スーパーフォーミュラー2018 Round.4
第4戦富士、キャシディがポール・トゥ・ウィンでSF初勝利!
7月8日、静岡・富士スピードウェイにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の決勝レースが行われた。停滞する梅雨前線の影響で土曜日の予選までは雨模様になったが、決戦日は薄曇りながらようやくその心配から開放され、ドライコンディションでの戦いが可能となった。その中で盤石の走りを見せたのがNo. 3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)。ポールポジションスタートを守り切り、スーパーフォーミュラでの初優勝を果たすこととなった。
決勝を迎え、徐々に気温がじわりじわりと上昇。ソフトとミディアムの2スペックタイヤによる戦いをどう繰り広げるかが気になるところだったが、上位陣はソフトタイヤでスタート。その中で予選2番手のNo.16 山本尚貴(TEAM MUGEN)が出遅れ、ポジションダウン。No. 1 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が2位に浮上し、予選6番手のNo.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がその後ろから追うこととなった。また、ミディアムタイヤを選択した上位陣の中で奮闘したのが、予選8番手のNo. 2 国本雄資(JMS P.MU/CERUMO・INGING)。オープニングラップこそ7番手で終えたが、周りとは異なる戦略を採ったことでレース後半に向けてポジションを上げていく。
レースは早くも9周目を終えてルーティンのピットストップが始まる。中団グループが間髪入れずピットイン。ミディアムからソフトタイヤへ交換し、新たな攻防戦を展開。一方でそのあおりを食ったのがトップ争いをするキャシディと石浦だった。ハイペースを保っていた2台だが、周回遅れのバックマーカーが前を走ることでタービュランスに影響が出て、1秒以上タイムが落ちたりタイヤがヒートアップするという事態に陥った。逆にその流れが20周近く続いたことでチャンスが巡ってきたのが国本。見えない敵との戦いの中、安定したペースを刻んで周回、後半にピットインを予定していたキャシディや石浦はミディアムタイヤを装着するため、ソフトタイヤでひた走る国本が2台の前に出る可能性が出てきたためだ。
しかし、トップ2台もともに優勝を目指し怒涛の走りを披露。キャシディが満を持して35周終了時点でピットインすると、終始0.5秒強で背後に迫っていた石浦はあえて同時ピットインを避け、ステイアウト。オーバーテイクシステムを使い、少しでもラップタイムを削ろうと懸命の走りを見せた。だが、ミディアムタイヤで走行を開始したキャシディを上回るタイムはマークできず。結果、石浦も5周後にピットインし、最後の戦いへ。終盤、石浦は2番手を死守したが、キャシディとのの差は4秒以上に広がり、そのままキャシディがうれしい初勝利を達成。この勝利でシリーズランキングはトップの山本と1ポイント差に迫る躍進を遂げている。
■第4戦富士 決勝結果(TOP6)
1.No. 3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)1:20’59.984 55Laps
2.No. 1 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)+4.286
3.No. 2 国本雄資(JMS P.MU/CERUMO・INGING)+32.746
4,No.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)+35.306
5.No.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)+43.512
6.No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)+48.569
スーパーフォーミュラ第4戦富士、N.キャシディが今季初ポール
7月7日、静岡・富士スピードウェイにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦が開幕した。日本列島に居座る梅雨前線の影響を受け、富士上空もつねに不安定なコンディションとなり、不意打ちを食らうように予選中も思わぬタイミングで雨をもたらした。そんな中、絶妙なタイミングでノックアウト予選をモノにしたのはNo. 3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)。自身2度目となるポールポジションを獲得した。
予選日の午前中に行われたフリー走行は全車ウエットタイヤのみ装着し、1時間を走行。路面が不安定で、ほぼドライコンディションと見受けられる中でも、ときおり単独コースアウトやスピンを喫する姿が見られた。その中でトップタイムをマークしたのはNo. 4 山下健太(KONDO RACING)。前戦からセットアップのアプローチを変更したことが好転したという。
だが、午後からの予選を迎えると、サーキットには霧雨が降り出し、各車上空を睨みながらのタイヤ選択を強いられた。ノックアウト予選1回目はウエット宣言が出ていたものの、まだ路面は濡れておらず、全車がミディアムのスリックタイヤを選択。さらにセッション後半には2セット目のスリックタイヤを投入、ラストアタックに向かった。すると、メインストレート上でもはっきり確認できる降雨となり、雨粒が見えるほど。惜しくもタイム更新するドライバーも現れず、まずはNo.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がトップにつけた。
続くQ2。雨がパラついていたこともあり、ウエットとスリックがちょうど半数ずつ分かれ、14台がコースに向かう。だが、アウトラップを終えるとウエットタイヤ装着車がピットイン、ソフトのスニュータイヤに交換し、改めてアタックを開始する。ラストアタックで続々とタイムアップし、目まぐるしくポジションが変動する中、トップタイムをマークしたのはNo. 2 国本雄資(JMS P.MU/CERUMO・INGING)。これにNo.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、No. 3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)が続いた。
