スーパー耐久2025 Round3 - イベント・レースレポート

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スーパー耐久2025 Round3

2025年6月2日

スーパー耐久第3戦・富士24時間レース、大荒れのなか、TKRI松永建設AMGが逆転勝利!


5月31日、6月1日に静岡・富士スピードウェイにて開催されたENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第3戦「NAPAC富士24時間レース」は、決勝日の朝から雨模様。その後も依然として不安定な天候が続き、午後3時のスタートを前に雷雨へと変わってしまう。結果、1時間遅れてのスタートとなり、セーフティカーが先導して長い戦いの幕開けとなった。なお、スタート遅れがあったものの、レースフィニッシュは従来どおり翌6月1日の午後3時に変わりはないことも発表された。
 

波乱のスタートとなった今年の戦いは、その後も雨や濃霧、ハプニングによるセーフティカーランなど思いがけない展開も見られたが、そのなかで、予選4番手スタートだったNo.23 TKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/片岡龍也/奥本隼士/中山友貴/元嶋佑弥)が粘り強い走りを披露。不安定な天候、落ち着かないレース展開のなかでも強かなアプローチを続けたことが奏功。ライバル以上に”トラブルフリー”でのレースを展開し、ひとつまたひとつとポジションアップを果たすこととなった。結果、23号車は手堅いレース運びを完遂させ、見事に逆転優勝を遂げることになった。
 

今シーズンはシリーズ第3戦での開催に

3月下旬にシーズンインした今年のスーパー耐久。4月末には鈴鹿での第2戦を終え、いよいよシーズンハイライトといえる24時間レースを迎える事となった。
 

これに先立ち、5月8日には富士で公式テストが実施され、各チームとも念入りな準備を済ませての一戦となる。2018年から富士を舞台に展開する24時間レース。シリーズ戦のひとつというだけでなく、24時間にわたって繰り広げられる一大イベントとして定着しつつあり、足を運ぶファンもキャンプや花火観戦など、それぞれ独自の楽しみ方でレースを堪能しているようだ。今年は全クラス、つまり10クラス60台が参戦。一方、レースウィーク中は5万3500人もの観客が訪れた。
 

30日(金)には公式予選が行なわれ、普段のシリーズ戦同様に、A、Bドライバーのアタックタイムの合算によってグリッドが決定した。この日は朝から雨模様になっていた富士だが、午後からの予選セッションを前に雨は上がる。とはいえ、まだコースの一部は濡れており、装着するタイヤはスリックながら、ウェットコンディションでのセッションスタートとなった。
 

スーパー耐久では技術の開発を兼ねた車両が参戦しているが、この富士24時間に合わせ、新たなる技術を投入して長丁場に挑むことが多い。今年は水素を燃料として使用するエンジンを搭載するNo.32 TGRR GR Corolla H2 conceptがシーズン初のお目見えに。参戦4年目の今年は、モリゾウ/佐々木雅弘/石浦宏明/小倉康宏/平川真子/中嶋一貴という豪華なメンバーを揃えている。また、車両自体もデビューした2021年、翌年は気体水素の燃料だったが、2023年には超低温の液体水素へと”進化”。気体水素の燃料を充填するために巨大な設備が必要で、特別場所を設けて作業を行なっていたことは記憶に新しい。だが、液体水素になった時点からガソリンを使用する他車と同様にピットでの給油ならぬ”給水素”が実現した。一方で、作業においては長いピット時間がネックとなっていたが、2024年になるとその課題も克服。コースでの走行時間が伸びたことで航続距離の自ずと長くなった。今年は充填時の作業時間がさらに短縮されたとのことで、およそ1分で作業を終えることができるとしている。年々ポテンシャル向上を見せる32号車としては、今年はどれだけ走行周回数を伸ばせるかが、目標となるはずだ。
 

