2016年 WEC 富士6時間耐久レース - イベント・レースレポート

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2016年10月17日 更新

WEC富士決勝、終盤の大接戦を6号車トヨタが制し、今季初勝利!

10月16日、前日に引き続き、爽やかな秋晴れに恵まれた富士スピードウェイ。午前11時に幕を開けた6時間レースは、終盤に入って大接戦の様相を見せ、文字どおり手に汗握る展開を繰り広げ、決勝を見届けた3万3千人近い観客を興奮の渦に巻き込むこんだ。そんな中、頂点に立ったのは、予選4位からスタートを切ったNo.6 トヨタTS050ハイブリッド(ステファン・サラザン/マイク・コンウェイ/小林可夢偉組)。トヨタチームにとって待ちわびた今季初勝利をホームコースで果たすこととなった。

きれいに雪化粧した富士山の姿はなかったものの、4日間、安定した天候に恵まれた今大会。ポールポジションのNo.8 アウディR18のスタートドライバーはジャービス。オープニングラップから攻めの走りで後続との差を引き離しにかかった。2番手にはNo.1 ポルシェ919ハイブリッドのウェバー。そして3番手は6号車トヨタの小林可夢偉がジャンプアップし、ポジションアップを狙う走りを続けた。

レースはまず、序盤の17周目に7号車アウディが緊急ピットイン。ハイブリッドシステムに支障があるとし、長い時間修復作業に入った。その後、コースに復帰するも、その後、再びピットへとクルマを戻し、2時間を超えた時点でレースをリタイヤ。ブノワ・トレルイエやアンドレ・ロッテラーなど、日本のレースファンになじみあるドライバーがドライブするクルマだっただけに、残念な結果となっている。

レースウィークを通して、気温が一番上昇したこともあってか、ルーティンワークでは燃料補給だけでなく、最初からタイヤ交換作業を行なうチームが多く、作業時間を要することから、これに併せてドライバー交代までも行なうケースがほとんど。結果、その作業時間のチームによる所要時間の差によって、少しずつ各車ギャップが生まれることに。そんな中、トップ8号車のアウディはその作業でミス。その次の作業ではノーミスを意識して慎重になったことで、ライバルよりも余計に作業時間がかかってしまった。耐久レースとはいえ、スプリント並の接戦、しかも、ノーミスが大前提という状況において、8号車のタイムロスはいわば致命傷だった。結果、レースを半分消化した時点で、着実、かつ安定した速さを見せていた6号車が、ついに総合トップへと躍り出る。だが、粘る8号車とその後はコース上でのバトルを繰り広げ、抜きつ抜かれつの丁々発止になった上、さらにその真後ろには1号車ポルシェが忍び寄るという三つ巴の状態に。これでトップ争いの3台がおよそ2秒の中にひしめき合う展開となり、勝負の行方が俄然わからなくなってくる。

レースは残り時間2時間を切り、依然として8号車がトップを死守。2番手に6号車がつけ、5回目のピットインを迎えた時点で可夢偉がスティントを担当。一方、8号車はそれよりも早いタイミングからデュバルがステアリングを握り、ダブルスティントを敢行し、さらにプッシュの走りを見せる。実のところ、8号車はライバル達よりも早めのタイミングでピット作業を繰り返していたことで、終盤、ライバルよりも多い燃料補給を行なう必要があった。つまり、ピットでの作業時間がかかることから、なんとしてもタイムを稼ぎたいところ。しかし、猛追する6号車は、可夢偉が2度目のスティントに入った際、タイヤ無交換の策を取った。「タイヤを換えないのであれば、10秒稼ぐことができる」というチームの判断を遂行、チームとして勝つための強行策を選択することとなった。結果、ピット作業時間を短縮したことが奏功することになる。

対抗する8号車アウディは、最後のピット作業でニュータイヤを投入。ステアリングを握ったデュバルがファステストラップを叩き出す渾身の走りを見せ、周回ごとにタイムを着実に削り取っていく。セミファイナルラップを前にして、2台の差は僅か2秒を切り、まさに一触即発のトップ争いを繰り広げることになったが、「ここで勝たないとどこで勝つのかと思っていた」とレース後に振り返った6号車可夢偉が、見事に凌ぎ切って、チェッカー! トヨタ車として、2014年同シリーズ第7戦バーレーン以来となる勝利にチームピットが沸き立った。なお、今シーズンでレースからのリタイヤを表明していたウェバーがラストランを担当した1号車。ニュータイヤ投入で、2位浮上を狙ったが、終盤に空力面でのトラブルを抱えることになり、惜しくも逆転ならず。3位でチェッカーを受けている。

 

決勝結果(トップ6および各クラストップ)


