2018年WEC 富士6時間耐久レース - イベント・レースレポート

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2018年10月15日 更新

WEC富士、トヨタ7号車が逆境を跳ね除け、今季初勝利達成!

10月14日、静岡・富士スピードウェイにおいてWEC・世界耐久選手権第4戦「6Hours of FUji」の決勝レースが開催された。スタート直前までパラパラと雨が降り、不安定な天候の下での幕開けとなったが、そんな中で7号車のトヨタTS050ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)が待望の今季初勝利を飾っている。
 
前日の予選では、タイムアタックで最速のアベレージタイムをマークしていた7号車。僚友の8号車(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ組)がこれに続き、トヨタの2台がフロントローから揃ってスタートを切るかに思われた。だが、その後、7号車はトラックリミットのペナルティを受けてタイム抹消という思いもしない判定を下される。結果、LMP1クラス最後尾の8番手スタートを強いられ、厳しいレースコンディションになることが予想された。
 
決勝を迎えた日曜日は早朝から雨が降るぐずついた天候に見舞われる。午前11時からのスタート前には雨は止んでいたものの、路面はまだしっかり濡れた状態で、全車がウェットタイヤを装着してのスタートとなる。そんな中、追い上げ必至の7号車は通常のウェットタイヤに手彫りでさらに溝を加えたタイヤを選択。早めにポジションアップを狙った作戦で勝負に出た。オープニングラップを終えて早くも4番手まで浮上、その勢いでトップ8号車の背後につけたものの、その差がなかなか縮まらない。一方でコース上の雨はだんだん少なくなっていったことから、次のタイヤ交換時に7号車は新たな一手を選択する。それが再び8号車と異なるタイヤを装着して勝負に挑むことだった。結果、リスク覚悟で誰よりもいち早くスリックタイヤをチョイス、のちに8号車はドライング(インターミディエイト)タイヤを選んだが、折しもコース上のアクシデント発生後のセーフティカー中ということもあり、7号車に逆転を許してしまった。
 
セーフティカーランが終了すると7号車は8号車に対して5秒ほどの差をつけており、そのまま文句なしにトップで周回を重ねていく。その後、ルーティンワークのメニューもイレギュラーな戦略を敢行。このチャレンジがいい流れを呼び込むことに繋がり、その後も7号車がトップでレースを牽引し続けた。終わってみると、トップ7号車と2番手8号車とは11秒4もの大差に。厳しい予選結果から一転、7号車は今シーズン初優勝を達成。7号車ドライバーのひとり、小林可夢偉にとっては2016年富士戦以来となるWECでの優勝だった。また、トヨタにとっては第2戦ル・マン24時間レースに続いての勝利となっている。
 
■WEC第4戦富士・予選結果(各クラスTOP3)
・LMP1
1.No.7 トヨタTS050ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)6:00:21.800 230L
2.No.8 トヨタTS050ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/F.アロンソ組)+11.440
3.No.1 レベリオンR13・ギブソン(A.ロッテラー/N.ジャニ/B.セナ組)4Laps
 
・LMP2
1.No.37 オレカ07・ギブソン(J.ジャファー/W.タン/N.ジェフリ組)217L
2.No.38 オレカ07・ギブソン(H-P.タン/G.オブリ/S.リケルミ組)+26.087
1.No.36 アルピーヌA470・ギブソン(N.ラピエール/A.ネグラオ/P.ティリエ組)+44.398
 
・LMP-GTEプロ
1.No.92 ポルシェ911RSR(M.クリステンセン/K.エストレ組)207L
2.No.82 BMW M8 GTE(T.ブロンクビスト/A.F.ダ・コスタ組)+12.186
3.No.67 Ford GT(A.プリオール/H.ティンクネル組)+25.242
 
・LMP-GTEアマ
1.No.56 ポルシェ911 RSR(J.ベルグマイスター/P.リンゼイ・E.ペルフィッティ組)201L
2.No.88 ポルシェ911 RSR(星野聡/G.ローダ/M.カイローリ組)+19.938
3.No.90 アストンマーティンバンテージ(S.ヨルック/J.アダム/C.イーストウッド組)+28.434
 
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2018年10月14日 更新

WEC富士、最速車のトヨタ7号車の予選タイム抹消、ポールポジションは僚友8号車へ!

