
SUPER GT 2012
SUPER GT第3戦セパン、ポールスタートのNo.18 ウイダーHSV-010が今季初優勝!
6月10日、マレーシア・セパンインターナショナルサーキットでSUPER GT第3戦の決勝レースが54周に渡って行われ、ポールポジションからスタートしたNo.18 ウイダーHSV-010が手堅いレース運びで完勝。
開幕戦から続いていたSC430勢による連勝をストップさせ、チーム今季初勝利を手にした。
前日よりも10度以上、気温、路面温度が上昇、セパンらしい灼熱の天気の中でレースはスタート。比較的クリアなオープニングラップとなり、その後も順調に周回を重ねていくことになった。
レースは逃げるトップの18号車に対し、2位には予選2番手No.38 ZENT CERUMO SC430の平手晃平が続く。3位にはNo.12 カルソニックIMPUL GT-RのJ.P.デ・オリベイラが続いた。
レースは折り返しを前にピットインがスタート。その後も小康状態が長く続いたが、終盤になってレースに変化が訪れる。
予選でエンジンブローの不運に見舞われ、最後尾スタートでスタートしたNo.6 ENEOS SUSTINA SC430が着実にポジションアップ。最終的には3位まで浮上した。
18号車は昨シーズンもセパン戦を制しており、2連勝を達成。一方で、2位でチェッカーを受けて38号車はシリーズポイントでランキングトップに立つことになった。
GT300もポールポジションスタートのNo.33 HANKOOK PORSCHEが逃げ切りのレース運びを完遂。ライバルと大差をつけることに。
一方、終盤2位まで浮上していたディフェンディングチャンピオンのNo.0 GSR初音ミク BMWだったが、最後の最後でガス欠という結果に終わり、これに変わって予選3位だったNo.911 エンドレス TAISAN 911が2位に浮上した。
■第3戦セパン 決勝結果
・GT500
1.No.18 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァンダム組)53L 1:47’52.531
2.No.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平組)+3.016
3.No. 6 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也組)+9.642
4.No.39 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明組)+20.570
5.No.12 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生/J.P・デ・オリベイラ組)+37.488
6.No.100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴組)+45.998
・GT300
1.No.33 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢組)49L 1:47’57.011
2.No.911 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝組)+24.267
3.No.66 triple a vantage GT3(吉本大樹/星野一樹組)+26.543
(記事・写真:島村元子/ TEXT&PHOTO : Motoko SHIMAMURA)
SUPER GT第3戦セパン、ポールポジションはNo.18 ウイダーHSV-010!
6月9日、マレーシア・セパンインターナショナルサーキットにおいてSUPER GT第3戦の予選が行われ、No.18 ウイダーHSV-010が今シーズン初となるポールポジションを獲得した。
亜熱帯地方のマレーシアだが、予選日は薄曇りの一日となり、気温・路面温度ともに“そこそこの”暑さに留まった。前日が30度を余裕で超える暑さだっただけに、予選日も灼熱の暑さを期待したチームにとっては完全に外れモードに。そんな中で行われたスーパーラップでは、まず9番手で出走したNo.18 ウイダーHSV-010!の小暮卓史が暫定トップタイムをマークする。その後8台の車両が次々とアタックを行ったが、小暮のタイムを上回ることができない。そしていよいよ最後のアタッカーとなるNo.38 ZENT CERUMo SC430の出走が巡ってくる。アタッカーである立川祐路は区間タイムで小暮のそれを上回ったが、最後のセクターでやや失速。セクター4でタイムを伸ばせず、これまでの貯金を吐き出す形で2位に留まった。
一方、GT300では、予選1回目でトップタイムをマークしたNo.33 HANKOOK PORSCHEがダントツの速さを見せて今季初ポールポジションを獲得。トップ3はすべて外国車が独占する結果となった。