1.No.6 トヨタTS050ハイブリッド(ステファン・サラザン/マイク・コンウェイ/小林可夢偉組)6:00’37.284  244L
2.No.8 アウディR18(ルーカス・ディ・グラッシ/ロイック・デュバル/オリバー・ジャービス組)+1.439
3.No.1 ポルシェ919ハイブリッド(ティモ・ベルンハルト/マーク・ウェバー/ブレンドン・ハータレー組)+17.339
4.No.5 トヨタTS050ハイブリッド(アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴組)+53.779
5.No.2 ポルシェ919ハイブリッド(ロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ組)1Lap
6.No.13 リベリオンR one AER(マテオ・タッシャー/アレキサンドレ・インペラトーリ/ドミニク・クライハマー)


LMP2
1.No.26 オレカ05ニッサン(ルシノフ/ブランディール/スティーブンス組)223L

GTE PRO
1.No.67 フォードGT(アンディ・プリオール/ハリー・ティンクネル組)212L

GTE AM
1.No.98 アストンマーチンV8バンテージ(ポール・ダラ-ラナ/ペドロ・ラミー/マティアス・ラウダ組)208L

 

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2016年10月15日 更新

WEC富士、白熱の予選を8号車アウディが制す!

10月15日、秋晴れの好天気の下、FIA世界耐久選手権(WEC)第7戦富士の予選が行われ、LMP1およびLMP2のセッションでは、より白熱したアタックで観客が盛り上がることとなった。結果、日本でもおなじみのロイック・デュバルがベストタイムをマークする活躍で、8号車のポール獲得に貢献している。

今季でWEC、プロドライバーからの引退を表明している1号車ポルシェのウェーバー。まずアタックを担当し、ライバルたちより速いタイミングでベルンハルトへとスイッチした。予選のベストラップとして、各車両2選手のベストタイムのアベレージを採用するWEC。今回の富士では、コンディションが徐々に向上したこともあり、最初にアタックしたドライバーが改めてアタックを行なうチームが続出。中でもいい流れを作ったのが、8号車アウディ、そして6号車トヨタだったといえる。6号車のセカンドアタックを務めた小林可夢偉は、自身のエスとラップタイムが5、6号車2台のベストタイムとなる活躍。チームにおけるホームコースの富士で、2年ぶりの優勝も視野に入れた躍進を見せている。

日曜日の決勝レースは午前11時にスタート。32台の車両が、6時間後の午後5時のチェッカーを目指す。

予選結果(トップ6および各クラストップ)

1.No.8 アウディR18(ルーカス・ディ・グラッシ/ロイック・デュバル/オリバー・ジャービス組)1’23.570
2.No.1 ポルシェ919ハイブリッド(ティモ・ベルンハルト/マーク・ウェバー/ブレンドン・ハートレー組)1’23.595
3.No.5 トヨタTS050ハイブリッド(アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴組)1’23.739
4.No.6 トヨタTS050ハイブリッド(ステファン・サラザン/マイク・コンウェイ/小林可夢偉組)1’23.781
5.No.7 アウディR18(マルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ組)1’23.856
6.No.2 ポルシェ919ハイブリッド(ロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ組)1’24.134

LMP2
1.No.26 オレカ05ニッサン(ルシノフ/ブランディール/スティーブンス組)1’31.698

GTE PRO
1.No.66 フォードGT(ステファン・ミュッケ/オリビエ・プラ組)1′37.681

GTE AM
1.No.98 アストンマーチンV8バンテージ(ポール・ダラ-ラナ/ペドロ・ラミー/マティアス・ラウダ組)1’39.490

 

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2016年10月11日 更新

2016年 WEC 富士6時間耐久レース プレビュー

なるか、ポルシェの富士連覇。そしてトヨタの巻き返しは?

ここのところ台風の不安定な行方によって、落ち着かない天候が続く日本列島。だが、秋の深まりとともに気分がぐっと盛り上がってくるレースイベントが間もなく始まろうとしている。それこそが、世界最強のスポーツカーレース、WEC・世界耐久選手権だ。10月14-16日、静岡・富士スピードウェイにて開催されるのは、シリーズ第7戦。今年は、ル・マン24時間レースで5号車のトヨタが悲願の優勝を目前に、まさかのマシントラブルでリタイヤに追い込まれたという劇的な一幕も見られたが、果たして富士ではどのような戦いを繰り広げるのだろうか。

■ホームサーキットでのトヨタの奮闘に注目

2015年、ディフェンディングチャンピオンとして新たな戦いに挑んだ日本のトヨタ。しかしシーズンが開幕すると、ライバル達の想像以上の躍進に遅れをとり、まさかの苦汁をなめることになってしまった。当然、2015年シーズン途中から、2016年の戦闘態勢の見直しを強いられ、さまざまなプロジェクトにおいて変更、前倒しに取り組むことになったと言われている。

