2017 ル・マン24時間耐久 - イベント・レースレポート

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2017 ル・マン24時間耐久

2017年6月19日 更新

ル・マン24時間、波乱の展開を制したのはポルシェ!

好天気の中、レースが進んだ今年のル・マン。最上位クラスであるLMP1クラス5台のうち、トヨタの2台がすでに戦列を去り、残るのは、No.1 ポルシェ919ハイブリッド(N.ジャニ/A.ロッテラー/N.タンディ)、No.2 ポルシェ919ハイブリッド(T.ベルンハルト/E.バンバー/B.ハートレー)の2台とNo.8 トヨタTS050ハイブリッド(S.ブエミ/A.デビッドソン/中嶋一貴)の3台。だが、ともにレース序盤の時点で車両トラブルが発生。2号車は1時間弱、8号車においては2時間弱の作業をピットで行ったことから、この2台は常時トップ争いをしていたのではなく、多数のLMP2クラスが先行して周回を重ねている状況だった。

一方で盤石な走りを続けていたのが1号車ポルシェ。ライバルや僚友が慌ただしい動きを見せる中、粛々とノーミスで着実に周回を重ねた結果、独走体制で優勝へと突き進んでいた。だが、今年のル・マンはこの独走体制を許さず、次なるハプニングを用意。その対象となったのが、トップを走る1号車だった。

午前11時10分、パーマネントのサーキットコースから公道に出てすぐ、テルトルルージュでギアがスタック、3速のままエンジンが止まり、モーターだけで走行する1号車の様子が映像に映し出された。スピードを失った1号車は力なくユノディエールの第1シケインでまず停車。一度は再スタートしたが、今度は第2シケインでまたもストップ。ついにドライバーのロッテラーはドアを開け、車外へ。再度クルマに乗り込むも、マーシャルの手を借りて、エスケープゾーンへとクルマを移動するに留まり、ピットへの帰還はならなかった。



エースカーを失ったポルシェ。残るは手負いの2号車。そしてトヨタは8号車がさらに遅れて周回を続けている。LMP2クラスをかき分けて、ともにポジションアップへのアプローチが始まった。午後2時を前にトップはP2クラスの38号車。じわりじわりと差を詰めた2号車は、インディアナポリスで逆転に成功。ついに総合トップに立った。一方で、9位走行中の8号車は、ファステストラップを更新するなど、意地を見せた。

結果、2号車はこのままトップをキープ。38号車に1周の差を着けて逃げ切りに成功し、ポルシェとしては3連覇を達成した。なお、8号車は9位でチェッカーを受けている。

 




◎ル・マン24時間レース決勝結果(総合トップ3および各クラストップ)

1.No.  2 ポルシェ919ハイブリッド(T.ベルンハルト/E.バンバー/B.ハートレー)367周
2.No.38 オレカ07・ギブソン(H-P.タン/T.ローラン/O.ジャービス)366周
3.No.13 オレカ07・ギブソン(N.ピケJr./D.ハイネマイヤー-ハンソン/M.ベッシェ 364周

LMGTE Pro
No.97 アストンマーチン・バンテージ(D.ターナー/J.アダム/D.セラ)340周

LMGTE Am
No.84 フェラーリ488 GTE(R.スミス/W.スティーブンス/D.バンスール)333周

 

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Text&Photos:Motoko SHIMAMURA




2017年6月18日 更新

ル・マン24時間レース、1号車ポルシェが盤石の走り

ポールポジションスタートから快調な走りを見せていた7号車トヨタ。だが、僚友の9号車ともども12時間を前に戦列を去り、一縷の望みを託されたのは、8号車となった。しかし8号車はひと足先にトラブルが発生しており、幸いレースに復帰したもののトップ争いからは大きく離され、よほどのことがない限り逆転は難しい状況となる。



