スーパーフォーミュラー2018 Round.6
スーパーフォーミュラ第6戦岡山、荒れた天候の中、関口が勝利をもぎ取る!
9月9日、岡山県・岡山国際サーキットにおいて全日本スーパーフォーミュラ第6戦の決勝レースが行われた。折からの秋雨前線に南からの湿った空気が入り込み、サーキット周辺はレースウィークを通して不安定な天候となり、決勝日は朝から本降りの雨が降ったり小雨になったりと目まぐるしくコンディションが変化した。そんな中、決勝レースは一旦赤旗中断を挟みセーフティカーランも導入されたが、ポールポジションからスタートを切ったNo.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が激しい攻防戦を制し、2017年第6戦SUGO以来となる自身5度目の優勝を手にしている。
決勝日朝の岡山。朝のフリー走行から雨に見舞われ、ウエットタイヤでの走行が始まった。コース上を走るクルマからは高い水煙が上がり、その後方車両は視覚を確保するのが難しい状況に。またコース上に流れ込んだ雨が川の状態となり、走行そのものが安易でない様子が見て取れた。セッション自体も途中赤旗中断があり、また再開後も雨に足を取られてクルマの挙動を乱す車両もあるなど、午後からの決勝に向けてより一層不安が広がることになった。
なお、レースウィークを前に発表された決勝レーススタート時刻は当初午後2時5分。これに先立ち、午後1時20分からスタート進行を実施する予定だった。しかし、天気を考慮して10分早めの進行へと変更。またレース距離も68周・およそ250Kmから、54周・およそ200kmへと減算されることが告示された。だが、午後に入るとさらに雨脚が強まり、その後2度に渡ってスタートディレイがアナウンスされる。結果、レースは午後2時10分にスタート進行となり、8分間のウォームアップ走行が実施されただけでなく、スタート5分前には通常のスタンディング方式に変わってセーフティカーの先導によるスタートを行うことが明らかにされた。
ポールポジションの関口から順次1コーナーへと向かう全19台。当然のことながらポジション変動はなく、そのまま周回だけが積み重ねられていく。だが、雨量の多い箇所によっては車両がハイドロプレーニングを起こすほど運転が難しい状況。結果、開始18分を過ぎた7周走行中に赤旗が提示され、各車グリッドで車両を待機することになった。止まぬ雨にクルマを離れるドライバーも多くいたが、長いインターバルを経て、午後4時10分にレースが再開する。このときもセーフティカーランで再スタート、雨脚は一向に弱まることはなく、そのまま11周目へ。ようやく翌周から事実上のレースが始まった。
この瞬間を逃さじ、と勝負に出たのがNo.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)。12周のバックストレートから前の関口へと大接近。ときにクロスラインを交えて激しい攻防戦を披露し、マイクナイトコーナーで逆転を果たしたが、このときフロントノーズを傷め、ノーズコーンに穴が開いてしまった。だが、可夢偉は逆にペースアップし、関口ら後方の車両との差をぐんぐんと開いていく。しかし、速さを見せていた可夢偉を襲ったのが、2度目のセーフティカーランだった。21周目の最終コーナーで2台が接触、うち1台がコースアウトし、車両回収が行われたためだ。結果、可夢偉は築き上げた2位以下の差を帳消しにされ、26周終了をもってレースがリスタートした。
ところが、今度はトップ可夢偉自身がWヘアピンひとつ目の進入でまさかのコースアウト。コースには復帰したものの、トップの座を関口に明け渡してしまった。再び先頭に立った関口は今季初優勝を目指してひた走るのみだったが、その後方ではペースの上がらないクルマとそれを追うクルマとのバトルが激化。勢い余った1台が31周目に単独スピンを喫し、コース上真ん中で車両を停止させる事態となった。
これを受け、再びセーフティカーがコースイン。ちょうどその頃、トップ争いも白熱、改めて可夢偉がトップ奪取まであと一歩に迫っていたが、折しも黃旗が提示されており、惜しくも逆転ならず。結局、セーフティカーランのまま規定時間の最大70分を迎えたため、レースは34周終了をもってチェッカー。関口が今シーズン待望の初勝利を上げ、チャンピオン獲得の可能性を残し、最終戦を迎えることになった。
■第6戦岡山 決勝結果(TOP6)
1.No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)34Laps 1:11’57.682
2.No.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)+0.819
3.No.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)+2.890
