スーパーフォーミュラー2018 Round.2
スーパーフォーミュラ第2戦、天候不良により中止に
5月13日、大分・オートポリスにおいて開催予定だった全日本スーパーフォーミュラ第2戦の決勝レースは、降り続く雨と濃霧による視界不良の状態が続き、中止となった。
前日までの穏やかなレース日和から一転、決勝日の朝を迎えたサーキット近郊は雨が降るだけでなく、サーキットへと向かう山道は霧が立ち込める。午前9時50分から予定していたフリー走行は、一旦10時35分開始へと延期されたが、雨脚が強くなり、最終的にはフリー走行そのものが中止された。
その後、11時10分からのピットウォークを迎える頃になるとすっかり天候が回復。強い風によって瞬く間に霧が去り、時折日が照るほどの変わりようだった。また、フリー走行が中止になったことを受け、スタート前の午後1時20分から40分までの20分間でウォームアップ走行を設けられた。ところがスタート直前にして再び雨が降り始め、ウェットコンディションでの走行に変わってしまった。さらには開始7分、2台の車両が次々にコースアウト。これで赤旗が提示されただけでなく、この中断をもってセッションが打ち切られることになった。
その後、当初の予定より10分遅れとなる午後1時55分にはグリッドへの試走が予定されていたが、この時点でチーム代表者がブリーフィングルームへ召集される事態に。最終的には天候回復が見込めないという判断から、決勝レースの中止が決定。午後2時15分、場内アナウンスを通じてその旨が伝えられた。
大会主催者は来場者に対し、ドライバーによるサイン会が実施されることになったが、コース上への戦いを見ることなく中止という残念な結果となってしまった。なお、続く第3戦は宮城県・スポーツランドSUGOにおいて開催される。
スーパーフォーミュラ第2戦、平川亮が予選1位を獲得
5月12日、大分・オートポリスにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦が開幕し、No.20 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が予選Q3でコースレコード更新となる1分25秒937のタイムをマークし、トップに立っている。
前日に続き、朝早くから青空が広がったオートポリス上空。吹く風はやや冷たいものの、新緑がまぶしい絶好の好天気に恵まれた。まず、午前10時に行われた1時間のフリー走行でトップタイムをマークしたのは、No.37 ジェームス・ロシター(VANTELIN TEAM TOM’S)。これにNo. 3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)、No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)らが続き、午後からのノックアウト予選に弾みを着けた。
迎えたQ1、Q2、Q3の予選は午後3時50分という遅い時間からのスタートとなったが、この時点で気温24度、路面温度38度と午前のセッションよりも高い温度でのアタックが行われることとなった。まずQ1でトップに立ったのがNo.65 伊沢拓也(TCS NAKAJIMA RACING)。なお、このQ1で全19台から14台へと絞られる中、今大会のみの参戦、しかもスーパーフォーミュラ初出場となるNo.15 阪口晴南(TEAM MUGEN)が7番手でQ1を突破する躍進を見せている。
続くQ2で速さをアピールしたのはNo.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)。Q1がミディアムタイヤでのアタックだったのに対し、Q2はソフトタイヤでのアタックとなる中、可夢偉は1分25秒799という最速タイムをマークしてトップを奪取。コースレコードを更新する好タイムとなった。これにNo. 3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)が続いたが、トップふたりの差は0.311秒というものだった。
そして迎えたラストアタック、Q3。与えられた時間は7分だが、出走のチャンスを得た8台は、すぐにアタックを開始せず。ソフトタイヤでのアタックはワンチャンスということもあり、タイミングを見極めてコースインを行った。その中で計測2周目にアタックを合わせてきたのは、Q2トップの可夢偉とNo.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、そして平川の3人。結果として、2周目のアタックラップでレコードタイム更新してトップに浮上。これに続いたのはNo. 5 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)そしてチームメイトのNo. 6 松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だった。
なお、自身初となるQ3トップタイムをマークした平川だが、開幕戦鈴鹿でのアクシデントに対し、3グリッド降格のペナルティを科せられることが事前に決まっていたことから、決勝は4番手からのスタートに。結果、変わって野尻がポールポジションスタートとなり、僚友の松下もまたフロントロースタートのチャンスを得た。そしてセカンドローはキャシディと平川のふたり。SUPER GTではコンビを組むふたりがセカンドローからともに初優勝を狙う戦いを見せる。
