SUPER FORMULA 2024 Round.5
SF第5戦、予選5位の牧野が逆転の2勝目!
8月25日、栃木・モビリティリゾートもてぎにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手家第5戦決勝が37周にわたって行なわれた。レースは予選5位のNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が終盤にチームメイトのNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と攻防戦に持ち込むと、壮絶なバトルを制して逆転勝利を果たしている。
残暑厳しい天候となった決勝日。サーキット上空には薄曇りの空が一面に広がってレース中の降雨も心配されたが、無事にドライコンディションのまま、レースが幕を開けた。
前日の予選で、7年ぶりにポールポジションを手にしたNo. 3 山下健太(KONDO RACING)、そして予選2位の太田が揃ってスタートを決めると、後方では予選4番手のNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が若干出遅れる。これに対し、牧野は好スタートを切って、オープニングラップ終了時には3番手まで浮上。前の2台をペース良く追う形でレースを進めたq。
トップ山下は、2位太田に対して1秒強の差をキープ。だが、その後方で追い上げを図る牧野のペースが速く、油断できない状態。そんななか、ルーティンのピット作業が可能となる10周が終わると、太田が先陣を切ってピットへ。待ち受けるチームスタッフも6.3秒の素早い作業で太田を送り出すことに成功した。これに対してトップの山下、2番手で続く牧野はひと足先に作業を終えたライバルを意識しながらの走行が続いたが、先に動きたのは牧野。レース折り返しを過ぎた22周終わりでピットに戻った。
チームメイトの太田同様、こちらも6.1秒と文句なしの作業タイムでコースへと復帰。これを見て、なんどもピットインのタイミングを見計らっていた山下もその翌周にピットへと帰還すると、1周前まで牧野の後方を走っていた野尻もこれに続いた。山下の作業タイムは6.6秒。太田、牧野よりも時間を要することになった上、すでにコース上ではふたりがペースを上げて周回しており、結果としてレース復帰後は太田、牧野に加え、10周終了時にピットに戻っていた予選3番手のNo.39 大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)に対しても後塵を拝する形になってしまった。
しかし、山下も諦めずに猛追を開始。まず25周目、大湯とサイド・バイ・サイドになって2コーナーで逆転を果たす。しかし、前を走る牧野との差は4秒強と厳しい状況に置かれる。逆に、牧野は山下よりもトップをひた走る太田にロックオンの状態。ペース良く周回を重ねて少しずつ、だが着実に太田との距離を詰めていく。結果、30周終了時に4秒強あった2台の差は、34周目には、わずか0.432秒まで縮まることに。チームメイト同士ゆえか、いっそう張り詰めた空気のなかでの攻防戦は見どころたっぷりの様相となり、互いが見せるクリーンなドッグファイトに観客も大いに沸くこととなった。
レースは、35周目に両者揃ってオーバーテイクシステム(OTS)を多用しての攻防戦に展開。火花を散らしての手に汗握る激しいサイド・バイ・サイドを繰り広げ、コーナーによっては牧野が先行することもあったが、メインストレートでは先に太田が通過し、一歩もトップの座を譲ることなく走行を続けた。
ところがチェカーまで残り1周、トップを死守していた太田のマシンにトラブルが発生する。90度コーナー先のセカンド・アンダーブリッジ手前でスピンしたクルマは、コースのアウト側にストップ。真後ろにいた牧野は、間一髪で衝突を回避して太田を抜いていく。まさかのハプニングはスロットルトラブルによるものだったが、結局、太田は再スタートを切れず、悔しさつのる戦線離脱となった。
思わぬ形でトップの座が転がりこんだ牧野。レースはこのまま牧野がトップでチェッカーを受け、オートポリスに次ぐシーズン2勝目を達成した。2位には山下。ペースで太田、牧野に遅れを取ったものの、なんとかしのぎ、開幕戦以来となる2度目の2位を手にしている。そして、3位には野尻が続き、厳しい条件下でも結果を残すことに徹する形で残る表彰台の一角をもぎ取った。
なお、気になるタイトル争いだが、野尻が依然としてトップを死守。これに今回の覇者、牧野が5点差で2番手に浮上することに。3位には5位入賞のNo.36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が続いている。次回の舞台は、再び富士スピードウェイ。今日のもてぎ戦からおよそ1ヶ月半のインターバルが開くが、事前には公式テストも行なわれるている。なお、この富士、そしてシーズン最終イベントの鈴鹿サーキットでの2大会は、土曜、日曜にそれぞれ決勝を実施する2レースの戦いとなる。残る2大会、4レースで繰り広げられるのは大逆転劇か、それとも圧巻のレースとなるのか……。まだまだ記憶に残る名勝負を見ることができそうだ。
第5戦もてぎ・決勝結果 トップ3
1.No. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)37周 1’00.10.235
2.No. 3 山下健太(KONDO RACING)+1.603
3.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)+4.261
SF第5戦もてぎ、山下が7年ぶりのPP獲得!
