GTNETニュース :終了近づく大阪・関西万博。どうなった”空飛ぶクルマ”

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終了近づく大阪・関西万博。どうなった”空飛ぶクルマ”

コラム

(2025/09/29)

今年4月に開幕し、尻上がりに人気を博すようになっている大阪・関西万博(EXPO2025)。国内外のパビリオンに足を運び、大屋根リングに登り、公式キャラクターのミャクミャクのオブジェと撮影したり……と来場者は思い思いの楽しみを堪能しているようだ。閉幕まで残り2週間を切った会場で、期待どおりにいかなかったものがある。言わずとしれた「空飛ぶクルマ」の飛行だ。当初の予定を大幅に変更せざるを得ない船出となったが、閉幕が近づくなかの現状を追った。

・メディア向けデモフライトは強風により中止に
9月13日、大阪市港区にある「大阪港バーティポート」において空飛ぶクルマ「SKYDRIVE」のデモフライトの観覧会がメディア向けに実施された。敷地内の見学ブースにおいて離発着の様子をお披露目する予定だった。だが当日は風が強く、しばし状況判断を待っていたもののフライトは実現せず。公式キャラクターのミャクミャクが描かれた機体が空に浮かぶことはなかった。

空飛ぶクルマは、大阪・関西万博で披露する新たな技術のひとつとして大きな話題を集めていた。大阪の数カ所を拠点に夢洲の万博会場まで来場者を運ぶという商用運航を掲げたが、計画を予定していた4社すべてが開幕までに断念するという結果に終わった。万博が開幕すると、デモフライトのお披露目がスケジュールされ、4月下旬に早速アメリカのLIFT社の機体が会場内でデモ飛行を実施。ところが、その最中にプロペラ1本が破損する事故が起こり、一部部品が落下した。これを受け、デモフライトはその後3ヶ月近く中断する。マイナスイメージからのスタートを迎えた空飛ぶクルマだが、7月下旬になると、およそ1ヶ月間にわたってスカイドライブ社が会場内でデモ飛行を実施すると、車載カメラ映像を一般に公開。無人飛行の映像だったが、5分半ほどのフライトを擬似体験することができるものだった。

さらに9月に入ると、バーティポートでのデモ飛行を一般公開するに至った。なお、スカイドライブ社の関係者によると、昨年末の時点で「4合目」としていた開発段階が、万博の帰還を経て「5合目」に到達したと言い、今後は事業としての成立を示すための取り組みに着手するという。

・万博施設内でも話題を集める
万博としては、空飛ぶクルマの位置づけを商用としておらず、社会受容性の工場と実証の場として提供している。万博を通じて得た知見を、今後の実現化に活かしてもらうことを目的としているからだ。

トラブル発生後、デモフライトがない時期は展示だけに留まった空飛ぶクルマ。だだっ広い会場の北西の隅に設けられた離着陸場は、大阪メトロ「舞洲駅」から会場に入ると、もっとも遠い場所でもある。それでも近未来の技術をひと目見ようと、来場者が足を運び写真撮影に興じる姿も少なくなかったという。

そして閉幕まで2週間が近づくなか、ANAホールディングスがトヨタ自動車などが出資するアメリカのベンチャー「ジョビー・アビエーション」の機体でデモフライトを実施する。予定では、10月1日からほぼ毎日行なうとのこと。専用の離着陸場から離陸し、会場西側の海上を翼で揚力を得る完全遷移状態でおよそ10分から15 分をフライトすると明らかにしており、会場内からも目にすることができるとしている。

現在、万博会場内は20万人超の来場者が詰めかけていると報道されており、当然のことながら予約もままならない状態。だが、デモフライトの離着時などの見学は事前予約の必要はなく、直接会場に足を運べばよいとのこと。ただし、当日の天候等や機体状況等でスケジュールが変更される可能性もあるので注意が必要だ。


・万博後の実用化は?
鳴り物入りで多くの注目を集めた空飛ぶクルマだが、前述のように万博での商用化は実現せず、デモフライトだけで終わることになる。だが、すでに国土交通省と経済産業省が事務局である「空の移動革命に向けた官民協議会」では、万博後の社会実装の実現イメージを公表している。これには、2027年頃には一部の地域で2地点間や遊覧目的の商用運航をスタートさせ、2040年代には「自由な空の移動が当たり前の社会」を実現するまでの工程が記されているという。

たとえ運航が問題なく実施できるようになっても、商用含め、実現までに環境設備や使用環境もしっかりと検討していかなければならない。空飛ぶクルマが既存のタクシーのように交通手段として手軽に利用できるまでには、まだしばらく時間を要するのは言うまでもないだろう。

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