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空気なしタイヤ、運用開始へ

コラム

(2026/08/17)

このほど、滋賀県東近江市で導入されている自動運転サービス用の低速電動車に空気なしタイヤが採用され、運用が始まっている。そのタイヤの名前は「AirFree(エアフリー)」といい、ブリヂストンが開発を担った。タイヤには不可欠と思われてきた空気を必要としない製品を開発する狙いとは?

・そもそもエア不要のタイヤとは?
高圧の空気が充填されているのがタイヤ。それが一般的な解釈だろう。空気を充填することで、通常1トン超の車体を支えるだけでなく、凸凹した路面からの衝撃を吸収する役目もゴムと一緒になって果たしている。一方、なんらかの外的要因でゴムがダメージを受けると、なかの空気が漏れ出てパンクなどを引き起こす。つまり。空気圧が保てなくなると、クルマの走行は難しくなる。

ブリヂストンが開発した「エアフリー」は、この空気充填を不要とするものであり、次世代タイヤとして位置づけられている。ではゴムをどうやって支えているのか? タイヤの側面に熱が加わると軟らかくなる樹脂を最適形状のデザインで施し、重さがかかると適度にひずみ、衝撃を優しく吸収。支える力と乗り心地のバランスを取る。特殊な樹脂は青色をしており、「エンパワーリングブルー」と同社では名付けている。また、この色は視認性向上にも一役買っているとのこと。側面からみるタイヤはトレッドだけがゴムで、青色に波打った樹脂はスポークであるため、透けた状態でもある。

同社が空気不要のタイヤ開発に着手したのは、2008年。段階を経て2024年から第4世代という位置づけだ。人口知能の機械学習を使い、素材の厚みや形などを設計。1千キロ程度の重さに耐えることが可能という。結果、小型の電気自動車で使える仕様になった。今年3月には同社の工場がある東京都小平市近郊の公道において実証実験を開始。そのなかで、空気が不要、つまりパンクしないことをポイントに、社会実装に向けて自動運転車両への装着に着目することになった。高齢化は過疎化が進む地方での労働不足を補う自動運転車両とその足元を支えるエアフリーのコンビネーションによって、社会課題を解決する足がかりとなっていくのではないだろうか。

7月上旬、東近江市にある道の駅「奥永源寺渓流の里」を拠点とした自動運転サービス用の低速電動車「奥永源寺けい流カー」の足元を飾ったエアフリー。このエリアは中山間地域で高齢者率が60%を超えている。自動運転車両の導入に併せ、空気不要のエアフリーを装着すれば、パンクの心配がなくなるのは当然のこと、普段の空気圧点検などのタイヤに関する維持管理の作業が軽減される。目を引く「エンパワーリングブルー」も安心・安全に移動を支えることをアピールしていたようだ。

「奥永源寺けい流カー」の見た目は、6人乗りのゴルフカートのよう。そのボディを持つEVは、時速20kmに満たないスピードでゆっくり走る。路面にはガイドセンサーが引かれており、このEVはこのセンサーに沿って自動運転を行なっている。エアフリーの実装によって、トータル的な社会実装が実現したわけだが、今後は事業の採算性を踏まえ、一般の乗用車への実用化を目指すのだろうが、時速60kmを超える速度での走行実現を考えた場合、まだまだ課題も多いと思われる。

同社では東近江市に導入しているような低速電動車への装着を意識した市場開拓に取り組むようだ。2030年ごろをメドにエアフリー事業を一定の事業規模にまで成長させたいとのことだが、今後はどのような公共エリアでの実装に着手していくのか、気になるところだ。

空気不要のタイヤ開発は、ブリヂストンに限ったことではない。ダンロップブランドを展開する住友ゴム、TOYOタイヤ等でも開発を進めているという。もちろん、海外のタイヤメーカーでも同じような取り組みをはじめているというが、運転者目線で考えても、突然のパンクなどトラブルをひとつ減らせることは大きな魅力なだけに、今後の動向を見守っていきたい。

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