一方、トップを守る1号車は万全の走り。ライバル不在になったこともあり、さすがにペースは控えめのものにはなったが、基本1スティント13周のペースをきっちり実行。これを20周弱の遅れで2号車が追随、8号車はひとり旅でのクラス3位に甘んじている。

 



◎ル・マン24時間レース途中結果(9時・18時間経過/総合トップ3およびGTE各クラストップ)
1.No.1 ポルシェ919ハイブリッド(N.ジャニ/A.ロッテラー/N.タンディ)282周
2.No.38 オレカ07・ギブソン(H-P.タン/T.ローラン/O.ジャービス)+12周
3.No.13 オレカ07・ギブソン(N.ピケJr./D.ハイネマイヤー-ハンソン/M.ベッシェ)+13周

LMGTE Pro
No.97 アストンマーチン・バンテージ(D.ターナー/J.アダム/D.セラ)250周

LMGTE Am
No.84 フェラーリ488 GTE(R.スミス/W.スティーブンス/D.バンスール)246周

 

 

Text&Photos:Motoko SHIMAMURA



2017年6月18日 更新

ル・マン24時間レース、12時間を過ぎ、1号車ポルシェがトップ奪取

開始6時間を過ぎ、車両トラブル等が出始めたトップクラスのLMP1。それ以前は、1号車ポルシェと8号車トヨタが激しい攻防戦を繰り広げ、1号車のロッテラーと8号車中嶋が国内フォーミュラレースさながらのバトルを見せ、盛り上げた。結果、8号車は1号車を逆転し、2位へ浮上。トップ7号車に次いで周回を重ねていた。



だが、午後11時を前に、8号車はトラブルを発症。緊急ピットインを行い、ポルシェ同様のフロントモーターのトラブルが出て修復を開始。だがその作業時間は2時間を超えてしまう。また、1号車ポルシェはピットイン時にスピン。結果、フロントノーズを交換するなどの追加作業を強いられた。



結果、トップの1号車ポルシェに続いたのは、僚友2号車のポルシェ。8号車はトップ2台の後ろに着けた。一方、9号車、7号車はともにトラブルに見舞われ、スローダウン。何回も止まりながら、なんとかピットへの生還を目指したが、万事休す。リタイヤに追い込まれている。

 



◎ル・マン24時間レース途中結果(3時・12時間経過/総合トップ3および各クラストップ)
1.No.1 ポルシェ919ハイブリッド(N.ジャニ/A.ロッテラー/N.タンディ)188周
2.No.2 ポルシェ919ハイブリッド(T.ベルンハルト/E.バンバー/B.ハートレー)+18周
3.No.8 トヨタTS050ハイブリッド(S.ブエミ/A.デビッドソン/中嶋一貴)

LMP2
No.31 オレカ07・ギブソン(N.プロスト/J.キャナル/B.セナ)179周

LMGTE Pro
No.95 アストンマーチン・バンテージ(D.ターナー/J.アダム/D.セラ)166周

LMGTE Am
No.84 フェラーリ488 GTE(R.スミス/W.スティーブンス/D.バンスール)164周

 

 

Text&Photos:Motoko SHIMAMURA



2017年6月18日 更新

ル・マン24時間レース、6時間を経過し、7号車トヨタがトップをキープ

6月17日、フランス現地時間午後3時にスタートを切った第85回ル・マン24時間耐久レース。初夏の強い陽射しが照りつける中、60台の車両が勢揃いする中、まずはポールポジションからスタートを切った7号車ポルシェが安定した速さを武器にトップをキープしている。

 

長く厳しい戦いを前に、グリッド上でスタートを待つ勇者のもとに、トヨタ自動車社長の豊田章男氏が姿を見せ、チームドライバーやスタッフを激励。またポルシェAGのヴォルフガング・ポルシェ会長らともエールの交換を行った。

 

スタート直後から激しい応戦を見せるトップクラスだが、ポールポジションスタートの7号車トヨタの速さは、決勝に入っても変わらず。気温が29度近くとなり、各車はライバルだけでなく厳しい暑さとの戦いに。

