SUPER GT 2019 Round.4
SUPER GT第4戦タイ、WAKO’S 4CR LC500がポール・トゥ・ウィン!
6月30日、2019年SUPER GT第4戦の決勝レースがタイ・ブリーラム県にあるチャン・インターナショナル・サーキットで行われた。レースウィーク中、一番の暑さとなる中、66周のレースを終始支配したのは、ポールポジションからスタートを切った
No. 6 WAKO’S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太組)。ときに厳しいポジション争いも見られたが、ミスなくトップを死守。トップチェッカーはチームとして2013年第8戦もてぎ以来となり、ピットは歓喜に包まれていた。
現地時間の午後3時に号砲を迎えた第4戦決勝。薄曇りの続く天候だったサーキット周辺は、決戦日の天気が一番暑く、気温33度路面温度48度のコンディション下でスタートを切った。難なく上位陣がスタートを切る一方、中盤グループでは居場所を巡って激しい攻防戦を展開。中にはポジションを大きく落とすクルマもあった。逃げるトップ6号車に対し、2番手以降も付かず離れずのペースで周回を重ねていく。そんな中、25周終了というやや早めのタイミングでルーティンのピットインを行うと、これを機にルーティンに取り掛かるチームが立て続けに出始めた。また、29周目にトップをNo.36 au TOM’S LC500(中嶋一貴/関口雄飛組)へと譲った6号車だったが、30周を終えて2台揃ってピットインするとスタッフが迅速な作業で送り出し、36号車よりもひと足早くのコース復帰に成功。再びトップで周回を重ねていった。
レースは34周終了をもってGT500全車両がドライバー交代を済ませ、いよいよ後半戦へと突入。だがその矢先の36周目、後方車両の2台が攻防戦を展開中に接触、その影響でさらにもう1台がコースアウトし、グラベルにクルマを止めてしまったことでセーフティカーが導入され、レースがコントロール下に置かれてしまう。これで各車が築いたマージンが消滅。レース展開としては俄然面白みを増すこととなったが、43周終了をもってレースが再開すると、トップ6号車は後方から迫りくるNo.37 KeePer TOM’S LC500との攻防戦を強いられた。37号車はリスタート時に2番手を死守していた36号車を力づくで逆転した直後とあって、その勢いのまま6号車をプッシュ。だが、是が非でも勝利したい6号車も頑として譲らず、最後の最後まで37号車にすきを与えない。結果、6号車が粘り勝ち。後半、ドライブを担当した山下にとっては自身初となるGT500クラスでの勝利となり、またチームも久々の美酒に酔うこととなった。トップ3をレクサス勢が占めたタイ戦。ニッサン勢最上位は4位のNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星明誠/ヤン・マーデンボロー組)だったが、全15台中5台が参戦するホンダ勢は同士討ちというまさかの展開もあり、No.64 Modulo Epson NSX-GT(ナレイン・カーティケヤン/牧野任祐組)の10位が最上位という結果に終わっている。
一方のGT300クラス。ポールポジションスタートのNo.25 HOPPY 86 MCは今回もまたタイヤ無交換作戦の予定と見えて、スタート直後は守りの走りの模様。よって、2番手スタートのNo.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rがオープニングラップで逆転に成功。後続を引き離す走りを見せた。逃げる56号車に対し、激しくなったのは2番手以降のバトルだったが、折返しでのセーフティカー導入により、状況が一転。独走だった56号車にNo.10 GAINER TANAX triple a GT-Rが追いつき、再三にプッシュし始める。そして迎えたファイナルラップ。GT500とのまさかの接触に見舞われた56号車が10号車の先行を許し、ほぼ手中にあった初優勝を逃すことに。また、今シーズン初優勝を飾った10号車、2位に泣いた56号車に続いたのはNo.65 LEON PYRAMID AMG。最終周途中までNo.11 GAINER TANAX GT-Rが前を走っていたが、こちらも逆転を果たして3位をもぎとっている。
・第4戦タイ 決勝結果 各クラストップ3
GT500
1.No. 6 WAKO’S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太組)1:44’12.812 66Laps
2.No.37 KeePer TOM’S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組)+1.236
3.No.19 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資/坪井 翔組)+10.249
GT300
1.No.10 GAINER TANAX triple a GT-R(星野一樹/石川京侍組)1:44’28.062
2.No.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(平峰一貴/サッシャ・フェネストラズ組)+0.796
3.No.65 LEON PYRAMID AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組)+21.206
SUPER GT第4戦タイ、WAKO’S 4CR LC500が今季初ポール!
