦いに挑むのか、親しい間柄だからこそしっかりと本音を語りながらクルマ作りを進めているといい、絶好のコンビネーションに期待が集まる。スーパーフォーミュラでは、2シーズン連続でタイトルを手にしている野尻にとっては、そろそろGTの王座もつかみ取りたいだけに、気心知れた”相方”と強い戦いを見せるのではないだろうか。
続いて、ニッサン系チーム。4台中3台がコンビを変更している。そのなかから、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)を紹介したい。NISMO系の2台、3号車および23号車に長年装着されていたミシュランが昨シーズンをもってSUPER GTから撤退。ブリヂストンタイヤへとスイッチした。ニッサン系といえば、12号車での活躍が知られるところだけに、NISMOの2台が加わって3台体制になれば、より強固な体制を敷けるはず。それだけに、ニッサン系チームで唯一ヨコハマタイヤを装着する24号車に一目置きたい。これまで予選での速さはあるものの、決勝では刻々と変化する路面コンディションに苦戦するなど、レースでの強さに精彩を欠くこともあった。予選でのパフォーマンスが徐々に向上するなかで、決勝での強さにも少しずつ磨きをかけており、今シーズンはその成果を見せてくれるのでは、という期待が募る。なにしろ、NISMOで長らく勝ち星を上げてきた大ベテランの松田が移籍し、さらにGT300でキャリアップを目指してきた伸び盛りの名取がタッグを組むだけに、それぞれの強みが合わさって、好結果を生む可能性も高い。2016年から遠ざかっている勝利を渇望するチームの思いを背負って戦うシーズンとなりそうだ。
昨シーズン、No.36 au TOM’S GR Supraがシリーズチャンピオンンを獲得したトヨタ系チームは6台中3台は不変のコンビ。一方で、36号車は宮田莉朋が欧州でのレースに拠点を移したため、山下健太が坪井翔とコンビを組む。ともにF3時代から切磋琢磨した間柄。チームこそ違えど、山下はチャンピオン経験者でもある。ヒリヒリした戦いの中で、王座を掴み取るプレッシャーを共有できるふたりだけに、チャンピオン候補としての名も挙がっている。ライバルからの警戒も強いだろうが、速さを武器にした走りを見せてくれることだろう。
GT300クラスは新車に注目!
黒船参戦に新顔が見られるGT300クラス。フェラーリ296 GT3が2台、アストンマーチン・バンテージGT31台の3台が”襲来”することになった。これを迎え撃つ新車としては、GTA GT300規則のニッサンZが登場する。百花繚乱状態のGT300だが、新たな戦闘マシンの登場は、ファンの興味をひくことだろう。
そして、昨シーズンはGT500クラスだけに留まった新燃料…カーボンニュートラルフューエル(CNF)が、いよいよGT300クラスにも導入される。GT500クラスは化石燃料を一切使わない合成燃料「GTA R100」が供給されているが、GT300クラスは合成燃料50パーセントの「GTA R50」の使用する。GTAが掲げるカーボンニュートラル推進を目指した「SUPER GT Green Project 2030」の一環として、新たなチャレンジが始まることになる。
安全面の取り組みとして、GT300クラスでは、BoPと言われる車両別の性能調整を取り入れているが、これとは別に追加重量が設定された。車体そのものが重くなることを受け、サクセスウェイトの見直しがなされ、上限は100kgから80kgへと軽減。合わせて第2戦から第6戦までのウェイトも1ポイントあたり3kg計算だったのが2kg、第7戦では1kgになった。
レギュレーション変更による”変化”がカギに!?
昨シーズン、レースウィーク中に使用できるタイヤセット数が削減されたが、今シーズンはさらに1セット削減が進み、最大4セットになる。もちろん天候不順でウェットコンディションになれば、このルールは適応されないが、タイヤマネージメントが最重要課題になる可能性もある。そして、使えるタイヤが少なくなるのなら、セッション中の走行を極力控えようとするチームの動きを読んでか!? GTAは予選方式の変更にも着手。予選から決勝スタートまでの間、使用できるタイヤをたった1セットに制限したのだ。
さらには予選結果はノックアウト予選に変わってQ1とQ2のタイムを合算する方式を導入。自動的に全ドライバーがQ1もしくはQ2でタイムアタックを行なうことになった。サーキットに来るファンは、ドライバー全員のタイムアタックが見られるという楽しみに繋がったが、チームやドライバーとしては一気にハードルが上がってハードワークを強いられることに。いかに上手にタイヤを使うか、どのタイミングでアタックするか…さまざまな駆け引きが必要となり、頭脳戦にもなりそうだ。
なお、GT300クラスの予選はさらに特徴あるものに変わった。Q2のグループ分けは、Q1での結果によって、上位16台(グループ1)とそれ以外の11台(グループ2)に区分してアタックを実施。さらに、セッション後は、グループ1の下位4台と、グループ2の上位4台のタイムを速い順から「順位入れ替え」を行なうとしている。この結果に泣き笑いが起こり得るだけに、ちょっとしたドラマが見られるかもしれない。
さまざまな変化を味方に、ライバルより先んじて好成績を残したいのが開幕戦。なにしろ、ノーウェイトで挑む貴重な一戦であり、ファンもまた、各マシンの”素性”をしっかり見てみたい。蓋を開けてみなければわからない部分も多い開幕戦だが、それだけにチームとしての総合力も問われる。どこでどんなドラマが見られるのか。観る側としても、ハラハラドキドキ感たっぷりの岡山戦になるだろう。
主なスケジュール
OKAYAMA GT 300km RACE
4月13日(土)
09:30〜10:55 公式練習(GT300+GT500)
10:55〜11:05 公式練習(GT300専有)
11:05〜11:15 公式練習(GT500専有)
12:20〜13:20 ピットウォーク
14:00〜14:10 公式予選Q1 GT300 A組
14:18〜14:28 公式予選Q1 GT300 B組
14:33〜14:43 公式予選Q1 GT500
14:53〜15:03 公式予選Q2 GT300 Gr.2
15:11〜15:21 公式予選Q2 GT300 Gr.1
15:29〜15:39 公式予選Q2 GT500
16:30〜17:00 キッズウォーク
4月14日(日)
09:50〜10:50 ピットウォーク
10:50〜11:15 ドライバーアピアランス
11:30〜11:45 オープニングセレモニー
12:00〜12:20 ウォームアップ
12:20〜13:30 スタート進行
13:30〜 決勝 300km RACE(82周)