マシンの大革新をもって挑んだ今シーズン。その名もTS040からTS050へとバージョンアップ。エンジンも2.4リッターV6直噴ツインターボへとスイッチした。さらにハイブリッドシステムも一新され、バッテリーもスーパーキャパシタからハイパワー型リチウムイオン電池方式に変更。まさに「新星」マシンが誕生した。あまりにも短過ぎる開発時間であったことから、シーズンが開幕してからも、まだ不安定な状態が見られるなど、ル・マンへ向けての不安も残ってはいた。しかし、チームではル・マンに照準を合せた準備を粛々と進めており、それが形になって現れたのが、ル・マンでの決戦におけるパフォーマンスだったのだ。

予選での速さよりも、決勝での強さを重視して進めてきたマシン開発。そしてそのとおりに決勝の幕が上がると、最強ライバルであるポルシェと互角の速さで戦いを繰り広げ、またル・マンならではの戦略を遂行し、5号車がレースをリードすることになる。そして終盤、ライバルとのマージンを確保し、トップでのチェッカーを目指して周回を続けていたところに、悲劇が訪れた。それは優勝を目前とした3分21秒前の出来事だった。一度止まった車両は、なんとか息を吹き返し、再び走行を始めたものの、レギュレーションによってレースを完走した扱いにはならず、大きな衝撃を持ってル・マンの戦いに幕を下ろすことになった。

ル・マンでの悔しさはル・マンでしか払拭することはできないであろう。特にル・マンで勝利が手からこぼれ落ちた5号車は今シーズンまだ一度も表彰台に上がってはいない。だが一方で6号車は確実な戦いを続けており、今シーズンこれまで6戦中4度表彰台に上がっている。加えてホームサーキットとなる富士は、日本でのWECが2012年にスタートしてから3連覇を飾っている相性のいい場所。今シーズンの大詰めを迎えるだけに、母国ラウンドでの雪辱戦となるのは言うまでもない。

■富士での連覇を狙うポルシェ、そしてアウディの逆襲は?

トヨタのライバルは、ポルシェとアウディ。言うまでもなく、シリーズ最上位クラスのLMP1でしのぎを削っているメーカーである。チャンピオンゼッケンをつけるポルシェは、今シーズン、マシンコンセプトを変更し、オールラウンドでパフォーマンスを発揮する強さを見せつけているいわゆる速さと強さを兼ね備えたバランスのいいマシンとして仕上がっていることから、どのサーキットにおいても安定した強さを披露できていると言えるだろう。となれば、今回の富士においても“さすが王者”と言えるような走りをしかと見せつけてくるのではないだろうか。


一方のアウディ。トヨタ、そしてポルシェよりも先にル・マンに参戦し、2010年からは3年連続で表彰台を独占。さらに2014年まで5連覇を果たすなど、その大きな功績は近年のル・マンを語るにあたって外すことができないポイントだ。だが、2014年にポルシェが復帰を果たすと、翌年の15年にはポルシェに優勝をさらわれ、後塵を拝すことに。その後もポルシェ完勝が続き、その後をアウディが追う形が続いている。今季はマシンコンセプトを大幅に見直し、まるでフォーミュラカーかと思うようなフォルムのマシンをリリース。空力デザインの変更をはじめ、様々な要点を見直すことで、ライバルに一矢報いることになった。だが、シリーズ戦の結果を見る限り、まだポルシェ優位の感は拭えない。だが、富士戦は、チームドライバーがかつて日本でレースをしていたときに走り込んだサーキットが舞台となる。それをアドバンテージとして戦いたいところだ。

■サーキットでのイベントも充実

金曜日からスタートするWECのレースウィーク。実は、前日の木曜日からサーキットではチームやドライバーがレースウィークに向けての準備を進めていて、コースを歩いて体感する様子などを見ることができる。これこそ、年に一度のシリーズ戦ならではの風景と言えるだろう。また、金曜日には、1時間30分のフリー走行が2回実施される。トップクラスのLMP1はもちろんのこと、国内戦のSUPER GTとはひと味もふた味も異なるレース用GTマシン、LMGTEクラスの車両も見てみたい。

土曜日からはピットウォークが始まるのだが、決勝日となる日曜日の朝8時から1時間に渡ってピットウォークを実施! これもWECならではのお楽しみかもしれない。また、イベント広場での車両展示や搭乗体験、さらにはレーシングシミュレーターなど、どっぷりとWECを堪能できるイベントもたくさん用意されている。中でも、ドライバーズトークショーは必見だろう。

◎主なレーススケジュール

・10月15(土)
05:30 -            ゲートオープン
10:00 – 11:00 WEC 公式練習3回目
12:15 – 13:00 WEC ピットウォーク(12:30 – 13:00 サイン会)
14:00 – 14:20 WEC 予選(LMGTE Pro & LMGTE Am)
14:30 – 14:50 WEC 予選(LMP1&LMP2)

・10月16日(日)
06:00 -            パドックオープン
08:00 – 08:45 WEC ピットウォーク(8:10 – 8:40 サイン会)
10:15 – 10:30 WEC グリッドウォーク
10:53            WEC フォーメーションラップスタート
11:00 – 17:00 WEC 6Hours of Fuji 決勝レース(6時間)








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