 

逃げる7号車を追うのは、僚友の8号車、そして1号車ポルシェ。中でも1号車はペースアップし、開始3時間後には8号車を逆転して2位へとポジションアップする。だがその一方で、僚友の2号車が緊急ピットイン。モーター関係のトラブルが発生。ガレージ内での修復に1時間強時間を要し、早くも戦列離脱となる。

 

その後、6時間を迎えるまで、上位陣は淡々と周回を重ね、12周あるいは13周のペースでルーティンのピットインを行っている。6時間経過後の総合トップ3、および各クラストップは以下のとおり。

 

 

◎ル・マン24時間レース途中結果(21時・6時間経過/総合トップ3および各クラストップ)
1.No.7 トヨタTS050ハイブリッド(M.コンウェイ/小林可夢偉/S.サラザン)96周
2.No.1 ポルシェ919ハイブリッド(N.ジャニ/A.ロッテラー/N.タンディ)+27.745
3.No.8 トヨタTS050ハイブリッド(S.ブエミ/A.デビッドソン/中嶋一貴)+31.537

LMP2
No.31 オレカ07・ギブソン(N.プロスト/J.キャナル/B.セナ)91周

LMGTE Pro
No.97 アストンマーチン・バンテージ(D.ターナー/J.アダム/D.セラ)84周

LMGTE Am
No.98 アストンマーチン・バンテージ(P.ダラ-ラナ/P.ラミー/M.ラウダ)83周

 

 

 

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Text&Photos:Motoko SHIMAMURA



2017年6月17日 更新

ル・マン24時間、サーキットの中も賑わってます!

フランス、ル・マンのサルト・サーキットでは、伝統ある耐久レースならではのブースもたくさん。定番のスーベニアショップはもちろん、レーシングカーのペインティングや展示ブースなど、その中身もさまざま。ほんのわずかではあるが、ご紹介するとしよう。

 

・半分ホンモノ、半分レゴ!?
ポルシェ919ハイブリッドの展示がある! と思って車両に近づくと、なんかヘン!? それもそのはず、その半分がレゴブロックで組み立てられているではないですか!「レゴ・ショーカー」。120列あって使ったブロックは255個。当重量450kg。製作時間はなんと1ヶ月半だそうです。
 
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・こちらは、ホンモノ
一方、こちらはホンモノのポルシェ911RSR。今年、GTE Proクラスに新車を投入しています。去年、シリーズ戦参戦を見送り、新車の開発、セットアップに心血を注いできたポルシェ。2台参戦のうち、日本でのSUPER GT参戦経験者でもあるF.マコビッキィも出場しています。
 
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・GAZOO Racingブースで体験できるもの
日本のSUPER GTでも見かけますが、GAZOO Racingがブースを出していました。中ではタイヤ交換選手権や、乗車しての写真撮影など、観客のみなさんに好評でしたよ。
 
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・ヨーロッパならでは!?

毎年、目にするペインティングのお店。手紙サイズの小さなものから壁がけ用の大きな作品までたくさんありました。値段もそれぞれ。いいお土産になるのは、間違いありません。
 
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・ゴージャスな1品もあります
ロレックスのブティックはル・マンならでの光景のひとつ。ゴージャス感たっぷりです。いったい、レースウィークで、どれほどの時計が売れるのでしょうね。
 
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PHOTO&TEXT : MOTOKO SHIMA

 



2017年6月16日 更新

予選2回目、可夢偉が驚異のファステストラップをマーク! 結果、トヨタがフロントロー独占に成功

6月15日、フランス、ル・マンのサルト・サーキットにおいて、ル・マン24時間耐久レースの予選2回目および3回目が行われ、No.7 トヨタTS050ハイブリッドの小林可夢偉がコースレコードを更新。文句なしのトップにつけ、自身初となるポールポジションを手にしている。また、僚友8号車が予選3回目にポジションアップ。結果、7、8号車がフロントロー獲得に成功した。
 