今シーズンの前半戦締めくくりの一戦となるSUPER GT第4戦タイ。「チャンSUPER GT RACE」の予選が6月29日にタイ・ブリーラムに位置するチャン・インターナショナル・サーキットで開催され、No.6 WAKO’S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太組)がトップタイムをマーク。今季初ポールポジションを手にしている。
例年に比べ、薄曇りの天気が続くチャン・インターナショナル・サーキット。朝の公式練習では気温30度、路面温度35度からスタートし、セッション終盤に路面温度が44度まで上昇した。その中で最速タイムをマークしたのはNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rだった。
午後に入り行われたノックアウト予選。気温は30度を軽く超え、また路面温度も最高48度まで上昇する中でのアタックラップとなった。各車タイミングを見計らい、アタックを開始。Q1でランキング上位につけ、ウェイトハンデが大きいNo.38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明組)やNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)が敗退する一方、ランキング4番手のNo.8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也組)がトップタイムでQ1を通過した。
Q2開始を前に急激に日が照り始めたサーキット。しかしながらすぐ灰色の雲が上空を覆うなど、やや不安定なコンディションとなったが雨の心配はなく引き続きドライでのアタックが始まった。Q1同様、タイミングを見越してアタックを開始する各車。その中から抜きん出たタイムをマークしたのがNo.6 WAKO’S 4CR LC500の山下健太。Q1終了後にセッティング変更したことがプラスに働き、刻んだタイム1分23秒260はコースレコードを更新する出来栄えだった。なお、山下にとっては自身で掴んだGT500クラス初ポールポジションとなる。2番手に続いたのは、No.19 WedsSport ADVAN LC500の国本雄資。スーパーフォーミュラでは僚友のふたりがフロントローを分け合う結果となった。3番手には平手晃平がアタックを務めたNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R。僅差のアタック合戦のトップ3はレクサスと日産が分け合うこととなり、ホンダ勢としてのトップは7番手となるNo.1 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組)だった。
一方、GT300クラスは今シーズンからの参戦となるNo.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(平峰一貴/サッシャ・フェネストラズ組)が好調をアピール。まずQ1でトップタイムをマーク、Q2でもコースレコードを更新する快走を見せた。しかしながら、そのパフォーマンスを上回ったのが、No.25 HOPPY 86 MC(松井孝允/佐藤公哉組)。絶対的な自信を見せてアタックした松井が刻んだタイムは、1分31秒839。従来のコースレコードも松井がマークしたものだったが、それを大きく更新する躍進を見せた。なお、25号車にとっては第3戦鈴鹿に続いてのポールポジションとなる。
決勝は現地時間の午後3時(日本時間午後5時)にスタート。66周の戦いにはどんなドラマが待ち受けるのか。タイならではの展開になるのか、楽しみは尽きない。
・第4戦タイ 予選結果 各クラストップ3
GT500
1.No.6 WAKO’S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太組)1’23.260
2.No.19 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資/坪井 翔組)1’23.350
3.No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/フレデリック・マコヴィッキ組)1’23.455
GT300
1.No.25 HOPPY 86 MC(松井孝允/佐藤公哉組)1’31.839
2.No.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(平峰一貴/サッシャ・フェネストラズ組)1’32.057
3.No.7 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)1’32.111
SUPER GT第4戦タイ プレビュー
シーズン前半戦のラストは、タイ・ブリラムが舞台!
4月の開幕戦から早くもシリーズ4戦目を迎える今シーズンのSUPER GT。6月29、30日に行われるイベントは、日本を離れ、タイ・ブリーラム県にあるチャン・インターナショナル・サーキットが決戦の舞台となる。日本以上に灼熱の気候で繰り広げられるレースは、暑さが先行する中で、よりいっそう”熱い”ドラマを生み出すのか。
■タイ開催は今年で6年目
開催を前に、今月上旬にはタイの首都、バンコクのタイ政府スポーツ局内で記者発表会が行われた。地元メディアが大勢集まり、賑わったという。本格的なモータースポーツ運営のノウハウをGTAのイベントを介して多くを学んでいるという、開催サーキットのチャン・インターナショナル・サーキット(BRIC)関係者がコメントしたように、今ではすっかりタイのモータースポーツカレンダーのひとつとして馴染んでいることがうかがわれた。
■ウエイトハンデが及ぼす影響は?
