SGTxDTM特別交流戦、レース2はカーティケヤンが勝利!
レース2を迎えた「AUTOBACS 45th Anniversary presents SUPER GT X DTM 特別交流戦」。11月24日、ドライコンディションでの決戦となったレース2では、SUPER GT参戦組であるNo.64 Modulo Epson NSX-GTのナレイン・カーティケヤンが予選3番手からそつのない走りでトップを奪取。荒れに荒れた激走バトルを制し、特別戦ながらチームに今シーズン初勝利をもたらす大金星をあげている。
雨続きだった富士の上空に、久々の日差しが訪れたイベント最終日。サポートレース中は太陽が照りつけ、軽く汗ばむほどの陽気に恵まれた。一方、午前中のレース2予選では、路面は依然としてウェットコンディション。不安定な路面の中、ハンコックのコントロールを味方につけてトップタイムをマークしたのは、No.16 MOTUL MUGEN NSX-GTの中嶋大祐だった。一方、DTM勢トップタイムは前日のレース1に続き、No.28 BMC Airfilter Audi RS5 DTMのロイック・デュバルがマーク。レース1では自身のミスでグリッドにつけず、レースをふいにしているだけに、レース2での挽回に大きな期待が集まることとなった。
急激に日が陰り、風が強まる中で迎えたレース2決勝。グリッド上のポールポジションにつけたのは、28号車のデュバル。実のところ、16号車は2日前の公式練習中にマシンを大破、車両交換をしてレースに出走しているため、5グリッド降格のペナルティを受けていたため。トップスタートのデュバルはクリアスタートを切って周回を重ねていくが、2番手スタートとなったカーティケヤンもこれにしっかりと喰らいついていく。一方、6番手スタートから意地を見せた中嶋大祐もジャンプアップのパフォーマンスを披露。3番手から前の2台を追い立てた。
快走を見せていたデュバルにアクシデントが発生したのは、7周目、左リアタイヤがパンクし、ピットインを余儀なくされ、ポジションダウン。コースへは復帰したものの、パンクの際、ダメージを受けていたリアカウルの一部がコース上に落下したことから、セーフティカーがコースイン。レースがコントロール下に置かれた。2周でレースが再開すると、コース上では激しいポジション争いを展開。SUPER GTとDTMの両車両があちこちで好バトルを披露する。そんな中、20周目には、今季のDTMチャンピオンであるNo.33 Audi Sport RS5 DTMのレネ・ラストにデュバル同様のタイヤトラブルが発生。21周目には2度目のSCランとなった。
2度目の再スタートでまたも激しくポジションが入れ替わり、またほぼ同じタイミングでルーティンのタイヤ交換にピットへ戻る車両も多く、コース復帰後は、さらにバトルが白熱。中でもSUPER GT勢同士は、リスタート時に同じメーカー同士の車両が激しく接触するなど、日頃のレースではまず目にすることのないマルチクラッシュが発生し、大混乱を招くことになった。
これにより、3度目のSCランが導入され、残り5分を切る中でレースが再びコントロールされる。このまま規定時間を迎えてチェッカーを迎えるかに思われたのだが、なんと残り1周でのリスタートが宣言される。ただし、DTMフォーマットでのインディアナポリス式ではなく、1列で隊列を作った状態でのリスタートとなり、超接近戦でのファイナルラップを迎えた。
度重なるSCとリスタートを味方にして、この時点でトップに立っていたのは、カーティケヤン。これに序盤のアクシデントを経て見事なリカバリーを見せて2番手まで浮上したデュバル、3番手にNo.11 BMW M4 DTMのマルコ・ヴィットマンが続き、チェッカー。波乱含みのレースが幕を下ろした。なお、レース後、ファイナルラップ、最終コーナーでのヴィットマンとの攻防戦に対し、デュバルが1秒加算のペナルティを受けたことから、清拭結果としてふたりの順位が入れ替わっている。
特別イベントとして開催された「AUTOBACS 45th Anniversary presents SUPER GT X DTM 特別交流戦」。今回の2レースは、日本そしてドイツで繰り広げられているGTカーの激しいバトルが、また異なる形で繰り広げられることとなり、その様子を堪能したレースファンにとっては、醍醐味たっぷりのイベントだったといえる。
一方、SUPER GTは2020年シーズンからついに「クラス1」規定に基づいた新型車両がお目見え。期間中のサーキットにはカーボンモノコックのままではあるが、ニューマシンが展示されていた。新たな”モンスターマシン”によるSUPER GTからも目が離せない。
■SUPER GT X DTM 特別交流戦レース2決勝結果(TOP6)
1.No.64(SGT) Modulo Epson NSX-GT(N.カーティケヤン)31Laps
2.No.11(DTM) BMW M4 DTM(M.ヴィットマン)+0.935
3.No.28(DTM) BMC Airfilter Audi RS5 DTM(L.デュバル)+1.825
4.No.1 (SGT)RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴)+3.412
5.No.00(DTM)BMW M4 DTM(小林可夢偉)+3.743
6.No.16(SGT)MOTUL MUGEN NSX-GT(中嶋大祐)+4.356
SGTxDTM特別交流戦、初日レースはキャシディが制す!