 
予選2日目を迎えたル・マン。前日に続き、強い陽射しが出ていたが、この日は爽やかな風が吹き、アタックにはより条件が整ったように思われた。しかし、予選2回目のセッションは、開始20分で車両クラッシュによる赤旗中断に。結果、再開まで時間を要し、セッションが30分延長された。
 
 
慌ただしい展開となる中、逆にこの状況を味方に着けたのが7号車。コースクリアの中、真っ先にコースへと向かった可夢偉。トラフィックがほとんどない中で刻んだタイムは1分14秒791という驚くべきもの。2015年にポルシェでニール・ジャニがマークしたコースレコードをも更新する躍進ぶりだった。一方、8号車はエンジン関係にトラブルが発生。アタックを見送ってエンジン置換の作業に入ることとなり、7号車とは明暗が分かれた。
 
 
ポルシェ勢は、可夢偉のファステストラップマーク後に、各自チームベストタイム更新に成功。だが、トップには及ばず2、3番手に留まり、9号車トヨタが4番手とポジションこそ変わらないが、ル・マンデビューを迎えた国本雄資がチームベストタイム更新を果たす活躍を見せた。
 
 
迎えた予選3回目。いよいよラストアタックとなる。午後10時からのセッションスタートの中、マシン修復を済ませた8号車には一貴が乗り込み、アタックを開始する。トラフィックの中、一貴は3分17秒128をマーク。チームベスト更新を果たし、総合順位においても2位へ浮上。これでトヨタによるフロントロー独占を確実なものとした。
 
 
7号車は可夢偉が文句なしのタイムをマークしたこともあり、ロングランやナイトセッションの確認に留まったが、9号車はまたもチームベスト更新に成功。ポルシェ2台が3、4番手に着けたとはいえ、ル・マンでのトヨタの速さを3台揃ってアピールする結果となった。
 
 
予選総合結果(各クラストップ)

LMP1 No.7 トヨタTS050 ハイブリッド(M.コンウェイ/小林可夢偉/S.サラザン)3分14秒791

LMP2 No.26 オレカ07・ギブソン(R.ルシノフ/P.ティリエ/A.リン)3分25秒352

GTE Pro No.97 アストンマーチン・バンテージ(D.ターナー/J.アダム/D.セラ)3分50秒837

GTE Am No.50 シボレー・コルベットC7.R(F.リース/R.ブランデラ/C.フィリッポ)3分52秒843

 

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PHOTO&TEXT : MOTOKO SHIMAMURA



2017年6月16日 更新

ル・マン24時間、予選1回目トップはトヨタがフロントロー独占

6月14日、第85回ル・マン24時間耐久レースの予選1回目がスタート。小林可夢偉がアタックを担当したNo.7 トヨタTS050ハイブリッドがトップタイムをマークした。
 
 
レースウィークに入り、まずひと足先にフリープラクティスが行われた戦いの舞台、ル・マンのサルト・サーキット。2時間のインターバルを挟み、午後10時から予選1回目が2時間にわたって行われた。ヨーロッパの初夏は夜9時を過ぎてもまた日が高く、明るい状態。午後10時を前に周りは夕焼け空が広がり、独特の雰囲気がサーキットを包み込んだ。
 
 
その中でまずアタックを行ったのが、No.2 ポルシェ919ハイブリッド。そこに中嶋一貴がドライブするNo.8 トヨタが続いた。最初のアタックチャンスということもあり、トラフィックが次第にひどくなるため、まさにワンラップアタックが成功のカギ。その中でトップタイムを更新したのが、7号車の可夢偉。3分18秒793をマークすると、一貴も3分19秒431へとタイムアップ。結果、トヨタがフロントローを独占してセッションを終えている。
 