なお、明日の決勝に向けて天候は下り坂。暑さを考慮し、午後4時(日本時間午後5時)から54周で行われる。
■第3戦セパン 予選結果
・GT500
1.No.18 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァンダム組)1’55.321
2.No.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平組)1’55.503
3.No.23 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/M・クルム組)1’55.665
4.No.12 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生/J.P・デ・オリベイラ組) 1’55.702
5 No.36 PETRONAS TOM’S SC430(中嶋一貴/R・ライアン組)1’56.145
6,No.24 D’station ADVAN GT-R(安田裕信/B・ビルドハイム組)1’56.405
・GT300
1.No.33 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢組)2’04.262
2.No.87 JLOC ランボルギーニGT3(山西康司/山内英輝組)2’05.371
3.No.911 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝組)2’05.395
何かが起こる?毎年思わぬ展開に発展するSUGO戦
第3戦セパンから1ヶ月強。いよいよSUPER GTのシーズン中盤戦が始まる。戦いの舞台となるのは、みちのく仙台のスポーツランドSUGO。折り返しの一戦は、ショートサーキットながら、アップダウンのあるテクニカルコースとして知られる。さらには、なにかしら毎戦波乱のドラマが待ち受ける一戦でもある。セパン、SUGO、そして8月の鈴鹿1000kmと続く、夏の三連戦はシリーズ戦のチャンピオン争いにも大きな影響を与えるポジションとなるだけに、各チームとも譲れない大事な戦いになることだろう。
東北地方にあるサーキットではあるが、ここでも真夏の厳しい暑さが待ち受ける。近年こそ十分な暑さ対策によってドライバーがツラい状況に置かれることもすっかり軽減したが、クルマ、とりわけタイヤにとってはその路面温度とのマッチングは依然として繊細なもの。僅かの温度差によってタイヤのもつポテンシャルが活きてくるか否かも、レースの流れに影響を与えてくることだろう。
今季未勝利のGT-R、本領発揮となるか?
開幕戦からスタートダッシュを見せたのは、レクサスSC430勢。シーズンオフのテストではアップデートキットが有効に作用せずタイムを出せないでいたのだが、シーズンが幕を開けると、状況はすっかり好転。ライバル勢を寄せ付けない速さを披露し、岡山、そして富士の500kmを制してきた。
一方、セパンで昨年に続いて勝利したのはホンダHSV-010 GT。No.18 ウィダーHSV-010(小暮卓史/C・ヴァン・ダム組)がコーナリングサーキットに強みを発揮し、灼熱の一戦ではスバ抜けた速さで完勝している。今回のSUGOもセパン同様HSV-010 GTとの相性がよく、フィニッシュラインぎりぎりまでトップ争いを繰り広げた一昨年の同士バトルも記憶に残る。今シーズンは安定した速さで表彰台の常連になっていることから、今年も文字通りホットなバトルがHSV-010 GT同士で見られるかもしれない。とりわけ、2位どまりでいまだ未勝利のNo.17 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大組)やNo.100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴組)がそのチャンスを狙っている。
ライバルたちの活躍の裏で、今季はまだ表彰台の真ん中に上がっていないのが、日産GT-R勢だ。かつてはここSUGOがもともと鬼門というか、今ひとつ相性がよくないコースではあったが、近年は戦績も上昇、勝てるサーキットとしてターゲットを合わせてくるようになっている。とりわけディフェンディングチャンピオンであるNo.1 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/R・クインタレッリ組)は、厳しい暑さを味方につけた勝利を狙っている。というのも、昨シーズンはここで優勝を果たし、続く鈴鹿で2位につけ、チャンピオン争いを一気に有利にしたからだ。1号車は現時点でレース展開の流れが今ひとつよくなく、納得のいく戦いができていないだけに、なんとしてもこの戦いで一気に流れもリズムも取り戻したいというところだろう。
GT300は実力拮抗の状態から、また新たな覇者が誕生?