10月13日、静岡・富士スピードウェイにおいてWEC・世界耐久選手権第4戦「6Hours of FUji」の予選セッションが行われた。
その中でポールポジションを手にしたのは、8号車トヨタTS(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ組)。だがそれは、僚友7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組))が最速タイムをマークしたにもかかわらずセッション終了後に科されたペナルティによりそのタイムが抹消されたという”副産物”だった。
 
終日曇天模様となり、やや肌寒さを感じる天候となった予選日。前日行われたフリープラクティスでは再三に渡って赤旗が出され、都度セッションが中断したため、決して存分な走り込みができない状態だった。これを受け、土曜日朝に行われるフリープラクティスは当初予定されていた1時間ではなく、1時間30分へと延長されている。
 
迎えた午後からの予選。WECでは各車両ふたりのドライバーがタイムアタックを行うが、日本のSUPER GTで採用されているようなノックアウト方式でなく、また2選手のベストタップの合算でもなく、そのアベレージ(平均)タイムで競うことになっている。また、アタック中、必要以上にトラックリミット(走路外走行)と判定された場合、そのラップタイムは抹消されるというルールが設けられている。そんな中、トップクラスのLMP1では、アベレージで8号車(アロンソ、ブエミが担当)が暫定トップに立ったのだが、直後にトラックリミットの対象になることが判明、アタックラップが抹消の対象に。結果、その直前に一旦トップに立っていた7号車(ロペス、可夢偉が担当)が改めてトップに返り咲くこととなった。8号車は、アタック後にピットへ戻っていたが、タイム抹消を受け、改めてアタックをにトライ。だが、先のタイムを更新できず、結果2番手に甘んじた。7号車と8号車のアベレージタイムの差はわずか0.091秒。7号車が前回のシルバーストンに続き、今季2回目のポールポジションを獲得したかに思われた。
 
ところが、7号車に思わぬ”宣告”が。先にアタックを担当したロペスがピットロードでの速度違反をしたとしてペナルティの対象となってしまう。時速60kmの速度制限に対し、ロペスは時速68.7kmで走行していたという。結果、FIAのシュチュワードからロペスは900ユーロ(約11.6万円)の罰金が科され、さらに予選タイム抹消という厳しい判定が下された。これを受け、8号車が代わってポールシッターの座に座り、一方の7号車は全車最後尾の34位という順位にになることが決定した。決勝でのスターティンググリッドはクラス最後尾の8番手からスタートを切るが、思わぬことから明暗がくっきりと分かれることになったトヨタの凱旋レース。明日の決勝ではどのような展開を見せるのか。6時間後の行方が大いに気になる。
 

■WEC第4戦富士・予選結果(各クラスTOP3)
・LMP1
1.No.8 トヨタTS050ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/F.アロンソ組)1’23.648
2.No.1 レベリオンR13・ギブソン(A.ロッテラー/N.ジャニ/B.セナ組)1’24.359
3.No.3 レベリオンR13・ギブソン(T.ローラン/M.ベッシェ/G.メネゼス組)1’24.533
 
・LMP2
1.No.31 オレカ07・ギブソン(R.ゴンザレス/P.マルドナド/A.デビッドソン組)1’28.906
2.No.37 オレカ07・ギブソン(J.ジャファー/W.タン/N.ジェフリ組)1’29.203
3.No.38 オレカ07・ギブソン(H-P.タン/G.オブリ/S.リケルミ組)1’29.294
 
・LMP-GTEプロ
1.No.95 アストンマーチン・バンテージAMR(M.ソーレンセン/N.ティーム組)1’36.093
2.No.82 BMW M8 GTE(T.ブロンクビスト/A.F.ダ・コスタ組)1’36.275
3.No.97 アストンマーチン・バンテージAMR(A.リン/M.マルタン組)1’36.362
 
・LMP-GTEアマ
1.No.88 ポルシェ911 RSR(星野聡/G.ローダ/M.カイローリ組)1’38.336
2.No.98 アストンマーチン・バンテージ(P.ダラ-ラナ/P.ラミー/M.ラウダ組)1’38.400
3.No.77 ポルシェ911 RSR(C.リード/J.アンドロウアー/M.キャンベル組)1’38.524
 
(注:一部写真はペナルティ判定前に行われた記者会見のものです)
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2018年10月11日 更新

2018年WEC 富士6時間耐久レース プレビュー

スーパーシーズン初年度のWEC、富士での見どころ
 
ひと雨ごとに本格的な秋の訪れを感じるようになった日本列島だが、先週のF1日本グランプリに続いて12日から14日の間、静岡・富士スピードウェイでも世界選手権が開催される。世界耐久選手権「WEC 6Hours of Fuji」は2012年から今年で7回目。これまでシーズン終盤戦に位置づけされる中での一戦だったが、今年のWECは2018/19年と年をまたいで開催する”スーパーシーズン”となり、今回の富士戦はまだ4戦目。全8戦で展開するシーズンとしては前半戦の折返しとなるだけに、またこれまでとはひと味もふた味も異なる展開が見られそうだ。
 
トヨタにとっては母国凱旋レースに
今シーズン第2戦として行われたル・マン24時間耐久レースで、悲願の優勝をワン・ツー・フィニッシュという形で達成したTOYOTA GAZOO Racing。チームにとって、今大会は母国凱旋レースとなる。もともとトヨタのホームサーキットとして知られる富士だけに、是が非でも今回もル・マン同様、表彰台の真ん中に立つことを第一の目標としているのは当然のことだ。
 
