SUPER FORMURA 2025 Round6
”夏祭り”決戦の初日は、坪井翔が逆転勝利!
7月19日、静岡・富士スピードウェイにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦の予選および決勝レースが行なわれ、予選2番手からスタートを切ったNo.1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)が、トップでチェッカーを受け、今シーズン2勝目をあげた。
第6戦富士 予選
前回、第5戦の戦いからおよそ2ヶ月。久々にスーパーフォーミュラの轟音がサーキットに戻ってきた。今回の富士のレースウィークではワンデーレースを2日間、各日にわたって展開することになる。今シーズンとしては、ちょうど3ヶ月前に栃木・モビリティリゾートもてぎで行なわれたレースフォーマットと同じ形だ。よって、前日の18日には公式練習が行なわれ、午前11時からと午後2時50分からそれぞれ1時間のフリー走行が設けられた。午前のセッションではNo.38 阪口晴南 (SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、そして午後のセッションはNo.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)がそれぞれトップタイムをマークした。
夏空の下、迎えた第6戦予選。「スーパーフォーミュラ夏祭り」というイベント名にふさわしいレースウィークとなる。午前9時10分、まずQ1・A組予選がスタートすると、昨シーズンはすべての富士戦で勝利しているNo.1 坪井がトップで通過。これに、No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)、さらには前日午前のフリー走行でトップタイムをマークした阪口が3番手につける。
続くQ1・B組は、午前9時25分にスタート。暫定ランキングトップのNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が早々にコースへ向かったが、それに続こうとしたNo.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)がピットレーン出口に向かうと、そのタイミングで信号が赤に切り替わる。直後、信号機のエラーと判明したため、仕切り直しとして午前9時35分から改めてスタートが切られた。結果、B組トップ通過を果たしたのは、岩佐。これに前日午後の走行でトップだったフラがが続き、3番手はNo.39 大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)という結果になった。
予定よりも10分遅れとなる午前9時55分に始まったQ2。7分間でポールポジションを競うアタックとなる。コースには12台が向かい、その先頭に野尻、そして”しんがり”にはチームメイトである岩佐がポジションについた。気温31度、路面温度43度と朝から徐々に上昇するコンディションの中、いよいよ残り1分半の段階でアタックが始まる。
真っ先にアタックラップに向かった野尻が刻んだタイムは1分22秒417。これに対して続々とチェッカーを受ける後続車は、野尻の好タイムを上回れず。2番手以降のポジションだけが頻繁に入れ替わっただけで、坪井も1分22秒438とわずか0.021秒差で2番手に甘んじる結果となった。一方、牧野は6番手どまりとなり、決勝でどこまで追い上げを見せるのか、注目が集まる。今回のポールポジション獲得で、自身がもつ最多ポールポジション記録を23回へと更新した野尻。前回オートポリスでは、ポールポジションスタートから2位となっているだけに、今回あらためてシーズン初優勝を目指すことになる。決勝は、午後3時15分に36周にわたる戦いの号砲を迎える。
【第6戦富士 予選トップ3】
1.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’22.417
2.No.1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)1’22.438
3.No. 8 福住仁嶺(Kids com Team KCMG)1’22.773
第6戦富士 決勝
午後3時15分からの決勝を前に、気温は33度、路面温度は49度まで上昇。タフな戦いの幕が上がると、まずはポールポジションスタートの野尻がクリアスタートを決めてオープニングラップをトップで終えた。だが、その翌周のメインストレートで背後に迫る坪井が野尻を鮮やかに逆転。その後、野尻を引き離しにかかった。今回のレースは10周過ぎてピットウィンドゥが開く。後続からポジションアップを狙う5台が早速ピットへ舞い戻ると、2番手にポジションを落とした野尻は逆転を狙って11周終わりでピットイン。依然としてコース上にとどまり続ける坪井と”見えない差”を詰めるべく周回を重ねた。
レースは折り返しを過ぎても坪井は好ペースをキープ。ニュータイヤでの”おいしい”ところも終わって周回を続ける野尻よりも速いタイムで勝利へ向けて盤石の走りを見せた。その坪井がピットに舞い戻ったのは、23周終わり。そつなくピット作業を終えたスタッフが坪井をコースへと送り出したが、このタイミングでは野尻が一旦前を走っていたものの、瞬く間に差を詰めて26周終わりに野尻を抜き去った。
また、このタイミングでコース上の全車がピットインを完了。、27周目になると再び坪井が名実ともにトップへと返り咲き、順調にチェッカーを目指す。終盤は、各車一定間隔での周回が続いたが、そのなかで、3番手争いが激しくなり、予選3番手の福住を予選5番手から着実にポジションを上げていた岩佐が31周目に攻略。このまま逃げ切りを決めた。
ファイナルラップで野尻に対して7秒弱という大差をつけて完勝を果たした坪井は、シーズンをまたいで富士4連勝を達成。ランキングでも暫定トップに立つこととなった。