■第2戦オートポリス 予選結果(TOP6)
1.No.20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1’25.937
2.No. 5 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’26.038
3.No. 6 松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’26.226
4.No. 3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)1’26.296
5.No.65 伊沢拓也(TCS NAKAJIMA RACING)1’26.590
6.No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)1’26.625
SUPER FORMULA第2戦オートポリス プレビュー
2スペックタイヤがもたらす戦略に注目
5月12、13日の両日、大分・オートポリスにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦「AUTOPOLIS SUPER 2&4 RACE 2018」が開催される。今大会も開幕戦鈴鹿同様、MFJ 全日本ロードレース選手権シリーズとの同時開催イベントとなり、2輪、4輪問わず、多くのモータースポーツファンが訪れることになるだろう。
■ライバルの動きをいかに推測するか
新しいシーズンを迎えたスーパーフォーミュラ。開幕の鈴鹿では、全戦2スペックタイヤ制という新しいレギュレーション下で戦いが繰り広げられ、ときに手探りの状態ではあるもの、さまざまなドラマが生まれることになった。未知数であるからこそ、そこから臨場感あふれる攻防戦が多く見られたことは、レースファンにとってなによりの喜びでもあったに違いない。
たとえ、タイヤ特性を検討する存分なデータが得られずとも、これまで戦ってきたSF14におけるデータと言う名の”引き出し”を活用し、各チームはさまざまな戦略をもってドライバーの力を発揮できるよう、準備を進めてきた。ライバル達が1度のピットインで済ませるところ、小刻みに2度ピットインを行ったチームもあれば、燃費走行を駆使してライバル達とピットインのタイミングをズラし、空いたコース上でタイムを稼ぐことを意識したチーム……など、ひと筋縄ではないレース展開になったのは、裏を返すとまだ”必勝パターン”が見つかっていないということなのかもしれない。だが、与えられた状況の中でいかにライバルを欺くか、が戦いにおけるセオリーのひとつだとすれば、これもアリ。始まったばかりのシーズンで一歩、いや半歩でもライバルの前に出ることがいかに大事か、身をもって知っているからこそ、の手法だと思われる。
■初夏のオートポリスは未知数だらけ!?
シーズン2戦目の舞台となるオートポリスだが、これまでシーズン後半での開催が多く、初夏での戦いとなれば戦う準備を行なうチームにとって不確定要素が増えることになる。さらに加えて先述のとおり、今シーズンから導入された2スペック制タイヤをいかに使うか、も課題のひとつ。そして鈴鹿や富士のようにオフシーズン中の公式テストは実施されておらず、サーキット特性もほかと比べて特筆すべき部分が多いと言われている。
なにしろサーキットの立地からして他と異なる。大分県と熊本県の県境近く、標高の高い阿蘇山麓の山間にあるレーシングコースは、地形を活かした高低差が最大52mもある。いわゆる”アップダウンが激しい”レイアウトであり、タイヤへの負荷が高いテクニカルコースとして知られる。また、ストレート長も約900mに及ぶ。一方でドライバーからのインプレッションは概ね好評。外国人のドライバーにも人気が高い。
そんな特徴あるサーキットでテストもないまま迎える第2戦だけに、まずはタイヤの見極めを行なうことが第一の仕事になるのではないだろうか。金曜日に行われる専有走行からしっかりとシミュレーションを行い、気温、路面温度等コンディションを把握し、それに見合うタイヤ選択をすることが、レース戦略の幅を広げることに役立つはずだ。ちなみに、前回のレースからオートポリスへと持ち越したタイヤはミディアムとソフトが各1セット、というドライバーが多いと聞く。まず、新たにレースでの装着が義務付けられたソフトタイヤのデータ取りが肝心となるはず。というのも、今シーズンのソフトタイヤは、昨シーズンよりもいっそう持ちにくい、つまりタレやすい仕様になっていると言われており、しかも路面コンディションが厳しい状況になれば、秀でたタイヤコントロールには相当高いスキルが必要となるはずだからだ。
チーム力やドライバーの適応力の高さが、いかに予測不可能の展開をモノにしていくのか。その行方から目が離せない戦いになるだろう。
■主なタイムスケジュール
・5月12日(土)
10:00〜11:00 フリー走行
11:15〜12:00 ピットウォーク
15:50〜 公式予選(ノックアウト方式)
15:50〜16:10 Q1(19台→14台)
16:20〜16:27 Q2(14台→ 8台)
16:37〜16:44 Q3
17:10〜17:40 キッズピットウォーク
・5月13日(日)
09:50〜10:30 フリー走行
10:45〜11:30 ピットウォーク
14:10〜 決勝(54Laps)