ようやく現実のものとなった、SUPER GTとドイツツーリングカー選手権(DTM)とのコラボレーションレース。11月22〜24日、静岡・富士スピードウェイにおいて「AUTOBACS 45th Anniversary presents SUPER GT X DTM 特別交流戦」として開催される。23日には、レース1の予選および決勝が行われ、SUPER GT参戦組のNo.37 KeePer TOM’S LC500を駆るニック・キャシディがポール・トゥ・ウィンを達成した。
10月上旬にはDTM最終戦が行われたドイツ・ホッケンハイムへ3台のSUPER GT車両が渡欧してゲスト参戦。デモランではなく本番レースに仲間入りしての出走ではあったが、初めて装着するハンコックタイヤは内圧はじめ使用制限が厳しく、また、クルマ自体も国内サーキットでの車高とは異なるセッティングを用いるなど、何もかもが”イレギュラー”な状態を強いられたと言っても過言ではない。結果、DTM勢の後塵を拝することとなり、今回の富士では是が非でもそのリベンジを果たしたいという思いが大きかったようだ。一方、DTM組は、日本に馴染みあるブノワ・トレルイエや、元F1ドライバーでありCARTでのチャンピオン経験もあるアレッサンドロ・ザナルディもスポット参戦するなど、話題を集めていた。
レース1の予選を迎えるまでに、SUPER GT勢には4度のタイヤテスト、DTM勢と2度の混走テスト、そして同じく混走での公式練習が2度と2日間でたくさんの走行機会が与えられたが、初日を除き雨の中での走行が続き、クルマのセットアップを進めるのも決して容易ではなかった。だが、予選を迎える頃にはSUPER GT勢も総力を上げてDTM勢にじわりじわりと詰め寄り、白霧がうっすらと広がる中でのレース1予選で、ついに本領を発揮。滑りやすい不安定な路面コンディションを十分把握した上でアタックに入り、キャシディが1分41秒827のトップタイムをマーク。DTM勢トップは日本でのレース経験が豊富なNo.28 BMC Airfilter Audi RS5 DTMのロイック・デュバルとなった。
SUPER GTとは異なり、1日で予選と決勝レースを行うDTM。今回の特別交流戦でも同等のフォーマットが採られ、午後2時半すぎには早速にレース1決勝を迎えた。ドライバー交代はないものの、1度のタイヤ交換が義務付けられている。レースは55分プラス1周のスタイルで行われた。フロントロウにSUPER GTとDTMが両雄が並び、SUPER GTで言うところのウォームアップ走行、DTMでのレコノサンスラップが行われたが、ここでまさかのアクシデントが発生。フロントロウにつけるデュバルがダンロップコーナー進入でコントロールを失ってコースアウト、クラッシュするという事態となる。デュバルの車両は左フロントを激しく損傷。決勝への出走を断念せざるを得ない事態となってしまった。
デュバルの出走見送りで俄然有利になったのは、キャシディ。クリアスタートを決めるとすぐさま後続との差を広げ、レースを牽引していく。一方、その後方では団子状態での走行を避けようと早めのピットインでタイヤ交換を行うクルマや、乾き始めたダンプコンディションを得意とするドライバーが攻めの走りを遺憾なく発揮。バンパー・トゥ・バンパーの激しいバトルが要所要所で見られた。
そんな中、No.12 カルソニックIMPUL GT-Rの佐々木大樹がメインストレートで失速、エンジンの不調によりピットロード出口付近で止めてしまう。これを受け、コースにはセーフティカーが導入。車両回収のため、およそ2周費やすことになった。レース再会となったのは、33周目から。残り時間としてはわずか1分30秒だったが、DTM方式に沿って車両同士の間隔がほとんどない状態で隊列を作る”インディアナポリス式”のスタイルでリスタートした。
