スーパー耐久 2021 Round.4
S耐第4戦・オートポリス、優勝は・・・
7月31日に予選、8月1日に5時間にわたる決勝レースが行われたスーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第4戦『TKU スーパー耐久レース in オートポリス』。富士での24時間レース以来、およそ2ヶ月ぶりとなる決戦にはST-Qクラスの水素エンジン搭載車両のNo.32 ORC ROOKIE Corolla H2 conceptが引き続き参戦するなど、話題の多いイベントとなった。
昨年は新型コロナウイルスの拡大により、開催スケジュールが大幅に変更されたことを受け、オートポリスは真冬の12月開催だった。だが、今シーズンの開催は厳しい真夏での一戦に。ところが予選日は気温の上昇も少なく気温25度のコンディションで行われた。午後からの予選では、Aドライバー、Bドライバーの順にタイムアタックが行われ、まずはグループ2のST-Q(No.32)、ST-3、ST-4、ST-5の4クラスがコースへ。その後、グループ1としてST-Z、ST-TCR、ST-2、ST-Q(No.28)がそれぞれ出走。最後のグループとして、ST-X、ST-1の2クラスがアタックに挑んだ。A、Bドライバーの最速タイム合算の結果、総合でポールポジションを手にしたのはST-XクラスのNo.16 PC Okazaki 911 GT3R。永井宏明と上村優太の両者によるポール獲得は、開幕戦もてぎ以来となった。2番手は同クラスNo.290 Floral UEMATSU FG 720S GT3。これに同じく同クラスNo.31 LEXUS RCF GT3が続いた。一方、前回の富士で総合優勝を果たしているNo.81 DAISHIN GT3 GT-Rは6番手となっている。また、富士に続いて2戦目となる32号車は総合37番手で予選を終えた。
予選結果・各クラストップ・A、Bドライバー合算タイム
【ST-X】No.16 PC Okazaki 911 GT3R 3’41.650
【ST-Z】No.311 FABULOUS GRMI GR SUPRAGT4 3’56.846
【ST-Q】No.28 ORC ROOKIE Racing GR SUPRA 3’56.288
【ST-TCR】No.97 Racer Honda カーズ桶川 CIVIC 3’58.289
【ST-1】No. 1 シンティアムアップル 3’54.493
【ST-2】No. 6 新菱オート☆NEOGLOBE☆DXL☆EVO10 4’04.704
【ST-3】No.39 エアバスター Winmax RC350 TWS 4’05.115
【ST-4】No.310 GRGarage水戸インター GR86 4’14.042
【ST-5】No.456 odula Star5 Roadster 4’24.663
・決勝はウェットコンディションでスタート
決勝日は朝から雨模様となったオートポリス。阿蘇の外輪山に構えるこのサーキットでの決戦は、決勝を目前に霧が立ち込める難しいコンディションへと変わり、このためスタートからわずか2周のタイミングでセーフティカー(SC)が導入される。レースは7周目にリスタートを切ったが、その翌周すぐさま2度目のSCに。さらにこのまま走行を続けるのは難しいという判断から、赤旗が提示されてセッションは一旦中断に追い込まれた。幸い、このタイミングを境に天候は徐々に回復。およそ1時間45分後にレースが再開する。
一方、路面が次第に乾いて行く中、各チームとも頭を悩ませたのが、レインタイヤからスリックタイヤへの交換時期。いずれもライバルとの駆け引きを含め、そのタイミングの見極めがレース結果にも影響を与えることとなった。なお、5時間レースのうち、1時間45分ほどのレース中断が発生したことを受け、今大会ではクラスによって定められているドライバーの乗車時間制限やドライバー交代を伴う3回の義務ピットという競技規則などが解除された。結果、条件によってはジェントルマンドライバーを起用せず、プロドライバーだけの編成で戦うチームも現れた。
レース再開後は路面が次第に乾き始めており、このタイミングでNo.777 D’station Vantage GT3とNo.81 DAISHIN GT3 GT-Rの2台がスリックへと交換。機転を利かしたレース運びを見せて着実にポジションアップを果たした。ようやくレースモードへと戻ったのは残り時間3時間強のタイミング。また、この頃にスリックタイヤへと交換し始めるクルマが続出する。各車がルーティンの作業を終える中、ひと足先にスリックタイヤに交換を済ませて周回を続けていた81号車が見事にトップを奪取。また777号車がこれに続いた。
この先、トップ争いは81号車と777号車による応戦が続いたが、互いに異なるピット戦略で徐々に差が開き始め、81号車がトップを死守する。加えて、ライバルよりもピット回数を減らしてタイムを稼ぐ作戦を採ったNo.290 Floral UEMATSU FG 720S GT3がポジションを上げて777号車を逆転。この3台がトップ3としてチェッカーを受けた。ところがレース後の再車検においてトップチェッカーの81号車は、ウエイトハンデ不足という車両規定違反のペナルティが課せられ、まさかの失格という裁定が下される。コレを不服とするチームからは抗議が提出されたものの、最終的には抗議が却下されて正式に決定。290号車が今シーズン初優勝を飾ることになった。
早いもので、今シーズンは残すところあと2戦となったスーパー耐久。タイトル争いへの影響も大きくなる第5戦は9月18ー19日、三重・鈴鹿サーキットにて実施される予定だ。
決勝結果・各クラストップ
【ST-X】No.290 Floral UEMATSU FG 720S GT3(浜野彰彦/澤圭太/川端伸太朗)112周
ライバルとは異なるピット戦略を追い風にしてシーズン初優勝。
【ST-Z】No.47 D’station Vantage GT4(星野辰也/織戸学/篠原拓朗/浜健二)107周
【ST-Q】No.28 ORC ROOKIE Racing GR SUPRA(蒲生尚弥/豊田大輔/山下健太/小倉康宏)105周 ※ST-Qクラスは賞典外
【ST-TCR】No.97 Racer Honda カーズ桶川CIVIC(遠藤光博/中野信治/小出峻)105周
【ST-1】No.2 シンティアム アップル KTM(飯田太陽/⾼橋⼀穂/加藤寛規)106周
【ST-2】No.225 KTMS GR YARIS(野中誠太/平良響/翁長美希/一條拳吾組)102周
【ST-3】No.39 エアバスター Winmax RC350 TWS(冨林勇佑/大島和也/石井宏尚組) 104周
【ST-4】No.310 GRGarage水戸インター GR86(坪井翔/細川慎弥/堀尾風允組)101周
【ST-5】No.50 LOVEDRIVE ロードスター(山西康司/篠田義仁/松村浩之組)97周