各クラスのレースレポート

【ST-X】
6台がエントリーしたST-Xは、スーパー耐久レースにおける最高峰クラス。今シーズンにチームを発足させたNo.666 seven x seven PORSCHE GT3R(BANKCY/藤波清斗/渡会太一/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が開幕戦から強さ、速さを兼ね備えたパフォーマンスで2連勝しており、24時間レースでの優勝を狙うNo.33 Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3(リー・ジェフリー/太田格之進/チェン・ディーン/トム・カレンダー/元嶋成弥)との激しい戦いになると予想された。一方、スーパー耐久における”常連”ともいえるNo.81 DAISHIN GT-R GT3(大八木龍一郎/坂口夏月/大八木信行/青木孝行/木村偉織)もこの富士から参戦を開始。エントリーに名を連ねており、今シーズン初の戦いに注目が集まった。
 

予選でのタイムアタックでは、スーパーフォーミュラやアメリカでの活躍で波に乗る太田格之進を擁する33号車がトップタイムをマーク。昨年の富士24時間に続き、ポールポジションを手中に収めた。2番手につけたのは、81号車。これにNo.101 Hitotsuyama Audi R8 LMS (鈴木建自/小川颯太/プル・ジェームス・猪爪杏奈・川端伸太朗)が続く結果となった。
 

悪天候の影響を受けて1時間遅れのスタートとなったが、その後は雨も止んで徐々に路面も回復。トップ3はピット作業のタイミングで時折ポジションは入れ替わったが、ほぼクラス予選順位のまま周回を重ねていった。一方、レースは午後8時過ぎ、さらに午後10時前にも視界不良の影響でSCランが導入される。さらに、霧がどんどん濃くなりはじめ、3度目のSCランになってしまった。
 

また、アクシデントも発生。日付が変わるなか、ST-ZクラスとST-2クラスが接触。Zクラスの車両が態勢を崩してガードレールに激しくヒット。結果としてクルマが大破する。これを受け、コース修復が必要となり、レースは1時間近く赤旗中断に見舞われた。すると再開後には再び濃霧がサーキットを包みこんでしまう。まだ日も明けぬなか、十分な視界確保が難しいという判断から午前5時を前に赤旗が提示され、なんと3時間近くにわたりセッションが中断した。
 

結果、午前7時45分にレースがリスタート。この時点でトップは依然として手堅いレース運びを見せる33号車。これに、81号車が続く形となった。
 

日曜日になっても晴れ間が完全に戻ることはなく、ほぼ終日曇天模様になった富士。”23時間レース”のチェッカーまで残り5時間となるなか、33号車はトップを快走。この時点で2番手まで上り詰めた23号車に対して10.7秒、また、666号車は33号車に対して50秒強という大差をつけて、悲願の優勝へとひた走っていた。ところが、チェッカーまで残り4時間を切るなか、33号車が他車と接触。ダメージを負い、ペースダウン。安定したラップタイムが刻めないだけでなく、白煙を上げてピットへ戻ってしまう。盤石の態勢で走り続けていた33号車だったが、残り3時間半という段階でコースをあとにするというまさかの幕切れとなった。
 

代わってトップに立ったのが23号車。トップ争いから少し後方を走り、着実にポジションアップを果たしてきた。その23号車に終盤になって迫ったのが、666号車。18時間経過時点で50秒ほどギャップがあったが、あっという間に差を詰めての攻防戦に。だが、残り15分ほどの時点で666号車がピットへ。スプラッシュでの給油作業を行ないコースに復帰したが、事実上これで優勝のチャンスが遠のくこととなり、戦略含め、安定感を武器にした23号車が逃げ切りで勝利をもぎ取り、チーム初の24時間制覇に成功した。
 

【ST-Z】
9台が揃ったST-Zでは、ドライバーのラインナップが豊富で現役のGT組が多数参戦する形になった。そのなかで予選トップ通過を果たしたのは、No.25 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4(田中優暉/名取鉄平/松田次生/佐藤公哉/ロニー・クインタレッリ/柳田真孝)。僅差のタイムアタック合戦は見どころたっぷりだったが、2番手にはNo.22 EBI GROUP Cayman GT4 RS CS(北園将太/久保凜太郎/平安山良馬/山野直也/石川京侍)、そして3番手には24年のクラスチャンピオンでもあるNo.52 埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2(山﨑学/吉田広樹/服部尚貴/野中誠太/荒川麟)が続く結果になった。
 

