スポーツカー専門 GTNET
エンジン型式は、標準型と同じVR38DETT。パワー&トルクは「485ps/60kgm」と数値的に同一だが、軽量化による相乗効果で加速フィーリングは明らかに強力だ。スペックVで注目の「ハイギヤードブースト」は、スイッチをONにすると一定時間内だけブースト圧が高まり、最大トルクが62kgmへ向上する新機能。作動中は、メーターパネル内のターボマークがグリーン色に点滅し、約80秒間効果が持続する。設定時間が終了するとマークが常時点灯状態になり休止状態であることを告知。マークが完全に消滅すると再始動可能なスタンバイ状態になる仕組みだ。その効果が顕著にあらわれるのはおもに中速域(3500~5000rpm)で、アクセルレスポンスの向上や、6500rpmまで続く強力なトルクを体感できる。スポーツ走行における戦闘力の向上は確実であり、ストリートにおいても高速巡航時に4速から3速にシフトダウンを要するようなシーンで活用すれば、ギヤをホールドしたまま力強い加速を得ることができる。坂道においても絶大な効果を発揮するはずだ。
その他、エンジン外観の違いは、エンジンカバーの色がブラック(標準車はシルバー)に変更。ボンネット裏側の両端にウェザーストリップゴムが追加され、走行風を逃さずキャッチすることでラジエター及びインタークーラーの冷却効率を高める工夫が施された。細かなところでは、ラジエターキャップの圧力が180kPs(標準車は137kPs)に高められ、リザーバータンクの「MAX」表示がカラー化された。見えない部分では、フロントアンダーカバー(3分割タイプ)のリヤ側の材質がカーボン製に変更されたところも見逃せないポイントだ。
排気系の注目点は、排気抵抗の低減とリヤ・オーバーハングの軽量化を両立するため、高価なチタン合金製(標準車はステンレス製)マフラーが標準装備されたことだ。チタンは、ステンレスに比べ音を浸透しやすい性質があり、マフラー素材に用いることで、抜けのよいクリアな高音質を奏でるメリットがある。メインパイプ径は70φで、ストレート構造を採用。発熱的に大きな負担が掛かる曲線部分や分岐箇所は、一説によると温度が600度以上に達するといわれ、比類希な冷却フィンを設けることで万全の熱害対策(チタンマフラー特有のクラック対策も含まれる)が施された。リヤアンダーディフューザーについても、NASAダクトを左右に2つ追加した専用品を装着し、熱のこもりを徹底的に排除する。
テールデザインは、オーバルデュアルの左右出し(標準車は、丸形デュアルの左右出し)を採用し、テールパイプもチタン製で統一。標準車との違いは明らかであり、スペックVの存在感を強烈にアピールする。また、排気温度が高くなると玉虫色に変化する特性があり、スポーツ走行毎に変化を観察するのも楽しみのひとつだ。