 
なお、3番手に続いたのは2号車ポルシェ。4番手はトヨタの3台目にあたる9号車という結果に。なお、昨年までアウディをドライブしていたA.ロッテラーが移籍をしたポルシェの1号車は、5番手に留まっている。

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PHOTO&TEXT : MOTOKO SHIMAMURA



2017年6月15日 更新

ル・マン24時間、集合写真撮影終わる

第85回ル・マン24時間耐久レースが行われるサルト・サーキットにおいて、180人の参戦ドライバー(うち、ルーキー44人)が一堂に介し、集合写真の撮影が行われた。

 

・写真撮影までにひと仕事!?
集合写真を前に、ドライバーブリーフィングが行われていたこともあり、予定時刻を大幅に押して撮影が始まった…というにはほど遠く、180人ものドライバーがキチンと集合するには、これまた時間を要することとなり…。並び終えたドライバーはドライバーで、”自撮り”を始めるなど、いつまでたっても埒が明かない状態になってしまった。
 
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・勢揃いすると、今度はおしゃべり!?
ようやく自分の立ち位置が決まり、ぼちぼちと整列が完了したと思ったら…。今度は各々おしゃべりタイム! ドライバーのみなさん、意外と落ち着きないし、おしゃべりがお好きなようです。
 
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・無事終了
さすがドライバー、とでも言おうか、集中力の高さはピカいち! 待ち構えていた大勢のカメラマンが一斉にシャッターを切り始めると、ピッシっとポーズを決めて写真に収まっている様子が実に印象的だった。
 
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・オートグラフセッションを前に
午後5時から6時半までは、オートグラフセッションが行われた。これを前に、各チームのピットでは車両の作業を行う様子が見られた。
 
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・アウディからBMWへ
サーキット内にある表彰台近くで見かけたイベントのマーシャルカー。ずらりと勢揃いし、明日からの走行セッションに備えていた。しかし、なにかこれまでと異なるような…。そう、実は去年までアウディがマーシャルカーとしてスタンバっていたのだが、今年から一新し、BMWがお目見えすることになった。LMP1の参戦がなくなり、マーシャルカーもBMWへ…。ここにも”アウディ・ロス”を感じざるを得ない。
 
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PHOTO&TEXT : MOTOKO SHIMAMURA



2017年6月14日 更新

第85回ル・マン24時間、公開車検終了

6月11、12日、フランスのル・マン市街地において、第85回ル・マン24時間耐久レースの公開車検が行われた。昨年のWEC(世界耐久選手権)をもってシリーズから撤退したアウディがいない中、初日はポルシェチームが、そして2日目には3台体制に強化したトヨタが登場。今年の戦闘マシンをお披露目している。
 
 
・チャンピオンチーム、ポルシェ登場
昨年のチャンピオンチームであるポルシェ。車検場にお目見えするや、あっという間に人だかりが出来上がった。

 

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・チーム移籍のロッテラー、人気を集める
今年、アウディからポルシェへと移籍し、WEC選手権に参戦中のアンドレ・ロッテラー。ル・マンウィナーでもあるだけに、どこにいってもサイン攻めにあっていた。今年は移籍元年での総合優勝を目指す。

 

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・サイン、サイン、サイン!
公開車検後、クルマとドライバー、チームスタッフが集合して行われる写真撮影。その後は周囲で待ち受けたファンから声がかかる度、ドライバーたちは気前よくサインや記念撮影に応じていた。

 

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・ミラーレス? ミラーイン?
LMP1のポルシェ919が準備してきたユニークなもの。それがリヤビューミラー。フロントホイールの上部、アーチに埋め込まれている。さらにカバーが取り付けられているので、「果たしてこれで見えるのか?」と思ってしまうのだが…。

 

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・車検の道も一歩から!?
車検場のゲートをよく見ると、車検内容がきちんと表記されていた。
POST1では、車重・車体・ウィングの測量。POST2では、スキッドブロック・スプリッター・ディフューザー等の確認を行う、となっている。各チームが順次時間指定の下、車検を受けることになっているのだが、たいていスケジュールは”押し”モード。これもル・マンならでは、の見慣れた光景。