後方車両がせめぎ合う中でもトップをキープしたキャシディ。まさに万全のレース運びを見せ続け、トップでチェッカー。リスタートでのバトルで激しいポジション争いを繰り広げ、接触など荒れた展開になったのとは対照的なクリーンスタートを見せ、特別交流戦初レースでの覇者となっている。2位に続いたのはダンプコンディションを得意とするNo.17 KEIHIN NSX-GTの塚越広大。これにNo. 1 RAYBRIG NSX-GTの山本尚貴が続き、SUPER GT勢が表彰台を独占する形でレース1が終了した。なお、DTM勢トップは、予選16番手スタートだったNo.21 Audi Sport Japan RS5 DTMのブノワ・トレルイエ。久々の日本でのレース、初のDTMレースながら変動の展開で粘りある走りを見せるという、ベテランの意地を見せつける結果を残している。
■SUPER GT X DTM 特別交流戦レース1決勝結果(TOP6)
1.No.37(SGT)KeePer TOM’S LC500(N.キャシディ)35Laps
2.No.17(SGT)KEIHIN NSX-GT(塚越広大)+0.433
3.No.1 (SGT)RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴)+5.862
4.No.6(SGT)WAKO’S 4CR LC500(山下健太)+6.974
5.No.19(SGT)WedsSport ADVAN LC500(坪井翔)+9.966
6.No.21(DTM)Audi Sport Japan RS5 DTM(B.トレルイエ)+11.242
SUPER GTxDTM交流戦 プレビュー
夢のマッチ、ついに実現!ドリームレースが富士で開催
日本のモータースポーツで人気を誇るSUPER GT、そしてドイツで絶大な集客を集めるDTM。その両カテゴリーのクルマが同じ土俵で一戦を交えるレースがついに実現する。11月22、23、24日、静岡・富士スピードウェイにおいて開催される「AUTOBACS 45th Anniversary presents SUPER GT x DTM 特別交流戦」は、史上初のイベントとして多くの注目が集まる。
・日独ツーリングカーレース、ここに集結
SUPER GTとDTMとの主催者において、もう何年もの間、多くの協議を重ね、ともに同じサーキットでレースを開催する話を進めてきたのは、もはやモータースポーツファンにとって多く知るところ。しかし、日本は日本の、そしてドイツはドイツにおけるそれぞれの”諸事情”もあり、互いに歩み寄るまでには高くて困難なハードルをいくつも越えていく必要があった。そんな中でも互いに粘り強く交渉を重ね、国を超えて、またメーカーを越えて、グローバルなモータスポーツファンのために夢の一戦、”ドリームレース”を実現しようとついにここまでこぎつけることとなった。
まずはそれぞれのレースで適用されているテクニカルレギュレーションを統一に着手。この中から、まずDTM側が今シーズンから610馬力を超える4気筒ターボエンジンを搭載した「クラス1」と呼ばれるレーシングカーを用意。SUPER GTでも来シーズン、ついにこの「クラス1」のレギュレーションを踏襲したクルマがGT500クラスに投入される。すでに各メーカーがこのクラス1車両のテストを開始。先日、富士スピードウェイで実走行している。
ドイツ、そして日本で本格的なクラス1でのレース活動を控え、このたび開催される”ドリームレース”では、たしかに両レースにおいて一部レギュレーションこそ違えど、各車が繰り広げるバトルは、近い将来に向けての”プロローグ”として最高の舞台にふさわしいと言えるだろう。
・ドリームレースでのルールは?