もともとTOYOTA GAZOO RacingはWEC富士戦とは相性が良く、結果として善戦している。過去6戦中、優勝はなんと5回という好成績を上げている。ル・マン同様に、日本のファンへ再びワン・ツー・フィニッシュを披露したいところであり、ひいてはシリーズ争いを考えても確実にポイントを稼ぎ、ライバル勢との差を広げたいのは言うまでもない。というのも、富士戦の前戦、イギリス・シルバーストンでの痛いミスをカバーする必要があるからだ。第3戦シルバーストンで、チームは8号車がル・マンに続き優勝、僚友の7号車が2位でチェッカーを受けた。しかし、レース後の再車検で車体剛性が不適合と判定され、2台が揃って失格扱いになっている。結果、チームポイントでは2番手のライバルチームに3ポイント差に迫られることになってしまった。この”痛手”からの挽回を目指し、是が非でも今大会でミスなく確実にポイントを計上するというミッションが存在する。
 
そのトヨタだが、2台のトヨタTS050ハイブリッドを駆るドライバー6人のうち、日本人は中嶋一貴と小林可夢偉のふたり。さらに着目すべきは、現役F1ドライバーとしても活躍するフェルナンド・アロンソであるのは間違いない。今シーズン、WECへデビューを果たしたアロンソ。F1ではマクラーレンでシングルシーターの戦いを続けているが、久しく表彰台に上がってはいない。一方、WECではル・マン初制覇はもちろん、シリーズタイトル獲得を目指して好位置につけるだけに、この富士戦においても表彰台の真ん中に立つことを誰よりも望んでる。もし、アロンソが駆る8号車が勝てば、2008年、富士で開催されたF1日本GPでの勝利以来となるといい、10年ぶりの美酒に酔うことになるのだとか。アロンソの奮闘にも注目が集まる。
 
■EoTの影響による攻防戦も楽しみのひとつ
WECのトップカテゴリーであるLMP1において、唯一のワークスとして参戦するTOYOTA GAZOO Racing。これに対し、プライベーターチームとしてLMP1にチャレンジするチームはハイブリッド車両ではなく、ノンハイブリッド車両での参戦を継続させている。システうが異なる車両同士が同じクラスで戦う場合、ポテンシャルの異なる車両のため、その実力差は歴然。そこでレースでのレギュレーションでギャップを縮め、性能の調整、均衡化を図っている。とはいえ、均衡化「EoT(イクイバレンス・オブ・テクノロジー=技術の均衡)」が導入されてはいるものの、正直なところレースペースでの速度差は大きく、1周あたり数秒単位の差がついてしまっている。
 
今大会を前に、EoTの変更が発表され、ハイブリッド車に対してさらにパフォーマンスの抑制処置が取られることとなった。結果、トヨタの車両TS050ハイブリッドには26kgのハンディウェイトが追加され、最低重量が904kgへと変更された。なお、レギュレーションでのノンハイブリッド車両の最低重量は、ターボ車で833kg、自然吸気車では818kgであるため、TS050ハイブリッドは最大で86kgものハンデが新たに課せられることになってしまった。
 
シーズン前、EoTの採用にあたり、TS050ハイブリッドの性能は固定し、対するノンハイブリッド車両の性能を調整する方法が採用されていたのだが、富士戦では新たにTS050ハイブリッドへ調整を強いることができたのは、トヨタ側の同意があったからと伝えられている。しかしその一方で、トヨタ側は燃費の優位性も失うと言われており、これまで以上にタフな戦いが要求されることになる。だが、より均衡化されたコンディション下での攻防戦が見られることになれば、観戦する側にとっては何よりの楽しみになるのは明らか。ハンデを負う中で手に汗握るバトルの展開で、面白みも倍増というわけだ。
 
変わりやすい秋の天候の影響を受け、降雨に見舞われることも多いWEC富士戦だが、今年こそは秋晴れの中での戦いを見届けたいものだ。
 
◎主なレーススケジュール
 
・10月13(土)
05:30 -    ゲートオープン
09:08 – 09:20 サーキットサファリ
09:30 – 10:30 WEC 公式練習3回目
12:15 – 13:45 WEC ピットウォーク(12:30 – 13:00 サイン会)
14:00 – 14:20 WEC 予選(LMGTE Pro & LMGTE Am)
14:30 – 14:50 WEC 予選(LMP1&LMP2)
 
・10月14日(日)
06:00 -    パドックオープン
07:55 – 08:55 WEC ピットウォーク(8:05 – 8:35 サイン会)
10:15 – 10:45 WEC グリッドウォーク
10:56  WEC フォーメーションラップスタート
11:00 – 17:00 WEC 6Hours of Fuji 決勝レース(6時間)








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