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・待望のニューマシン
昨年のル・マンでは新車投入を見送ったポルシェ。ライバルから大きく遅れを取り、後塵を拝したが、ついに新車投入となった。これまでRRがポルシェのスタイルだったが、新車はなんと、ミッドシップ。大型化したリヤディフューザーに合わせ、リヤアスクル前方にエンジンが搭載されることになった。

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・大幅に大きくなりました
車検中のポルシェ911RSR。大幅リヤディフューザーが採用されている。これに合わせ、フロントリップも拡大された。これで空力面の向上が確保できたとしている。

 

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・トヨタ、リベンジなるか
昨年、トップを走る5号車のポルシェが突然スローダウンしたのは、チェッカーのおよそ3分前。まさかの幕引きにル・マンならではの難しさを痛感することとなった。すべてを一新し、新たな戦いに挑む今年。果たして、リベンジなるのか。
 

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・2台体制に2人の日本人
今年、WECにシリーズ参戦中のクリアウォーターレーシング。ル・マンには2台体制で挑むこととなった。チームから2人の日本人ドライバーが出場。澤圭太(写真左2人目)はレギュラードライバーとして、去年ル・マンに初出走。一方、9年ぶり7度目となる加藤寛規(写真右2人目)はその実力を買われ、スポット参戦を果たしている。
 

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・シーズン2年目の貫禄
唯一のLMP2参戦日本人ドライバーである平川亮(写真左)。WECフル参戦2年目の貫禄を感じさせるオーラが。LMP2クラスの参戦マシンが一新され、「ストレートスピードはトップクラスLMP1より優れる」と平川。
 

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・マコちゃん、新車での奮闘を誓う
今シーズンは、新たなポルシェ911RSRでシリーズ参戦中のフレデリック・マコヴィッキィ(写真中央)。以前、日本のSUPER GTにも参戦した経歴を持つ。ニューマシンでのル・マン参戦を心待ちにしていたといい、「ガンバリマス。アリガトゴザイマス」と日本語で答えてくれた。
 

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・トヨタの日本人もガンバります!
去年、悲劇の3分前を味わった中嶋一貴(写真右)。テストデーのあとはロンドン>ギリシャとプライベートタイムを満喫したのだとか。一方、初ル・マン参戦となる国本雄資(写真左)。ナイトセッションを楽しみしていると笑顔で答えてくれた。
 

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・動画で現場の雰囲気を堪能
トヨタからのシリーズ参戦2年目を迎えた小林可夢偉。すっかり場慣れして!? 公開車検時のメディアインタビューでは、自ら動画で情報発信。
 

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・集合写真撮影も一苦労
車検が終わり、次はお楽しみの集合写真。とはいえ、撮影位置、ドライバーの立ち位置を決めるのに、四苦八苦。毎年見慣れた光景とはいえ、この仕事もなかなか大変なのだ。
 

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・これが完成版
ようやくセッティングが決まり、ハイチーズ! となったトヨタ陣営。ドライバーはもちろん、このあと写真に加わるチーム関係者含め、うんと士気が向上するというもの。さぁ、いよいよ24時間の戦いが始まります!
 

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・ドライバーは終日多忙
公開車検時、ドライバーは装備品のチェックが必要。着用するレーシングスーツやヘルメットなどの確認もレース参戦にあたり、大事な仕事のひとつともいえる。一方、撮影後のドライバーはトークショーへ。日本語? いえいえ、英語を巧みに操るのも、ドライバーの仕事なのだ。
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PHOTO&TEXT : MOTOKO SHIMAMURA