4.No. 5 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+3.998
5.No. 3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)+4.832
6.No. 4 山下健太(KONDO RACING)+6.855
スーパーフォーミュラ第6戦岡山、ポールは関口雄飛
9月8日、岡山国際サーキットにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦が開幕。前日から長引く雨の影響を受け、不安定な天候の中で予選が行われた。その中で見事なアタックラップを披露したのが、No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。シリーズランキング争いをする選手らが失速する中、チャンピオン獲得の望みをかけた渾身の走りで意地を見せた。
予選前日の午後に行われた1時間の専有走行。心配された雨は降らず、開始とともに多くの車両はミディアムタイヤを装着してコースイン。セッティングの確認等を済ませると、ソフトタイヤにスイッチし、コースを走り込んだ。ただ、翌日の予選以降、天候悪化で雨になるという予報が出ていたこともあり、今大会よりも最終戦の鈴鹿を意識した走行になっていた部分も否めない。そんな中、トップタイムをマークしたのは、ディフェンディングチャンピオンのNo. 1 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)。現在、ランキング3番手につけるベテランが、決戦に向けてライバルたちに一矢を報いた結果となった。
そして迎えた予選日。朝から雨が降ったり止んだりの不安定な天気となる。午前9時45分からスタートしたフリー走行では、終始ウエットタイヤでの走行になった。そんな中、岡山初走行となるNo. 7 トム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)がトップタイムをマーク。先行きが見えない天候の中、各車セットアップの確認を進めつつ、午後からの予選に向けて最終調整を行った。
予選は午後3時15分にスタート。雨は上がっていたが、路面は依然として雨が残っており、セッション開始前にウエット宣言が出された。不安定な路面コンディションの影響か、開始から4分、2台の車両が立て続けにコースアウト、赤旗中断を招いてしまう。再開はほぼ20分後。改めてアタック合戦が始り、このセッションではNo.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がトップタイムをマークした。続くQ2。雨雲も去り、タイムアップもより本格化。だが、その中でウエットタイヤでのアタックはより一層困難となり、まさに好機をつかむことが必至のアタックとなる。その中で可夢偉がライバルを大きく引き離す1分25秒548のタイムでトップについたが、一方でランキング争いで上位につけるNo.16 山本尚貴(TEAM MUGEN)とNo. 1 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)はトップ8に残れず、まさかのQ2敗退となった。そして最後のQ3。ここで見事な戦略でトップタイムを刻んだのが、関口。Q2でしっかりタイヤの性能を見極めた関口は、ひと足先に可夢偉がマークしたトップタイムを0.02秒上回る1分24秒446をマーク! これで今シーズン初のポールポジションを手に収めている。なお、関口、可夢偉に続いたのが平川。翌日に控える決勝は、雨の行方が一番の懸念材料だが、その中でどのドライバーが粘り強い戦いを見せるのかも気になるところだ。
■第6戦岡山 予選結果(TOP6)
1.No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1’24.446
2.No.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)1’24.466
3.No.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1’25.026
4.No. 5 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’25.095
5.No. 3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)1’25.153
6.No. 4 山下健太(KONDO RACING)1’25.340
SUPER FORMULA第6戦岡山国際サーキット プレビュー
早くもセミファイナル戦に突入! 岡山戦は久々の一本勝負に!
