7月14日、静岡・富士スピードウェイで開催された全日本選手権スーパーフォーミュラ第3戦決勝レース。時折日差しが照り、蒸し暑さが先行する中、55周の戦いが繰り広げられた。ポールポジションを獲得したロイック・デュバル(No.8 KYGNUS SUNOCO Team LeMans)がスタート直後から逃げるレースを目論むも、スタート直後のセーフティカーランが入る荒れた展開となり、大小さまざまなハプニングの末に勝利したのは予選6位に甘んじたアンドレ・ロッテラーだった(No.2 PETRONAS TEAM TOM’S)。
レースはスタート直後、第1コーナーで3台の車輌が絡む接触が起こり、セーフティカーがコースイン。そんな中、6周終わりでピット作業を行ったのが、予選9位の松田次生(No.20 Lenovo TEAM IMPUL)だった。周りのペースが上がり切るまでにピット作業を済ませ、ライバルたちがルーティンワークのピットインを行う頃にはトップへ立つ、という戦略だった。ハイペースで攻めの走りを見せた松田は、その読み通り、全車がピットインを終えるとトップに君臨。今季初優勝を目指し、突き進んだ。
だが、ライバルたちも黙ってはいない。ポールスタートのデュバルが松田を上回るペースで猛追。終盤は混戦になるかと思われたのだが、そのデュバルに対し、ピット作業違反のペナルティが下される。まさかのペナルティで足音をすくわれたデュバル。ペナルティを消化した時点で優勝の権利は消滅。それでも持ち前のスピードと強さを存分に見せつけ、4位でフィニッシュする底地からを披露した。
一方、デュバルに代わり、松田に詰め寄ったのはロッテラー。ファステストラップを叩き出す勢いで松田に食い下がると、すでに早めのピットインでタイヤのグリップを失っていた松田をあっという間に逆転。逆に勝利にこだわった松田はチェッカーまで3周を残し、なんとガス欠でストップ。悔しい結果に終わった。ロッテラーは第2戦オートポリスに続いて連勝を果たし、シリーズランキングでもトップに浮上した。レースは2位に平手晃平(No.38 P.MU/CERUMO・INGINGP)が入り、チームに久々の表彰台をプレゼント、また3位に入った山本尚貴(No.16 TEAM 無限)は3戦連続の入賞を果たし、ランキングでは単独2位に浮上する好成績を残すこととなった。
次戦、スーパーフォミュラ第4戦は、8月3-4日、栃木・ツインリンクもてぎにて開催。暑さ厳しい一戦で、どこまでドライバー、チームが本領を発揮するのか。シリーズ折り返しの戦いに注目だ。
・第3戦富士 決勝結果(TOP6)
1.No.02 アンドレ・ロッテラー PETRONAS TEAM TOM’S 1H27.08.817 55L
2.No.38 平手晃平 P.MU/CERUMO・INGING +29.449
3.No.16 山本尚貴 TEAM 無限 +32.546
4.No.08 ロイック・デュバル KYGNUS SUNOCO Team LeMans +34.148
5.No.40 伊沢拓也 DOCOMO TEAM DANDELION RACING +41.341
6.No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ Lenovo TEAM IMPUL +42.761
記事・写真:島村元子/ TEXT&PHOTO : Motoko SHIMAMURA
7月13日、静岡・富士スピードウェイで全日本選手権スーパーフォーミュラ第3戦の予選が行われ、ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が僅差で予選を制し、今シーズン初ポールポジションを獲得した。
ここのところ猛暑続きの日本列島だったが、今日の富士スピードウェイは薄曇りの一日に。朝のフリー走行を使ってセットアップを進めたチームは、午後からのノックアウト予選に挑む。その中で、積極的なアタックを見せたデュバルは朝のフリー走行こそ4番手に甘んじたが、Q1からつねにトップタイムをマーク。僅差でトップタイムを刻み続けることに成功した。
一方、2位に続いたのは若手の国本雄資(Project μ/cerumo・INGING)。自身トップフォーミュラで最高位となる好順位から明日の決勝で初表彰台を狙うことになる。3位に続いたのは、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL)。ポールポジションから3位まで100分の4秒差という拮抗した状況の中、明日の決勝での攻防戦にさらなる注目が集まりそうだ。決勝は午後2時15分にスタート、55周での戦いとなる。
・第3戦富士 予選結果(TOP6)
1.No.08 ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)1’24.708
2.No.39 国本雄資(Project μ/cerumo・INGING)1’24.734
3.No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL)1’24.748
4.No.38 平手晃平(Project μ/cerumo・INGING)1’24.794
5.No.01 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM’S)1’24.839
6.No.02 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM’S)1’24.936
記事・写真:島村元子/ TEXT&PHOTO : Motoko SHIMAMURA
「シーズン序盤の最後を締めくくる戦いは、真夏の一戦に!」
すでに真夏の暑さを迎えた日本列島。その厳しい天候の中、迎えるのが全日本選手権スーパーフォーミュラシリーズ第3戦富士である。全7戦で繰り広げられるシリーズ戦として序盤の締めくくりに位置するこの戦いは各ドライバー、チームにとってシーズンの流れをさらにくっきりといい方向へと持っていきたいところ。
富士特有の長いメインストレートを得意とするチームも多く、必勝体制で挑む戦士の奮闘に期待がかかる。
■超高速サーキットの富士を得意とするトヨタエンジン車
シリーズ第2戦からおよそ1ヶ月あまり。前回の舞台、オートポリスは終始雨に悩まされるコースコンディションの中での一戦であったことから、不本意な成績を残すことになったチームも多いはず。そのリベンジとなる富士の戦いは、ライバルはもちろん、時には自分自身と、そして本格的な夏の暑さとの戦いになることは必至だ。
そんな中、およそ1.5kmのロングストレートを持つ富士スピードウェイを得意とするのは、ここがホームコースでもあるトヨタエンジン搭載車だ。メインストレートに加え、超高速コーナーを併せ持つサーキットは、セッティング的にも難コースではあるが、フォーミュラニッポン時代からトヨタエンジンが活躍し、リザルトでも上位を多数占めることが多い。スーパーフォーミュラとなってもそれが継続されるか、まずは展開を見守りたい。
■ル・マンで活躍した、ドライバー達が凱旋!
