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199万円の価格設定が魅力的な"クーラーレス廉価モデル"
トヨタ86の4グレード中で、もっとも質素でスポーツ指向の強いモデルが「RC」グレードだ。搭載されるエンジンやスペックはトヨタ86全グレード共通であり、豪華版「GT"LIMITED"」グレードと廉価版「RC」グレードを比較すると大きな違いは装備内容になる。「RC」グレードは、現代のクルマとしては付いていて当たり前の"クーラー"をバッサリ省略。安全装備は残しつつ、走りに不要な豪華装備や快適装備を極限まで切り詰めることで唯一の200万円を切る199万円を実現した。
「RC」グレードを象徴するエクステリアは、前後バンパーが無塗装(ウレタン素材の黒色)で納車される。ホイールも16インチの鉄製で、標準タイヤはYOKOHAMA dB E70が装着。トレッドパターンのサイズや形状から推測すると環境性能重視であることは明らかであり、使用用途は"車検用"と考えた方が良さそうだ。インテリアは、オーディオが省略されダッシュボードに大きな穴があいた状態になる。助手席側のインパネも剥がされた状態で納車されるため「メーカーで付け忘れたのでは?」と思ってしまうほどだ。
正直なところ、カタログ写真で見るより現車の質感は格段にチープ。一般的には"競技専用モデル"と認識されており、簡素化されたエアロパーツ、アルミホイール、マフラー、シートなどは「自分好みに仕上げてください!」という、メーカーからのアピールと受け取るべきだろう。しかし、パワーステアリング、パワーウィンドウ、電動ミラー(格納機能はなし)、エアーバック、ABSなどは量産効果を得るため(!?)標準装備される。
平成以降に発売されたFRスポーツカーで、これほど思い切った簡素化がおこなわれた車両は記憶にない。トヨタ86RCの存在は逆に新鮮だ