富士に集結するGT500クラスの車両は、現在SUPER GTに参戦する全15台。かたや、DTM参戦車両は7台が出走し、内訳はAudi RS 5 DTMが4台、BMW M4 DTMが3台となる。4台のアウディのうち、ゼッケン33の1台を駆るレネ・ラストは今シーズンのDTMチャンピオン。また、同じくアウディからはブノワ・トレルイエ(2008年GT500チャンピオン)やロイック・デュバル(2010年GT500チャンピオン)といった”日本育ち”のドライバーも参戦。DTMカーを熟知し、かつ富士スピードウェイを走り込んだ彼らがどのようなパフォーマンスを披露するのかも見どころのひとつになるだろう。
さらなるサプライズといえば、DTMマシン(BMW M4 DTM)をSGT参戦経験がある日本人選手がドライブすることだろう。出走するのは、もとF1ドライバーであり、現在、WEC(世界耐久選手権)やスーパーフォーミュラで活躍する小林可夢偉。DTMでの参戦は初めてながら、様々なカテゴリーレースで手腕を振るう可夢偉ならではの活躍も話題を集めそうだ。
一方のSGT勢。日本が戦いの舞台となることで俄然有利なポジションに立っている、と考えるのは間違いだ。というのも、レギュレーションがSGT寄りではなく、DTMに沿った形で進められるからだ。レースフォーマットは2選手による耐久ではなく、1選手でのスプリントレースとなり、土曜、日曜の各日でそれぞれ予選と決勝レースを行う。決勝lは55分+1周というスタイルで、レース中にはタイヤ交換を伴うピットインが義務付けられるものの、給油作業はない。これだけでも普段のSGTとは異なることがおわかりいただけるかと思う。
さらに、未知数なものとしてエンジニアやドライバーが戦々恐々としているのが、装着タイヤだと言える。SGTではチームごとにタイヤメーカーを選んで装着しているが、DTMはハンコックタイヤのワンメイク。実のところ、10月上旬には、レクサス、ホンダ、日産から各1台ずつがDTM最終戦のホッケンハイムでゲストカーとしてのレースを体験。季節外れの寒さの中、装着したハンコックタイヤに大苦戦したという情報が伝わっているだけに、今回の富士も普段のSGTレースのような”勝手知ったる”展開に持ち込むのは、そう容易なことではないかもしれない。ただ、レースファンにとっては、予測不可能な展開だからこその醍醐味を存分に堪能することができるだろう。初物づくしの特別交流戦。SGTとDTMのコラボレースを見逃す手はないはずだ。
■主なタイムスケジュール
・11月22日(金)
08:15 – 09:00 SGT : タイヤテスト3(GT500のみ)
10:05 – 10:50 SGT/DTM : 公式練習1
11:55 – 12:40 SGT : タイヤテスト4(GT500のみ)
13:45 – 14:15 SGT/DTM : 公式練習2
14:25 – 15:00 SGT/DTM : クオリファイシュミレーション
・11月23日(土)
07:00 – 07:40 オープンピット
09:25 – 09:45 SGT/DTM : 公式予選1
10:00 – 10:40 ピットウォーク
10:20 – 10:55 サーキットエクスペリエンス
13:10 – 13:30 SGT/DTM : 選手紹介
14:26 - SGT/DTM : Race1 (55分間 + 1Lap)
・11月24日(日)
09:00 – 09:20 SGT/DTM : 公式予選2
09:30 – 09:50 サーキットサファリ
10:10 – 10:50 ピットウォーク
12:55 – 13:10 SGT/DTM : 選手紹介
14:33 – SGT/DTM : Race2 (55分間 + 1Lap)