8月24日、栃木・モビリティリゾートもてぎで、全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦が開幕。この日行なわれた予選において、No. 3 山下健太(KONDO RACING)がトップタイムをマーク。自身2度目のポールポジションを手にした。
前回の富士大会からおよそ1ヶ月。夏休みも終盤へと向かうなか、予選では雨の心配もあったが、いい意味で予想を裏切る形で雨の振り出しが遅れ、ドライコンディションでのアタックが可能となった。
この日、まず午前8時55分にフリー相応がスタートする。気温30度、路面温度35度のコンディションで上空は日差しもなく曇り空。しかし、風が吹かないもてぎは蒸し暑さが先行した。
まず、このセッションで注目を集めたのは、ITOCHU ENEX TEAM IMPULの19号車を駆ってスーパーフォーミュラデビューを果たしたニック・デ・フリース。F1参戦の経験もあり、現在はトヨタからWEC(世界耐久選手権)にも参戦するキャリアを誇るドライバーが、この日本最高峰のフォーミュラレースでどんなパフォーマンスを披露するのか、ファンの期待を背負っての走行開始となり、まずは16番手で走行を終えている。
一方、トップタイムをマークしたのは、山下。多くのドライバーがチェッカーを受けるなか、最後の最後にアタックを終えた山下が、最速タイムとなる1分32秒366をマークした。7月上旬、富士スピードウェイで実施された2日間の公式テストにおいて、総合トップタイムをマークした山下。その後の第4戦富士では、表彰台はおろか入賞も果たせず、悔しい結果に終わっていただけに、ようやくその流れを断ち切ることができたのか、午後からの予選に向けていい形を作ることとなった。また、山下に続いたのは、No.65 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)。ここのところ、安定感ある走りを見せるも、やはり入賞にあと一歩及ばずの結果が続いてるだけに、このもてぎで大きく躍進したいところだろう。また、3番手には佐藤のチームメイトであるベテランのNo.64 山本尚貴が続くこととなった。
迎えた午後のノックアウト予選。朝のセッションを終えてからおよそ4時間後にスタートしたQ1は、気温35度、路面温度46度というタフなコンディションに見舞われた。当初、雨になる可能性が高いと言われていたが、”いい意味”で予想は外れ、ドライコンディションでのアタックに臨むことが叶った。
まず、A組には11台がコースイン。この中には、フリー走行でトップに立った山下、さらには2番手の佐藤が出走した。今回のもてぎはロードレース選手権との併催であり、直前に2輪の出走が行なわれたことを受け、まず路面コンディションの確認を望んだのか、全11台がスタートと同時にユーズドタイヤでコースへと向かう。うち、5台がアウトラップを済ませてピットへと帰還。残りはもう1周してからのピットインとなった。次に動きがあったのは、チェッカーまで残り5分を切ってから。アタックラップを最初に行なったNo.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が1分32秒914をマークしたが、その後、次々とライバルたちがチェッカーを受けるなか、ベストタイムを更新する。そのうち、No. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が、朝のフリー走行のトップタイムを上回る1分32秒270をマークし、トップに立った。また、山下は一番最後にチェッカーを受け、2番手通過を果たした。なお、この山下のタイムにより、1000分の2秒という僅差で岩佐がQ1敗退に終わっている。
それから、5分後にはQ1・B組がスタート。全10台によるタイムアタックとなった。まずは前回のポールシッターであるNo. 8 福住仁嶺(Kids com Team KCMG)がターゲットタイムとなる1分32秒739を刻む。すると、これに0.047秒差で山本が2番手に。だが、その後、No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が1分32秒597をマークし、この組のトップタイムを更新する。さらに、今度はNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が、またも0.047秒差で野尻を上回り、B組のトップを奪った。なお、注目のデ・フリースは、1分33秒804にとどまり、Q2進出は果たせなかった。