レースでは、不安定なウェットコンディションのなかでNo.20 NANIWA DENSO TEAM IMPUL Z(松本貴志/平峰一貴/大木一輝/ジュール・カズキ・トレルイエ/ベルトラン・バケット)が躍進。クラストップを奪取して序盤の戦いを牽引したが、折り返しを過ぎてトップに立ったのは、25号車。2位に浮上した52号車に対してこの時点で2周の差をつける快走を披露すると、その後も安定した走りを見せてトップをキープ。これに52号車、22号車が続くも、それぞれ2周の差が開いており、逆転は厳しいなかで終盤に向かうこととなった。
 

なお、日付をまたいで暫くした頃、No.26 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4(大塚隆一郎/篠原拓朗/富田竜一郎/イゴール・オオムラ・フラガ)とST-2クラスの車両が接触。このアクシデントで26号車はガードレールにヒット。クルマは大きなダメージを負い、戦列を離れることになってしまう。加えてガードレール修復が必要となり、レースでの赤旗中断を招いた。
 

チェッカーまで残り5時間となり、クラストップは25号車と変わらず。序盤に生まれた2周の差を埋めることは難しく、結果25号車が完璧なレース運びをやってのけての勝利を掴んでいる。
 

【ST-TCR】
2台が参戦するST-TCRでは、No.98 WAIMARAMA Elantra N TCR(桝本隆介/千代勝正/KIZUNA/リ・ジョンウ・安田裕信/ジュリアーノ・アレジ)がクラスポールからスタートを切ったが、トラブル発生が安定して周回数を重ねられず、折り返しを迎えるとクラストップはNo.19 BRP★NUTEC 制動屋 CUPRA TCR(東風谷高史/末廣武士/奥住慈英/大野尊久/井本大雅/奥村浩一)の手に。終盤になってもその差は変わらず、このままチェッカーを迎えることになった。
 

【ST-Q】
クルマの”未来”を検証し、新たな技術を積極的に投入して臨むST-Qには、6台が参戦。そのなかで予選トップタイムをマークしたのは、No.61 SUBARU HighPerformanceX Future Concept(伊藤和広/山内英輝/井口卓人/花沢雅史/伊藤奨)。一方、豊富な話題をひっさげてさらに進化した車両となった32号車は、Aドライバーのアタック中に車両トラブルが発生するも、Bドライバー予選では無事にアタックを完了。タイム計測が完了した57台の57番目からのスタートを切ることになった。
 

一方、レースでは安定感、信頼度の高いクルマが好成績を納めた。特にペース良く周回を重ね続けることに成功したのが、No.28 TGRR GR86 Future FR concept(佐々木栄輔/坪井翔/大嶋和也/豊田 大輔/斎藤愛未/福住仁嶺)。しっかりと速さも見せて、クラストップチェッカーを受けた。また、32号車も無事に走破を遂げて41位でチェッカーを受けている。
 

【ST-1】
TCRクラス同様、こちらも2台のエントリーとなったST-1。”常連”のNo.2 シンティアム アップル KTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹/小林崇志)がタイムアタックでライバルのNo.47 D’station Porsche 992(星野辰也/浜健二/田中哲也/樺木大河/星野敏/上村優太)に先手を取ってクラスポールスタートを迎える。だが、2号車は他車との接触、FCY中のピットインなど、アクシデントに見舞われ序盤の時点で大きく後退。修復作業を強いられた。一方、47号車は順調に周回を重ね、総合6番手で折り返しを迎えると、そのままレース終盤へと向かい、クラストップでのチェッカーに加え、終盤に失速した上位クラスの車両をかわし、総合4位でレースを戦いを終えることとなった。
 

【ST-2】
クラスポールポジションを手にしたのは、No.743 honda R&D Challenge FL5(石垣博基/尾藤成/木立純一/柿沼秀樹/野尻智紀)。チーム初となるポールからのスタートで盛り上がったが、レースになると徐々にポジションを下げることに。代わって序盤からリードを奪ったのは、No.95 SPOON リジカラ CIVIC(山田英二/小出峻/西村和真/三井優介/松井猛敏/中島保典)。だが、No.72 OHLINS CIVIC NATS(金井亮忠/山野哲也/野島俊哉/山﨑一平/大津弘樹)がじわりじわりと差を詰めて逆転のチャンスを伺うことに。すると、レース終盤、残り5時間を切って95号車はピット作業中にエンジンを始動するという痛恨の違反を犯し、ペナルティストップ60秒が課されてしまう。大終盤、1時間を切ってチェッカーを目指すなか、両者の手に汗握る攻防戦も見られたが、最終的に72号車が予選クラス7位からの逆転勝利を達成した。
 