明日の第7戦は、今日の第6戦より5周多い41周での戦い。ピットウィンドウの制約もないため、幅広い戦略での戦いが期待できそうだ。
【第6戦富士 決勝トップ3】
1.No.1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)51’49.941 36Laps
2.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)+6.763
3.No.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)+7.298
SUPER FORMULA第6&7戦富士 プレビュー
今季3度目のワンデーレース、富士で号砲
前回のレースからおよそ2ヶ月。サマーブレイクと言うには早いタイミングでの”お休み”を経て、今週末は全日本スーパーフォーミュラ選手権の第4回大会(第6戦・第7戦)が静岡・富士スピードウェイにおいて開催される。厳しい暑さが予想されるなか、久々の戦いは文字通りホットな展開となるのだろうか。
テストを経て迎えるシーズン中盤戦
レースこそ2ヶ月のインターバルとなったが、実のところ6月上旬には同じ富士において丸2日間公式合同テストが実施されている。寒い時期に行なわれたシーズン開幕前とは異なり、気候を含め、コンディションとしてはリアルタイムでの公式テストとあって、どのドライバー、チームともに気合十分のなかでテストに取り組むこととなった。2日間で走り込んだ時間はトータルにして10時間。両日ともに安定した天候となり、ドライコンディションでの走り込みが可能だった。それゆえ、慌ただしいスケジュールで進むレースウィークでは試すことが難しいような内容にも積極的に取り組み、これから迎えるシーズン中盤、後半の戦いに向けて各々用意したメニューをこなしていたようだ。そのテストで好調さをアピールしたのは、現時点でポイントランキングトップに立つNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。前回、第5戦オートポリスでは表彰台に上がることができなかったが、今回の富士で再び波に乗り、自身初のタイトル獲得に向けてしっかりとライバルに差をつけたいところだろう。
一方、ランキング2番手につけるチームメイトのNo.6 太田格之進も同じ思いのはず。開幕の鈴鹿大会、続くもてぎで牧野と同じように表彰台に立つも、オートポリス戦ではノーポイントに終わっている。昨シーズンのチャンピオンであるNo.1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)がそのオートポリスでシーズン初勝利を果たしており、今後の活躍次第では、強力なライバルになることも容易に想像がつく。それだけに太田自身も富士でポイントを上乗せしたいと思っているはずだ。
今大会は、ワンデーx2日間!
ハイスピードサーキットでのレースは、前述のとおり予選と決勝を1日で行なうワンデーレースを土曜、日曜それぞれに実施する。そのため、金曜日にはフリー走行が設けられており、午前中に1時間、午後から1時間の計2時間を走り、翌日からの戦いに向けて最終調整を行なう形だ。まずはこの2つのセッションでどのドライバーが好調かどうか、チェックしてみたい。
土曜日開催の第6戦は、午前中にノックアウト予選を実施する。Q1では、これまでのポイントランキングをもとにグループを2つに分け、Q2進出車両を決める。Q2には各グループ6台、合計12台が出走し、ポールポジションを競うことになる。天候次第では、タイヤマネージメントを考え、最小ラップでのアタックになる可能性も高い。どのタイミングでコースインし、アタックを行なうのかドライバー同士の駆け引きにも注目しながら、最速ラップを刻むのが誰になるのか、見届けたい。
その後、およそ5時間強で決勝を迎えるが、レースはタイヤ交換のウィンドウが決められた36周での戦いとなる。ピット作業のタイミングとしては、通常のレース展開と似通ったものになると思われるが、オープニングラップの内容次第でその後の動きにも変化が生じるはずだ。
翌日開催の第7戦も午前中にノックアウト予選を行なうが、前日より1時間遅れのスタート。夏日が厳しいコンディションとなれば、高い数値を示すであろう路気温に気を配りながらのアタック合戦のなるだろう。もちろん、セットアップの”さじ加減”にも影響があるだろう。一方、決勝スタート時間は前日と同じ。ただ、レース距離に変化が見られる。プラス5周の41周での戦いとなり、かつタイヤ交換のウィンドウには制限がない。予選ポジション、そしてスタート直後の自身のポジションを考慮して各ドライバーがどのタイミングでピットに舞い戻ってくるのか。ピットインでは他のドライバーとの”兼ね合い”も少なからず影響が出てくるため、さまざまなシナリオが予想される。”運も実力のうち”とよく言われるが、自身の思い描く理想のレース展開をやってのけるのがどのドライバーになるのか、注目したい。
シーズン前半から中盤を迎えるなか、この富士で自身のポジションがより明確になるだけに、シーズン後半を見据えてより内容ある戦いをすべく、奮闘するドライバーの勇姿をしっかり目に焼き付けたい。
■主なタイムスケジュール
7月18日(金)
11:00 – 12:00 フリー走行1回目
14:50 – 15:50 フリー走行2回目
7月19日(土)
09:10 – 09:20 第1戦 予選Q1・A組
09:25 – 09:35 第1戦 予選Q1・B組
09:45 – 09:52 予選Q2
11:30 – 12:10 ピットウォーク
14:20 – 15:15 スタート進行
15:15 – 第6戦 決勝レース 36周/最大75分
7月20日(日)
10:10 – 10:20 第2戦 予選Q1・A組
10:25 – 10:35 第2戦 予選Q1・B組
10:45 – 10:52 予選Q2
11:35 – 12:15 ピットウォーク
14:20 – 15:15 スタート進行
15:15 – 第7戦 決勝レース 41周/最大75分