富士には、オートポリス同様、世界耐久選手権に参戦中の3選手がエントリーする。まず、日本人ドライバーとして国内外で3カテゴリーに参戦中の中嶋一貴。国内ではSUPER GTとこのスーパーフォーミュラを優先する形でレース活動をしているため、超多忙なシーズンを過ごしている。2週間前には自身2度目となるル・マン24時間レースで表彰台こそ逃したが、4位入賞を果たした。さらにチームメイトのアンドレ・ロッテラーは2011、12年のル・マン覇者。今年は2位に終わったものの、レース中にファステストラップを更新している。そして、今年のル・マンを制したロイック・デュバル。予選ではロッテラーとポールポジション競争し、見事自身初ポールをゲット。決勝でも不安定なコンディションの中、安定かつ速さをアピールし、ル・マンでのトップドライバーの仲間入りを果たすこととなった。
3人がそれぞれル・マンでの大役を終え、シングルシーターにスイッチして挑む初戦が今回の富士となるだけに、再びホットな攻防戦を期待したいもの。ロッテラーと中嶋が所属するPETRONAS TEAM TOM’Sはもともと富士を得意とするチームであるだけに、まずはチームメイト同士の駆け引きに着目。そして、今シーズンからニュースペックとなったタイヤに対して好走を見せるデュバルの踏ん張りにも注目だ。
■レース距離は55周、250km。ピット戦略も優勝を左右
今回も第2戦に引き続き、250kmでレースを争う。燃料タンク容量制限はあるものの、フルタンクの状態で去年よりおよそ10リッター多くなる。チームでは、これに天候やコースレイアウトなど様々な要素を考慮し、ピット戦略を生み出す。だがその前にもっとも重要なのが予選順位だ。ストレートが長く、パッシングポイントも多いと思われる富士だが、同じシャシーのフォーミュラカーはテール・トゥ・ノーズの状態に持ち込むとクルマの挙動が乱れることもあり、そうやすやすと逆転できるものでもない。抜けそうで抜けない状況で無駄に攻めていれば、タイヤの酷使にもつながる。ということで、やはりまずは予選で少しでも上位につけることが大事。優位な立場でレースを進めることができれば、刻々と変化する戦いの中でも様々な戦略を立てることが可能にもなる。
とはいえ、やはり富士ならではの高速コーナーで見るパッシングシーンは、ファンにとってレース観戦の楽しみでもある。多くのドライバーが果敢に攻めの走りを披露してくれることを期待しよう。
■そろそろ気になる、シリーズランキングの行方
第2戦を終えてポイントランキングトップに立つのは、ベテランの松田次生。厳しい戦いの中でもキチンと入賞を重ねるあたりは、さすがチャンピオン経験者。そして松田を1ポイント差で追うのが、ロッテラー、伊沢拓也、山本尚貴の3選手。ロッテラーと伊沢はそれぞれポール・トゥ・ウィンの得点が生きている。一方、山本は着実なレース運びが実を結び、好位置にいる。3人の中では唯一優勝経験がない山本だが、ここのところ、速さをキチンと見せており、いよいよ待ちに待った表彰台の真ん中へ!? という見方もあるだろう。
もちろん、ランキングアップを狙うドライバーの中にもチャンピオン経験者がいるだけに、シリーズ中盤戦に向けてますますシビアにホットになっていきそうだ。
◎全日本選手権スーパーフォーミュラ第3戦 富士
・7月13日(土):予選日
08:50 – 09:50 フリー走行
11:45 – 12:15 ピットウォーク
13:50 – 14:44 公式予選(ノックアウト方式)
17:45 – 18:15 キッズピットウォーク
・7月14日(日):決勝日
09:05 – 09:35 フリー走行
12:30 – 13:10 ピットウォーク
13:30 – 13:38 ウォームアップ
14:15 - 決勝レース 55L・約250km
・サポートイベント
2013年全日本フォーミュラ3選手権第8戦・第9戦
2013GTアジアシリーズ 第5戦・第6戦
GAZOO Racing 86/BRZ Race 2013 第1戦
Elise Super Tec
スーパーカートレース地方選手権シリーズ第4戦
Text : 島村元子 / Motoko SHIMAMURA