いよいよQ2は、午後3時20分にスタート。セッション開始のタイミングで、太田1台だけがピットを離れ、チェックラップに向かう。一方、他車はニュータイヤを装着してピットで待機。チェッカーまで残り時間5分強の時点で10台がコースへと向かった。残る2台のうち、太田は少し間をおいてコースイン。だが、最後までピットに残った福住は、残り3分強まで待機を続け、アウトラップを終えるとすぐそのままアタックラップへと突入した。
結果、1分32秒379を刻み、真っ先にチェッカーを受ける形に。自身がトップに立ったQ1・B組でのトップタイムを上回るものだったが、その後からコントロールラインに各車が戻ってチェッカーを受けると、次々と福住のタイムを更新する。まず、野尻、さらにはNo.39 大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が暫定トップタイムをマーク。このまま大湯がポールポジションを手にするかに思われたが、そのなかで山下が32秒台を切る1分31秒995を叩き出してトップを奪取することに成功した。また、最後にチェカーを受けた太田もタイムを伸ばし、山下とは0.079秒差で2番手に。そして大湯は太田に対して0.017秒という僅差で3番手となった。山下は自身2回目のポールポジション獲得。1回目はデビューイヤーの2017年。実に7年ぶりに躍進を遂げた形となった。
雨を回避できた予選日のもてぎだったが、セッション終了後には雷を伴う雨模様に。翌日の決勝も不安定な天気になると予想されるだけに、また一筋縄ではいかないレース展開になるかもしれない。決勝は、午後2時40分スタート予定だ。
第5戦もてぎ・予選結果 トップ3
1.No. 3 山下健太(KONDO RACING)1’31.995
2.No. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’32.074
3.No.39 大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)1’32.091
SUPER FORMULA第5戦モビリティリゾートもてぎ
夏休み終盤の一戦は、2&4レースに
第4戦富士の戦いからおよそ1ヶ月。栃木・モビリティリゾートもてぎで開催されるSUPER FORMULA第5戦は、酷暑のなかでの戦いとなる。猛暑日が続くなかで迎える一戦は、心身ともにタフなコンディションになること必至。そんななかでチーム、そしてドライバーたちはいかなる戦略をもって挑むのか。シーズン折り返しの戦いは、サバイバルレースの様相を呈することになりそうだ。
モータースポーツ好きには”お得”なもてぎ戦
もてぎでは、全日本スーパーフォーミュラ選手権の第5戦だけでなく、MFJ全日本ロードレース選手権シリーズJSB1000クラスも併催される。モータースポーツを存分に堪能したい人たちにとっては、”お得”なイベントになること間違いなし! 親子、友達、カップルで堪能するには、自動車のレースに加え、異なる迫力を持つオートバイレースも格好の観戦イベントとなるだけに、絶好の週末になるはずだ。
なお、もてぎはサーキットコースだけでなく、施設内にアスレチックや乗り物などのアトラクションはじめ、ホンダの歴代の車両を展示したコレクションホールも併設されているため、レース以外の楽しみも満載。ちなみに、オーバルコースやレーシングコースでは、コースサイドキャンプステイも使用可能であるため、家族連れとしてはレース+アルファの楽しみ方も可能となる。さらには、グループでの観戦にオススメのコーナーテラス席やグランデッキなど、ひと味もふた味も違った観戦スタイルで楽しむのもいいのではないだろうか。
気になるチャンピオンの行方は