【ST-3】
フェアレディ、レクサスRC350がそれぞれ2台ずつ、計4台での戦いになったST-3クラスでは、No.16 岡部自動車フェアレディZ34(田中 徹/清水啓伸/三宅淳詞/小松響/小松一臣/甲野将哉)がクラスポールからスタートを切るが、決勝で強さを見せたのは、No.39 エアバスター WINMAX RC350 TWS(藤田真哉/眞田拓海/伊藤鷹志/大滝拓也/髙橋蓮)。レース折り返しにはトップを奪取。そのままレースを走り切り、クラス2位以下にも大きく差をつけて昨年に続き、勝利した。
 

【ST-4】
 9台が出走したST-4クラスでは、No.884 シェイドレーシング GR86(影山正彦/清水英志郎/山田真之亮/新田守男)がクラスポールを獲得する。レースでも盤石の走りを続けてライバルを寄せ付けず。予選クラス3番手スタートのNo.41 エナジーハイドロゲン EXEDY GR86 Winmax(石井宏尚/冨林勇佑/尾﨑俊介/岡本大地/水野大)も粘りを見せたが、最終的には2周差をつけられ、884号車が独走。昨年に続いての連勝を達成した。
 

【ST-5F/R】
今シーズンから駆動方式によってクラスを細分化したST-5。ST-5Fでは、No.4 THE BRIDE FIT(太田侑弥/新井薫/瀬戸貴巨/芳賀邦行/蘇武喜和/伊藤俊哉)が、ST-5Rは、No.88 村上モータースMAZDAロードスター(村上博幸/太田達也/雨宮恵司/黒沼聖那/吉田綜一郎)がそれぞれクラスポールを獲得して戦いに臨んだ。
 

序盤は、4号車がそのままクラストップをキープする一方、5Rでは、No.610 KOSHIDO RACING ロードスター(佐藤元春/柴田優作/浅井康児/山本謙悟/大宮賢人)がトップを奪取。その後もF、Rクラス両方順位が入れ替わる展開を見せていたが、Fクラスは予選3番手から徐々にポジションアップに成功したNo.821 アンドリーガル Moty’s FIT(佐藤勝博/川福健太/上田浩司/志賀卓弥/笠原潤一郎)が初優勝を遂げた。また、Rクラスは一貫して安定ある走りを見せた88号車がクラストップでチェッカーを受けることとなった。
 

予選結果・各クラストップ・A、Bドライバー合算タイム

【ST-X】No.33 Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3 3’19.496
【ST-Z】No.26 raffinee日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4 3’34.456
【ST-TCR】No.98 WAIMARAMA Elantra N TCRm 3’39.687
【ST-Q】No.61 SUBARU HighPerformanceX Future Concept 3’43.938
【ST-1】No.2 シンティアム アップル KTM 3’28.971
【ST-2】No.743 honda R&D Challenge FL5 3’42.353
【ST-3】No.16 岡部自動車フェアレディZ34 3’45.469
【ST-4】No.884 シェイドレーシング GR86 3’52.148
【ST-5F】No.4 THE BRIDE FIT 4’07.837
【ST-5R】No.88 村上モータースMAZDAロードスター 4’08.417
 

決勝結果・各クラストップ

【ST-X】No.23 TKRI松永建設AMG GT3 572L
【ST-Z】No.25 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4 545L
【ST-TCR】No.19 BRP★NUTEC 制動屋 CUPRA TCR 524L
【ST-Q】No.28 TGRR GR86 Future FR concept 523L
【ST-1】No.47 D’station Porsche 992 548L
【ST-2】No.72 OHLINS CIVIC NATS 523L
【ST-3】No.39 エアバスター WINMAX RC350 TWS 520L
【ST-4】No.884 シェイドレーシング GR86 510L
【ST-5F】No.821 アンドリーガル Moty’s FIT 477L
【ST-5R】No.88 村上モータースMAZDAロードスター 480L





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