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コラム
(2026/01/31)コンビニ大手のファミリーマートが新たなビジネスを展開することになった。店舗の駐車場等で試乗や新車販売を手掛けるという。ディーラーへ足を運ばずとも気軽にクルマを見たり試乗したり、あるいは商談を行なったりと消費者としては使い勝手が良さそうだが、”ファミマ”側の狙いとは?
・実績に基づき、事業化を決定
大型ショッピングモールには相当な台数が利用可能な駐車場がある。ときにそこでフリーマーケット等のイベントを行なうこともある。一方、コンビニは構える場所によって駐車スペースには限りがある。とりわけ首都圏ではその駐車スペースの確保が難しい。一方、都心部からやや離れた大きな国道沿いにあるコンビニはどうか。交差点に面したコンビニは大型トラックが立ち寄りやすいため、スペースのある駐車場が確保できれば稼働率も上昇しそうだ。また、公共交通機関よりも自家用車での移動が多い地方においては、充分な駐車スペースのあるコンビニは使い勝手が良いとされる。
今回は、この駐車スペースにスポットライトが当たった。コンビニを利用するために”タダ”でクルマを止めるためのものではなく、店舗の駐車場を貸し出して収入を得ることがまず最初の目的とし、新車試乗会の拠点としてスペースを提供することにしたのだ。店舗は訪問客がモノを買っても買わなくても、ディーラーに駐車スペースを提供するだけで収入が見込めるというわけだ。
ファミリーマートがこの手の事業に着手したのは2024年の12月。EVメーカーのテスラと共同で神奈川県茅ヶ崎市で試乗会を実施した。コンビニでの試乗会は初めてと言われている。一方、”ファミマ”では、2010年から地域のインフラ拠点として急速充電器の整備にも関わっている。テスラの試乗会を実施した時点で、全国でおよそ580店舗に急速充電器を整備しており、試乗会を実施した茅ヶ崎の店舗では、テスラの充電体験と試乗がセットになって開催されたという。この取り組みをきっかけに、その後韓国のヒョンデのEV試乗会を首都圏の店舗10箇所で実施。数十台の販売に繋がったという。
・ディーラーより気軽に
店舗は自動車メーカーに一定の期間に限定して駐車スペースを貸し出す。ディーラーはそこを展示場として活用する。最近、都市部では自動車ディーラーを縮小する動きも見せているが、これは店舗の賃料等ランニングコストを考えてのこと。複数台の車両をズラリと並べ、営業マンが来客を出迎えるわけだが、週末はともかく平日に次から次へとお客が足を運ぶとは言い難い。そんななか、コンビニの駐車場を”レンタル”し、コンビニに立ち寄った人たちを迎える。ディーラーの来客は車両購入が前提であるが、コンビニでは不確定多数の人が展示車両を目にする上に、ときに予定外の商機に繋がる可能性も含まれる。その気がなかった人が展示車両を目にし、営業マンのセールストークに引き込まれて試乗してそのまま商談成立…ということも起こり得るのだ。試乗できる場所は普段から利用する生活圏内のため、よりリアルなイメージでクルマを試すことができるため、購入意欲を掻き立てやすいとも言えるのではないだろうか。
ファミリーマートによると、対象となる店舗は全国1万6千店あまりのうち、十分な駐車スペースを保有する約5千店を想定しているとのこと。貸し出したスペースに展示車両を並べ、接客用のテントを張って対応する。また、場合によってはイートインスペースで商談に対応するとしている。近年は海外メーカーが販売ディラーを設置せず、オンラインでの販売を展開し始めている。ただ、試乗をはじめとするイメージが湧きにくく、高額の出費を伴うためにやはり実車を見ることはもちろんのこと試乗もしたいというのが消費者としてのホンネだろう。それを考慮すると、”コンビニ出張店舗”は消費者にとって気軽かつ安心も提供してもらえる展開であり、販売側としても実店舗を構えるコストを抑えつつ、新たな顧客開拓を目指すことができるため、”ウィン・ウィン”の関係を築くことになるのではないだろうか。
ちなみに、同じコンビニのローソンでは店舗の駐車スペースで車中泊が可能となるサービスに着手し始めている。車中泊のユーザーに向けて、電源はじめ、トイレやゴミ袋を提供するものだ。今後、コンビニでモノを購入する利用客が無料で使う駐車スペースは、新たな収益を生み出すための重要な対象になっていきそうだ。