今シーズンの序盤ではっきりと明らかになったのは、GT300での上位争いを掌握しているのは、様々なFIA GT車両であるということ。3戦を終えてそれぞれ異なるFIA GT車両が制し、トップクラスを席巻している。とはいえ、次の勝者の座を狙う車両も様々で、GT300はGT500よりもはるかに厳しい戦いが待ち受けていそうだ。もちろん、JAF GT車両もこのまま黙って指をくわえているわけにはいかない。SUGOというコース特性を活かし、またウェイトハンデなどを味方につけ、有利なレース展開に持ち込むことも考えられる。
ところで、今シーズン当初からSUPER GT初のハイブリッドカー参戦として注目を集めているNo.31 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀組)だが、このSUGOからついにライバルが加わる。7月上旬にツインリンクもてぎでシェイクダウンを済ませ、万全の準備でデビュー戦を迎えるNo.16 無限 CR-Z GT(武藤英紀/中嶋大祐組)だ。3大メーカーが異なるアプローチで攻防戦を展開するGT500に比べ、GT300は多種多様な車両同士の拮抗戦を見ることができるだけに、それぞれの動向にしっかりと注目することをオススメする。
主なスケジュール
・7月28日(土)
07:10 ? 08:00 オープンピット
08:15 ? 10:15 公式練習
08:15 ? 09:55 : GT500 & GT300
09:55 ? 10:05 : GT300
10:05 ? 10:15 : GT500
11:30 ? 12:15 ピットウォーク
12:40 ? 13:10 公式予選 Q1
12:40 ? 12:55>>GT300
12:55 ? 13:10>>GT500
14:30 ? スーパーラップ
16:30 ? 17:15 GTキッズウォーク
17:25 ? 18:15 サーキットエクスペリエンス
・7月29日(日)
09:05 ? 09:50 フリー走行
11:45 ? 12:30 ピットウォーク
12:55 ? ウォームアップ
14:00 ? 決勝
(記事・写真:島村元子/ TEXT&PHOTO : Motoko SHIMAMURA)
第3戦は、SUPER GT唯一の海外戦・セパンの戦い!!
暑さをモロともせず、デッドヒートを制するンのは?
SUPER GTシリーズの第3戦が、6月9-10日にマレーシア・セパンインターナショナルサーキットにおいて開催される。シーズン前半戦を統括する一戦は、唯一の海外戦となり、しかも赤道直下に位置するサーキットでの戦いは、暑さをも考慮した、文字通り「灼熱の」戦いを繰り広げることになりそうだ。
■緒戦を制したSC430に挑むライバル達
開幕戦の岡山、そしてお膝元である第2戦の富士で速さ、強さを存分にアピールして勝利したレクサスSC430勢。オフシーズン中はアップデートキットによるクルマのセットアップが難航するなどバタバタしていたのがウソのような快走劇が続いている。一方、今回の舞台、セパンはシーズンオフにタイヤテストを行うサーキットであり、どの自動車メーカー、タイヤメーカーにおいても事前のデータ収集は済んでいる。確かに、当日の天候はそのときになってみないとわからないものの、今季のレギュレーションに基づいた総体的なクルマ作りは着々と進んでいると思われる。
となると、レクサス勢の優位はここセパンでも続くのかと思いきや、実はそうではない。このサーキットを一番得意とするのがコーナリングマシンとして知られるホンダHSV-010勢。中高速のコーナーがリズミカルに連続するレイアウトを持つセパンとの相性はすこぶる良く、昨シーズンもNo.18 ウイダーHSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム組・昨季は小暮
/L・デュバル組)が快勝している。さらには日産GT-Rも得意とするコースのひとつ。今季は表彰台が3メーカーの中で一番遠い存在になっているだけに、なんとしても好成績を残したいというのが本音だろう。
■GT-Rの敵はGT-R?
