SUPER GT 2015
昨シーズン、大きな車両変更が行われたSUPER GT。今シーズンは目を見張るような変化こそないが、日本を代表するGTレースとして今や世界中のレースファンから注目を浴びるこのカテゴリーには、つねに進化が求められる。当然のことながら、ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)との統一技術規則の採用も進んでおり、昨シーズンは共通モノコックの導入や、主要部品の共用が取り入れられた。
オフシーズン中、マレーシア・セパンサーキットでのメーカーテストはもとより、3月に入ってからはGTAが主催する公式テストも次々と行われており、空力面での見直しやエンジンの改善など、どのメーカーも着々と新しい戦いに向けての準備に取り組んできた。昨シーズンは、国内3メーカー(レクサス・日産・ホンダ)の中で、唯一ミッドシップ&ハイブリッドシステムのエンジンを搭載したホンダは、シーズン中も様々な初期トラブルに悩まされることが多く、辛酸をなめてきた。しかし、戦いを重ねるごとに戦闘力と安定性が向上。今シーズンはテストでもライバル勢と互角のタイムをマークしながらメニューを消化していると言われており、GT500における壮絶な三つ巴の戦いが待ち受けていると言っても過言ではないだろう。
ハード面での変化は少なくとも、チーム体制、中でもドライバー編成には多少の変化が見られる。日産勢は基本昨シーズンと変わりないが、No.24 D’station ADVAN GT-Rにおいては、第1戦から第3戦までルーカス・オルドネスが出走。昨シーズン24号車をドライブしたミハエル・クルムは世界耐久レース(WEC)参戦や車両開発の仕事を兼任しており、第4戦以降の参戦がアナウンスされている。レクサス勢では、No.36 PETRONAS TOM’S RC FとNo.37 KeePer TOM’S RC FのTOM’S2台、No.38 ZENT CERUMO RC F、さらにNo.39 DENSO KOBELCO SARD RC Fと6台中4台でドライバーを変更。ただし、2選手両方がニューフェイスになったわけではない。同じレクサス内での移籍となっている。ファンにとって寂しいのは、36号車をドライブしていた中嶋一貴がWECフル参戦のためにGT参戦を見送ったこと。スケジュール的にかなりタイトなものになるため仕方ない話ではあるが、昨シーズン、チャンピオン争いを繰り広げたチームドライバーだっただけに、今年のTOM’Sはまた新たな戦略を持ってタイトルに挑むと見られる。一方で、39号車には元F1ドライバーであるヘイキ・コバライネンが参戦する。日本のレースはもちろん初。シングルシーターのイメージが強いため、どのようなポテンシャルを披露してくれるかはこれからのお楽しみといえる。そういう意味では、ホンダ勢でNo.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTをドライブするオリバー・ターベイも注目選手のひとり。こちらは元F1テストドライバーだ。チームも今シーズンデビューとなるが、コンビとしてベテラン小暮卓史が参戦。チーム移籍の心機一転となるだけに、台風の目になる可能性も高そうだ。この他ホンダ勢では、No.8 ARTA NSX CONCEPT-GT、No.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT、No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTでドライバーが変更。中でも100号車は2選手揃っての移籍となる。だが、山本尚貴、伊沢拓也ともに2010年から3年間このチームに在籍した身。いわば里帰り参戦となる。
GT300においては、参戦台数の上昇が一番の話題。開幕戦にエントリー申請しているのは28台だ。FIA-GT車両に留まらず、今年はなんといってもGT300マザーシャシーベースのトヨタ86の参戦が注目のもと。開発を着々と進めており、強豪チームに挑む勇姿を見逃す手はない。一方、チャンピオンチームがBMWからメルセデスSLSへとスイッチ、No.0 グッドスマイル初音ミクSLSとして戦いに挑むのは、昨シーズン最後の最後までライバルとして戦ったNo.11 GAINER TANAX SLSの存在があればこそ。今年は同じ車両でガチバトルを展開することになる。また他チームでもSLSを導入しており、計6台のSLSがGT300クラスに華を添える。モチロン、国産勢の車両も86はじめ、GT-R、PRIUS、レクサスRCFの布陣を敷く。まさに百花繚乱のクラス争いも多いに盛り上がることだろう。
・シリーズカレンダー
第1戦:岡山国際サーキット
第2戦:富士スピードウェイ
第3戦:タイ・ブリラムサーキット
第4戦:富士スピードウェイ
第5戦:鈴鹿サーキット
第6戦:スポーツランドSUGO
第7戦:オートポリス
第8戦:ツインリンクもてぎ