第5戦ツインリンクもてぎから1ヶ月弱。9月8、9日の両日、岡山・岡山国際サーキットにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦が開催される。例年以上に厳しい暑さとなった今夏、レースウィーク中は幸いにして直接台風の影響を受けることはなかったものの、難しいコンディション下での戦いであったことには違いない。シーズン終盤戦に突入する今大会も、9月に入ったとはいえまだ残暑きびしい状態であり、また近づく台風の進路も気になるところ。様々な要素を含み、波乱の展開になるのか否か…。いずれにせよ、シリーズ争いの流れがこの大会でよりはっきり見えてくることには違いないだろう。
■特別ルールによる予選アタックに注目
第1戦鈴鹿、第2戦オートポリスと西日本でのイベントが続いた今シーズン。第3戦以降は東日本での開催となったため、西日本でのスーパーフォーミュラはおよそ4ヶ月ぶりの大会となる。とはいえ、第2戦オートポリスの決勝は天候不順によりキャンセルされているので、実戦が見られるのは、開幕戦の鈴鹿以来になる、その間、ランキングリーダーは鈴鹿を制した山本尚貴から第4戦富士で初優勝を果たしたニック・キャシディへと代わり、この岡山大会で初めての”リーダーズ・レッド”(車両に搭載されるオーバーテイクシステムのランプがポイントリーダーのみ赤色となる)を車両に纏うことになる。
このオーバーテイクシステムはこれまで決勝で5回使用可能というルールに基づいて採用されてきたのだが、この岡山では特別ルールが適応されることになった。予選のタイムアタック時に各自2度使用が認められたのだ。とはいえ、ノックアウト方式の予選、しかも最後のQ3でのみ使用可能。全19台からQ3へと進んだ8台のみがこの特別ルールに則ってアタックに挑む。今シーズンから全大会で装着可能となったソフトタイヤとミディアムタイヤだが、Q3に着けるタイヤはもちろんソフト。しかも7分間という限られた時間内のアタックはまさに一発勝負。他のサーキットではソフトタイヤ装着によって、スーパーフォーミュラにおけるコースレコード更新を達成しているが、岡山ではそれだけでなく、さらなる記録更新の可能性かかっているという。それが、F1GPでマークされたときのタイム更新だ。
1994年、岡山国際サーキットになる前、まだ「TIサーキット英田」と呼ばれていた頃、パフィシックGPが開催され、アイルトン・セナが1分10秒218をマーク。これが現時点までサーキットのコースレコードとして残されている。一方、スーパーフォーミュラでは、3年前に石浦宏明が1分12秒429をマークしており、今回のタイムアタックではどこまでタイムを縮められるのか大きな期待がかかるだけに、予選から目が離せなくなりそうだ。
■タイトル争いに絡むドライバーは岡山がお好き!?
昨シーズン、SUPER GTで史上最年少でGT500クラスチャンピオンを獲得したキャシディ。好成績を手にするごとに自信を深め、レースの精度を高める実力派ではあるが、僅かなセッティングのズレが大きくポジションを左右するこのスーパーフォーミュラにおいては、今ひとつ安定感に欠けるところがある。しかし、ここのところ”いい波”に乗っていることは確かで、その勢いが加速すれば強さもついてくる。それだけにライバルたちにとっては脅威の存在になっているはずだ。そのキャシディにとって、この岡山は昨シーズン初表彰台を手に入れた相性のいいサーキット。是が非でも連続表彰台と意気込んでいるだろう。
岡山を得意とするのはキャシディだけとは限らない。現在ランキング3位につける石浦も岡山マイスターと言うべきか。現在mランキングこそ3番手だが、2番手の山本とは同ポイント。山本が優勝回数で石浦を上回るため、この順位に甘んじてはいるが、ランキングトップのキャシディとの差もわずか3ポイント。4番手の平川亮とは10点差があるため、実質的にはタイトル争いとして上位3人が絞られたとも言える。
そして、優勝争いに大きな影響を与える要素として忘れてはならないのがレースフォーマット。これまで、岡山では2レース制が導入されており(2016年は雨で赤旗終了している)、68周のフルレースは2015年以来になる。加えて2スペックタイヤで迎えるレースは初めて。ここにも新たな要素が見られるため、まさに予測不可能な部分が見え隠れする大会になるといっても過言ではないだろう。
ドライバーとチームが総力で挑む中、より完成度の高いレースをしなければ、勝利を引き寄せることが難しくなりそうな岡山戦。願わくば安定したコンディションの中、緊張感あふれるタイムアタックやダイナミックな駆け引きになるであろう決戦を見てみたいものだ。
■主なタイムスケジュール
・9月8日(土)
09:45〜10:45 フリー走行
11:45〜12:30 ピットウォーク
15:15〜 公式予選(ノックアウト方式)
15:15〜15:35 Q1(19台→14台)
15:45〜15:52 Q2(14台→ 8台)
16:02〜16:09 Q3
17:10〜17:50 キッズピットウォーク
・9月9日(日)
09:00〜09:30 フリー走行
11:15〜12:05 ピットウォーク
14:05〜 決勝(68Laps)