確かに、GT-Rの表彰台は第2戦富士でNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム組)が3位に入り、安定した速さを披露していえるが、日本の気候と異なるサーキットでの強さを期待したいのが、それぞれ異なるタイヤを装着するGT-R勢だ。
まずは酷暑に強いミシュランタイヤを装着するNo.1 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ組)。前回の富士では、不安定な天候を味方にした同じミシュランタイヤを履くライバルNo.39 DENSO KOBELCO SC430に
勝利され、ディフェンディングチャンピオンとして悔しい思いをしているだけに、このセパンで王者の貫禄をしかとアピールしたいところだ。そして、アドバンタイヤを着けるNo.24 D’station ADVAN GT-R(安田裕信/ビ
ヨン・ビルドハイム組)にも注目が集まる。何しろこのチームはセパンとの相性がすこぶるよく、かつて2シーズン連勝を果たした経験を持つ。ピタリと条件が当てはまればGT-R本来のポテンシャルをしっかりと引き出せる走りを見せるため、侮れない存在になること、間違いナシだ。
■群雄割拠のGT300
FIA-GT3組が幅を利かせている今シーズンのGT300クラス。GTA(GTアソシエイション)が新たに第2戦終了後に、BOP(性能調整)を発表。GT3車輌において再び変更が見られる。中でも、ディフェンディングチャンピオンで、前回富士では驚異の追い上げを見せて優勝を果たしたNo.0 GSR初音ミクBMW(谷口信輝/片岡龍也組)が用いるBMW Z4 GT3は車重が+
20kgの扱いとなり、シリーズ争いをするトップ車輌としては厳しい条件を受けることになった。しかし、いずれにせよ、序盤戦で好成績を残しているチームは、そろそろ搭載されたウェイトがじわりじわりと効きはじめる頃。セパンではそつのない戦いに徹する可能性もある。
ということで、強豪に代わって勝利を目論むのはやはりポルシェ勢。オールラウンダー的な強さは世界中のサーキットで実績を上げているクルマならでは。これらの車輌にメイド・イン・ジャパンのJAF GT勢車輌がどこまで食い
込むのか。見どころになることだろう。
なお、今シーズン、ハイブリッドシステムを搭載して参戦中のNo.31 apr HASEPRO
PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)だが、セパンではこのシステムを搭載しないというアナウンスが出ている。これはハイブリッド車輌を輸送するにあたり、特別処置をとらなければならない、ということが一因。ハイブリッドシステムに必要なリチウムイオン電池が危険物取り扱いによる輸出入の規制対象となるようだ。これによって、今回はガソリンエンジンでの参戦となるため、車重やエアリストリクターが新たに設定されている。
■暑い戦い、300km先のゴールを目指して
今シーズンから他の大会でのレース距離の見直しが行われているSUPER GT。第3戦セパンでも一昨年と同じ300kmに戻っている。通常、日本での決勝レースは午後2時スタートが大半なのだが、マレーシアの気候を配慮し、決勝は現地時間の午後4時(日本時間の午後5時)からとなっている。
暑さに限らず、車内は「熱さ」の戦いもあり、また亜熱帯特有のスコールによる天候の激変、という展開もないわけではない。まずはクルマのポテンシャルをしっかりと引き出せるようなセットアップに始まり、状況の激変において、チーム、ドライバーが一丸となってしっかりと対応できる「チーム力」がいつも以上に求められるだろう。デッドヒートを制して、シリーズ序盤戦をいい形で終えることができるのは、果たしてどのチームか?
■主なスケジュール(日本との時差は-1時間)
・6月9日(予選日)
10:00 ? 12:00 公式練習
12:10 ? 13:30 ピットウォーク・キッズウォーク
15:30 ? 16:00 公式予選 Q1
15:30 ? 15:45>>GT300
15:45 ? 16:30>>GT500
16:30 ? スーパーラップ
・6月10日(決勝日)
09:40 ? 09:57 サーキットサファリ
09:57 ? 10:27 フリー走行
10:35 ? 10:52 サーキットサファリ
12:00 ? 14:00 ピットウォーク
14:55 ? ウォームアップ
16:00 ? 決勝 (54Laps)
(記事:島村元子/ TEXT: Motoko SHIMAMURA)