タイ戦に向かう前の各車両には、これまで第3戦を終えて得たポイントを2倍にした重さが搭載されている。ちなみに、暫定ランキングトップはNo.38 ZENT CERUMO LC500。全3戦で入賞、加えて第2戦富士を勝利しているため、現在のポイントは26.5点。よって、ウエイトハンデは53kgとなる。これに次ぐのはNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rの49kg。そして鈴鹿ウィナーのNo.36 au TOM’S LC500は44kgを積む。そんな中、燃料流量リストリクターによる調整の対象となるのが、50kg超えの38号車となる。38号車は、リストリクター径が通常のものよりも小さくなることと引き換えに、ウエイトが17kgが差し引かれ、実積載は36kgに。若干、軽くなったウエイトが吉と出るか凶と出るか。ライバルとの兼ね合いもあるが、まずは予選でのパフォーマンスが注目される。
なお、過去のレースを振り返ると、チャンのコースと相性が良いのか、好成績を残しているのがレクサス勢だ。LC500の前、RC F時代からこの流れを持ち、チームこそ違えどレクサス勢が2016年から3連勝している。現時点の暫定ランキングのトップ6に4台のレクサスが名を連ねている状況がタイの結果によってどう変化するのも気になるが、これに併せてライバルの動向にも注目したい。
鈴鹿戦でも一部の車両に見られたが、タイでは暑さからくる懸念事項もレースを組み立てる上で留意しなければならない点となるだろう。例えば、タイヤのピックアップ。タイヤメーカーはタイでのコンディションを想定して持ち込みタイヤを選択するわけだが、実際の天候がどうなるかは誰もがわからない。チームとしては装着するタイヤの見極めも含め、適切な戦略を立てることが求められるというわけだ。
■GT300は今回も大混乱か!?
GT500クラスとは異なり、GT300クラスは参戦中のチームのうち、5チームが出場しない。中でも第3戦鈴鹿で、チーム今季初表彰台を果たしたNo.5 ADVICS マッハ車検 MC86 マッハ号の不参加。勢いに乗っているチームだけに勇姿を見られないのは残念だ。
気になるランキング争いは、3戦終了時点で早くも2勝を上げてトップに立つNo.96 K-tunes RC F GT3が60kg、暫定2位のNo.55 ARTA NSX GT3が55kgとライバルに比べてトップ2台がどっしりとウエイトを搭載する状況となっている。一方で、過去のレースを見る限りGT500ほどの偏りはなく、まんべんなく勝者が代わっており、これに併せてタイヤメーカーも異なっているようだ。となれば、今年の決戦も、GT500以上に内容の濃いドラマが見られるのではないだろうか。
GT500、Gt300両クラスとも、シーズン序盤で思うような結果を残せずにいるチームにとっては、是が非でもしっかりと成績を出したいところ。日本での真夏の決戦を前に、ひと足先にタイで納得の行く戦いを目指すことになる。
■主なタイムスケジュール(現地時間)
6月29日(土)
08:00 – 09:00 オープンピット
10:00 – 11:45 公式練習
10:00 – 11:25 : GT500 & GT300
11:25 – 11:35 : GT300
11:35 – 11:45 : GT500
13:15 – 14:15 ピットウォーク
15:00 – 15:35 ノックアウト予選_Q1
15:00 – 15:15 : GT300
15:20 – 15:35 : GT500
15:45 – 16:13 ノックアウト予選_Q2
15:45 – 15:55 : GT300
16:03 – 16:13 : GT500
6月30日(日)
11:15 – 11:40 SUPER GT選手紹介
11:50 – 12:35 ピットウォーク
12:55 – 13:15 サーキットサファリ
13:25 – 13:45 ウォームアップ走行、スタート進行
15:00 - 決勝レース(66Laps)