GTNETニュース :EU導入の二酸化炭素排出規制、メーカーで明暗分かれる

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EU導入の二酸化炭素排出規制、メーカーで明暗分かれる

コラム

(2021/01/29)

1月21日、ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)では、EU(欧州連合)が新たに導入した二酸化炭素規制に達成できなかったことを明らかにした。未達による罰金は1億5千万ユーロに及ぶという。前年比でおよそ20%の二酸化炭素排出減少を果たしたものの、定められた数値には及ばなかった。一方で他メーカーが規制を達成しているだけに、なぜ同社は罰金の支払いに至ったのだろうか。

・1台あたり0.5g不足となったVW
2030年代にガソリンエンジンを搭載した新車販売が禁止されるという規制については、日頃から自動車に関心を持つドライバーであれば大まかに認識しているかと思う。だが、規制に向けてのアプローチとして細かく設定された内容までは正直把握していないのではないだろうか。EUでは、まず20年から21年にかけて段階的に新たな二酸化炭素規制を導入。結果、域内(英国・ノルウェーなどを含む)で販売する乗用車の新車1台の二酸化炭素排出量において、メーカーごとに走行1kmあたり平均95g以下に抑えるよう義務付けた。これに伴い、達成できなかったメーカーは販売1台に対し、1gあたり95ユーロ(1月29日現在およそ1万2000円)の罰金を支払わなければならない。なお、EUではこの先も乗用車の二酸化炭素規制を段階的に強化することを決めており、25年には21年比15%減、30年には同37.5%減まで引き上げていく。かなり厳格な規制ではあるが、この数値はカーボン・オフセットなしに世界的温暖化に歯止めをかけることが難しくなっていることを意味するものでもある。事実、イギリスでは2030年、またフランスでも2040年までにガソリン車の新車販売を完全に禁止する方向で環境規制を強化していることを追記しておく。

そんな中、VWが発表した目標未達のリリース。実のところ規制値は車種構成によって異なるため、同社の目標設定数値は95gではなく99.3gだった。だが、同社の最終結果は99.8gとなり0.5gの超過に。よって年間に販売した車両およそ300万台のうち、規制対象となる車両に超過した0.5gと1台あたりの罰金95ユーロをかけた金額として、およそ1億5千万ユーロ(およそ190億円)の罰金が生じることとなった。同社では一年前の2019年に1kmあたりの二酸化炭素排出量が124gだったことを考えると、大幅な削減に成功したとも言えるのだが、他の自動車メーカーが目標値をクリアできた中で同社が未達となったのは主力と見込んだEV「ID.3」の販売拡大が存分でなかったことが一因だったとも言われている。これは、新型コロナウイルス禍で生産遅延となったためだ。一方で主力ブランドであるフォルクスワーゲンと高級車ブランドのアウディは単独で目標を達成しているとのこと。また、未達分の罰金はすでに引当金を充てる手はずになっており、同社の2020年10~12月期決算への影響もないと言われている。

・目標達成&罰金回避のため、企業間で融通
VWがコロナの影響を受けて目標未達となった中、他メーカーはどういう動きを見せたのだろうか。当初、昨年9月の時点では目標達成が危ういメーカーも多数あると報道されていたが、年末に向けて目標達成予定を明言するメーカーが次々と現れた。フランス最大手のPSAグループ(プジョー、シトロエン、DS、オペル、ボクスホールを傘下とする)はじめ、ボルボ、BMW、ルノー、ダイムラー、そして日本ではトヨタが自社内で最終的に目標を達成することになった。

一方、自社での目標達成が見込めないメーカーはどうしたのか。実は、この排出枠は「購入」することが対処法として可能であるため、他社から買い受けるという形でクリアすることもできる。排出枠をメーカー同士で融通する連合を「プール」というのだが、正式に認可されているものであり、メーカー同士が連合を組み、その中で融通することができる。例えば、ホンダが連合で手を組んだのはアメリカ・テスラ。テスラはすでにフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と連合を組んでいたが、そこにホンダも加わって目標をクリアしたとされる。この他、スズキやマツダではトヨタと、アメリカのフォードではボルボとプールを組んでいるとされる。未達のメーカーは連合メーカーの排出枠を購入することで罰金を逃れることができ、一方、排出枠を共有できるメーカーは、売ったことで資金を増やすことになる。つまり、”持ちつ持たれつ”が成立するというわけだ。フランス・ルノーでは、達成が難しいメーカーに対し、自社の排出枠を開放。提携関係のメーカーに救いの手を差し伸べたと伝えられている。もちろん、VWもこのプールを活用して目標達成を目指していた。選んだ相手は英国の名門「MG」のブランドでヨーロッパでのEV販売が好調と言われている中国・上海汽車集団。このほか、複数のメーカーからも調整しようとしたが、最終的には絶対数が不足して目標に届かなかった模様だ。VWとしては不本意な罰金支払いではあったが、同社による2020年の欧州EV市場シェアはおよそ25%と業界トップだっただけに、2021年は目標達成も難しいことではないはずだ。

EUが推進する新たな二酸化炭素規制は世界的にも最も厳しいと言われており、当初、2019年の販売実績に基づいた場合、罰金として計上されるのは合計でおよそ4兆円だったという。しかし、罰金回避を目指して各メーカーが相次いでEVを投入、販売強化へとかじを切ったため、最終的に罰金額が予想よりも大幅に抑えられた。厳しい規制がガソリン車販売の抑止となり、一定の効果をもたらしたのは明確だ。二酸化炭素規制に関しては、段階的導入として20年には猶予が与えられていた。しかし、21年はEU内で販売したすべての新車が規制の対象となり、メーカーにとってはさらに高いハードルが待ち受けている。この厳しい規制に対し、メーカーの迅速な対応力が求められているのは言うまでもない。

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