午後3時17分、ついに最後のセッションQ3がスタート。出走権利を持つ8台のうち、No.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)だけがスタート時からウエットタイヤを装着。残り7台がソフトタイヤを選択した。すると開始直後から雨が落ち始め、瞬く間にウエットコンディションへと変貌する。また雨脚が強くなったため、誰もが一貴のポールポジション獲得を予想していたが、実際はさにあらず。7台がピットに戻ってタイヤを交換。ウエットタイヤでのアタックを開始すると、1周のみのアタックにかけたNo. 1 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が一貴のベストタイムを上回る1分38秒786で暫定トップに躍り出る。するとその後、じっくりタイヤを温めてタイムアップに成功したキャシディが1分38秒098をマークし、トップを奪取。さらにNo.16 山本尚貴(TEAM MUGEN)が1分38秒289のタイムで2番手に割って入ることとなった。
不安定な天候に翻弄された今回の予選結果。翌日の決勝もどのようなコンディションが待ち受けるのか、まだ先行きを読むのが難しい。mた、ウエットタイヤでの走行時間が多く、ドライコンディションでのソフト/ミディアムタイヤの確認も存分ではなかっただけに、いつもよりいっそう不確定要素の多い展開になるかもしれない。
■第4戦富士 予選結果(TOP6)
1.No. 3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)1’38.098
2.No.16 山本尚貴(TEAM MUGEN)1’38.289
3.No. 1 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)1’38.786
4.No.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)1’38.840
5.No.17 塚越広大(REAL RACING)1’38.927
6.No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1’39.049
SUPER FORMULA第4戦富士スピードウェイ プレビュー
シーズン折返しの富士、シリーズ争いを占う一戦に
7月7、8日の両日、静岡・富士スピードウェイにおいて全日本スーパーフォーミュラ第4戦が開催される。年間7戦で繰り広げられる同シリーズにとって、この大会はまさに折り返しの一戦。シーズン序盤で波に乗れたドライバー、逆に不本意な結果に甘んじているドライバーにとっては、是が非でも成果を残したい戦いとなる。現時点では梅雨明けはまだ正式に発表されておらず、また週の初めには沖縄地方に台風7号が接近しており、その影響がどこまで及ぶのか気になるところ。不確定要素がいつになく多くなりそうな中、果たしてどんなドラマが待ち受けているのだろうか。
■テストのデータはどこまで有効!?
今シーズン開幕前に富士スピードウェイでは公式テストが行われている。だが、実施されたのは3月下旬のこと。気候的には現時点と極めて大きく異なるため、そのテストで蓄積されたデータがどこまで有効になるかは未知数と言える。では過去のレースデータが大きく役だつのではないかという考えもあるが、まず相手にしなければいけないのが天候。気温、路面温度は当然のことながら、湿度や風向きもしかり、そして何よりも一番難しいのが”富士スピードウェイ”という場所である。スィートスポット的な天候になりかねないこのサーキットは、先の読みにくい天候であることでも知られる。ときに街中とはまったく異なる天気になることもある場所であるため、周到な準備が求められる。とはいえ、その下準備が当たる保証はない。つまり、いかなる状況にも対応しなければ、ライバルを制することができないというわけだ。
そのためにもまず重要になるのが、金曜日の専有走行。前大会からの持ち越しタイヤの使用含め、どのようなメニューを消化するのか、チームによってそのアプローチは異なるため、第三者が各チーム状況を詮索するのは容易ではない。ただ予選シミュレーションや決勝での戦略を意識したメニューに沿って走行するのは確か。トラブルなく順当に作業を進めているチームはどこなのか、それを探ってみるのもおもしろいかもしれない。
■総合力のひとつ、セットアップも見どころに
メインストレートが長く、また高速コーナーを併せ持つ日本屈指の高速サーキット、富士スピードウェイ。シングルシーターで繰り広げるガチバトルはSUPER FORMULAの醍醐味であることは間違いない。しかし、そのバトルを繰り広げるためにも大事なのが、SF18のセットアップだ。長いストレートのスピードを重視したい気持ちと、コーナリングスピードを確保したい気持ち…。各チームによってどういう味付けをしてくるか、それを見比べるのも楽しそうだ。
第3戦を終えた時点で、シリーズランキングトップは山本尚貴。自身、これまで鈴鹿のみの優勝だったが、前回のSUGO大会で優勝を果たしたことで波に乗っているのは明らか。獲得ポイントでも2位以下を大きく引き離していることから、富士でも思い切った勝負に出てきそうだ。また、彼に追いつけとばかり、そのチャンスを伺っているドライバーとして名を列挙するのは決して難しいことではない。予選で安定した速さを見せている野尻智紀はじめ、実力ではすでに優勝していてもおかしくはない小林可夢偉、そして中嶋一貴や関口雄飛など、勝ち名乗りを挙げる準備をしているドライバーはいくらでもいる。予選のタイムは恐ろしいほどの僅差であり、それが決勝に大きな影響を与える展開となっている近年のSUPER FORMULA。この富士大会も予想するのが難しい展開になりそうな気がする。
■主なタイムスケジュール
・7月7日(土)
09:10〜10:10 フリー走行
11:10〜11:50 ピットウォーク
14:30〜 公式予選(ノックアウト方式)
14:30〜14:50 Q1(19台→14台)
15:00〜15:07 Q2(14台→ 8台)
15:17〜15:24 Q3
17:30〜18:00 キッズピットウォーク
・7月8日(日)
09:40〜10:10 フリー走行
11:15〜11:55 ピットウォーク
14:10〜 決勝(55Laps)