
SUPER GT 2012
SUPER GT第1戦岡山、激戦を制したのはNo.38 ZENT CERUMO SC430!
4月1日、岡山県・岡山国際サーキットでSUPER GT第1戦 OKAYAMA GT300kmRACEの決勝レースが行われ、ポールポジションからスタートを切ったNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平組)が終盤の攻防戦を制覇。シーズン幕開けの勝者となった。一方、GT300では、スタートからトップに君臨したNo.911 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝組)を追いつめたNo.11 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸組)が逆転に成功。ニューマシンでのデビューウィンを達成した。
前日は気まぐれに降る雨と想定外の寒さに翻弄されたSUPER GT。決勝日も時折、にわかに空が暗くなり、強い風が吹きつける落ち着かない天候だったが、終始ドライコンディションでのバトルはできる状況だった。まず、スタート直後からポールの38号車が頭ひとつ飛び出し、次第にペースを上げてきたNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rが2位へ浮上。ついには、トップ38号車をもとらえる飛躍を見せた。一方、予選2位からスタートしたNo.100 RAYBRIG HSV-010 GTは、装着していたハードタイヤになかなか熱が入らず、ペースアップに時間を要することに。しかし、ピットインを機に、上位の勢力図に動きが変化が訪れた。
ピットインでの作業をスピーディに済ませた100号車がトップを奪取。これを38号車が追う形になり、終盤はまさに2台が攻防戦を展開。38号車をドライブするのは、シリーズチャンピオンの経験もあるベテラン立川。そして逃げる100号車はGT3年生の山本。後方からのプレッシャーに耐え、懸命に逃げた100号車だったが、ついに満を持した38号車の猛攻に遭い、トップから陥落する。だが、その後も100号車は38号車との差を開けることなく、食らいつき、逆転のタイミングをまった。そして、それがかなったのが、セミファイナルラップ。クリーンなバトルの末、再度トップに躍り出た100号車だったが、38号車もあきらめない。ファイナルラップでベテランらしい逆転劇を見せつけ、初戦のウィナーに輝いた。
GT300は周回を重ねるごとに2番手につけていた11号車がトップの911号車との差を削り取り、こちらも終盤に勝負へ出る。狙いを定め逆転し、ついに待望の勝利を達成。チームにとっては、戦闘力を見込んでスイッチした車両での初勝利を果たすことになり、申し分のないスタートダッシュを完遂させたといえる。
一方、予選で注目を集めたNo.31 apr HASEPRO PRIUS GT。レースディスタンスのテストができなかった影響からか、まだ開発の余地が多く、決勝ではメカニカルトラブルに見舞われ、惜しくもリタイヤに終わっている。
第1戦岡山 決勝結果
・GT500
1.No.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平組)2:01’21.776 82Laps
2.No.100 RAYBRIG HSV-010 GT(伊沢拓也/山本尚貴組)+0.588
3.No.17 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大組)+14.826
4.No.23 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/M・クルム組)+17.566
3,No.36 PETRONAS TOM’S SC430(中嶋一貴/L・デュバル組)29.504
・GT300
1.No.11 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸組)2:02’20.303 78Laps
1.No.911 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝組)+3.766
2.No. 0 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也組)+1Lap
(写真:カーチャンネル / 記事:島村元子)
SUPER GT決勝のローリングスタート
終盤でのトップ2台の熱いバトルにファンはくぎづけとなった。No.100 RAYBRIG HSV-010 GT(前方)とNo.38 ZENT CERUMO SC430(後方)
見事GT500クラス優勝を果たしたNo.38 ZENT CERUMO SC430
GT300クラス優勝のNo.11 GAINER DIXCEL R8 LMS
500クラス優勝の立川祐路選手(左)と平手晃平選手(右)
SUPER GT第1戦岡山のポールシッターは、No.38 ZENT CERUMO SC430!
3月31日、岡山県・岡山国際サーキットにおいて、今シーズンの開幕戦となるSUPER GTの予選が行われた。
Q1からQ3におよぶノックアウト方式が採用されたが、雨のあと晴れたかと思いきや、気温が下がる寒い天候に見舞われ、その後、また天候が悪化するなど、落ち着きのないコースコンディションでのアタックを強いられた。
コースインのタイミングや装着したタイヤによって結果を左右するような厳しい状況が、安定したのは最後のQ3時。
スリックタイヤでのタイムアタックが実現し、その中で、懇親の一発を披露したのが、No.38 ZENT CERUMO SC430を操るベテランドライバーの立川祐路だった。
一方で、ディフェンディングチャンピオンのNo.1 S Road REITO MOLA GT-Rはミシュラン勢最高位の5位。
今回は、ブリヂストン勢がトップ4を独占し、巻き返しを図る。
また、GT300では想定どおりFIA GT3車両が大活躍。激しいしのぎ合いが続き、その中から頭ひとつ飛び出したのが、今季レース復帰したTeam TAISANのNo.911 エンドレス TAISAN PORSCHEの横溝直輝だった。
なお、今シーズンデビューとなった話題のハイブリッド車、No.31 apr HASEPRO PRIUS GTは6位につけ、結果として国産車最高位の予選結果を残す活躍を見せている。
第1戦岡山 予選結果
・GT500
1.No.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平組)1’22.572
