9月28、29日に三重･鈴鹿サーキットでENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONEの第5戦「SUZUKA S耐」が開催された。決勝日は午前中に突然の雨模様となるも、スタート直前には上がってレースが号砲。総合ポールポジションを初めて獲得したNo.31 DENSO LEXUS RC F GT3（永井宏明／小高一斗／小山美姫／嵯峨宏紀）がレース展開を味方につけて、トップでフィニッシュ。初優勝を果たしている。
 

予選　DENSO LEXUS RC F GT3、今季初ポールを獲得

9月は第1週のもてぎでワンデーレースを実施したS耐。そして最終週には鈴鹿で再び5時間の戦いを繰り広げた。予選日は薄曇りながら、蒸し暑い一日となった鈴鹿。今回の戦いはST-4クラスが”お休み”となり、8クラス計56台がサーキットに集結した。
 

まず、ST-Xクラスには5台が参戦。31号車はこの予選セッションから好走を見せる。Aドライバーがトップタイム、そしてBドライバーが2番手のタイムをマークした結果、合算タイムでクラストップタイムとなり、今シーズン初となるポールポジションを獲得する。
 

続くST-Zクラスには13台がエントリーし、No.52 埼玉 GB GR Supra GT4（山﨑学／吉田広樹／服部尚貴／野中誠太）がトップタイムをマーク、ST-TCRクラスはNo.97 Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC（遠藤光博／中野信治／辻本始温／桝本隆介）が前回のもてぎに続いてのクラスポールに。また、ST-Qクラスは7台の開発車両が出走。No.92 GR Supra Racing Concept（加藤恵三／松井孝允／河野駿佑／山下健太）がクラスダントツのタイムで総合でも7番手につけるパフォーマンスを披露する。
 

ST-1クラスは今回もNo.2 シンティアム アップル KTM（井田太陽／加藤寛規／高橋一穂／吉本大樹）のみの参戦となるなか、アタックタイムは総合6位というものだった。もてぎが”お休み”だったST-2クラス。こちらは8台が参戦し、No.6 新菱オートDXL夢住まい館EVO10（冨桝朋広／菊地靖／大橋正澄）がクラストップにつけた。さらに4台出走のST-3クラスでは、No.38 TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWS（小村明生／石森聖生／庄司雄磨／眞田拓海）がクラストップに立つと、僚友のNo.39 エアバスター WINMAX RC350 TWS（藤田真哉／伊藤鷹志／水野大／冨林勇佑）がこれに続く走りを見せた。さらに、ST-5クラスには、最多の15台がエントリー。そのなかでトップタイムをマークしたのは、No.65 odula TONE 制動屋 ROADSTER（太田達也／外園秋一郎／黒沼聖那／池田拓馬）。鈴鹿ではロードスター勢が好走し、クラス上位5番手までを独占している。
 

予選結果・各クラストップ・A、Bドライバー合算タイム

【ST-X】No.31 DENSO LEXUS RC F GT3　4’07.258
【ST-Z】No.52 埼玉 GB GR Supra GT4　4’24.311
【ST-TCR】No.97 Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC　4’27.527
【ST-Q】No.92 GR Supra Racing Concept　4’23.447
【ST-1】No.2 シンティアム アップル KTM　4’18.495
【ST-2】No.6 新菱オートDXL夢住まい館EVO10　4’35.462
【ST-3】No.38 TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWS　4’34.929
【ST-５】No.65 odula TONE 制動屋 ROADSTER　5’02.651
 

荒れ模様のなか、DENSO LEXUS RC F GT3が好走で今季初ウィン

決勝は、午前11時45分に5時間レースが号砲。午前中、とりわけピットウォーク中には不意打ちのように急な雨に見舞われた鈴鹿だったが、幸運なことにスタート前にはきっちりと雨も上がり、路面こそウエットコンディショではあったが、スタート時からスリックタイヤで挑むチームも見られた。
 

今シーズン初めてのポールポジションからスタートを切った31号車。スタートからスリックタイヤを選択したこともあり、まだ濡れている路面で不安定な動きを見せたが、タイヤが温まってくると後方に差をつけて周回を重ねていく。一方、レースはスタート早々に最終コーナーのピットロード入口でクラッシュ車両が発生。いきなりFCY導入となった。波乱の幕開けとなったが、FCYでペースがコントロールされているなか、次第に路面もドライアップ。より安定したコンディションでの走行が可能となった。
 

