SUPER GT 2019 Round.5
SUPER GT第5戦富士、波乱含みの激戦をWAKO’S 4CR LC500が連勝で制す!
8月4日、静岡・富士スピードウェイにおいて2019年SUPER GT第5戦の決勝が行われ、500km、およそ800kmのシーズン最長レースをNo. 6 WAKO’S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太組)が制した。6号車は前回のタイ戦も優勝しており、2戦連続の勝利となる。
前日よりも強い日差しが照りつけた富士スピードウェイ。午前中から気温がぐんぐんと上昇。午後1時30分からの決勝スタートを前に、気温33度路面温度51度という過酷なコンディションとなる。静岡県警のパトロールカーや白バイに先導されてパレードラップを終えた各車。フォーメーションラップを経て177周の戦いが幕を開けると早速に激しいポジション争いを展開した。
まず、ポールポジションスタートのNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rが手堅くリードを続け、これに同じミシュランタイヤを装着するNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rが追随した。今回、177周の戦いに義務付けされたピットイン回数は4回。均等に割るとおよそ35周前後でのルーティンワークとなるが、その中で予選3番手から安定したスピードを誇るNo.19 WedsSport ADVAN LC500が25周終了時点で真っ先にピットイン。タイヤと燃料補給のみ済ませ、ドライバーはそのままでコース復帰を果たした。なお、イレギュラーなピット作戦でのポジションアップを狙った19号車だったが、レース中盤他車との接触が響き、最終的には勝機を消失している。
一方、トップ争いは以前として23号車がリード。夏場の戦いにめっぽう強いミシュランタイヤの特性を引き出しつつ、持ち前の安定した強さで今季未達成の勝利へと突き進むかに思われた。だが、レースは折返しを前にした2度目のピット作業からハプニングが始まる。4番手につけていたNo.38 ZENT CERUMO LC500が、コース復帰直後にあたる70周目の100Rを直進。コースアウトしてタイヤバリアへ激突。クラッシュを喫する。一旦、FRO車両がコースインしたが、クルマの回収のためにコースにはセーフティカー(SC)が導入され、レースがコントロールに置かれた。結果、各車のマージンは一瞬にして消滅。レースが再開された80周目より再び激しい攻防戦が始まった。
トップの23号車は変わらず、その背後にNo.36 au TOM’S LC500、No. 6 WAKO’S 4CR LC500、そしてNo. 1 RAYBRIG NSX-GTと、予選でやや出遅れたチームが上位へとポジションアップを果たしており、それぞれが激しく競り合っていたが、終盤を前に36号車がGT300クラス車両と接触し、緊急ピットイン。さらに105周目には1台の車両がトラブル発生によりピットロード入口コース側で停止。失火したこともあり、2度目のSCランが導入される。
折しも各車ルーティンのピットインを目前に控えるタイミングだったが、その中で2番手につけていた6号車が絶妙なタイミングでピットインを敢行。SCランによるピットレーンクローズドの前に作業を済ませ、他車がSC明けのピットインでルーティンを済ませると6号車が堂々のトップへと立ち、終盤戦へと戦いが突入する。一方、2位争いも激化。SC介入前は23号車がリードしていたが、ピットインのタイミングを遅らせた1号車がオーバーカットで逆転に成功。コース上で23号車が再々1号車に迫ったが、これをシャットアウトした1号車がそのまま2番手をキープ。6号車が大きなマージンを築いてトップチェッカーを受けたあと、1号車は第2戦富士以来の2位表彰台を手にすることとなった。3位には23号車が続き、レースは終了。ウェイトハンディをものともせず、6号車が連勝を達成し、チャンピオンシップでもリードを保っている。
一方、GT300クラスでも激しいポジション争いが繰り広げられた。しかしその中で、気がつけば上位へと浮上していたのが、No.87 T-DASH ランボルギーニGT3(高橋 翼/アンドレ・クート/藤波清斗組)。3人編成のメリットを戦略に盛り込み、4回のピットインを有効利用した”奇策”を採用。これがドンピシャの運びとなり、気付けばトップに立って優勝をさらっている。予選13位スタートだった87号車。2スティント目の走行周をわずか1周にしてライバルたちと大きくタイミングをずらし、また各ドライバーに定められた規定周回数を巧みに利用。これが終盤になると大きな効果を生み、ライバルを退ける結果につなげた。
ポールポジションからスタートを切るも、2番手で周回を重ねていたNo.52埼玉トヨペットGB マークX MC(脇阪薫一/吉田広樹組)。結果を残すことを大前提に戦略を進め、最初のスティントでタイヤ交換を行うとその後は同じタイヤで走破。ピットでの作業時間を極端に短縮することでライバルより先んじることを決行した結果、手堅く上位でチェッカーを受けることに成功した。逆に予選2番手のNo.25 HOPPY 86 MC(松井孝允/佐藤公哉/土屋武士組)はレース中に負った接触等でマシンにダメージがあり、ルーティンワークで余分なピット作業を強いられる。これでポジションを下げ、優勝争いから脱落した。変わって上位に浮上したのが、No.34 Modulo KENWOOD NSX GT3(道上龍/大津弘樹組)。着実にポジションアップし、終盤は2番手の52号車との直接バトルへと持ち込んだが、逆転までは至らず。しかし3位チェッカーを受け、今シーズン初の表彰台へと上がっている。
・第5戦富士 決勝結果 各クラストップ3
GT500
1.No. 6 WAKO’S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太組)175Laps 4:52’55.248
2.No. 1 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組)+31.214
3.No.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)+36.658
GT300
1.No.87 T-DASH ランボルギーニGT3(高橋 翼/アンドレ・クート/藤波清斗組)163L 4:54’37.976
2.No.52 埼玉トヨペットGB マークX MC(脇阪薫一/吉田広樹組)162Lap
3.No.34 Modulo KENWOOD NSX GT3(道上龍/大津弘樹組)162Lap