前回の富士でポールポジションを手にしたのは、今シーズントヨタ系チームへの移籍を果たした福住仁嶺。決勝では勢いある走りを見せ、所属チーム待望の初優勝達成に向けて周回を重ねていた。だが、ルーティンのピットワークでまさかのミスが発生。タイムロスにより、優勝はもとより表彰台すら逃す結果に泣いた。だが、依然としてスピードには揺るぎないものがあるため、今大会はリベンジ戦という思いをもって挑むはず。それだけに、福住がどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか気になるところだ。
今シーズン、僅差での戦いが続くスーパーフォーミュラ。予選でポールポジションを獲り、その勢いのまま優勝を果たしたドライバーはまだいない。すべてのパズルがパチっとハマった戦いができていないのだ。それほど、”腕におぼえあり”の選手が勢揃いしているのが、このスーパーフォーミュラなのだ。
参考までに、前回の富士では予選でトップ3に入ることができずに終わった選手が躍動し、ポジションアップ。予選4位の坪井がシーズン初優勝を遂げた。坪井はこの勝利で大量ポイントを計上し、ランキングも2位へと浮上。現時点でランキングトップの野尻智紀との差を9.5点まで縮めている。ランキングに関して言えば、3位は牧野任祐。第2戦オートポリスで待望のSF初優勝を遂げたが、その後は表彰台から少し遠ざかっている。また、今シーズンから日本でのレースを再開した岩佐歩夢の逆襲にも注目すべきか。とにかく予選での速さは問題なし。だが、決勝になるとスタートでの失速やマシントラブルなど、思うような戦いが第2戦以来できていない。現時点でランキング4位につけているものの、群雄割拠のなかで上位に浮上するためにも、後半戦に向けて仕切り直しを図ってきそうだ。
誰が勝っても不思議ではない選手が”うごめく”スーパーフォーミュラ。だが、今大会はまず予選で上位につけることがレース結果に大きな影響を与えることは間違いない。なにしろ、ストップ&ゴーのレイアウトを持つコースは、抜きどころが少なく、ライバルの背後について周回を重ねていくことがかなりのストレスになる。自分のペースで走ることが難しくなると、オーバーテイクシステムも抜くために使うより、背後からの猛追を凌ぐために使うことになりかねない。だからこそ、予選で少しでも上位のポジションを得ることが重要になってくる。
また、季節的に気温が上昇して猛暑のなかでの一戦ともなれば、タイヤやブレーキへかかる負荷も大きくなる。さまざまなマネージメントを行ないつつ、ライバルより秀でた速さを見せなければならない戦いは、まさにサバイバルレースだと言えるだろう。そんなタフな戦いで勝利すれば、終盤戦の戦いでより優位なポジションに立つことができるため、誰もが勝利を求め、より厳しい戦いに臨むことになる。だからこそ、もてぎでの一戦から目を離すわけにはいかない。チャンピオンの行方に大きな影響を与えるレースとなるはずだ。
なお、今大会からスーパーフォーミュラに初チャレンジするドライバーがいる。ニック・デ・フリースだ。今シーズンは、TOYOTA GAZOO RacingからWEC世界耐久選手権に参戦中だが、ITOCHU ENEX TEAM IMPULの19号車をドライブすることになった。シーズン前にチームが起用したテオ・プルシェールは、初戦のみ参戦したが、以後、インディカー参戦を選択。それからチームは都度ドライバーを変更しながら参戦してきた。デ・フリースは、このもてぎと続く富士の2イベント3レースに出場。なお、最後の鈴鹿大会では、第3、4戦で出走した平良響が再度起用するとチームが発表している。F1のスポット参戦のキャリアを持つデ・フリースが、初のスーパーフォーミュラでライバルたちとどのような戦いを繰り広げるのか、こちらも大きな見どころとなるだろう。
主なタイムスケジュール
8月24日(土)
08:55 – 10:25 フリー走行1回目
11:45 – 12:25 ピットウォーク
14:45 – 14:55 予選Q1・A組
15:00 – 15:10 予選Q1・B組
15:20 – 15:27 予選Q2
8月25日(日)
09:10 - 09:40 フリー走行2回目
11:15 – 11:55 ピットウォーク
14:40 – 決勝レース 37周/最大75分