逃げの走りを見せるトップの31号車に対し、ライバル勢のうちウェットタイヤでスタートしていた各車は次々にピットイン。スリックタイヤへ置換する。その後はルーティンのピット作業が行なわれるタイミングになったが、それでもなおコース上でのアクシデントやクラッシュによってFCY導入のレース展開が続いた。
 

レースは折り返しを前にして総合のトップ争いにおける攻防戦がヒートアップする。ドライバーが変わったことで”パワーバランス”が変化したためだ。トップ31号車に対し、そのうしろから2台が猛追。一旦、No.1 中升 ROOKIE AMG GT3が総合トップを奪取した。一方、トップ争いに興じていた車両のうち、前回の覇者、No.81 DAISHIN GT-R GT3がクラッシュを喫して後退してしまう。その後、ルーティン後には、また31号車と1号車による激しいトップ争いとなったが、31号車がトップを奪還し、レース後半へと突入した。
 

その後は31号車が安定感ある走りを継続。そのなかで1号車もつねにプッシュし、逆転の好機を伺ったがなかなかそのタイミングには恵まれず。結果、31号車が近強く走りきってトップでチェッカー。念願のシーズン初優勝を果たしている。
 

ST-Zクラスは後続からポジションアップしてきた車両とのクラストップ争いを繰り広げるなか、レース後半になってチャンスをものにしたのがNo.22 EBI GROUP Cayman GT4 RS CS。予選2番手車両との激しいクラス優勝争いを制している。22号車は今シーズン初優勝を達成した。ST-TCRでは、僚友同士が激しい鍔迫り合いを披露。最後の最後まで勝敗の行方がわからなかったが、予選クラス2番手だったNo.98 Racer ホンダカーズ桶川 CIVICに軍配が上がった。一方、ST-Qは、クラスポールの92号車が圧倒的な速さ、安定感に物を言わせて圧勝。総合でも7位に入る健闘を見せた。
 

クラス唯一の出走となるST-1クラスでは、2号車が手堅い走りを見せつけてチェッカー。こちらも総合9位という好成績を残した。ST-2クラスでは、クラスポールの6号車にかわってクラス4番手スタートだったNo.95 SPOON リジカラ CIVIC（山田英二／小出峻／ピストン西沢／三井優介）がクラストップに浮上し、奮闘する。だが、レース終盤にマシントラブルに見舞われ、後退。代わってNo.225 KTMS GR YARISがトップに立つと、そのままチェッカー。シーズン3勝目を果たすことになった。また、僚友同士のクラストップ争いを展開したST-3クラスでは、予選クラス2位だったNo.39 エアバスター WINMAX RC350 TWSが逆転に成功、勝利している。そして、ST−５クラスでは、予選クラストップの65号車が一旦クラストップの座を明け渡すも、粘りの走りが結実。クラスでのポール･トゥ･ウィンを達成した。
 

今シーズンの戦いも残り2戦となるスーパー耐久シリーズ。次の舞台は岡山。10月26、27日に開催される。なお、全クラスが集結するレースとなるが、2組に分けて、それぞれ3時間の戦いを展開する。
 

決勝結果・各クラストップ

【ST-X】No.31 DENSO LEXUS RC F GT3（永井宏明／小高一斗／小山美姫／嵯峨宏紀）127Laps 5H00’36.741
【ST-Z】No.22 EBI GROUP Cayman GT4 RS CS（北園将太／久保凛太郎／山野直也／岩澤優吾）121Laps
【ST-TCR】No.98 Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC（KIZUNA／リ ジョンウ／山本聖渚）117Laps
【ST-Q】No.92 GR Supra Racing Concept（加藤恵三／松井孝允／河野駿佑／山下健太）120Laps
【ST-1】No.2 シンティアム アップル KTM（井田太陽／加藤寛規／高橋一穂／吉本大樹）120Laps
【ST-2】No.225 KTMS GR YARIS（一條拳吾／奥本隼士／小林利徠斗）115Laps
【ST-3】No.39 エアバスター WINMAX RC350 TWS（藤田真哉／伊藤鷹志／水野大／冨林勇佑）116Laps
【ST-５】No.65 odula TONE 制動屋 ROADSTER（太田達也／外園秋一郎／黒沼聖那／池田拓馬）106Laps