2017年6月11日 更新

今年は、トヨタvsポルシェ。トヨタは3台体制で応戦へ

フランスは現在、テニスの全仏オープン(ローランギャロス)が開催中で、世界中からテニスファンがその戦いを見守っているが、それからほどなくして始まるのが、自動車の耐久レースの頂である「ル・マン24時間レース」だ。今年で85回目を迎える伝統の一戦はすでに第一週目の日曜日にはテストデーが実施され、イベントへのカウントダウンが始まっている。モータリゼーションの最新の技術を駆使した車両をもって競うレースは、自動車メーカーの威信をかけた戦いでもある。さて、今年はどんなドラマが待ち受けているのだろう。

 

■シリーズ戦で優位に立つトヨタ
トヨタにとって、2016年の戦いは忘れたくても忘れることができない結果を迎えることとなった。チェッカーまで残り3分。だがしかしトップを走る5号車トヨタがメインストレートを前に、突如スローダウン。かろうじて動き出したクルマは余力を振り絞ってなんとかコースを1周、チェッカーをくぐるも、規定により完走扱いとはならず。かくも無残ではかない結末で幕を閉じた。そのとき、ステアリングを握っていた中嶋一貴は、「ル・マンでの悔しさはル・マンでしか返せない」と行きどころのない気持ちを言葉に変えた。もちろん、その思いは中嶋だけに限らない。あのとき、同じピットで戦ったトヨタの関係者全員がそう心に思ったはずだ。

 

今年の戦いに向け、チームは全面改良型のTS050ハイブリッドをリリースした。今年3月末に公開された車両は、ハイブリッド・システムに留まらず、昨年型から大幅に改良。クルマの名称こそ同じではあるものの、その中身は大きく刷新された。話によれば、昨年型から引き続き使用されているのは、モノコック程度なのだとか。2.4リットル・V6直噴ツインターボも新たに新設計され、またWECの新規定に則ったエアロダイナミクスを新たに纏った「新TS050ハイブリッド」となった。シーズンを前に多くのテストをこなし、4月上旬イタリア・モンツァで実施されたプロローグでも、ライバルであるポルシェを差し置いてトップタイムを奪ってみせた。着々と進んだ車両開発が奏功し、シーズンイン後は、第1戦イギリスのシルバーストン、第2戦ベルギーのスパ・フランコルシャンで連勝を達成。第3戦となるル・マンでの戦いを前に、あと一歩まで迫ったル・マン制覇の悲願達成。そしてリベンジに向け、これほどよくできたシナリオは見当たらない、というくらいだ。

 

さらにル・マンの戦いに向け、トヨタは大きな英断を下した。それが3台体制での参戦だ。2014年、そして昨年、優勝の可能性が高い位置を走りながら、トラブルやアクシデントにより、勝利の女神からそっぽを向かれた。突発的に起こりうるトラブルへのリスクを軽減させるため、そしてより勝利の確率を高めるための決断ともいえる。その組み合わせだが、7号車をドライブするのは、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ステファン・サラザン。8号車はセバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビッドソン/中嶋一貴というおなじみのトリオ。そして第2戦とル・マン参戦となる9号車は、ホセ・マリア・ロペス国本雄資/ニコラス・ラピエールがドライブする。なお、国本は今年初のル・マン参戦であり、ヨーロッパでのレース出場も初めて。だが、シーズンオフのオーディションからテスト、そして実戦でも実にスムーズな仕事ぶりを見せ、チームスタッフからの信頼も高いと概ね好評の模様だ。7、8号車はル・マンはもとより、WECのシリーズ戦にエントリー。8号車が2連勝を果たし、すでに速さ、強さを引き出すパフォーマンスは実証済み。24時間の戦いでは、トラブルやミス、外的要因によるアクシデントを確実に避けることができたなら、チームが望む高みに手が届くはずだ。

 

先に行われたル・マンでのテストデーでは、3台がタイムシートのトップ3を独占。その中でトップタイムを叩き出したのが、小林。マークした3分18病132というタイムは、前年のテストデートップタイムをおよそ5秒も上回った。昨年のWEC最終戦をもって長年善戦してきたアウディが撤退。今年はライバル、ポルシェとの一騎打ちとなる。果たしてトヨタは、ル・マンでの最多勝利を誇る名門チームとの戦いを制し、悲願の勝利を手にすることができるのだろうか。

