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コラム
(2026/04/20)さきほど、日産が同社の長期ビジョンを発表した。これによると、販売車両の絞り込みを行なったうえで、次々と新車投入を目指す考えだという。一旦、生産終了の英断を下したGT-Rの再販も視野に入れているというウワサも依然として囁かれている。今もなお「やっちゃえ、日産」のキャッチコピーを展開する同社だが、この先何を「やる」のか。
・既存車種を2割減
目下、経営再建中の日産。このほど発表した長期ビジョンにおいて現行車種の56から2割減の45へとすることで、効率化を目指すことを明らかにした。車種の絞り込みを行なう一方、1車種あたりの販売台数の拡大に注力するという。もともと日本の自動車メーカーは車種が多い傾向にあるが、あれこれと似通った車種を改めることで収益を上げ、より魅力あるクルマに集中して提供することを狙いとしているようだ。
振り返れば、ここしばらく、日産では迷走が続いた。2024年の末にホンダとの経営統合に関する基本合意書が出され、そこに三菱も加わり、3社による協業を検討する覚書が締結された。だが、その話は年が変わると”空中分解”。そうこうするうちに、新たにイヴァン・エスピノーサCEOが就任。2025年3月期決算では過去3番目の大きさといわれる6708億円の赤字を出しており、厳しい経営修正が求められた。真っ先に着手したのがリストラだったのは、言わずもがな。当初、1万人に満たないと言われた人員削減は、蓋を開ければ2万人に拡大。日本で初めての自動車量産工場として稼動を開始した場所である神奈川県の追浜工場をはじめとする国内外7ヶ所の生産拠点を閉鎖するプランを発表し、従業員のおよそ15%にも上る大きな”クビキリ”に着手した。
大ナタを振るったエスピノーサCEOは、その後も次々と改革を打ち出しており、今回の再建案にも繋がっている。だが、正直なところまだその成否はまだ見えていない。今回打ち出した長期ビジョンの詳細は次のとおりだ。
・将来的にAI搭載を目指す
販売車種を2割削減を発表するなか、新型車両のお披露目を行なった同社だが、このタイミングではSUV「エクストレイル」のハイブリッドタイプと「ジューク」のEV(電気自動車)が紹介された。どちらの車両も輸出を対象としたものだ。
すでに新車投入の動きは昨年から見られた。同社のEVを牽引する「リーフ」はじめ、軽自動車「ルークス」、さらに今年の夏にはミニバンの「エルグランド」の新車を販売。こちらは16年ぶりのフルモデルチェンジになるという。
一方、地域ごとの販売においては、日本、中国、アメリカを最重要市場_「リード市場」に位置づけ、優先的に新型車を投入しテコ入れを図る。これによると、日本市場では24年度比で19%増のおよそ55万台、中国は43%増のおよそ100万台、アメリカでは7%増のおよそ100万台を1年で増やす計画だという。さらに、中国は輸出拠点としても活用すると発表。南米や東南アジア向けの車両生産に取り組む。さらに、トランプ政権のもと高い関税がかかる影響を踏まえ、現地生産比率の向上を進めており、およそ6割から8割に増やす方向だという。
エスピノーサCEOは、生産車種の絞り込みに併せ、開発スピードの見直しも行なうとしている。複数の車種を並行して開発することで、その機関をこれまでの50ヶ月から30ヶ月へと短縮が可能になるとのこと。また、将来のビジョンとして全車種のおよそ9割に人工知能_AIの搭載を可能とし、自動運転に取り組んでいく考えだと明らかにした。
GT-R、フェアレディといったクルマ好きのコアなファンを魅了した車両を生み出してきた日産。残念ながら現状GT-Rは生産を終了しているが、エスピノーサCEOはメディア向けのインタビューの場で「スポーツカーには投資をする。GT-Rは出す」といったコメントを残したという。しかし、着手する改革はまだ道半ばであり、販売台数の回復に直結しているとは言い難い。なにより日本国内における販売が減少しているという。経営再建計画「Re:Nissan」の試練をどう乗り越えて行くのか。次なる”やっちゃえ”が大きな一歩に繋がるのか、目標だけで終わらないよう、その真価が問われることになる。