SUPER FORMURA 2021 Round.4
SUPER FORMULA第4戦SUGO プレビュー
シリーズ折返しの一戦、サマーブレイク前に笑うのは誰!?
第3戦オートポリスからおよそ1ヶ月のインターバルを経て迎える全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦。早いもので、全7戦のシリーズ戦は今大会で折り返しを迎える。その舞台として用意されるのは、みちのく仙台・スポーツランドSUGO。荒れた展開になることも多く、これまでドラマチックな戦いも数多く見られるこのサーキットで、今回はどのような激闘が繰り広げられるのだろうか。
■今回もスポット参戦続出のSUGO
入梅のタイミングであいにくの雨模様となった前回の第3戦オートポリス。中でも決勝日は不安定な天候により、スケジュールが大幅に遅れたり、内容の変更を強いられたりと、当初の予定と大きく異なる戦いを強いられることになった。現地を訪れた観客はもちろんのこと、テレビやインターネット等を通して観戦を楽しみにしていたファンにとっても、存分にレースを味わうことなく赤旗終了となってしまったのは、極めて残念であった。一方、過酷なコンディションでの一戦を強いられたドライバーたちの中からは、新たなスターが誕生した。その名は、ジュリアーノ・アレジ。元F1ドライバーのジャン・アレジ、そして日本の女優である後藤久美子を両親に持つ”二世”は、今季から日本にレース活動の場を移し、スーパーフォーミュラ・ライツにフル参戦。そんな中、WEC(世界耐久選手権)参戦のため、レースを欠場することになった中嶋一貴の代役としてスーパーフォーミュラへも出場することになり、前回のオートポリスが自身2回目のスーパーフォーミュラだった。にも関わらず、アレジは猫の目のようにころころと変化する天候を物ともせず、予選でポールポジションを獲得。スーパーフォーミュラ・ライツとのダブルエントリーが奏功したという見方もあるが、勝負強さは翌日の決勝でも健在。激しい雨の中、コースコンディションをしっかりと見極め、自身初となるオートポリス出走というディスアドバンテージを一蹴するような安定感と強いメンタリティを見せつける走りを披露。赤旗中断によるレース終了という不確定要素の多い戦いではあったが、ルーキーにありがちなプレッシャーからのミスや脆さを感じさせない走りは関係者を大いに驚愕させることになり、その結果として自身初優勝という大きな成果を手にしている。
そのアレジは、今大会でも引き続き中嶋一貴の代役として参戦が決定。これは、海外でのWEC第2戦に出場したドライバーたちがまたしても自主隔離期間中のため。これまでと同様に中嶋の他、小林可夢偉(代役:小高一斗)、タチアナ・カルデロン(代役:塚越広大)がステアリングを握る。加えて、WEC第2戦後のテスト参加を表明している平川亮も残念ながら今大会を欠場する。平川に代わって出走するのは、2017年の全日本F3王者でもある高星明誠。今回が2度目の挑戦となる。さらに、今シーズンのレギュラードライバーながら未だ来日が叶わないサシャ・フェネストラズも、中山雄一が同様に代わって出走することになっている。昨年、ルーキーながら勢いあるパフォーマンスを発揮していたフェネストラズ。春先にはドバイで待機し、日本への入国を心待ちにしていたが、事態は一向に好転せず。結局5月に一旦ヨーロッパへと戻り、入国許可を待ちわびている状態だ。結果としてシーズン半分超の出走が果たせず、本人にとってはひどくフラストレーションの溜まるシーズンになっている。
■ダイナミックなコース、SUGOでの戦いは?
スーパーフォーミュラが開催されるサーキットの中でもコンパクトなコースとして知られるSUGO。アップダウンが多く、難コースであるが故に外国人選手はじめ、チャレンジを好むドライバーも少なくない。結果としてレース内容もドラマチックな展開になるのか、”魔物が棲む”とも言われている。
また、コンパクトなのはコースに限らずピットガレージ周りも然り。ところが、オフシーズンの間に改修工事が進み、今シーズンのレースはリニューアルした形でレースが実施される。フォーミュラマシンが1台入るとスムーズに身動きが取れなかったピットガレージはその間口が大きくなり、さらにはピットロードのコース幅が拡張された。これは、スタッフの作業に良い影響を与えるはずだ。一方、ドライバーが気にかけているのが、ピットロード出口の場所。もともとの位置から移動され、本線への合流位置がこれまで以上に伸びた。具体的には、2コーナー立ち上がりでの合流が3コーナー出口で合流する形となったことが影響しているという。車両によっては、コース上が再度ミラーの死角になってしまうと言われており、走行中の車両に対し、コースに復帰する車両がこれまで以上に注意を払う必要性が高くなりそうだ。いずれにせよ、各チームはルーティンとして義務付けられているタイヤ交換はじめ、ピット作業にかかるタイムロスをしっかりと想定し、レース中の戦略を立てることが求められる。
今シーズン、予選で安定した速さを見せ、現時点でシリーズランキングのトップに立っているのは、No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)。計時予選となった前回は7番手と出遅れ、豪雨の決勝でもトップ3に入るチャンスはなかったが、今大会で序盤戦のように安定感ある速さとレースを組み立てる力がうまく噛み合えば、高得点の結果を残せるはず。念願のシリーズチャンピオン実現に向け、このSUGO戦は彼にとって大きなターニングポイントとなることだろう。欠場となる同ランキング2位の平川に次いで3位につけるのは、No.64 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)。まだまだ荒削り感が残る大湯だが、レースごとに成長を見せている中での戦いとあり、期待が持てる。さらには、誰よりも勢いに乗り、上昇気流の真っ只中にいると言えるNo.36 アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、その僚友のルーキー、No.37 宮田莉朋にも注目だ。SUGO戦が終われば、スーパーフォーミュラは8月末のもてぎ戦まで長いサマーブレイクに突入する。どのドライバーもいい形で”夏休み”を迎えたいと願っているだけに、切れ味の良いレースを見せて欲しい。
■主なタイムスケジュール
・6月19日(土)
09:10 – 10:40 フリー走行
14:10 – 公式予選(ノックアウト方式)
14:10 – 14:20 Q1(A組→上位7台がQ2へ)
14:30 – 14:40 Q1(B組→上位7台がQ2へ)
14:50 – 14:57 Q2(A+B上位7台・計14台→ 8台)
15:07 − 15:14 Q3
・6月20日(日)
09:00 − 09:30 フリー走行
13:30 – 14:15 スタート進行
12:45 – 決勝(42Laps)