 

■進化版車両で迎え討つポルシェ
2014年。再びル・マンへと舞い戻ったポルシェ。復活2シーズン目に早くもル・マンで優勝し、シリーズチャンピオンをさらった。そして去年はトヨタとのバチバトルに苦しみながらも、突然訪れた逆転の勝利をきっちりと掴み取った。まさに、ル・マンでの勝利法を熟知しているチームだといえる。

 

ライバル・トヨタが大幅刷新し、「名前だけが同じ新車」をリリースした一方で、ポルシェは改良型の2リッター・V4エンジンを用意。関係者は「これまでの歴史の中でもっとも燃焼効率がいい」と胸を張るが、刷新率としては、60〜70%程度だとしている。また、WECの規定変更により削減したダウンフォースによる影響も課題として残っているようで、正直トヨタに比べると、ル・マンに向けての準備に手間取っている。だが、チーム代表であるアンドレアス・ザイドルが日頃から口にする「正常進化」に変わりはなく、これまでの戦いを通して浮上する問題点を拾い上げ、その原因を洗い出し、そして対処する、という極めてベーシックなアプローチで開発を続けている。クルマの基本構造の見直しを続けることが、彼らにとっての開発であり、それが進化を導いているというわけだ。

 

とはいえ、テストデーでトヨタに後塵を拝したその心境はいかばかりか。ザイドルは「トヨタのペースに対抗できなかった」とコメントしたが、どうやら本格的な予選シミュレーションは行っていないようだ。「レース用セットアップに焦点を置いた」としており、実際、予定していた走行距離も達成していないことを明らかにしている。とはいえ、ル・マンの勝者ゆえのしたたかさを目の当たりにするのは、これから、という見方もある。たとえ予選でポールポジションを手にしようが、そしてチェッカー寸前までトップを走っていようが、一番最初にチェッカーフラッグをくぐらなければ戦いに勝ったと言えない、いわば「レースの掟」を熟知したチームならではのシナリオが、今まさに着々と書き進められているように思えてならない。「気がつけば、ポルシェ」…。そんな驚愕の躍進にも期待ができそうだ。一方で、ドライバーのラインナップには新たな変化が見られる。昨シーズンをもってプロドライバーから一線を引いたマーク・ウェーバーに代わり、アンドレ・ロッテラーが新加入。日本でもおなじみのドライバーだが、アウディでル・マンを制した輝かしいキャリアを持つ逸材。彼の加入がチームに新たな刺激をもらたしていると言えるだろう。彼とともに1号車をドライブするのは、ニール・ジャニとニック・タンディ。タンディは一昨年、ル・マンを制しており、昨年の覇者であるジャニも含め、3人がすべてル・マン勝者という強者を揃えることになった。そして2号車は、昨年1号車をドライブしたティモ・ベルンハルト、ブレンドン・ハートレーが残留。ここにアール・バンバーがポルシェGTプログラムからステップアップを果たしたが、彼もまた一昨年のル・マン覇者。申し分のない布陣で挑むことになる。

 

アウディの撤退によって、ル・マンのトップクラス、LMP1(ハイブリッド)による争いは合計5台の車両に留まり、ここ数年の華やかさに慣れたレースファンにしてみれば、やや寂しさを感じるかもしれない。だが、2メーカーによる真っ向勝負を目にする絶好のチャンスでもある。より真摯に戦いに挑み、最後に勝利の女神に好かれるのは、果たしてどちらのチーム、そしてどのクルマになるのか。その答は6月18日、午後3時(フランス現地時間・日本時間午後10時)に明らかとなる。

 

 

PHOTO&TEXT : MOTOKO SHIMAMURA








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