2.No.100 RAYBRIG HSV-010 GT(伊沢拓也/山本尚貴組)1’22.588
3,No.36 PETRONAS TOM’S SC430(中嶋一貴/L・デュバル組)1’22.705
4.No.23 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲S/M・クルム組)1’22.965
5.No. 1 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/R・クインタレッリ組)1’23.027
6.No.18 ウイダー HSV-010(小暮卓史/C・ヴァンダム組)1’23.464
・GT300
1.No.911 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝組)1’28.975
2.No.33 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢組)1’29.122
3.No.11 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸組)1’29.285
(写真:島村元子 / 記事:島村元子)
予選の空模様
悪天候の中、果敢にアタックするドライバー
GT300クラスドライバー集合撮影
GT500クラスドライバー集合撮影
SUPER GT第1戦岡山プレビュー
「ついに開幕! 今シーズンのSUPER GTはさらにアツいバトルに注目!」 待ちに待った2012年のSUPER GTがついに開幕を迎える。3月31日、岡山県・岡山国際サーキットから始まる今シーズンの戦いは、さらなる激戦に大いに期待できる展開になりそうだ。
メーカー三つ巴のガチバトルに期待
今シーズンはドライバー編成に動きがあったGT500。メーカー別に見ていくと、まず昨シーズンのシリーズチャンピオンに輝いたNo.1 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)は不動だが、ニスモチームはB
・トレルイエにかわり、かつて日本で活躍していたM・クルムが復帰。ベテランの本山哲とコンビを組むことになった。GT-R勢の足下を固めるタイヤは去年同様、ミシュランとブリヂストン。車両は同じであっても装着するタイヤによってレース展開も異なるシビアなS-GTだけに、今シーズンも互いを牽制するような動きが見られるかもしれない。
一方、大物移籍に沸いているのがレクサス勢。No.36 PETRONAS TOM’S SC430は、A・ロッテラーが今シーズンからシリーズが始まった世界耐久選手権にレギュラー参戦するため、中嶋一貴とコンビを組むのが、なんと昨シーズンまでホンダのエースドライバーだったL・デュバル! ホンダで磨いた腕はレクサスをどのようにドライブするのか、見ものだ。さらに、ベテラン脇阪寿一は老舗チームのNo.39 DENSO KOBELCO SC430へと電撃移籍! 長年にわたりレクサス、そしてブリヂストンでの活躍を見せてきた脇阪が、初のミシュランをどう料理するのかも楽しみだ。
ホンダ勢は最速男、小暮卓史がNo.18 ウイダーHSV-010をC・ヴァンダムと新コンビをもってチャンピオンタイトル奪還を目指す。速さにこだわる小暮は、優勝はもとよりまずはポールポジション獲得に燃えるタイプ。クルマとサーキットとの相性が良い岡山でのタイムアタックにも注目だ。
勢力図が大きく変わりそうなGT300
昨年も外国車が活躍したGT300だが、今シーズンはさらにその流れに勢いが増す傾向にある。参戦チームが次々に欧州車を中心としたFIA GT3車両へとスイッチ。素性のよいハイポテンシャルの車両を武器に、速さを全面的にアピールした走りを見せてくれそうだ。
今シーズン、初登場する車両も多い。まずはメルセデス・ベンツのSLS AMG GT3。岡山での公式テストではクルマのマイナートラブルに見舞われ、惜しくも走行を続けることはできなかったが、整うものが整えば、その力量は折り紙付き。手ごわい存在として名を馳せることだろう。さらには、最多エントリーとなる Audi R8 LMS。世界の耐久レースにおいてカスタマー仕様のレーシングカーとして大活躍してきた実績あるクルマだけに、実力を見せつけてくるはず。GT500
にとってもハイスピードのGT300を料理するのは一筋縄ではいかなくなるだろう。
もちろん、ディフェンディングチャンピオンも黙ってはいない。No.0をつけて走るGSR 初音ミク BMWは最新のZ4を投入しただけでなく、ドライバー布陣も変更し、「傾向と対策」を進めている。さらに、迎え撃つ国産車も反撃ののろしをあげる。まずは、日産のGT-RがGT3車両としてエントリー。若手ドライバーの育成も兼ねた参戦ゆえに、アグレッシブな活躍が楽しみとなる。そして、スバル待望のニューカー、BRZもNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTとして登場。開発力に長けたベテランドライバーを配し、虎視眈々と好成績を狙ってくるはずだ。
ヨーロッパスタイルの岡山のコースを制するのは?
テクニカルコースとして知られる岡山国際サーキット。コーナリングサーキットとしてドライバー泣かせの場所でもある。まずは公式練習時にしっかりとクルマのセットアップを行わない限り、予選での一発のタイムはもちろんのこと、周回を重ねる決勝でタフな戦いを強いられることになる。
GT500にとっては、多くの新車が登場するGT300のパッシングもポイントとなる。どのタイミングでどこから抜いていくのがよいのか、実際、オフシーズンの公式テストでも、GT300のストレートの速さに戸惑うGT500ドライバーも見られただけに、決勝レースでの荒れた展開へ発展する可能性もある。シーズン最初の戦いは、クラスを超えてホットなバトルが見られるかもしれない。
主なタイムスケジュール
3月31日(土)
07:00 ~ 07:50: オープンピット
09:00 ~ 11:00: 公式練習
11:25 ~ 12:25: ピットウォーク
14:30 ~ 15:00: ノックアウト予選 Q1(GT300>GT500)
15:10 ~ 15:30: ノックアウト予選 Q2(GT300>GT500)
15:40 ~ 16:05: ノックアウト予選 Q3(GT300>GT500)
16:40 ~ 17:25: キッズウォーク
4月1日(日)
08:20 ~ 09:05: フリー走行
10:40 ~ 11:35: ピットウォーク
12:55 ~ : ウォームアップ
14:00 ~ : 決勝 (82Laps)
(記事:島村元子)